ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:乃木坂46

びーむ色調補正3
前の記事ではこの日の印象に残ったシーンを挙げました。

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こちらの記事では遠藤さくらの8分間について書きます。

8分間の終わりに


9th以来2年ぶりとなる、バスラでの期別ライブ祭り。

2年前の4期生について私は「一番難しい立場だった」と書いています。

今回もそれは同じでした。

大前提として観る側のハードルが上がっている。
数多くの期別ライブを経験し、そのほとんどが配信されてきた4期生。

そして前日の5期生ライブが非常に良かった。
「フレッシュ」「初々しい」という魅力は今や彼女たちのもの。

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さらに翌日には2年前に感動的なライブを見せてくれた3期生が控えている。

加入からのキャリアでいえば2年前の3期生、すなわちあの「完成したアイドルの姿」と同じ。
もちろんいわゆる新4期(喜ばしいことにもう完全に死語になりましたね)は1年ちょいキャリアが短いのですが。

少し前まで4人姉妹の末っ子だったのに、気づいたら3人姉妹の真ん中になっていた彼女たち。
上とも下とも比較される、間に挟まれる者の辛さ。

4期生はここで何を見せられるのか、何を見せたいのか

否が応でもそれが問われるライブとなりました。

そしてこの日のクライマックス。

ライブ終盤、怒涛の4期曲連打の前。
スポットライトに照らされた遠藤さくらが口を開きます。

同期ひとりひとりへのメッセージ。

清宮レイへ「4期生のヒーローです」
早川聖来には「聖来の周りには4期生がいるよ」

そして彼女は8分間にも及ぶそのメッセージの最後をこう結んだのです。

 みんな、頑張ろう?

常に同期の先頭を走ることを求められ、誰にも負けないぐらい頑張ってきた遠藤さくらが。

次々に無理難題を押し付けられ、誰よりも風当たりの強い場所に立ち続けてきた。
そのたびに目に涙を浮かべ、口をへの字に結びながら必死に耐えて。
先輩や同期、周囲の人々の懸命な支えもあってこれまでの困難を乗り越えてきた。

あの遠藤さくらが

こんなにも暖かい笑顔を向けて仲間たちに手を差し伸べている。

成長するってことその美しさと切なさ
そんな彼女の姿に胸が締めつけられる思いでした。


ちょうど1年前、「アルノ事変」から始まった悪夢のような日々。

その中で光明となったのは写真集を大ヒットさせ、次作シングルでもセンターを務めた賀喜遥香。

それでも、4期生全体としてはグループを覆った悪い流れに抗いきれませんでした
早川聖来と清宮レイの活動休止、そして掛橋沙耶香の事故。

それに対し5期生は活動初期の衝撃から逆に結束を固めたかのように見事な立ち直りを見せ、そのポテンシャルを発揮しだします。
歴史は繰り返されるとはいえ「新しい方」に流れるファンも一定数いてミーグリの人気でも躍進。それを「脅威」と受け止めるメンバーもいることでしょう。

ただがむしゃらにやっていればよかった時間はとうに過ぎて。
気づけば後輩たちが猛烈な勢いで迫ってきている。

挫折、行き詰り、不安。

そんな今だからこそ、遠藤さくらは大切な同期に向けて投げかけたのでしょう。

「頑張ろう」という単なる励ましではなく

「頑張ろう?」という問いかけを

ちなみにこの台詞、アドリブだったそうです。

これまでの歩み。自分たちの現状。掛橋沙耶香への想い。

全てが込められた『4番目の光』。

賀喜遥香が、筒井あやめが、清宮レイが、北川悠理が、そして早川聖来が涙を流します。

遠藤さくらはDフレをこれまでになく力強く歌い上げ

「この坂道 登れ」の部分で早川聖来が感極まります。
彼女を彩ってきた良い意味での虚構と自己陶酔の仮面。それが剝がされた活動休止。
自分はもう一度その仮面をかぶれるのか。そんな虚像と実像が交錯した素晴らしい表情でした。


この日のオープニングVの最後は「4番目の光を探しに行こう」。
でもあそこは「見つかったか?」とファンに対して投げかけるべきでした。

少なくとも私は思いましたから。

 4番目の光は、ここにある

24th富士登山ヒット祈願の時のさくちゃんばりに笑


それでもどこか自信なさげなところが


この日のライブを配信で観た鈴木絢音はブログにこう綴りました。

 4期生のみんなは、私が気付かぬうちにお姉さんになっていました。
 みんなのことを見ていると、あの時私が憧れた1期生の先輩方を思い出します
 不思議だなあ。

鈴木さん、今からその理由をご説明します笑

2020年末の4期生単独ライブの時の記事で私はこんなことを書いていました。

 本当に、1期至上主義のファンの人に今の4期生たちを見てほしい。
 うまく説明できないのがもどかしいけれど、あの頃の乃木坂にあったのと同じ何かがそこにはあります。

 華奢でガツガツしてなくて儚げでセンチメンタリズムを炸裂させた女の子たちが、静かに闘志を燃やしながら自分を変えようとする姿はどこか既視感があって

 時々ふいに鳥肌が立って、なんだか涙が出そうになるんです。

あれから2年と少し。

この日の4期生たちを観て私が思い出したのは、2015年夏の乃木坂46でした。

 絶対皆さんを後悔させないようなグループになります!
 どこにも負けないようなグループになります!
 なので乃木坂のことを愛し続けてください!

全ツファイナルの神宮球場で桜井玲香が叫んだあの夏。

既にグループとしてはほぼ完成の域に達していた。足りないのは勲章だけ。
それでもどこか自信なさげで「私なんか」というところが見え隠れする。

まだ紅白もミリオンもレコ大も東京ドームも知らない、坂の途中にいた彼女たちの記憶。

そんなあの夏の乃木坂46と。

加入から4年半が経過し確かな成長を遂げながら、まだどこか自信なさげで何かに急かされるように必死なこの日の4期生たち

両者に共通する

 STILL YOUNG

その美しさ。

それが私のノスタルジーを強く刺激するのです。


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びーむ色調補正3

4年ぶりの帰還


2019年5月、4期生初の単独ライブが行なわれた横浜アリーナ。

4年ぶり…正確には3年9ヶ月ぶりの帰還です。

セットリストはこちら。

Overture
01. 夜明けまで強がらなくてもいい
02. ごめんねFingers crossed
03. 君に叱られた
04. 好きというのはロックだぜ!

<全員センター企画>
05. 君の名は希望(センター:清宮レイ)
06. シンクロニシティ(センター:松尾美佑)
07. きっかけ(センター:林瑠奈)
08. ファンタスティック三色パン(賀喜遥香、金川紗耶、田村真佑)
09. あらかじめ語られるロマンス(北川悠理、遠藤さくら、清宮レイ、松尾美佑、矢久保美緒)
10. 風船は生きている(弓木奈於、黒見明香、佐藤璃果、柴田柚菜、筒井あやめ、林瑠奈)
11. 制服のマネキン(センター:黒見明香)
12. アナスターシャ(センター:柴田柚菜)
13. 思い出ファースト(センター:筒井あやめ)
14. 僕のこと、知ってる?(センター:佐藤璃果)
15. ここにいる理由(センター:早川聖来)
16. Wilderness world(センター:金川紗耶)
17. ぐるぐるカーテン(センター:遠藤さくら)
18. Sing Out!(センター:田村真佑)
19. 他人のそら似(センター:矢久保美緒)

20. 4番目の光
21. Out of the blue
22. 猫舌カモミールティー
23. 図書室の君へ
24. キスの手裏剣
25. ジャンピングジョーカーフラッシュ
26. I see…

EN
EN1 アトノマツリ
EN2 ハウス!
EN3 サイコキネシスの可能性
EN4 おいでシャンプー


まずこの日のビジュアル仕上がってんなあメンは黒見明香。彼女は凄く雰囲気が柔らかくなりましたね。
遠藤さくら筒井あやめも可愛かった。

オープニングは『夜明けまで強がらなくてもいい』。ナゴヤドームの8thバスラを思い出します。
遠藤さくらのキメ顔エンディングからそのまま『ごめんねFingers crossed』!
両サイドに金川紗耶松尾美佑を並べ、さくちゃんと4期の誇るスタイル抜群のダンス巧者3人による強力布陣。

そこから一転ニコニコ笑顔の遠藤さくら、流れてくるイントロは『君に叱られた』。
賀喜遥香の煽り。続く『好きというのはロックだぜ!』でも煽りまくり。
なのに直後のMCでは「横アリはお腹痛くなる…」と笑うかっきー。
『好きロック』の途中、フロントでしゃがんで目を合わせてニッコリする遠藤さくら林瑠奈

早川聖来の「ただいま」。
結局泣いたけど「泣かない」と我慢するのも良かった。

佐藤璃果に「りか、大好き~」と早くもかかり気味の田村真佑

曲間のVで映し出された加入前の賀喜遥香が可愛すぎてたまげる

『君の名は希望』清宮レイなのはちょっと意外。ラスサビで泣く賀喜遥香

『シンクロニシティ』のイントロにどよめく客席。そして登場した松尾美佑に再び起こるどよめき。

『きっかけ』。
この曲の見せ場であるDフレは柴田柚菜弓木奈於林瑠奈

『ファンタスティック三色パン』の3人は強いな~。
本家(齋藤飛鳥、梅澤美波、山下美月)とは全然タイプが違うのに衣装が似合う。
そしてイントロの後ろ姿が既に格好いい金川紗耶
「好きなパンを言う」でお題「セクシー」に当たってしまった賀喜遥香の「あ~んパン」も素晴らしい笑

『あらかじめ語られるロマンス』でイチャイチャする遠藤さくら矢久保美緒

『風船は生きている』!

曲間のVでの弓木奈於の「乃木坂はずっと見てたそのまんま」「こういう人になりたいと思わせてくれる先輩たち」という言葉。

『制服のマネキン』は黒見明香!似合う。その両サイドがかきさく(賀喜遥香遠藤さくら)なのも良い。

『思い出ファースト』は筒井あやめ
また定義が曖昧な言葉を使ってしまいますが、彼女にはセンター適性あると思うんですよね。
あやめんのそれは楽曲を「自分のものに」ではなく自分のものの「ように」してしまう力かと。だって3期のスペシャルな曲ですよ。大園桃子というアイコンと分かちがたく結びついた曲をその呪縛とは別のところで鳴らせるというのは、やはり特別な能力でしょう。

『ここにいる理由』。
この歌詞をアンダーに歌わせるのか。オリジナル発表当時にそう思ったことを思い出しました。
この歌詞を今の早川聖来に歌わせるのかいや、きっと逆説なんだ
彼女の気迫がビシビシ伝わってくる良いパフォーマンスでした。

『Wilderness world』、まさにこれぞ金川紗耶

『ぐるぐるカーテン』、遠藤さくらという極めて妥当なセンターの隣に並ぶのは林瑠奈という意外なチョイス。

この曲の披露中に背後のモニターに映し出される4期生たちの手書きメッセージ。
その多くに「幸せ」という言葉が並ぶのが、なんかいいなあ

『Sing Out!』田村真佑のソロダンス。踊り終えた彼女に向けられる客席からのどよめき。

『他人のそら似』、センター矢久保美緒に後ろから投げキスを乱打する遠藤さくらのタレまゆ


MCでの弓木奈於の「乃木坂の勢いにのまれちゃうことがあって」という発言。

この日のハイライト、遠藤さくらから15人へのメッセージと『4番目の光』については別途書きます。

『図書室の君へ』。あの演出について思うところはありますが、ご本人の状況が分からないのでコメントは差し控えます。

『キスの手裏剣』で筒井あやめを愛でたおす賀喜遥香

『ジャンピングジョーカーフラッシュ』が最高。
ラストの筒井あやめのやり切った表情。

そして本編最後、煽りまくる賀喜遥香
ひとしきりファンを煽ったかと思えばくるりとメンバーの方に振り返り「オイオイオイオイお前ら油断してただろ!?」
そして「4期生が大好きですか~!?」の絶叫。

アンコール『アトノマツリ』。キャップの林瑠奈が可愛いのは言うまでもないが、遠藤さくらも似合う。

トロッコを乗り換える際に名残惜しそうに抱き合う遠藤さくら賀喜遥香

最後のMC、いつもと違う声で「楽しかったでーす!」と叫ぶ北川悠理
「元生徒会長なめんなよ」と笑う清宮レイ

ラストは『おいでシャンプー』。
アンコールの選曲に意味などないのが実に乃木坂。


こう書き連ねて思うのが賀喜遥香の魅力満載というか、彼女が愛される理由が良くわかるライブだったなということ。

素直に泣いて笑って煽って「あ~んパン」して。

既に2度もシングル表題曲のセンターを務めている彼女が同期に囲まれて見せる感情の発露。それは時に無防備ですらあって。
まさに齋藤飛鳥が言うところの「周りに出ているピュアさが度を超えてる」状態。

椎名林檎的に言うならば「素顔で泣いて笑う君のそのままを愛している故に」というやつですね。


続きます。

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びーむ色調補正3
前の記事ではこの日の印象に残ったシーンを列挙しました。

関連記事:


当記事では全体を通しての雑感を。

堂々たるその姿


凄えなあ

この日、何度もこう思いました。

とにかく「先輩メンバーの名前を出してその持ち曲をやること」にためらいがない

曲間のVやMCで、素直に西野七瀬、齋藤飛鳥、北野日奈子らを「憧れ」と語り、その曲を堂々とパフォーマンスする5期生たち。(岡本姫奈は『Sing Out!』後に震えていましたが)

7thバスラで梅澤美波や佐藤楓が、そして8thバスラでは遠藤さくらや賀喜遥香が。
3期生や4期生が涙を流し、震えながら立った卒業生のポジション

もちろん全体ライブと期別ライブではそこに立つ重みが全く違うのもわかります。

でも10thバスラの久保史緒里をして決死の覚悟で臨んだ『日常』を、奥田いろはが「日奈子ちゃんが大好きなので~」と選曲してやってのけてしまうというのはやっぱり、凄い。

確かに3期や4期も初単独ライブで先輩の曲をやっています。
ただ開催タイミングが違う。

お見立て会から半年だった3期4期。
曲を覚えてそれをステージ上でやるのに精一杯で、先輩のポジションに入ることの怖さにまで気が回っていないように見えました。

それに対し5期は1年。
しかも日産スタジアムの10thバスラで卒業生たちへのファンの熱狂的な支持を体感しているのです。

メンバーたちの発言からすると、この日のセトリは本人希望を聞いたうえで運営が決めた模様。

運営の判断が「5期生ならやってくれる」だったのか「怖くなる前にやらせよう」だったのかは微妙なところですが笑、いずれにせよこの日の彼女たちは見事にやってのけました。

時間が経てばたつほど、先輩の偉大さや歴史の重さを知れば知るほど怖くなる「その場所に立つということ」。
このタイミングでそれを経験できたのは5期生たちの自信になるはずです。

3期4期が悩み苦しみもがいてきた「継承」の道のりはとても心を揺さぶられるものでした。
彼女たちのその姿が、推しが卒業した今もなお私が乃木坂を応援している大きな理由のひとつです。

でも、苦しまなくてすむならば絶対にその方がいい。

まして橋本奈々未も生駒里奈も西野七瀬も白石麻衣も生田絵梨花も知らない-活動時期が重なっていない-5期生たちが、レジェンドの凄さを本当の意味では理解しえない彼女たちが無理矢理それを背負い込む必要はないと思うんですよね。

1期2期が全員卒業するというこのタイミングで駆け出してきた5期生たちが、ある意味「あっけらかんと」レジェンドのポジションに立つ。

いつか5期生たちもその重みに震える日が来るかもしれない。

でも今はまだ。
「TVで観ていた」憧れに近づける喜びを、「七瀬さんの衣装を着れた」幸せを素直に表せる。

それはとても素敵なことのように感じました。


もちろん現地補正はあると思うんですけど、めちゃめちゃいいライブでした

「完成度が高い」、口さがない人からは「出来上がりすぎている(からつまらない)」とさえ言われる5期生たち。そんな彼女たちの汗だくでひたむきなパフォーマンスに胸を打たれました。

そして、最後まで笑顔で締めくくった5期生たちの堂々たる姿を見て思いました。

ラグビー日本代表みたいだ

意味不明にも程がありますし、誰も共感してくれないと思うのですが笑

ラグビーは一定期間の居住等の条件を満たせば自国籍以外の国の代表選手になれます。(ただしそれは母国の代表になるチャンスを一定期間手放すことでもあるのですが)

大昔は私も他国出身の選手が日本代表に選ばれることにどこか釈然としない感覚がありました。「そもそも生まれつきの体格からして違う」とか「日本代表なのに日本人がひとりもいなくなっちゃうんじゃないか」みたいな。

でもそんな勝手な想いも今では跡形もなく吹き飛ばされました。
日本を愛し日本ラグビーのために己の魂を削りその身を投げ出して闘う、多くの他国出身選手の姿を見てきたからです。(近年であればトンプソンルークやリーチマイケル、ピーター・ラブスカフニのような)

そんな他国出身のラグビー日本代表選手たちとこの日の5期生が、どこか重なるんです。

以前に一ノ瀬美空が小川彩のことを「凄い陰で努力してるのに『元から出来ます』みたいな顔で立っているのが本当にもったいない」と訴えていましたが、同じことが5期生全員にも言えます。

素質に恵まれた「持てる者」であるからこそ見えにくくなっている彼女たちの想いや努力に敏感でありたいな、と思いました。


最後にもうひとつ。

2022年2月23日。46時間TV内での5期生お見立て会。
そしてその直後の『Actually…』初披露とそこから始まった悪夢のような日々。

あれから1年。

よくぞここまで立て直した

心からの称賛を送りたいです。



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びーむ色調補正3
11thバスラ5DAYS。

5日も続くとなると、やる方はもちろんですが観る方も大変ですね笑

私は5期生ライブが当選し会場で観ることができました。
なぜか各期の初単独ライブには縁があり、3期も4期も現場に行けたんですよね。

ちなみに都合により初日の全体ライブは観れず、セトリ等の情報も入れていない状態でした。

祭りの季節がやってきた


セットリストはこちら。

Overture
01. 絶望の一秒前
02. ジコチューで行こう!(センター:菅原咲月)
03. 君に叱られた(センター:奥田いろは)
04. Actually…

05. せっかちなかたつむり(五百城茉央、一ノ瀬美空、奥田いろは、川﨑桜)
06. 他の星から(池田瑛紗、岡本姫奈、小川彩、冨里奈央、中西アルノ)
07. 孤独兄弟(井上和、菅原咲月)

08. 太陽ノック(センター:冨里奈央)
09. Threefold choice(一ノ瀬美空、池田瑛紗、川﨑桜)
10. Another Ghost(小川彩、奥田いろは、中西アルノ)
11. 日常(センター:奥田いろは)
12. Sing Out!(センター:岡本姫奈)
13. Route 246(センター:井上和)
14. Wildrness world(センター:中西アルノ)
15. 好きというのはロックだぜ!(センター:川﨑桜)
16. 僕だけの光(センター:井上和)

<『新・乃木坂スター誕生!』コラボコーナー>
17. 点描の唄(奥田いろは)
18. First Love(中西アルノ)
19. Story(井上和)
20. 旅立ちの日に…

21. 17分間
22. 自惚れビーチ(センター:五百城茉央)
23. ロマンスのスタート(センター:冨里奈央)
24. ダンケシェーン
25. バンドエイド剥がすような別れ方

EN
EN1 指望遠鏡
EN2 シャキイズム
EN3 心にもないこと(センター:池田瑛紗)


印象に残ったシーンを挙げていきます。

オープニングは問答無用のアンセム、問答無用の井上和
続いてシングル3連発、どうしたってどよめく『Actually…』。中西アルノの咆哮。

ユニットコーナーは3期生の初単独ライブの時と同じように「特に人気が高く、しかも特定のメンバーの印象が強い曲」を集めた印象。

そしてここでこの日のハイライトが訪れます。

『孤独兄弟』

イントロが流れた瞬間、「ふたり」が誰かに気づき爆発する場内。

まずはひとりで登場し1番を歌いきる菅原咲月
バックステージまで走った彼女の元に歩み寄り、革ジャンを手渡すのは井上和!
(余談ですがこの途中で革ジャン渡す演出は以前にやりましたよね。ちょっと思い出せないのですが白石麻衣の卒コンでしたっけ?)

横浜アリーナが揺れます。

元々は『音のないギター』とかと同種の、「ロック」とか「不良」を小ばかにした秋元康の悪ふざけ系の歌詞(私の嫌いなやつです)のこの曲。
それをオリジナルの白橋=白石麻衣と橋本奈々未はビジュアルで捻じ伏せてシリアスな曲として成立させました。

そのあまりに強すぎるオリジナルに対し、寄せにいってパロディやモノマネになってしまうのでもなく、ただ新人のがむしゃらさだけでやり切るのでもなく。

井上和菅原咲月の『孤独兄弟』として成立させている。
ふたりが並んだ時の佇まいその説得力

凄まじい。
だってこのふたり、17歳とか18歳ですよ。


衝撃、という意味では『Another Ghost』の小川彩にも驚かされました。

オリメンは伊藤万理華、齋藤飛鳥、西野七瀬。
乃木坂の重要な要素である「しなやかで美しいダンス」を体現するメンバーたちです。
それを中学生で任されるあーや。これまたとんでもない。

そして賛否両論のスタ誕コラボコーナー。

個人的には否です。1曲でも多く乃木坂の曲をやってほしかったですね。
まあ『スタ誕ライブ』も観に行ってるというのもありますが。

関連記事:


ネット上では「振り入れの時間がなかったからじゃないか」とか言われてますけどスタ誕で毎週新しい曲を披露していたんだからそれが理由ではないでしょう。
仮にそうだとしてもほとんど振りのない乃木坂の曲歌えばいいだけだし。

五百城茉央の『立ち直り中』とか『釣り堀』聴いてみたかったなあ。(別にソロ歌唱した3人に文句があるわけじゃないですよ、念のため)

本編ラストスパート。
期別曲『17分間』をやってから、ブチ上げ曲3連発。なんだかもうアンコールのようだ。

五百城茉央『自惚れビーチ』は意外。スタ誕ライブも『狼に口笛を』だったし、なぜかアンダー曲と縁がありますね。
逆に冨里奈央『ロマンスのスタート』は納得。

『ダンケシェーン』、Aフレ頭を(つまり生田絵梨花パートを)任されたのは奥田いろは。声が乱れたのに立て直したのは立派。

本編ラストにキラーチューン『バンドエイド剥がすような別れ方』を持ってこれるのも強いですね。


アンコールはアンコールっぽい曲をふたつ続け、最後に5期生新曲『心にもないこと』を初披露。

その真ん中に立ったのは池田瑛紗でした。

31stのミーグリを3次完売させた5期生の中で唯一選抜に入らなかった。
その悔しさを味わった彼女に報いる起用に、会場が「良かったなあ」という祝福ムードで包まれます。

いや本当になんか、暖かくて凄くいい雰囲気だったんですよ。

対立煽りが暴れてるのなんてネットの中だけなんだな、と思いました笑

ビジュアル仕上がってんなあメンは川﨑桜。アップで抜かれた時の彼女は本当に華がありますね。


続きます。

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タオル補正
前の記事で書いた通り、秋元真夏の復帰は衝撃を与え強い反発をもたらしました。

関連記事:


ゲームチェンジャー


真夏さん復帰まで、乃木坂において握手対応はあまり重視されていませんでした。

いや、これは言い過ぎですね。
初期の一番人気は「剥がしに抵抗してファンの手を離さない」松村沙友理でしたし、西野七瀬の成り上がりも握手対応の良さが大きな要因でしたから。

でもAKB48に対するカウンターというグループの成り立ちゆえか「媚びない」ことを是とするファンも一定数いました。
極論を言えば「乃木坂のビジュアルがあればファンに媚びる必要なんかない」と。

しかし真夏さんは「釣り師」と呼ばれるその抜群の対応で瞬く間に握手人気を上げていきます。

5th『君の名は希望』の個別握手会では既に白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理の御三家と西野七瀬、生田絵梨花そして深川麻衣に次ぐ7番手の位置につけます。
続く6th『ガールズルール』では御三家となーちゃんの30/30部フル完売に続く28/28を達成。ちなみにこれ以降すべてのシングル個握でフル完売を続け、21stから免除となりました。

最初期から絶対的な存在である御三家と「ピープルズチャンプ」西野七瀬を脅かす存在にまでなったのです。

その躍進は周囲のメンバーにも大きな影響を及ぼしたのでしょう、真夏さんの加入以降に明らかに他のメンバーの握手対応も良くなったと言われています。(いわゆる「真夏ショック」です)

これにより握手人気の二極化が進みます。

真夏ショックに対応できたメンバー(例えば桜井玲香、深川麻衣、若月佑美)は6th『ガールズルール』から一気に多部数でフル完売に近い数字に伸ばしてきます。少し遅れて衛藤美彩もこれに続きました。
逆に対応できなかった=釣り対応を苦手としたメンバーの握手人気は伸び悩みます。
最も顕著な例は市來玲奈でしょうか。彼女以外にも若手メンバーのほとんどが苦戦を強いられます。

6thから10thあたりは上10人(さきに名前を挙げた9人+生田絵梨花)は30部フル完売。それ以外のメンバーは一桁完売という感じでした。

この結果として生じたのは、いわゆる「運営序列」を決める要素の変化。
あまりにはっきりした差が出たため、握手人気を無視しきれなくなったのです。
初期からいわゆる「運営推し」と目されていたメンバーの何人かがこの時期にアンダーを経験することになります。
(余談ですが次にフル完売メンバーとなるのはアンダラ2ndシーズンの大ブレイクを受けての齋藤飛鳥でした)

つまり秋元真夏がグループ内の握手対応を底上げし、それを一因として「握手人気重視」という傾向が生まれた。そしてそれは現在に至るまで続いている

真夏さんはゲームチェンジャーだったのです。

長い目で見れば、これがグループにもたらした影響は非常に大きかった。

そりゃ「媚びる必要なんかない」と思っていた人だって、目の前で実際に媚びて…いや愛想良く接してくれたら嬉しくないわけがありません。

握手会商法の是非や個人的な好悪はともかく、乃木坂が現在の大きさにまで発展した要因のひとつとしてこの「こんなに綺麗な子がこんなに愛想よく接してくれる!」という驚きがあるのは否定できないでしょう。

すなわち真夏さんはゲームチェンジャーであったと同時に、グループが大きくなるための重要なターニングポイントともなったのです。

だいぶ前からほとんど使われなくなりましたが「握手特化型」という言葉があります。

歌も踊りも苦手でビジュアルも目を引く美人というタイプではない(失礼)彼女はこれに該当するでしょう。

個人的にこの言葉から受けるイメージは「計算高い野心家」。
まあこれは裏返せばクレバーでセルフプロデュースが上手いということなんでしょうけれど。

しかし真夏さんはこのイメージから少し外れていました。

賢いし、目立ちたがりなのは間違いない。
そんな他推しのファンからすると非常に厄介な存在なのですが笑、どこか憎めない。

それは彼女の溢れる愛嬌、そしてその源となる人柄によるものであることが次第に明らかになります。

個人的に印象に残っているのが映画『超能力研究部の3人』のメイキングで、怒る演技ができないため共演者からアイドルとしての彼女を全否定する挑発的な言葉を投げかけられる(という仕込み)も一切言い返さないで我慢してしまう姿。

後にメンバーから「何をしても怒らない」と言われた彼女の人柄が垣間見えます。

そして真夏さんが完全に馴染んだのが見て取れたのが2014年4月『乃木坂って、どこ?』での「秋元腹黒い裁判」。

普段からメンバーとスタッフさんしかいない現場でも肌を見せる格好をしている真夏さん。
樋口日奈が「普段から周りの目を引こうとしてるのかな?」と疑問を差し挟むと彼女はこう答えます。

「逆に…なんで気を引いちゃいけないのかな、って」

「いいぞ!」と喝采を送るバナナマンのふたり。

黒石さんが初めて発動したのはこの時です。

この時点ではもう完全に真夏さんが受け入れられていて、いじりとして成立しているのが明確にファンに伝わる内容でした。

ちなみに、この少し前に例の「真夏、おかえり」があり西野七瀬とのわだかまりも解消しています。


8年後からの第2章


冠番組では「あざとぶりっ子」と「頭がデカい」というたったふたつの武器で大活躍でした。

困った時の真夏さんという感じで正直食傷気味…というか私は完全に食傷していましたが笑、大いに貢献してくれました。(これは2代目いじられスター新内眞衣が登場するまで続きます)

既に述べたように瞬く間にトップ層に迫る人気を得た真夏さん。

しかし、立ち位置としては基本2列目でした。

ざっと並べると、

4th5th 福神
6th~8th 3列目
9th~31st 福神

例外は17th『インフルエンサー』が初のフロント(左端)。
19th『いつかできるから今日できる』は3列目。ただこれは『あさひなぐ』出演メンバー優先のフォーメーションだったからですね。
24th『夜明けまで強がらなくてもいい』も3列目。
そして29th『Actually…』は中西アルノの保護者としてフロント。こちらは右端。

ベストグリッドはフロント端2回
結成日の「センター横」というポジションに再び立つことはありませんでした。

バイプレイヤーと呼ぶには存在感が大きすぎる。不動のレギュラー。
だけど、エース級ではない。
『キャプテン翼』でいえば「石崎くん」というところでしょうか。

写真集も結構売れてるけどめちゃめちゃ売れているというほどでもない、なんというか2列目として妥当な売れ行き。

個人的にライブでは「人気の割に抜かれない」印象もありました。


そんな「実に2列目」な活躍を続けていた真夏さん。

しかし2019年、彼女の乃木坂人生を大きく変える出来事が起きます。

2代目キャプテンに就任

ここから彼女の第2章が始まります。

卒コンで本人の口からも語られましたが、当時多くのファンも桜井玲香より年上である真夏さんがキャプテンになることに違和感を感じていました。

明らかなショートリリーフ。(当時は29歳までグループにいてくれるとは思っていませんでした)
であればどう見ても未来のキャプテンである梅澤美波にこのタイミングで引き継いでしまった方が良いのでは、と。

でも今にして思います。
あそこは真夏さんしかなかった

もしあの時点で梅ちゃんがキャプテンになっていたら。
1期2期の卒業ラッシュでそのたびにライブを締めるコメントをしなければならなかったら。
さすがの梅澤美波でも苦しかったのではないでしょうか。

誰かが卒業するたびに全力で悲しんで心から溢れる惜別の言葉を贈る

これはやはり1期生である真夏さんならではのことでした。

キャプテン就任後、保護者として後輩メンバーとTV出演したり歌番組でコメントを求められる機会が増えます。

「出しゃばり」「桜井はそんなに前に出てこなかった」「キャプテンなんだから他のメンバーを立てるのが役目だろ」

そんな批判の声もありましたし、正直私も「ずいぶん出てくるなあ」ぐらいは思っていました。

ただ1期生へのリスペクトが強い3期生は当時まだ遠慮が見えたし、4期生はよちよち歩きでした。
そんな後輩たちに外番組の場数を踏ませるにあたり、真夏さんのサポートは必要だったのでしょう。


就任した時に「3年は頑張ろう」と決意したそうです。

その通り、3年半に渡ってキャプテンを務めました。

その間に卒業したメンバーは実に19人。
そして新4期生と5期生の加入。

どんどん減っていく盟友たちを見送り、後輩たちを励まし、新人たちを暖かく迎え
変わりゆくグループを支え続けました。

まして、コロナ。

乃木坂が一番難しいこの時期を越えて今なお女性アイドルグループとしてトップに君臨しているのは、秋元真夏の働きを抜きにしては語れないでしょう。

きっと苦しいことも多かったと思います。

しかしキャプテンとしてのこの3年半は彼女自身のキャリアにとっても非常に大きなプラスになったのも間違いありません。

真夏さんの人柄の良さとコメントの確かさが一層磨かれ、それが多くの人の目に明らかになったのはキャプテン就任以降のことです。

最後に今後の彼女について。

まあ言うまでもなく「タレント」ですね。

歌もダンスも演技も得意じゃないけれど、愛想が良く気配りもできて頭の回転が速い。

グループを支えてきたそのストロングポイントを活かして活躍されることを願っています。

秋元真夏さん、約11年本当にお疲れさまでした。


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