ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:ライブ

びーむ色調補正3
前の記事では赤青コーナーまでを書きましたので、当記事ではその続きを。

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冷静に考えるととんでもない


期別コーナーからはいよいよ6期生が登場します。

新人が初めて先輩と同じライブに参加するのはバスラ。
3期はさいたまスーパーアリーナ、4期は大阪ドーム、新4期はナゴヤドーム、5期は日産スタジアム、そして6期は味の素スタジアム

こうして改めて文字にして並べると凄まじいな、このグループ。

3期4期は小動物のように震えていた記憶が。
それに対し5期はもちろん緊張していましたが、比較的落ち着いていた印象があります。

井上和に至っては『絶望の一秒前』で早くも「キメ顔グランプリ」にエントリーされ掛橋沙耶香に「なんであの時あんな風に笑ってたんだろうって、ふとした時に思い出すくらい惹きつけられました」と言わしめました。(個人的には実に掛ちゃんっぽいこの言い回しも好き)

この日の6期生もしっかりと自分たちの持ち曲『タイムリミット片想い』をパフォーマンスします。

各期が期別曲を披露し、その流れからの『設定温度』。
先輩から順に歌っていき最後は全メンバーが並ぶという演出。2017年全ツの神宮をはじめとする過去のシーンが甦ります。

この曲以降、6期生たちは先輩に「混ざり」ます
これはグループ史上初の出来事でした。

これまでは自分たちだけで1曲披露+先輩たちの「後ろ」または「はじっこ」で一緒に踊るパターンだったと記憶しています。
3期4期はアンコールに参加。
5期はオープニングからの数曲と本編ラスト、そしてアンコールだったはずです。

この日の6期は本編最終ブロックすべてとアンコールに参加。
そして(『6期生ドキュメンタリー』内でちらっと見せていた通り)「はじっこ」ではなくフォーメーションの中に入ってパフォーマンスしました。

矢田萌華に至っては『ぐるぐるカーテン』(デビュー曲!)のセンター。

単純な過去の踏襲ではない、運営が近年見せている「リファイン」。これもそのひとつでしょう。

そして6期生は全体として非常に落ち着いて見えました

38thシングル選抜発表の記事で私は『タイムリミット片想い』MVに次のような感想を書いています。

 あの頃の4期生たちを思い出させる「儚くて華奢でどこか奥ゆかしい」印象でありながら、4期のような「素人くささ」は感じさせない。

 私がこのMVを観て覚えたのは、過去のパターンを踏まえつつそこから少しずらしてきたような不思議な感覚でした。

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この日に感じたのもこれとほぼ同じ感覚。

「体温低そう」で乃木坂的なのに「ステージ度胸がある」。
このなんだか「少し不思議」なところが現時点での6期生の魅力だと思います。


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この日、印象に残ったシーンをふたつ挙げておきます。

『命は美しい』のセンターが菅原咲月だと判明した時に客席から上がった何ともいえないどよめき。そしてそれに応えて一瞬頬を緩めた彼女。

これまでずっとバッキバキの表情でパフォーマンスしてきた『ごめんねFingers crossed』を、うっすらと笑みを浮かべながら踊った遠藤さくら

さくちゃんの中で何か思うところがあったのか、楽曲の解釈が変わったのか、それとも単にこの日のライブが楽しすぎたのか。それは判然としませんが、間違いなく魅力的な表情でした。

そしてビジュアル仕上がってんなあメンはちょっとひとりに絞れないのですが、印象度でいえば矢田萌華

とにかく「ライブ映え」する。
個人的にはどこか西野七瀬を、遠藤さくらを思わせました。

もちろんそんな大エースふたりと並べるのはいくらなんでも気が早すぎます。
ただ「普段から可愛いけど、ライブになるとやたらと可愛い」というスペシャリティは非常に貴重。

これをオーディション時点で見抜く運営が凄いのか。そもそも見抜けるものなのか?と思いながら観ていました。


続きます。



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びーむ色調補正3
13thバスラはグループ初となる味の素スタジアム。

DAY2を現地で観て来ましたので、その雑感です。

詰め込んだ53曲


セットリストはこちら。

Overture
01. 太陽ノック(センター:中西アルノ)
02. ⾛れ!Bicycle(センター:筒井あやめ)
03. 君に叱られた
04. チートデイ
05. ジコチューで⾏こう!(センター:池田瑛紗)
06. ネーブルオレンジ

【46分メドレー】
07-1. おいでシャンプー(センター:遠藤さくら)
07-2. 涙がまだ悲しみだった頃(センター:伊藤理々杏)
07-3. 制服のマネキン(センター:井上和)
07-4. 世界で⼀番 孤独なLover(センター:梅澤美波)
07-5. バレッタ(センター:田村真佑)
07-6. 孤独兄弟(遠藤さくら、賀喜遥香)
07-7. ここにいる理由(センター:池田瑛紗)
07-8. 夏のFree & Easy(センター:冨里奈央)
07-9. 傾斜する(センター:弓木奈於)
07-10. 命は美しい(センター:菅原咲月)
07-11. 今、話したい誰かがいる(中西、久保、林)
07-12. 裸⾜でSummer(センター:久保史緒里)
07-13. ⾵船は⽣きている(センター:岡本姫奈)
07-14. Rewindあの日(井上、池田、一ノ瀬)
07-15. 逃げ水(センター:筒井あやめ&川﨑桜)
07-16. シンクロニシティ(センター:梅澤美波)
07-17. 帰り道は遠回りしたくなる(センター:五百城茉央)
07-18. 夜明けまで強がらなくてもいい
07-19. Wilderness world(センター:金川紗耶)
07-20. 僕は僕を好きになる(センター:一ノ瀬美空)
07-21. 錆びたコンパス(センター:柴田柚菜)
07-22. 好きというのはロックだぜ!
07-23. ⼈は夢を⼆度⾒る(センター:久保史緒里)
07-24. 踏んでしまった
07-25. チャンスは平等(センター:梅澤美波&久保史緒里)
07-26. 歩道橋

<Red&Blueコーナー>
08. Actually. . . 
09. ごめんねFingers crossed
10. おひとりさま天国
11. I see. . . 
12. インフルエンサー(センター:井上和&中西アルノ)
13. 君の名は希望

<期別曲コーナー>
14. タイムリミット⽚想い
15. バンドエイド剥がすような別れ方
16. ジャンピングジョーカーフラッシュ
17. 三番⽬の⾵

18. 設定温度
19. ぐるぐるカーテン(センター:矢田萌華)
20. ガールズルール(センター:梅澤美波)
21. Sing Out!(センター:久保史緒里)
22. Monopoly
23. 他⼈のそら似

EN
EN1. ハウス!
EN2. ダンケシェーン
EN3. そんなバカな…
EN4. 空扉
EN5. 乃⽊坂の詩

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オープニングからブチ上げ夏曲5連発、そして最新シングル『ネーブルオレンジ』。

そこから新たな取り組みである「46分メドレー」へ。

個人的には、これ良かった。

もはや不可能となった全曲披露。
じゃあどうするか。「全ツと変わらないじゃん」とファンに言わせないために何ができるのか

そこを真面目に考えて出てきたアイディアなのだと思います。

単なるメドレーではなく、メンバーもどんどん入れ替わる。
それにより観客を飽きさせないし曲間の繋ぎも最小限の時間で済むため最大限の曲数をパフォーマンスできる。

この日も53曲を披露。2日間でシングル全38曲も網羅していますので、ひとつの正解を出したと言えるのではないでしょうか。

ただセトリ的には齋藤飛鳥卒業後の「3期生以降の楽曲中心のセトリ」とあまり変わり映えしなかった印象。
「久しぶりに観たなこの曲!」みたいのがなかった気がしますね。DAY1では『人間という楽器』をやったらしいのですが。
まあ53曲ではそもそもレア曲まで手が回らない気がします。

ちょっと思ったんですが、バスラとは別に3年に1回ぐらい「ここ3年で1度もセトリに入っていない曲ライブ」やってくれないかな
まあ振りが入っていない曲が多くなるのでメンバーの負担がかなり大きそうなのと、さすがに若干動員にマイナスの影響がありそうなので現実的ではないでしょうけど。
個人的にはめちゃめちゃ観たいです。

話を13thバスラに戻します。

メドレーに続いては「かきなぎ」赤チームと「さくアル」青チームに分かれて、最後は合わさって紫になる「Red&Blueコーナー」。

この赤と青が合わさって紫(=乃木坂カラー)になる、というモチーフはそれこそ何度も繰り返されてきました。

恐らく初出は2016年5月発売の2ndアルバム『それぞれの椅子』。
そのジャケットアートワークは赤と青の衣装に分かれたメンバーが並ぶというものでした。

その年の全ツでは今回と同じように赤チームと青チームに分かれて曲を披露し、最後にひとつに合わさってアルバムリード曲の『きっかけ』。

Redは「陽」、Blueは「陰」のイメージ。この時は前者を率いたのが白石麻衣で後者は西野七瀬でした。

今回の「Red&Blue」は丸々それを踏襲した形。
このあたり運営から古参オタへの「俺たちもあの頃の乃木坂を忘れてないぜ!」というメッセージのように感じる、は言い過ぎですが作り手側のこれまでの歴史に対するリスペクトを感じました。

新たな取り組みである「46分メドレー」、過去とのブリッジ「Red&Blueコーナー」。

「今も大事だけど過去も愛する」、実に乃木坂な構成でした。


続きます。

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前の記事では座長・冨里奈央について書きました。

関連記事:


当記事では副キャプテン・菅原咲月について。

それでも力になりたい


千秋楽の座長挨拶で冨里奈央は「プレッシャーとか責任とかで押しつぶされそうになった時に、いつも必ず誰かがそばにいてくれた」と語りました。だから自分も挫けずにいられたと。

同じ言葉を我々はこれまで何度も耳にしてきました。

座長としてアンダラ横浜アリーナ2DAYSを控えた松尾美佑は「乃木坂はひとりにしてくれない場所」。
齋藤飛鳥も自身の卒コンで「いつかどこかで誰かが助けてくれる、だってそれが乃木坂だもん」。

今回、「ひとりにされなかった」メンバーがなおなお以外にもうひとりいました。

それは菅原咲月

37thアンダラのさっちゃんは本当に苦しい立場でした。

2024年12月の「乃木坂46 大感謝祭2024」で発表された彼女の副キャプテン就任。

まだお披露目から2年10ヶ月後輩も加入する前の段階グループで3番目に若いメンバーです。

これがいかに異例のことであるか、他の期に当てはめるとよくわかります。

4期生でいえば『君に叱られた』の頃に柴田柚菜が副キャプテンになるようなもの。
3期生は2年違いで既に4期生が加入していましたのでちょっと状況が違うのですが、時期としては秋元真夏がキャプテン就任してすぐの頃の阪口珠美
2期生はさらに極端で最初の紅白出場というか初の46時間TVの頃(『ハルジオンが咲く頃』の選抜発表ぐらいの伊藤純奈です。

実際に梅澤美波が副キャプテンに就任したのはまさに上で書いた『君に叱られた』期間中でした。

そこから秋元真夏を齋藤飛鳥を山下美月を送り出し「私たちが乃木坂46です」と宣言した。
個人的にはこれをゆんちゃんがやっている姿は全くイメージできない。というか、4期の誰であっても考えられない。

菅原咲月はそんな極めて早いタイミングで副キャプテンに任命されたのです。
彼女が感じているプレッシャーはいかばかりか。我々には想像することしかできません。

しかもそれがグループ内に発表されたのは37th選抜発表と同じタイミングでした。
副キャプテンになる不安と選抜から外れた悔しさ。それが同時に襲いかかる言いようのない感情を味わったことでしょう。

そして悪意はなくとも一部のファンから「でも君はいずれ選抜固定なんでしょ?」という目が向けられるであろう(そしてそれは無理もないであろう)ことも分かっていたでしょう。

迷いや悩みや不安。そんなマイナスの感情もライブにぶつけて昇華したい。
でも、もしかしたらその日の客席はアウェイかもしれない

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そんな中で始まった今回のアンダラ。

DAY1のソロ歌唱コーナーで『何もできずにそばにいる』を選び、その理由を「この曲の歌詞に何度も救われてきたから、これからは自分が乃木坂の力になりたい」と語ったさっちゃん。

正直、個人的には「そこまで抱え込まないでほしい」と感じました。
副キャプテンだけど、まだ下から3番目の年少メンバーなんだから。

そして千秋楽。

序盤は素晴らしくしなやかなダンスをしていた彼女が本編ラスト前のブチ上げコーナーでは髪を振り乱して一心不乱に踊ります。
「ライブ映えする」という自身の長所を堂々と観る者に印象づけました。

それでも最後の『乃木坂の詩』前のMCでとうとう溢れ出した感情

副キャプテン就任から複雑な思いを抱えて色んなことを考えてプレッシャーを感じて苦しかったこと、それでも「このライブでは自分の立場とかを気にせずにいることができた」と。

そんな彼女にこう語りかけたのは吉田綾乃クリスティー。
「せめてここにいる時ぐらいはその重圧から解放されてほしい」。

言葉に詰まり涙を流すさっちゃん
その身体を隣でずっと優しくさするあやてぃー
ふたりの様子を微笑みながら見つめるメンバーたち

乃木坂の暖かさに満ちた素敵なシーンでした。


菅原咲月が最後に涙を流せたこと。
おかしな表現かもしれませんが、これは本当に「良かった」。

年末から何度も梅澤美波の隣に立っていたさっちゃん。
2025年はきっとさらにその機会が増えるでしょう。
彼女がいちプレイヤーとしていられる場面はこの先どれほどあるのだろうとか考えると胸が苦しくなります。

それでも。

キャプテンや副キャプテンの重圧を知ることはできなくても。
選抜聖域と見られることの苦しさを知ることはできなくても。

「それでも力になりたい」と思ってくれる人が乃木坂にはいる

さっちゃんはこの日、改めてそのことを実感できたのではないでしょうか。


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前の記事ではこの日のライブがそれぞれの良さを存分に発揮するものだったことと、それを支えた3期生について書きました。

関連記事:


当記事では座長・冨里奈央について。

「私はアイドルになってよかったです」


前作『チートデイ』で、冨里奈央は最も目につく人気指標であるミーグリ完売状況において堂々の3次完売(しかも4作連続)を叩き出します。
彼女より完売速度が速かったのは一ノ瀬美空と井上和のふたりしかいませんでした。(それ以外にいわゆる「免除メン」がいるわけですが)

それでも選抜には入れなかった。

ボーダーラインに並んだ時、押し出されるのは自分なんだ

そう感じてしまったとしても無理はないでしょう。

そして彼女は今回の座長に指名されます。
心中に期するものとプレッシャーの両方があったのは想像に難くありません。

迎えたアンダラ3DAYS。
そのセトリは座長・冨里奈央に「寄り添った」ものでした。

ベースとなるアンダー曲は要所で使われていますし、個人にスポットを当てるソロ歌唱コーナーもアンダラならでは。
それでも終演後真っ先に感じたのは「アンダラでこんなに表題曲や期別曲をやるのは珍しい」でした。

まず本編ラストを期別曲『考えないようにする』(=なおなおにとってとても大切な楽曲)で締めたというのが異例。

さらに。
グループの歴史においてかなりアイコニックな楽曲を、彼女をセンターに据えてパフォーマンスしたのです。

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初代センター生駒里奈の代名詞にして初東京ドームのオープニング曲に選ばれた『制服のマネキン』
レコ大連覇達成したグループの代表曲のひとつ『シンクロニシティ』
アイコン西野七瀬の卒業ソングにしてグループ史上最高売り上げ『帰り道は遠回りしたくなる』

そしてソロ歌唱コーナーで選んだのは史上最強選抜のひとつ『今、話したい誰かがいる』

「全曲センター」の卒コンを別にすれば、このすべてをひとつのライブでセンターを務めたメンバーって恐らくいない。
いたとしても遠藤さくらぐらいでしょう。それもバスラで複数の日に跨ってではないかと。

このセトリになった経緯はわかりませんが、いずれにせよ最終的にゴーを出した運営は冨里奈央に期待しているのでしょう。あるいは彼女には「運営に期待させるだけの何かがある」と言うべきか。

そしてなおなおは「違和感なく」やってのけました。

やはり彼女には乃木坂感がある
なおなおのそれは「儚さ」そして誤解を恐れずに言えば「どこか不幸の影があること」。

あのくるっとした瞳を潤ませて上目遣いでこちらを見るのがシグネチャームーブ。
『超・乃木坂スター誕生!』で奥田いろはが自作曲『恋々』のMVで多用したあれです。

でも乃木坂感は儚さだけではありません。「儚さの中にある強さ」こそが真骨頂。

今回のアンダラで冨里奈央はその萌芽を見せてくれました。

私がこの日の彼女から感じていたのは深川麻衣の面影
「聖母」まいまい。間違いなく乃木坂46という優しい世界の源流のひとつ

アンコールでの『帰り道は遠回りしたくなる』。
なおなおがカメラを手にメンバーたちの写真を撮っていくというセンチメンタル全開の演出。(センターがマイクを持たないというのも斬新!)

そしてラスサビ。

 風のように 風のように
 思うままに 生きてみよう

そう歌うメンバーたちを背に彼女が見せたのは、

「強くなりたい」

そんな意志を込めた未来へのまなざし

私の頭をよぎったのは『ハルジオンが咲く頃』のジャケット写真。
自らの卒業センター曲での優しく穏やかな、でも強い意志を湛えたあのまいまいの表情とどこか重なるものでした。


続きます。

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当記事ではなぜこの日のライブがあれほど素晴らしかったのか考察してみます。

目の前のことを精一杯


ライブから10日ほど考え続けてたどり着いた結論は「それぞれの良さが存分に発揮されたライブだったから」でした。

めちゃめちゃ普通ですいません笑

でも37thアンダラ自体、特別な事情のない「普通の」ものでしたよね。

やっぱりシチュエーションって大事、というか観ている我々は往々にしてそれに引っ張られるじゃないですか。
後に「伝説」と呼ばれるようなライブってやっぱりそれも込みという部分が大きいわけで。

例えば2014年のアンダラ2ndシーズンはシチュエーションとメンバーの想いとファンの想いが(そして恐らくスタッフさんの想いも)全部揃った奇跡的な状況でした。まあこれも今だから言えることで当時は「悪夢のような」状況でしたけれど。

2015年日本武道館は「最初に描いた夢の実現」、アンダーレジェンド集結。
2017年東京体育館は「最少最弱」、ダブルダブルアンコール。
2018年武蔵野の森は「久保史緒里復活と川後陽菜卒業」、アンセム『日常』の誕生。
2024年有明(35th)は「筒井あやめ座長と盟友清宮レイ卒業の一期一会」、最初と最後の『ジャンピングジョーカーフラッシュ』。

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いずれもなんらかの「事情」がありました。
だからこそメンバーも己を燃やしたしファンも燃え上がったという側面があったのは間違いないでしょう。

翻って今回。
特段の事情は「なかった」

もちろんミーグリ完売実績では上位でありながらまたも選抜から外れた冨里奈央と菅原咲月のふたりをはじめ、それぞれのメンバーには思うところがあったでしょう。

とはいえアンダーメンバー誰かの卒業が発表されていたわけでも、グループに猛烈な逆風が吹いていたわけでもありません。

いわば「いつもの」「恒例の」アンダーライブだったのです。

それなのになぜ、あんなにも私の気持ちは揺り動かされたのか。

それはきっと「目の前のお客さん(配信視聴者含む)に最高のライブを届けたい」だから「自分にできることを精一杯やる」というメンバーの気持ちと、それにバチッとはまった選曲であり演出でありパフォーマンスだったから。

すなわち「それぞれの良さが存分に発揮されたライブだったから」。

柴田柚菜の『Wilderness world』。

彼女の歌唱力を活かす。そこにとどまらず「伸びやかな歌声」というストロングポイントを使い切るにはどうするかを考えた。
そこで「フェイクを任せる」しかも「スタンドマイクで強調する」という演出が加えられ、ゆんちゃんはそれを実に堂々とやってのけました。

『狼に口笛を』のメガホン伊藤理々杏

でっかい瞳に小さな身体、そしてツインテール。2.5次元的…というかもはや2次元。
いい意味で「漫画チック」で「デフォルメされた存在」である彼女がメガホン片手に踊り歌う姿の何とも非日常な感じ。そして床に置いたり拾い上げたりする姿の愛くるしさ
ちゃんと顔が見えるように左上に向けた状態をキープしているのもさすが。
こういう飛び道具が使えるのももちろんベースの歌唱力があるからです。

そして「他の期がセンターをやる期別曲コーナー」もセンターの持ち味が発揮されていました。

岡本姫奈と『Out of the blue』の「陽×陽」。
35thアンダラでもユニットコーナーでやっていたので好きな曲なのでしょう。
ライブを本当に楽しめている様子の彼女と実に良くマッチしていました。

佐藤璃果の『自分じゃない感じ』。
「アイドルとしての自分」にこだわる彼女にオリジナルの山下美月の姿が透けて見えます。

佐藤楓の『心にもないこと』。長い手足でしなやかに大きく踊るのが彼女ならでは。

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女帝にして帝劇女優


そしてもうひとつ。

私はライブ中ずっと漠然と「クオリティ高いなあ」と感じていました。

それはやっぱり3期生がしっかりと支えていたからだと思うんですよね。

個人的に「前回の」=比較対象となるアンダーライブは35th。

どちらがいいとか悪いとかではなく、それぞれの素晴らしさがありました。

35thは山下美月卒業に伴う3期全員選抜という特殊事情。それにより生じた初の4期5期だけでのアンダラ。
センターはエリートコースを歩んでいたため初めてのアンダラ参加となった筒井あやめ。
結果として刹那感、青春感が炸裂した感動的なライブになりました。

それに対し今回の37thは完成度…という言葉は少し違う気がしますがパッケージとして素晴らしかった。
がむしゃらな人(5期生)も実力を見せつける人(3、4期生)もそれぞれがやるべきことをやっていたことがその理由でしょう。

特に感じたのが3期生の「底支え力」
堂々たる貫録でビシッとライブを締め、後輩の座長を支えていました。
かつて中田花奈や樋口日奈が。そして伊藤かりんや伊藤純奈、渡辺みり愛がそうしていたように。

とりわけ強い印象を残したのは中村麗乃
千秋楽を観た人の多くが「今日のMVPだ」と思ったのではないでしょうか。

『悪い成分』でレーザーをかきわけて登場する彼女。
まさに「女帝感」。客席の8割以上がこの言葉を思い浮かべたに違いありません。
こんな日常生活に存在しない単語を瞬時に思わせる彼女の凄味。幕張メッセを「ドミネイト」していました。

そして千秋楽のソロ歌唱コーナー。

この日の彼女はデコ出しの髪型と薄めの眉。
私には「アイドルメイクではない」ように見えました。
もっとストレートに言えば「帝劇女優として出てきたな」と。

選んだのは『歳月の轍』。

生田絵梨花の卒業ソング。
グループにおける立ち位置は違うけれど、それでも「在籍中に帝国劇場に立った」共通点を持つ偉大な先輩への憧れとシンパシー。

「中村麗乃(乃木坂46)」ではなく「中村麗乃」として単独で『MUSIC FAIR』に出演するところまで来たれのちゃんの矜持

 8年半経って、こんな私になれましたよ

彼女はそう伝えているようでした。

力みも気負いも一切なく、ただ感謝と共に。


続きます。

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