ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:乃木坂46

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前の記事ではTeamSTAR5人の演技についての感想を書きました。

関連記事:


今回は5期生版『セラミュ』の意義について。

彼女たちが『セラミュ』を演じる意味


前の記事で書いたように様々なタイミングが重なって実現できたであろう今回の再演ですが、それと同時に現在の彼女たちがセーラー戦士を演じるのは必然であるように感じました。

まず「5期生が」演じる意味。

かつて『2020年の乃木坂46』で新4期生加入に際し「4期版『じょしらく』をやってはどうか」と書いたことがあります。

遅れて加入した彼女たちが4期生と、そしてかつてその役を演じた先輩たちとの距離を縮める格好の機会になるのではないか、と。

今回の再演にはそれと同じような効果があったのではないでしょうか。

5期生たちは過去の先輩の演技を何度も繰り返し観たそうです。

舞台で活躍を続ける卒業生たちの姿。そして憧れの3期生4期生たちがまだ加入間もない時期に懸命に食らいついている姿も。
※2018年の3期生(山下美月、伊藤理々杏、梅澤美波)はお見立て会から1年半後、2019年の4期生(田村真佑、早川聖来)は同じく10ヶ月。ちなみに今回の5期生は2年2ヶ月

何か感じるものがあったはず。
そうやってまたグループの歴史が続いていくのです。

中西アルノがお歳暮を贈った仲の向井葉月に水野亜美をどう演じるか話せていたら嬉しいですね。

そして「乃木坂が」演じる意味。

運命の5人

過去に演じた先輩たちも今回の5期生も異口同音に「セーラー戦士が集まっていく物語がアイドルである自分たちに似ていると思った」と語っています。

前作までは期を跨いで「キャリアも年齢も違う私たちが集まった奇跡」。
今回は「この5人(11人)が乃木坂の5期生として集まった奇跡」でした。

ゴリゴリの舞台ファンや純粋なセラミュファンからすれば「演者の関係性」なんて知ったこっちゃないだろうし、それに立脚した感動なんて邪道以外の何物でもないでしょう。

それでも、乃木坂版においてはこれも…というかこれこそが醍醐味だと思うんですよね。

ストーリー上のセーラー戦士たちの関係性と現実のメンバーとしての絆が交錯する瞬間。

前の記事では「木野まこと像を提示した」と書いたなおなおが、終盤にどうしても冨里奈央が抑えきれずに浮かべる感極まった表情

「遅れて登場」のセーラーヴィーナスが実際に遅れて5期生に合流した川﨑桜と池田瑛紗だったり。

そして最泣きポイント(過去の先輩たちはみんな千秋楽でガチ泣きでした)である『運命の貴女へ』歌唱前の「みんながいたから、ここまでこれた」という言葉。

それこそ「嘘がない」からこそ観ているこちらの胸に迫るのです。

楽曲PVだって現実とリンクした内容のものがありますよね。
そしてそれが名作を生んだりするじゃないですか。それこそ『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』とか。

それによって物語が本来持つ以上の奥行きが生まれるのです。


私は井上小百合推しですので彼女が主演である2018年版のTeam STARは都合3回観劇しましたし、同年のTeam MOON(山下美月主演)や2019年(同じく久保史緒里)バージョンもCSで放送されたものを観ています。

正直、思い入れも相当あります。

そんな私にとっても、今回の5期生版は諸手を挙げて称賛したい素晴らしいものでした。

5期生が『セラミュ』をやってくれて、本当に良かった

主演の井上和と菅原咲月は口を揃えて「バトンを繋いでくださった先輩方のおかげ」と言っていましたけれど、

あなたたちも立派にバトンを繋ぎましたよ

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総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

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deux補正2
それは予想外の嬉しいニュースでした。
突如発表された5期生版『セラミュ』。

2024年4月、IMM THEATERにおけるTeamSTAR公演を2回観劇してきましたのでレポします。

大英断


乃木坂46「5期生」版 ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』。
2018年と2019年に上演されたものの再演。

まず何より、5期生に『セラミュ』を演じさせたという英断に拍手を送りたいです。

そもそも5期生は11人。セーラー戦士5人のダブルキャスト自体が不可能でした。

しかし。

経緯や内情は存じ上げませんが、発表の時系列から推測するに奥田いろはが『ロミオ&ジュリエット』のオーディションに合格した(素晴らしい偉業!)のが最初なのでしょう。

そこで「いろはが離脱する期間があるのか…え、ってことはセーラー戦士5人をダブルキャストで5期生版『セラミュ』できるじゃん!」と思いついた誰か、そしてゴーを出した誰かの超ファインプレー、大英断

そこからキャストとスタッフと会場のスケジュールを押さえ開催にこぎつけた運営の苦労も相当なものだったでしょう。

そして何より新参者とスタ誕ライブと年末進行とアンダラとバスラと美月卒コンに冠番組まである5期生たちの頑張りは本当に想像を絶するものだったと思います。

全体の振り返りは次の記事に譲るとして、ここではTeamSTAR、5人の演技についての個人的な感想を。

川﨑桜:セーラーヴィーナス/愛野美奈子

さくたんはさくたんでした笑
ただかつての西野七瀬も「何を演じても西野七瀬」でしたしそれこそ木村拓哉さんもそう言われるので、逆に演者として武器になるかもしれません。

それにしても相変わらず抜群に華があります。「美の化身」にふさわしい。
『超・乃木坂スター誕生!』のコント「千葉魂」で「クイーンって、呼んでくれぇ~泣」のさくたんがクイーン・セレニティの前で「クイーン!」と跪いているのはなんか面白かった笑

冨里奈央:セーラージュピター/木野まこと

初登場シーンの最初の台詞「危ないよ、気をつけな」で野太い声を出して客席をどよめかせます。
この発声一発で自分の演じる、演じたい木野まこと像を観る者に伝えたのはお見事。

自身のトレードマークである満面の笑みは封印して、凛々しい表情のまま頬と口元を緩める笑い方をしていたのも印象的でした。

一ノ瀬美空:セーラーマーズ/火野レイ

ずっと真顔。そして素晴らしく綺麗な立ち姿。
高い集中力で火野レイとしての自分をキープしているのが好感持てました。
いわゆる憑依型っぽく、俳優としての可能性を感じます

普段は笑顔の印象が強く「可愛い系」に見える彼女ですが、実に整った顔立ちなのも良くわかりました。

中西アルノ:セーラーマーキュリー/水野亜美

さすがの歌唱力。特に複数人で歌う際に周りと合わせる能力が非常に高い。

逆に演技にはやや迷いがあったように見えました。水野亜美というキャラクターの要素のうちどこか(例えば「理知的」とか)をもっと前に出した方が観客に伝わりやすかった気が。

菅原咲月:セーラームーン/月野うさぎ

素晴らしかったですね。

菅原咲月であり、同時に月野うさぎ
先達・井上小百合は演じる際に自分とその役柄の共通点を見出し「だからこの役は私!」というアプローチをするそうですが、それと同じものを感じました。

『超・乃木坂スター誕生!』の「さつまいろ鎌倉ロケ」で見せたような「楽しそうに笑って踊ってお調子者」な姿が覚醒前のうさぎちゃんと大いに重なります。

だからこそその後の演技に、自分の運命に翻弄されながらもそれに立ち向かう姿に説得力があるのです。

「おっちょこちょいの女子中学生」が「世界を救うスーパーヒーロー」になるという振り幅MAXでありながら、そのどちらも紛れもなくひとりの女の子であると観客に思わせる説得力

彼女自身はブログでそれを「嘘がない」と表現していましたが、奇しくも月野うさぎを演じた時の井上小百合も同じ言葉を使っていました。

そしてやや蛇足になりますが舞台上で月野うさぎでない瞬間がないのも凄い。

なおなおやみっくもそれは同じなのですが、さっちゃんは自分にスポットライトが当たっていない時の演技が実に細やかで質量ともに図抜けていました。(他のキャストはそれをやらない演技指導が出ていたのかもしれませんが)

間違いなく彼女には演技の才能があると思います。


続きます。

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前の記事では見事な実績を積み上げた山下美月の乃木坂人生を振り返りました。

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今回はそんな彼女の心の内に分け入ってみたいと思います。(『英雄たちの選択』ですね笑)

アイドルを演じ切った


スーパープロフェッショナルアイドル

個人的に彼女のことをそう呼んでいました。

いきなり凄く失礼な言い方になるんですが、美月はどちらかと言えば髪型やメイクに「注文がつく」タイプでした。

2017年10月『見殺し姫』と2018年6月と9月の『ミュージカル セーラームーン』という村内舞台。
どちらも変なカツラをかぶらされて、まあ今だから言えますがなかなか大変なことになっていました。
正直、スタイルも決していいわけではありません。

にもかかわらず、乃木坂の活動において(変なカツラさえなければ)常に「ちゃんと可愛かった」

そこが凄いと思うんですよ。

自分がどうすれば可愛く見えるのか必死に研究してそれを見つけ、少しずつビジュアルが変化していく年齢においてもずっとアジャストし続けた。

まさにプロフェッショナル。

「釣り師」にして「小悪魔」でもありました。
(同期から「控室で壁にゴンゴン頭をぶつけながら落ち込んでいる」ことをばらされるネガティブキャラだというのに!)

例えば2017年11月放送の『乃木坂工事中』内「恋愛模擬テスト」。
メンバーが恋愛のシチュエーションに関するテストに回答し、それを婚活のスペシャリストの先生が採点するという企画。岩本蓮加が「じゃーん!」で世界のハートを鷲掴みにしたやつですね笑

美月はそこで高得点を連発し「小悪魔」「恋愛マスター」という称号を得ます。

私の勝手な思い込みですが、「釣り師」って秋元真夏をはじめとしてどちらかと言えば親しみやすいルックスのメンバーが多いじゃないですか。

「近寄りがたい美人なのに気さく」は白石麻衣がいましたが、美月は「近寄りがたい美人で釣り師」でした。

でも、彼女感はなかった。
初期はともかく、20歳を超えたあたりからはガチ恋製造機ではなかったと思います。

1st写真集発売時のインタビューで彼女は「アイドルを極めたい」そして「アイドルって疑似恋愛」という発言をしています。

私はこの言葉をこう理解しています。

山下美月は目の前のファンに対し全力で「私を好きになってほしい」と思っていたし、自分でも目の前のファンを全力で好きになろうとした

明らかに作っているけれど、それと同時に間違いなく全力を尽くしている。
そんな信頼感に基づくある種の共犯関係にファンを引きずり込んだのが彼女の凄さ。

これもまた、プロフェッショナルです。

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貫き通した負けず嫌い


私の山下美月観を決定づけたひとつの記事があります。

『BRODY』誌2017年10月号に掲載された彼女のインタビュー。
2017年の夏、すなわち『逃げ水』の夏です。

「近寄りがたいイメージを持たれがちなので、普通の人間として見られようと努力してきた」
「自分はこういうアイドルになりたいという理想になりきろうとしている自分が、本当の自分
「アイドルって人間性を好きになってもらわないと続かない」
「先輩たちの空いた席に座るんじゃなくて、横にもうひとつ新しい席を増やさなきゃいけない」
「ファンの人から見たら、私が自分で必死に這いあがっていく姿の方が面白い
「つねに明るくてニコニコしていて、芯の強い人が理想。そんなアイドル像にどれだけ自分が近づけるかの戦い」

(この号、美月ファンの方は古本屋で探しても読んでいただきたいぐらい必読の内容です)

当時18歳だった彼女はもの凄く「わかっている感」を出していました。
私にはそれが「賢しら」であり「懸命に背伸びしている」ように見えました。

しかし今回改めてその記事を読み直して感じたのは、空恐ろしさ

7年近く前。加入してまだ1年にも満たない頃。
普通、この年齢の時に考えていたことなんてどんどん変わっていくものです。(我々ファンはついそれを忘れて「前に言っていたのと違う」などと思いがちなのですが)

そして自身もグループも凄い勢いで変動していたのですからなおのこと。

しかし彼女の場合、ほとんど「現在の山下美月の言葉」として呼んでも違和感がありません

ちょっと異常です。

グループ加入当初から持っていた自分の目指す姿を、美学を。
山下美月は貫き通したのです。

さらにこの記事の最後、彼女はこう語ってインタビュアーを驚かせます。

「今日のインタビューはアイドル・山下美月としてしゃべっているのですべてアイドルとしての発言だと思っています」

そして「リアルな山下美月の本心は?」に

 う~ん…本当に…負けたくない

 (なにに対して?)

 いろんなことに、です笑

超ド級の、負けず嫌い。


これまで私はずっと「よだもも」と「くぼした」、無垢の天才vsエリートという図式でこの4人のことを語ってきました。

美月はずっとよだももという「ナチュラルボーン・アイドル」に対して「敵わねえなあ」と思っていたように見えました。

そして(これまで敢えて書かずにきましたが)「くぼした」としてくくられる久保史緒里に対しても、本当はずっと「敵わねえ」と強い劣等感を抱いてきたように思います。

久保ちゃんの歌唱力、舞台度胸、儚さ。
そんな彼女に対し自分は「持たざる者」だと。
あなたはこちら側のつもりかもしれないけど違うよ、と。

でも、だからこそ美月は誰よりも自分を追いこみ続けることができたのではないでしょうか。

しかしグループ内での序列が上がるにつれ、彼女を突き動かしてきたそんな劣等感も薄らいでゆきます。

2022年の頭ぐらいからでしょうか、弛緩した…は言い過ぎですが目じりが緩んだ表情が多くなったように思います。
齋藤飛鳥と並ぶ位置に来て、彼女を突き動かしてきた負けず嫌いのガソリンがなくなったように見えました。そしてそれは何というか、素敵なことでした。

その飛鳥に「船長」と言われてしまったことも決定的でした。

まあ、あの飛鳥ちゃんが「コンプレックスこそが山下美月のガソリン」であることに気づいていないはずはありません。

それでもなお「船長」と言ったのは、恐らくこういうことなのでしょう。

 どうせ卒業したら芸能界の荒波にもまれてまたコンプレックスまみれになるんだから、卒業するまでの残り時間ぐらいはそういうの抜きにした時間を過ごしてみなよ。

私はちょっと齋藤飛鳥を信頼しすぎているかもしれませんが笑

いずれにせよ尊敬する先輩から「乃木坂丸の舵を頼んだよ」と言われちゃったので、さすがにそこから1年はグループに留まります。
その2023年に残ったふたつの宿題「飛鳥さんを見送る」「久保との物語に落とし前をつける」を済ませて。

いよいよ本当に「やりたいことがなくなった」のではないでしょうか。

本当に、本当にやり切っての卒業でした。


卒業後の彼女は間違いなく俳優として歩んでいくでしょう。

3年後、5年後、10年後。

「なんかいろんなドラマでしょっちゅう見るよね、あの眼力強い女優さん」

そう言われているに違いありません。

山下美月さん、8年近くもの間、本当にお疲れさまでした。


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2024年2月17日、公式ブログで山下美月さんが卒業を発表しました。

やり切ったよな

最初に思ったのはそれでした。

まずは彼女の歩みを振り返りましょう。

レジェンドたちのただ中で


2016年9月、乃木坂46の3期生メンバーとして加入。

その日から3期生の、そして未来の乃木坂エースの座をめぐる「よだももとくぼしたの物語」が始まりました。

活動初期から様々な紆余曲折を経てくぼしたWセンターへと至る4人の物語については33rdシングル『人は夢を二度見る』の記事で詳しく書いていますので、よろしければまずこちらの記事をご一読ください。

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3期生の中でも美月は初期から目立っていました。
その完成されたビジュアル、そして積極的に爪痕を残しにいく姿勢によって。

『乃木坂工事中』初登場時の自己PRではサンシャイン池崎の「ジャスティス!」をコピー。これは賀喜遥香、五百城茉央へと受け継がれていくことになります。

一部では「完成され過ぎていてつまらない」などという声もありましたが、白石麻衣を筆頭に「アイドルは成長過程を見せるもの」という定説を覆してきた乃木坂というグループに入ったことも彼女にとって幸運だったのかもしれません。

抜群の握手対応であっという間に3期生どころかグループ内でも屈指の握手人気メンへと成長します。

2018年4月発売の20thシングル『シンクロニシティ』で初選抜と同時に堂々のフロント入り。
以降、今回の35th『チャンスは平等』まで丸6年に渡り、基本的にはフロントに立ち続けます。
※例外はやや特殊なフロント構成だった24th『夜明けまで強がらなくてもいい』(4期生3人同時抜擢フロント)と25th『しあわせの保護色』(白石麻衣卒業で1期生全員福神=2列目まですべて1期生)そして不参加だった23rd『Sing Out!』

丸6年というだけで十分凄いですが、これの何が凄いって20thシングルには白石麻衣も西野七瀬も齋藤飛鳥も生田絵梨花もいたこと。
そこに割って入る形でフロントに立ち、その地位を確立したのは美月と与田祐希のふたりだけです。

まして2018年ですから、こと「ダイナミズム」という意味ではグループがひとつのピークを迎えていた時期です。

2年連続レコード大賞受賞。神宮球場と秩父宮ラグビー場での2場同時開催で6万人×3DAYSの18万人を動員した6thバスラ「シンクロニシティライブ」。そして現時点でグループ史上最高の売上枚数を誇る22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』。

その真っ只中で、デビュー1年ちょいのまだまだ新人であるふたりがフロントに立ち続けた。

今になってそれがいかに偉業であったかがわかります

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非の打ち所がない実績


そこから先の活躍は皆さんご存じの通りです。

同じ2018年にはファッション誌『CanCam』の専属モデルに。

翌2019年からは演技の仕事に注力。
3本のテレビドラマに相次ぎ出演し、映画デビューも果たしました。
この時期にあまりのハードスケジュールから23rdシングル『Sing Out!』の活動には不参加という判断を下されるものの、同年の真夏の全国ツアーから復帰。

以降は大量の外仕事をこなしつつ、ほとんど(全く?)ライブも欠席せずに走り抜けます。

余談になりますが、外仕事を抱えながらグループの活動に執着するという面では生田絵梨花級でした。

「どんな無茶をしても絶対に1日は出る」生田絵梨花に対し、「ギリギリまでなにひとつ諦めない」山下美月というスタンスの違いも興味深いですね。

このふたり、似ているようで表と裏だと思います。(書き出すと長くなるので今回は止めておきます)

2022年10月『舞いあがれ!』から2024年3月『Eye Love You』まで6クール連続=1年半にもわたってTVドラマ出演を続けてきました。

これまた、乃木坂46在籍中のメンバーとしては空前絶後の偉業です。

主演やヒロインもできるけれど、むしろキャストの5~10番手という役の方が多かった。
初のグループ外での演技仕事である映画『日日是好日』からしてそうでした。

初めから彼女が「アイドルが演技もやってみました」ではなく「俳優」としての将来を見据えていたことをうかがわせます(そして運営もそれを理解し後押ししていたことを)。

2020年1月発売の1st写真集『忘れられない人』は推定売上19万部超というメガヒット

同時期にドラマ『映像研には手を出すな!』での共演から齋藤飛鳥との距離がぐっと縮まり、飛鳥が後輩に気を許しているという珍しい姿を見せるようになります。

2021年1月発売の26thシングル『僕は僕を好きになる』で悲願の初センター
白石麻衣卒業後最初のシングルですから、明らかに「託された」形でした。

そしてこの後ぐらいからでしょうか、飛鳥のシンメが必要な状況ではそれを美月が務めるケースが多く見られるようになります。

2022年末には、その飛鳥から『乃木坂工事中』における飛鳥自身の卒業企画で「目バキ船長」と呼ばれ「乃木坂丸の舵、とってくださいね」。
ここでも後を託されついに「乃木坂の顔」へと上り詰めます。

15枚のシングルに参加し単独センター2回、Wセンター1回。それ以外のフロント10回。2列目と3列目が1回ずつ。

4期生の加入、コロナ禍、そして相次ぐレジェンドたちの卒業というグループの激動期を支え、常にセンター候補であり続けました

非の打ち所がない実績を積み上げての卒業です。


続きます。


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3期生全員選抜の副産物


前の記事で少し触れましたが、コロナ禍により始まったオンラインミーグリは間口を狭め完売速度という最も目につく人気指標が極端に二分化するという弊害をもたらしました。

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この最大の問題点は思うようにミーグリ人気が上がらないメンバーのモチベーション低下。
もうひとつ「人気の中間層」が不在=層が薄いように見えてしまうこと。

かつては確かに中間層がありました。

例えば乃木坂史上最大の売り上げ枚数を誇る22nd『帰り道は遠回りしたくなる』の前後には、なんやかやでフル完売かそれに近い数字を叩き出すメンバーがアンダラに10人くらいいたんです。

「レジェンド」北野日奈子。
かつて選抜常連だった1期生の重鎮、中田花奈や斉藤優里。
「樋口日奈と2期生の時代」を築いたアンダーセンター経験者たち、樋口日奈、寺田蘭世、渡辺みり愛、鈴木絢音。
「よだももくぼした梅れんたん」に続き選抜入りを果たした新興勢力、伊藤理々杏と佐藤楓。
虎視眈々と選抜入りを狙う山崎怜奈、阪口珠美。

そりゃ超選抜メンほどの人気や知名度はないかもしれませんが「その界隈ではしっかり盛り上がってる感」はありました。

しかし1期2期の相次ぐ卒業や4期生合流タイミングの問題もあり、寺田蘭世の卒業あたりからは「アンダラのスター」(その良し悪しは別として)不在という状況が続きました。ライブ動員でも苦戦しているという話も聞こえ始めます。

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その風向きを変えたのは5期生の加入でした。
お見立て会から1年1ヶ月という過去最速のタイミングでアンダー合流。(ちなみに3期生は1年4ヶ月、4期生は2年9ヶ月)

これにより池田瑛紗をはじめとして、超人気メンに次ぐ速度でミーグリを完売させているメンバーがアンダラに登場。
それと並行していわゆる「思い出選抜」枠が復活したかのような選抜がおこなわれ、メンバーの流動性によりアンダラが活気づきます。

その流れからの今作。

3期生全員選抜の副産物として、「史上最強」とも言われるメンバーがアンダーに集結しました。

選抜固定だった4期生、筒井あやめ(9作連続)、柴田柚菜(6作連続)。
超人気メンに次ぐ速度でミーグリを完売させている5期生たち。その中には前作選抜だった菅原咲月と冨里奈央も含まれます。
体調が良ければ選抜であったろう金川紗耶も『届かなくたって…』以来、2年ぶりとなるアンダー。

そして「乃木坂46分TV」生配信中にアンダー曲『車道側』が発表されます。

センターは筒井あやめ

私は配信を観ながら「ああ、これ一番反感買うやつだな…」と思っていました。
かつての星野みなみや堀未央奈と同じ、「聖域」と思われていたメンバーが選抜を外れて即アンダーセンターというパターン。

しかし、そんな懸念は直後に流されたMVで吹き飛ばされます。

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炸裂する青春


一言でいえば「青春感」
淡い色彩、ざらつきのある質感の映像で切り取られる「どこかもどかしい青春群像」。

多くの方が「昔の乃木坂っぽい」という感想を書いていますが、私も『涙がまだ悲しみだった頃』を思い出しました。


秒刻みで見どころを書き連ねたいところですが、3人だけ挙げておきます。

青春感といえばこの人、菅原咲月

映像作品でのキメ顔ではいつもフォトジェニックな彼女ですが、このMVではもうひとつの魅力である「楽しそうに笑って踊ってお調子者」な姿を見せてくれます。

『超・乃木坂スター誕生!』でのさつまいろ(=菅原咲月、五百城茉央、奥田いろは)3人での鎌倉ロケが思い出されます。由比ヶ浜で遊ぶ姿に中西アルノが思わず「眩しすぎる」とつぶやいたあれです。

彼女の凄さはどれほど楽しそうにしていてもどこか「儚さ」「切なさ」「ノスタルジー」を感じさせる(なんて乃木坂的!)ところ。今回のMVともベストマッチですね。

柴田柚菜

かつて青春感そのものであった彼女が髪を切って綺麗な先輩役を演じているのがなんとも切なくもあり、嬉しくもある。要するに「実にいい」ってことです。

ラスト前の菅原咲月が筒井あやめを撮っているシーンの隣で「う~今日は本当に寒いな~」という絶妙な表情を浮かべているのがなんか好き笑

そしてもちろん、主役の筒井あやめ

どこか彼女自身のパブリックイメージとリンクする「感情をうまく表に出せない、でもそれが私だから」な役柄。

そして劇中での感情も現実とどこか重なります。

みんなそれぞれの場所でキラキラしている友達。
それを眺め写真に収めることが楽しかったはずなのに、いつの間にか心に湧き上がる「あれ?私は…?」という想い。
これもストレートに言えば、ポテンシャルや周囲の期待からするともどかしさを覚えるグループ内における彼女のポジションを思わせます。

これを生々しくも重くもならずにほぼ表情だけ(それも口元の!)で演じ切り、ラスサビ屋上ダンスでの笑顔と最後の3人スナップでのノリノリポーズで昇華させてしまうあやめん。やはり逸材としか言いようがありません。


最後にひとつ、妄想を書いておきます。

 6月9日、有明アリーナでのアンダラ最終日のアンコール。

 座長・筒井あやめがファンへの感謝を述べようと口を開きかけた瞬間、突如場内が暗転しモニターに映し出される「特報」の文字。

 「真夏の全国ツアー2024は明治神宮野球場4DAYSからスタートします!」

 「そのDAY1は…」

 『35thSGアンダーライブ FINAL!』

 響き渡るメンバーたちの言葉にならない絶叫。

マジでやってくんないですかね、これ。

実際にやるとライブ当日には次の選抜が発表済みで若干微妙な空気というパターンになってしまいそうですが笑



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伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
 

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当ブログに掲載された記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧の方にも楽しんでいただけることと思います。



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