ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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びーむ色調補正3
乃木坂にとって1年で最も大切な日と言っても過言ではない、バースデーライブ(以下バスラ)。2021年、コロナ禍が続く中での9th YEAR BIRTHDAY LIVEは無観客配信での開催という決断が下されました。

2020年を振り返るセトリ


セットリストはこちらです。

Overture
01. ぐるぐるカーテン
02. インフルエンサー(センター:山下美月、与田祐希)
03. シンクロニシティ(センター:梅澤美波)
04. 何度目の青空か?
05. 帰り道は遠回りしたくなる(センター:遠藤さくら)
06. 君の名は希望

期別コーナー
【4期生】
07. 夜明けまで強がらなくてもいい
08. キスの手裏剣
09. Out of the blue
【3期生】
10. 逃げ水
11. トキトキメキメキ
12. 毎日がBrand new day
【2期生】
13. バレッタ
14. アナスターシャ
15. ライブ神
【1期生】
16. 制服のマネキン
17. サヨナラの意味(センター:齋藤飛鳥)
18. 狼に口笛を(センター:樋口日奈)

2020年コーナー
19. しあわせの保護色(センター:大園桃子)
20. ゆっくりと咲く花
21. 世界中の隣人よ
22. Route 246
23. 明日がある理由
24. ファンタスティック3色パン
25. I see…

26. 口ほどにもないKISS
27. 自惚れビーチ
28. 日常
29. Wilderness world

30. いつかできるから今日できる
31. おいでシャンプー
32. Sing Out!
33. 僕は僕を好きになる

EN
EN1 そんなバカな・・・
EN2 ダンケシェーン
EN3 乃木坂の詩


シングル6連発。そこから期別に3曲ずつ。
2020年を振り返り。アンダー3曲からの『Wilderness』。
シングル3連発から現センター山下美月のMCを挟んで最新シングル『僕僕』で本編終了。
アンコールは(軽めの)堀未央奈卒業セレモニーで、乃木坂の詩で締め。

ざっとまとめると、こんな流れでした。

正直、セトリだけ見れば「バスラじゃない」です。

まあ「シンクロニシティライブ」こと神宮球場と秩父宮ラグビー場で同時開催された6thバスラも普通の全ツとほぼ変わらないセトリでしたが、それよりもさらにバスラ感は薄い。

あの時は大人数+ユニット+アンダー+3期でした。それに対し今回は大人数+アンダー+各期。かつ期別曲だけで計12曲もやるためユニットコーナーが丸々なくなっています。(かろうじて『3色パン』だけが2020年コーナーで歌われましたが)

さらに2020年コーナーが一番長かったため、過去の乃木坂を振り返るバスラではなく2020年の辛かった状況を振り返る内容になってしまっていました。

もちろん感染症対策の結果という側面もあるのでしょう。なるべく曲ごとの人数を減らしたり練習時間も短くできるよう最近披露した曲をチョイスしたりと、スタッフの方々も苦心されたのだと思います。

ただ、私の思うバスラの醍醐味は「歴史を辿ること」。
楽曲発表当時のメンバーの姿やグループの状況を思い出したり、様々なライブを経てその楽曲の持つ意味が変わってきたことに感慨を覚えたり。8thバスラの記事で書いた通り「どうしたって思い出がよぎる」んです。

関連記事:


さらにここ数年はそこに「継承」が加わってきました。
とりわけ相次ぐ1期生の卒業後に迎えた2019年の7thバスラ以降はその傾向が顕著。

卒業したメンバーのポジションを埋める後輩たちの見せる覚悟と、それを見守る先輩たち。その図式が放つ何とも言えない暖かさに毎年「やっぱ乃木坂だな」と言わされてきたのです。

しかしこの日のセトリには、普段はなかなか聞けないあの曲を披露してくれるのかというワクワクも、ユニット曲で卒業メンバーの穴を誰が埋めるのかというドキドキもありません。そもそも先輩と後輩の共演自体がいつものバスラに比べて極端に少なかったという印象です。

これから期別ライブやるんだから期別コーナー作らなければよかったのに。
まあ運営からすればバスラを視聴したライトファンを期別ライブにも誘おうという目論見なのかもしれませんが…個人的には「逆だろ」って感じです。

そしてバスラとしてはボリューム感も低めでした。
これは当日中にアーカイブ配信をするという時間の都合もあってのことかと思われますが、翌日アーカイブ配信してくれればいいのに。(当日オンリーにすることで違法動画アップ防止効果でもあるんでしょうか?)



それでもこの日はバスラだった


とまあ、つらつらと不満を書き連ねてきましたが、要するにこの日のライブは私にとってバスラの醍醐味を感じにくいものだったというのが偽らざるところです。

それでも敢えて言います。

この日のライブは紛れもなくバスラであったと。

そう感じさせてくれたのは新内眞衣でした。

最初のMCでまいちゅんはこんな趣旨の言葉を語っています。

 例年よりちょっと時間があったので、後輩ちゃんたちに初期の振り付けの細かいところ、「『ぐるカー』の手は閉じるんだよ」とか教えることができた。
 私たち2期生までは一から先生方に教えてもらえたので、そういう細かいところを習っていない3期生以降に教えてあげられたのは良かった。

我々ファンには見えなくても、バックヤードではちゃんと「継承」が行なわれていたんです。

この発言が全員の前でなされたことも、配信の電波に乗ったことも、飛鳥が「それ大事!」と強く肯定したことも凄く良かったですね。

これによって先輩後輩がお互いに「3期以降は教わっていないことがある」というのをきちんと認識し、この先その部分を埋めていこうという意識づけができたのではないでしょうか。

以前『乃木坂工事中』で円陣のやり方を後輩たちがちゃんと習ってないという話が出たのを思い出します。

彼女たちの頼もしさに我々ファンも時々忘れてしまいますが、3期4期は本当に短期間で大きな舞台に立ち、大切な役割を任されてきました。
その中で詰め切れない部分やこぼれ落ちてしまうものがあったのも無理からぬことでしょう。

振り付けや歌詞の「意図」や「意味」。そして表現する際の「肝」に当たる部分(振り付けを美しく見せるためのポイント等)。後輩たちがそういったものを知らずにただ形だけをトレースしていたらそれはやがて輝きを失う危険性があります。

もちろんオリジナルに囚われすぎて「完コピする」こと自体が目的になるのも違います。それこそ悪意あるオタから「劣化コピー」呼ばわりされかねません。
むしろ個人的には新たな解釈を加えて楽曲をパフォーマンスすることは正しい方向性だと思っています。ただその場合でもオリジナルのエッセンスを知った上で変えるのと知らずにそうするのとではまるで意味が違ってきます。

思うに、この点において大きな役割を果たしてきたのはアンダーライブではないでしょうか。全体ライブと比べ少人数で期を跨いだメンバー間の交流が深まることやパフォーマンスリーダーの存在など、継承を進めるうえで有利な条件が揃っています。

何度も書いていますが、やっぱり新加入メンバーは全員アンダラを経験するのが望ましいですね。4期生はまだ誰もアンダラに参加していないので、次のシングルからはぜひとも4期別枠をやめて合流してほしいものです。

そしてこういう話が出るたびに毎回思うのが、伊藤かりんのこと。
彼女が自身のタレント業と並行して乃木坂現役メンバーの先生やってくれたらいいのにな、と。(もちろんご本人にとって大変失礼な話なのは重々承知しております)

継承推進という意味では、以前にイベント参加券(いわゆる「全握券」です)の使い道として提案した「1期から4期まで組み合わせて各ユニット8人以下とかでのシャッフルユニットライブ」も有効です。同じく各期シャッフルして全体を2つないし3つに分けたライブでもいいですね。

堀未央奈の卒業もありますので期別ライブ開催に異論はありませんが、その次のアクションとしてぜひ運営にご検討いただきたいところです。


続きます。


note上で乃木坂46に関する有料記事を公開しています。どちらも無料で読める部分がありますのでぜひご覧ください。

『アンダラ伝説』¥300
伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
 

マガジン「2019年の乃木坂46」¥200
当ブログに掲載された記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧の方にも楽しんでいただけることと思います。



びーむ色調補正3

あの絶対的な安心感と同種の何か


前の記事で印象に残ったシーンを列挙しましたが、個人的にこの日のクライマックスはこの曲でした。

『ありがちな恋愛』。

8人組コーナーとユニットコーナーの間に1曲だけ挟まれた16人全員参加曲。

この曲のイントロが大好きなので流れてくると「来たぁ!」という気分になります。

そしてAフレ、メンバーたちの真ん中に背中合わせで立つふたつの影。

遠藤さくらと賀喜遥香。

その姿はまるで、西野七瀬と白石麻衣のようでした。

こういうことを書くと「その通り!まいやんの後継者はかっきーだ」とか「いや俺は認めない」とか色々言い出す人がいるかもしれません。

でも私が言いたいのは決してそういうことではありません。

理屈じゃなく、その佇まいが反射的にあのふたりを思い起こさせたのです。
(そもそも実際にこの曲でまいやんとWセンターを務めたのはなーちゃんではなく齋藤飛鳥ですし)

後からその理由を考えてみましたが、「ビシッと背骨が通った感覚」というのが一番近いように思います。

かつて何度も観た白石西野Wエースの、あの絶対的な安心感。
ふたりのことを推してはいないファンだって内心は思っていたはずです。
「白石西野のふたりがいる限り乃木坂は大丈夫だ」と。

「このふたりが両脇にいればセンターは別に誰でもいいんじゃないか」という極論が囁かれたことすらありましたし、実際に『ハルジオンが咲く頃』から『逃げ水』まではほぼその形でした。

楽曲のセンターとは別の意味で、まぎれもなくグループの背骨であり支柱だったふたり。

そして2020年12月。

そのふたりが去った乃木坂で、どこかそれと通じるものを-言い換えれば「同種の」あるいは「想起させる」何かを4期Wエースが感じさせてくれた。

別に白石西野に匹敵するとかそんな大風呂敷を広げるつもりは全くありません。
「次のエースはこのふたりだ」とか論争の種になりそうなこと笑を言いたいわけでもありません。

私はただ、あの瞬間のふたりにもの凄く痺れたんです。

ましてやみんな大好き額縁衣装、みんな大好き杉山勝彦楽曲。
そんな「ディスイズ乃木坂」「ザ・乃木坂」なシチュエーションで真ん中に立つさくちゃんとかっきーの姿は超絶格好良くて。

『ジョジョの奇妙な冒険』ならば「ドドドドドドド」の効果音がついていたに違いないってくらいに笑

そしてこうも思いました。

ああ、やっぱり乃木坂は大丈夫だ。




2021年もバースデーライブの開催が発表されました。

無観客の配信ライブではありますが、前夜祭と全体ライブそして各期別公演と盛りだくさん。

当初予定は全体ライブ5DAYSの予定だったところ、緊急事態宣言を受けての変更とのことです。

本来であれば先輩後輩の融合が進む機会となるバスラがこのような形になったことは正直残念ですが、こんな状況下でもファンにライブを届けてくれるメンバーと運営には感謝したいです。

先が読めない状況が続きますが、全員無事に出演できることを心から祈っています。

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2019年5月の横浜アリーナに続く、2度目の4期単独ライブ。
そして今回は新4期生が乃木坂として行う事実上初めてのライブでもあります。

配信チケットは61,000枚売れたそうです。
ライブに対する飢餓感がある状況とはいえ、4期生だけでドームが埋まる枚数を売れるのはやっぱり凄い。

極めて特殊なセトリ


セットリストはこちらです。

Overture
01. 君の名は希望(センター:遠藤さくら)
02. 命は美しい(センター:筒井あやめ)
03. インフルエンサー(センター:賀喜遥香・田村真佑)
04. 走れ!Bicycle(センター:柴田柚菜・清宮レイ)
05. ガールズルール(センター:賀喜遥香)
06. 夜明けまで強がらなくてもいい

8人組コーナー
07. ロマンティックいか焼き(賀喜遥香・北川悠理・田村真佑・筒井あやめ・早川聖来・林瑠奈・矢久保美緒・弓木奈於)
08. トキトキメキメキ(遠藤さくら・柴田柚菜・掛橋沙耶香・金川紗耶・黒見明香・佐藤璃果・清宮レイ・松尾美佑)
09. 僕の衝動(賀喜遥香・北川悠理・田村真佑・筒井あやめ・早川聖来・林瑠奈・矢久保美緒・弓木奈於)
10. ポピパッパパー(遠藤さくら・柴田柚菜・掛橋沙耶香・金川紗耶・黒見明香・佐藤璃果・清宮レイ・松尾美佑)

11. ありがちな恋愛(センター:遠藤さくら・賀喜遥香)

ユニットコーナー
12. 孤独兄弟(賀喜遥香・金川紗耶)
13. 渋谷ブルース(柴田柚菜・弓木奈於/ギター:掛橋沙耶香・筒井あやめ)
14. 白米様(北川悠理・田村真佑・矢久保美緒・佐藤璃果)
15. Threefold choice(黒見明香・清宮レイ・松尾美佑)
16. 心のモノローグ(遠藤さくら、早川聖来)
17. 自分のこと(林瑠奈)

18. 4番目の光
19. 図書室の君へ
20. キスの手裏剣
21. I see…

EN
EN1. Out of the blue(センター:早川聖来)
EN2. 乃木坂の詩


改めて眺めてみても、何というか極めて特殊なセトリですね。

シングル6連発、16人を8人ずつに分けての4曲、全員での1曲を挟んで少人数でのユニットコーナー、再び全員で4期曲の4連発で一気に本編のエンディング。

そしてMCやつなぎの映像をほとんど排除した構成。感染防止のために極力少人数でのパフォーマンスにしたという背景もあるのでしょう。

さらに無観客の配信ライブということで意識的にでしょうか、いわゆる沸き曲が外されているのも興味深いですね。
前回の横浜アリーナで披露した『おいでシャンプー』『ハウス!』『シャキイズム』『ダンケシェーン』『ロマンスのスタート』『そんなバカな…』『あらかじめ語られるロマンス』あたりが軒並み今回はセトリから消えています。


『君の名は希望』から始まるというちょっと意外なオープニング。
そこからシングル連発、そのラストは『夜明けまで強がらなくてもいい』。

これを観て各期のアンセムとは別に「その期にとって特別なシングル」というのがあるのはちょっといいなという気がしました。(私は新人抜擢センターについては明確に否定派なのですが)

なんというか、期別で歌っても「借り物じゃない自分たちの曲」という感じがします。
この『夜明けまで』はまさにそんな感じでした。

逆に本編ラストは4期曲連発。まさに自分たちの曲だけでクライマックスに持っていける強さ。
当初は個人的に「のっぺりして盛り上がりに欠ける曲だな」と思っていた『4番目の光』のイントロがなんだか胸に沁みるのは彼女たちの2年間を見てきたせいでしょうか笑

アンコールでは新たな4期生曲『Out of the blue』と新センター早川聖来が初披露されます。
それを祝福するメンバーたちの笑顔が溢れる暖かな余韻が漂う中『乃木坂の詩』が流れ、幕が下りました。

素晴らしく後味の良いライブでした。



We're Nogizaka46!


前回の4期ライブを観た時には以下のような感想を書きました。

 2017年5月に行われた3期単独ライブは「先輩たちが確立してきたフォーマットをそのまま踏襲した実に全ツ的なセトリ」であり「先輩とは違う魅力を持った3期生たちが『どう乃木坂になってみせるのか』を示す場だったのではないか」

 そして2019年5月の4期単独ライブは「乃木坂を語る上では欠かせない、深い意味を持つ2曲『心の薬』と『失いたくないから』をこのタイミングで4期生に歌わせる意味。それは『もう一度、乃木坂を始める。4期生による原点回帰』その運営の意思表示だ」

さらに、こうも書いています。

 先輩たちがたどり着いた場所を守る3期、先輩たちがたどってきた道を再び歩むのが4期。そんなイメージの対比によってこれからの乃木坂は転がっていくのではないか

関連記事:




あれから1年半が経ちました。

その間に3・4期生ライブ、新4期生5名の加入、冠番組の継続、そして『I see…』のヒットと4期生をめぐる状況も変わり続けます。
それと同時にコロナウイルスの感染爆発という誰も予想していなかった事態により乃木坂の活動も大きく制限されました。

そして迎えたこの日。

敢えて一言でまとめるならば「4期生が乃木坂の歴史の一部となる覚悟を決めたライブ」でした。

そう感じた最大の理由はもちろんユニットコーナーです。

攻めたな。
ライブをご覧になった方は皆さんそう思ったんじゃないでしょうか。

孤独兄弟とホワイトハイとさゆりんご軍団とあしゅみなみおなと白石西野と、ひめたん。

この、何というか情け容赦のないセレクト。
オリジナルが強い。いや、強すぎる。
当時を知るファンからすればすべて特別な存在。批判を恐れていたら絶対にできないラインナップです。

それを4期生たちはやってのけました。

2019年全ツのような「楽曲に新たな解釈を加えた再構築」ではありません。
基本、変えていない。衣装も同じ。変わっているのは時代と演者だけです。

でもモノマネでも再演でもない、リメイク。
それも、ありったけのリスペクトを込めて。

映画なんかでもリメイクってそういうことじゃないですか。オリジナルがあって、それは一定の評価を得ているもので(だからこそリメイクする意味があるわけで)。それを念頭に置きつつも最新の技術と演者で作り直したらどうなるのか。
そこに大幅な新解釈を入れて主人公すら変えてしまう場合もあれば、オリジナルに忠実に行なう場合もあります。

今回4期生が見せたのは後者のアプローチでした。

オリジナルを知る者のノスタルジーをかき立てつつ「2020年版もいいじゃないか」と言わしめる、そんなパフォーマンスでした。

自分たちの精一杯で、偉大なる先輩たちの跡を継ぐ。
きっとこの日の4期生たちは(そして恐らく運営も)その覚悟を見てほしかったんだと思います。

だからこそ『ポピパッパパー』を歌ったし(8人でですが笑)、終演後に今野さんも「あなたたちも立派な乃木坂46の一員だよ」と伝えたのでしょう。


本当に、1期至上主義のファンの人に今の4期生たちを見てほしい。
うまく説明できないのがもどかしいけれど、あの頃の乃木坂にあったのと同じ何かがそこにはあります。

頑張るベクトルは当時とは違うでしょう。あの頃は「グループを大きくしたい」だったそれが、今では「先輩たちが作った大好きな場所を守りたい」なのかもしれません。
もちろん1期生ほどの層の厚さもありません。そもそも人数が半分だからしょうがないですし、改めて今見ても驚異的なくらい1期生は多士済々でした。

でも、華奢でガツガツしてなくて儚げでセンチメンタリズムを炸裂させた女の子たちが、静かに闘志を燃やしながら自分を変えようとする姿はどこか既視感があって。

時々ふいに鳥肌が立って、なんだか涙が出そうになるんです。

この日の4期生が見せてくれたのは乃木坂の過去と未来。

後に偉大な先輩となる彼女たちがあの頃暗闇に向かって伸ばしていた手は、こんな未来へとつながっていました。



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頑なさの鎧


①の記事では堀未央奈のポジションにずっと「異物感」を覚えていたことについて書きましたが、彼女自身のキャラクターもそれを増幅するものでした。

その特徴である、飄々とした…というかすっとぼけた態度。
かつて橋本奈々未に「未央奈は『え?何ですか?』で注目を集めようとしている」と指摘されたあれ。設楽さんからも「ワタス顔」と言われるやつですね。

あれも彼女のファンでない人からすればわざとらしくて腹が立つというか神経を逆なでされるのですが笑、どうも元々本人の持ち味のようです。身近な人からも「何考えてるのかよくわからない」と言われるそうですし。

想像にすぎませんが、突然のセンター抜擢から毎週TVに出るようになる中で必死にやっていたら、自分の素の部分のうちそこが面白がられた。なので多少デフォルメして強調するようになったのではないでしょうか。

「美容番長」でもありました。

これ、女子受けはいいのでしょうが男オタからは「化粧が濃い」とか言われがちですよね…

4期生の掛橋沙耶香や林瑠奈が堀ちゃんリスペクトなのでもちろん間違いではないのですが、これで女性の新規ファンを開拓したかというと微妙な気が。
ただグループに何人かはいてほしいタイプではありますね。

個人的にはずっと3期生をライバル視しているような印象も受けました。

まあ無理もありません。同期で選抜に定着しているのが自分と新内眞衣のふたりしかいないのに3期生はあっという間に5人が定着し、多い時には8人も選抜入りしてきたのですから。

ただ、彼女が2期生不遇を語れば語るほど「いやお前は優遇されてただろ」というツッコミが入る悪循環に陥っていました。
3期4期は曲ごとにセンターが変わっていますが、2期生曲は最後まで堀ちゃんセンター固定。

これも完全に運営側の話なんですけれどね。

同じく「ゴリ押し」と呼ばれ強烈なアンチがついた生駒里奈が徐々にポジションを下げ、13th以降はいくつか例外はあるものの3列目に落ち着いたのとは対照的です。(生駒ちゃんが卒業発表時に功労者として再評価されたのはそれもあったと思います)


そして改めて彼女のこれまでを振り返ってみると、全体に「わからないやつにわかってもらおうなんて思わない」という頑固さのようなものを感じます。

それは彼女自身の「アイドルとは弱みを見せないもの」という美学によるものでしょうが、やはりスタート地点で訳も分からないうちに大量のアンチがついたというのも大きかったでしょう。大いに同情の余地があります。

ただその「頑なさ」が彼女に与えられた主要メンバーという地位にそぐわなかったこと、そしてグループ全体のパブリックイメージとも合っていなかったことは事実だと思います。

カウンターがあることの強さ


こうして言葉を並べてきて思うのは「結局、ポジションだけが間違っていたんだな」ってことです。

彼女自身の持ち味からすれば本来は秋元真夏的な立ち位置が良かったのでしょう。
乃木坂のメインストリームに対するカウンター。

センターやフロントなど前面に出てくるのはグループのイメージを体現する「乃木坂感」溢れるメンバーが望ましい。

ただそれだけだと外番組では盛り上がらないことこのうえない。西野七瀬が20人いてもMCは困っちゃいます笑

そこで必要になるのが「異物」。
いわゆる「バラエティメン」ではなく、アイドル性をキープしながらも「ズレ」を生めるメンバー。言い換えればMCに対してフックのあるメンバー。

外番組ではこういう人が重宝されるんですよね。
高山一実しかり。松村沙友理もその範疇に入ります。生田絵梨花もそうなのでしょうが彼女はもはやいろいろ突き抜けちゃっててこういう評価軸では語れません。

余談ですが、今の山下美月は乃木坂感を残しつつもフックがあるスーパーエースへと脱皮しつつあるような気がしています(と、彼女がマイペースで激辛料理を食べている番組を観ながら思いました)。

『アメトーーク!』や『バズリズム』で見せたように外番組でもすっとぼけたキャラを物怖じせずにできる堀ちゃんは、このカウンターとして存分に機能していました。

「異物感」って重要です。

乃木坂に憧れて入ってきたメンバーが多い3期4期が多数派となった現在、どうしても同質性が高くなる傾向にあります。それは乃木坂が結成当初から持っていた強みでもあります。「スカートの裾が揃っていた衣装デザイン」なんてのもありました。

3期は全体としてタレント性の高いメンバーが揃っておりそもそもの乃木坂感は低めでしたが、彼女たち自身が乃木坂ファンであるために同質性を高める方向に進んでいます。梅澤美波が阪口珠美のギャル言葉を叱るなんていうのもそれを端的に示していますね。
これ自体は結成当初からの古参オタからすると正直、嬉しいことです。

でも同質性の高い組織って、強度は上がりますが折れやすくなるリスクもあるんですよね。

その点、現在の乃木坂には1期2期がキャリアを重ねる中で培ってきたしなやかさや打たれ強さのようなものが備わっています。

しかしこの先、グループが小さかった頃を知らない3期4期だけになった時にしなやかさをもたらせる人材は誰なのか。
そこで再び3期生たちが自分の個性に目覚めるのかもしれませんし、堀ちゃんのような異物感を醸し出す後輩が現れるのかもしれません。

異物感を継ぐとしたら、今いるメンバーの中では林瑠奈じゃないかと思っています。エキセントリック度合いとしてはちょっと抜けた存在ですよね。
もうひとりの堀チルドレン掛橋沙耶香もいいんですが、乃木坂メンバーとしては極めて珍しく上昇志向を隠そうとしない彼女はどちらかというと衛藤美彩を彷彿とさせますね。


最後に、卒業後の彼女について。

既に本人が明確に女優と言っていますね。

これまでは現役アイドルとしてヒロイン的な要素を求められる部分がありましたが彼女の本質はそこにはありません。その枷が外れたこれからの方が幅広い役柄をこなせそうで、むしろ期待できます。

『遊戯みたいにいかない。』とかカップスターの『毎月劇場』でわかる通り、オークラさんの脚本、というか東京03角田さんを傷つける台詞を吐く役が異常に似合うのですがそれはさておき笑

サスペンスドラマの容疑者役にぴったりですね。

犯人役でもいいし、やたらと怪しくて引っ掻き回すけれど犯人じゃない役もできる。あとは他人に無関心で不愛想なんだけど実は主人公の一番の理解者とかも似合う(これはサスペンスに限らずどんな物語でもよいですね)。

犯人役といえば『猿に会う』での演技が印象に残っています。あのドラマ全体に通底する不穏な空気の体現者でもありました。

個人的には「個性派女優」として活躍してほしいし、その方向で10年後も生き残っている可能性があると思います。

乃木坂の看板を下ろしたこれからの彼女がどんな演技を見せるのか楽しみです。


堀未央奈さん、約8年間お疲れさまでした。

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守られた次世代


前の記事で書いた運営による堀未央奈に対する露骨な優遇。

功罪を比べれば、正直「罪」の方が多いように思います。

仮に彼女が他の2期生と同様に研究生からスタートしていたらセンターになることはなかったでしょう。

もちろん2期生で最初に選抜入りしたのは間違いないと思いますが、3列目から2列目に上がってどこかでフロントを経験して涙するという衛藤美彩と同じような軌跡をたどったのではないでしょうか。

その方が堀ちゃんもファンも他のメンバーも、きっと幸福だったろうな。
ついそんなことを考えてしまいます。

ただ、逆説的に考えればいくつかの「功」もあります。

まず乃木坂ファンの「AKB的なものに対する拒否反応」を運営が強烈に認識することになりました。

当時はまだ「AKB48の公式ライバル」という初期設定に囚われており、それこそAKBの総選挙や組閣(48グループ内の異動・兼任)に乃木坂が参加させられるのではないかという不安がファンの間にも現実的なものとして根強く残っていました。
『バレッタ』の3ヶ月後、2014年2月には現実に「交換留学」という名目で松井玲奈と生駒里奈の兼任が行なわれます。

しかし堀ちゃんセンターとこの交換留学に対し、乃木坂ファンはアレルギーと言っていいほどの拒絶反応を示しました。

これによってその後のグループ運営は極めてコンサバティブなものになります。
新人のセンター抜擢こそ続けられたものの、それ以外にサプライズによる話題作りはほとんど行われることはありませんでした。48グループとのコラボも「坂道AKB」ぐらいにとどまります。

そしてその新人抜擢センター。

後に大園桃子、与田祐希、遠藤さくらのセンター抜擢というチャレンジができたのは無論、堀ちゃんの前例があったからこそです。そして結果的に新たな人気メンバーを生み出すことに成功しました(以前にも書いた通り個人的にはこの手法には否定的なのですが)。

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さらにこれまた逆説的ですが、堀ちゃんを齋藤飛鳥のシンメにしてフロントに置き続けることによって「守られた」メンバーがいます。

それは与田祐希

与田っちょは『逃げ水』以降、目に見える人気指標ではことごとく白石西野生田飛鳥に次ぐ位置にいました。実際、1st写真集『日向の温度』の売り上げでも同時期に出した堀ちゃんの『君らしさ』を上回っています。

しかし運営は頑なに飛鳥のシンメには堀ちゃんを使い続けました。
与田っちょのポジションは多くの場合、堀ちゃんよりひとつ外。
これは見方を変えれば一段責任の軽い場所にいることを許されたということです。

『逃げ水』でセンターに抜擢され、なーちゃんに愛でられ、ただでさえ人気面では3期生の中でも突出しつつあった彼女。他推しのファンから敵対視されかねない条件は揃っていました。

もし与田っちょが飛鳥とシンメにいたら、凄くアンチが湧いたことでしょう。

しかしその場所を堀ちゃんが担ってくれたおかげでそれは回避された。
同期の中心人物である久保史緒里、山下美月、大園桃子が相次いで休養する中、与田っちょを守ることができたのはグループにとって極めて大きかったと思います。

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妄想の『バレッタ』なき世界


そしてこれまた逆説的ではありますが、彼女をセンターにするという回り道によって結果的に乃木坂のピークが後ろにずれ息の長いグループとなりました。

例えば7枚目シングルが白石麻衣連続センター、8枚目が西野七瀬であったとします。
(ここから先はかなり妄想になるのですがご了承ください笑)

これはすなわち後の白石西野時代が1年半ほど早くスタートしていたということ。こうなれば人気のピークも前倒しになります。紅白初出場は2014年、『太陽ノック』の生駒里奈センターもなかったでしょう。『悲しみの忘れ方』は生駒から白石西野への流れを追う物語になっていたはずです。

世代交代も御三家から西野を中心とした94年組へ、そして2016年あたりに再び生生星+齋藤飛鳥へと進み、堀ちゃんはこの生生星世代のひとりになったことでしょう(要するに『あらかじめ語られるロマンス』です)。

これが実現していれば西野七瀬を支える桜井玲香、若月佑美の序列が実際よりもっと高くなり、生生星アゲインのタイミングでは選抜のオールスター感がもの凄いことになっていたのではないでしょうか。

「1期2期による乃木坂46」としては明らかにこの方が早くグループが大きくなっていたし、井上小百合推しの自分としてはもちろんこの乃木坂が見たかった笑

しかし。

この場合は東京ドーム公演も1年以上早いタイミング、遅くとも2016年の夏には到達したでしょう。

そうなると3期生の加入はドーム後であり、彼女たちは「ドームまでの道のりを知らずに、天下を取ったグループに後から入ってきたフリーライダー」になってしまいます。

そして恐らく1期生の多くはドームを区切りとして卒業し、代わりに3期生が選抜入りしても「知らない顔ばかりになった」と言われグループの勢いは弱まってしまったことでしょう。

現実はそれとは異なりました。

あの2017年11月の東京ドーム。

既にグループの大きさからすれば前年時点でもフルハウスにできたでしょう。
でも色々な要素が絡まって、満を持しまくりでの東京ドーム。
7月の神宮での歓喜の発表、あの日のドームの破裂しそうな期待感。そして伊藤万理華と中元日芽香の見事な花道。

間違いなく集大成。
でもそれと同時に「ここはゴールではない」感も確かにありました。

なぜなら、3期生がいたから。
あのドーム公演は1期2期の世界の到達点でありながら、3期というブースターに点火したばかりという稀有なタイミングで行なわれたからです。

少なくとも私は3期生のことを、乃木坂をドームにそしてミリオンセラーに押し上げた最後のファクターと認識しています。事実、初ミリオンとなった『インフルエンサー』は3期生が初めて個別握手会に参加したシングルでした。
これ、1期2期のファンでも一定数の方は同意いただけるのではないでしょうか。

乃木坂という物語にとって、もっともふさわしいタイミングで行なわれた2017年11月の東京ドーム。

そこにつながる遠因のひとつが『バレッタ』の堀未央奈抜擢だった。

彼女自身は未来にはなれなかったけれど、彼女がいたからこそ3期生が絶妙なタイミングでグループに勢いをもたらすことができた。

それが妄想の果てにたどり着いた結論です。

堀ちゃん本人とは全く関係のない話になってしまいましたので笑、続きます。

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