ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:井上小百合

びーむ色調補正3
あれから10年が経ちました。

2014年10月5日。
アンダーライブ セカンド・シーズンの初日です。

そこから始まったあのあまりにも特別な2週間

「潔く乃木坂のファンを辞めよう」と思った日も
最後のつもりで観に行った六本木ブルーシアターで、メンバーの鬼気迫るパフォーマンスに魂を揺さぶられ踏みとどまった日もありました。

そして10年が過ぎ
彼女たちが己のすべてを懸けて守ろうとしたものは今もそこにあり
私は今もなお乃木坂46を応援しています


『アンダラ伝説』 kindle版
伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。
以前はnote.comで有料記事として販売していましたが、10周年を機に電子書籍(Kindle)版での販売に移行しました。

今回書き下ろしたのは「あとがき」の約400文字だけですので、note版をお持ちの方は改めてKindle版をご購入いただく必要はないかと存じます。


私自身が体験した衝撃を何らかの形で残したいという想いがそもそもの執筆動機でした。

当ブログも開設する前の2018年に書き上げた文章なので、改めて見返すと粗ばかりが目立ちます。
そのため今回Kindle化に際しある程度書き直そうかとも考えたのですが、下手にまとまった文章にすると何かが失われてしまうような気がして、一部の語句修正と改行の追加程度にとどめました。

あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。

多くの方に読んでいただければ幸いです。


一部は無料でお読みいただけますのでぜひ上のリンクからご覧ください。

Kindle本が読み放題になる Kindle Unlimited の新規登録は こちら から。 
初めてご利用の方は30日間の無料体験が可能。期間終了後は月額980円です。


『アンダラ伝説』

2014年10月、スキャンダルに激震する乃木坂46。
グループの存続すら危ぶまれる「史上最大の危機」のさなかに行われたのはアンダーライブ、通称アンダラ。
それは表題曲の歌唱メンバーに選ばれなかった者たち=アンダーメンバーによるライブだった。

15日間18公演。

色んなことがありすぎた。
毎日が伝説だった。
壮絶も濃密も劇的も怒涛も、他のどんな言葉でも決して言い尽くせない2週間。
壮絶で濃密で劇的にして怒涛。あのあまりにも特別な2週間を完全再現。

これは「代役」と呼ばれ「2軍」と揶揄された少女たちが、失われたファンとの絆を取り戻すまでの闘いの記録である。


注1
本書は乃木坂46が2014年10月に行なった「アンダーライブ2ndシーズン」を題材としたセミドキュメンタリー小説です。

筆者が当時現場で見聞し感じた事柄をベースに、(各種メディアやブログそして当時のライブレポ・握手会レポに至るまで)可能な限り当時に関するメンバーのコメントを調査し、極力実際の出来事やメンバーの心情に近いものを書こうと努めました。

注2
本書は過去にnote(note.com)上で公開していた同名の有料記事と同一の内容です。


当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

『2020年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


『2019年の乃木坂46』 kindle版
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だぽ
前の記事では全体の感想を書きました。

関連記事:


こちらではキャストの皆さんについて。

ヴィヴァ!


最初に挙げたいのがアントニオ・サリエリ役の相葉裕樹さん。
やっぱり『ヴィヴァ!イタリア』の歌唱が超絶。素晴らしく心地よい音圧。
派手めな顔立ちでボリューミーなヘアスタイルもゴージャスな衣装も凄く似合っていました。
悪役にされがちなサリエリ先生をコミカルな憎めないキャラとして演じていたのも好感。

個人的に初めて観る役者さんなので後から調べたら『レ・ミゼラブル』も出演されている方なのですね。そりゃ上手いはずだわと納得。

ナンシーとオルソラの2役を演じた田村芽実さん。

なんとまだ24歳。若い!
2011年8月にハロー!プロジェクトのアイドルグループ「スマイレージ」(現「アンジュルム」)に加入ですから、井上小百合と少し重なる部分がありますね。

彼女は2016年5月にグループを卒業。
その時点から目標として明言していたミュージカル俳優としてのキャリアを着実に積まれている印象です。

特に良いなと思ったのが演技も歌唱も振り幅があるところ。
老婆ナンシーでのコミカルな演技、自責の念にさいなまれるオルソラのシリアスな演技。
そして老ナンシーでの太い歌声とオルソラでの哀切な歌声。
どちらも非常に良かったです。(もちろん若ナンシーのキュートさも)

モーツァルト役の平間壮一さん。

「当てはない、ツテもない」だから「自由だ!」と歌うモーツァルト。
なんと素晴らしい発想の転換笑

なんというか「音楽の妖精」みたいな。そんな浮世離れした素軽い演技が非常に印象的でした。

そして主演の海宝直人さん。

まあ今さら私なんぞがどうこう言うのもはばかられるぐらいのキャリアで『レミゼ』だの『ミス・サイゴン』だの『ジャージー・ボーイズ』だの『アラジン』だの『ライオン・キング』だのビッグタイトルに数多く出演されてきたビッグネームです。

私が観劇したプレビュー公演は調子がいまいちだったのか出の音がブレていることがあったのですが、一瞬で立て直すその鋼の声!

白眉はやはり『ドン・ジョヴァンニ』の歌唱。
「胸を張って地獄の炎に飛び込もう」は鳥肌ものでした。

強くて儚くてやっぱり強い


ここまで挙げた皆さんはいずれもミュージカルで実績十分な強者たち。

その中で我らが井上小百合はどうだったかというと。

歌上手くなってた。(偉そうな言い方ですいません笑)

上で挙げた皆さんと遜色ないとまでは言いませんけれど、『ヴィヴァ!イタリア』でサリエリ先生に負けじと野太くヴィヴァ!するさゆは最高でした。
『コジ・ファン・トゥッテ』でも良い高音を鳴らしていましたね。

ソロ歌唱の『街角の女の子』がさゆのキーの美味しいところと合ってなかったし曲自体も重かったのがちょっと残念でしたが。

さゆ史上最大であろうボリューミーなウィッグもなかなかのインパクト。

だいぶ前からずっと思ってたんですけど、さゆの「濃くない美人顔」って大抵のウィッグをつけこなせるので舞台俳優として大きな武器ですよね。
かつて『ミュージカル セーラームーン』で月野うさぎという超高難度の髪型をこなした実績もありますし。

そして今回演じたフェラレーゼ。

難しい役でした。
「歌はそこそこだが演技は大根」の役を演じる、ってなんだか謎かけのようですね笑

「男を掌の上で転がしているつもりがただ単に遊ばれているだけの女」と周囲に軽蔑されていて、でも彼女自身もそんなことは百も承知で。
「女を武器にしている自分」のことを嫌悪しながらも、自分ぐらいは愛してやらなきゃいけないと思っている。

ただそんな自分の心を押し殺すような生活を続けているうちに、いつしか「自分の心」なんてもの自体失ってしまった-そしてそれゆえに「上手いだけで人の心を動かせない、つまらない歌い手」になってしまった-ことにも気づいていた。

ただひとり、ダ・ポンテを除いて。
彼女の声に「サンマルコ広場で歌っていた女の子」の欠片を感じ取ったダ・ポンテの心だけは動かすことができた。

そんな彼と一緒にいる時間は、きっと「昔の自分に戻れるかもしれない」という希望と「戻れるわけなんかない」という哀しみが交互に訪れたことでしょう。

そんなふたりの別れのシーンは素晴らしかった。

ダ・ポンテは失脚し、夢から醒めなければならない時が来て。

『街角の女の子』を歌い終わったほんの一瞬だけ、フェラレーゼは微笑みを浮かべるのです

そして再び彼女は同情も感傷も拒絶する氷のような表情に戻り「さよなら」。
振り向かずに歩き去ります。

この先も一緒に歩けたらどれほど良いか。
でも、そんなのただのセンチメンタリズム。
私は絶対、自己憐憫に溺れたりしない。

「でも心が痛い」

そんな強くて儚くて、やっぱり強い女性の背中を井上小百合は見せてくれました。


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だぽ
2023年6月から7月にかけて東名阪で上演された音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』。

北千住シアター1010でのプレビュー公演と池袋東京建物 Brillia HALLの本公演をそれぞれ1回観劇しましたのでレポートします。

いくつものカタルシス


公式によるあらすじはこちら。

 1826年ニューヨーク。年老いたロレンツォ・ダ・ポンテ(海宝直人)が回想録を出したことがきっかけで、若かりし頃を思い出すところから物語は始まる。

 1781年ウィーン。女好きで詐欺師のダ・ポンテは、ある事件を起こし、故郷ヴェネツィアを追われ、その才覚と手練手管でウィーンの宮廷劇場詩人の座までのぼり詰める。しかし、宮廷作曲家アントニオ・サリエリ(相葉裕樹)に言われるがままに書いたオペラの処女作を酷評され、行き場を失っていた。
そんなダ・ポンテの前に現れた、作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(平間壮一)。彼もまたあふれる才能を持て余していた。二人は意気投合し、革新的なオペラを作ることを決意する――。

公式サイトより引用)

モーツァルトではなく、彼のオペラの台本を書いたダ・ポンテを主人公にした物語。
『アマデウス』などモーツァルトものでは定番である、彼の死をミステリーとして扱うことはせず普通の病死(恐らくはこちらが史実通りなのですが)としています。

ふたりが組んだ作品は1786年『フィガロの結婚』、1787年『ドン・ジョヴァンニ』、そして1790年の『コジ・ファン・トゥッテ』。

一言でまとめてしまえば、ふたつの才能が巡り合って特別な作品を生み出し、そして離れていくまでの物語です。

上演時間2時間半にも及ぶ作品ですが、それでもやや消化不良な部分がある印象。

『コジ・ファン・トゥッテ』について回想録に詳しく書かなかった理由はなんかいまいちよくわからない。
あとサリエリ先生の人物像、というか行動原理がブレている気がする。これはオチ要員とシリアスな役割(ダ・ポンテに最後通牒を突き付ける)を同じキャラにやらせたのが原因かな。

…など、ところどころ「惜しい」感はあるものの個人的にはこの作品嫌いじゃないです。

その最大の理由はいくつものカタルシス溢れるシーン。

自分ひとりでは決してたどり着けない場所へ、こいつと一緒なら
そんなバディを見つけた瞬間の愉悦。

『フィガロの結婚』で浴びた万雷の拍手。
『ドン・ジョヴァンニ』のド迫力のラストシーン。

そしてなんといっても、この舞台自体のクライマックスでもある『コジ・ファン・トゥッテ』。

音楽のマジック


コジ・ファン・トゥッテ。

訳せば「女はみんなこうしたもの」。
でも転じて「人生万事こんなもんさ」と言っているように私には思えました。

 思い通りになんていかない
 理屈じゃ説明できない
 間違いばっかりで後悔ばっかりで

そんなもんだろ?

 自分の魂の欠片のような、特別な相棒とさえすれ違って袂を分かってしまう
 本当に運命の人と出会っていたのに、気づくことができずに別れてしまう
 絶対に手放しちゃいけないものだったのに、この手から滑り落ちてしまった

人生なんてそんなもんだろ?

でも、
だからこそ素晴らしいんだろう?

 あれは所詮、人生における一瞬の花火かもしれない
 それでも、あの輝きがあったからこうして今日を生きてゆける

舞台上にキャストがずらりと並び、朗々と歌い上げられるそれは、どこか「第九(『歓喜の歌』)」のようでした。

『レキシアター』や『キレイ』のレポでも書きましたが、好きなんですよ人間賛歌。

関連記事:



素晴らしい大団円感。

本当は大団円なんかじゃないんです。
実際にはこの上演後に不評でダ・ポンテはウィーンを追われモーツァルトとも袂を分かち没落していくのですから。

ここではたと思い当たるのが、上で「よくわからない」と書いた『コジ・ファン・トゥッテ』について回想録に詳しく書かなかった理由。

それはもしかしたら上演当初は「不評だった失敗作」でしかなかった同作が、この後の人生において自分の背中を支えてくれたからではないでしょうか。

「あろうことか自身の作品に励まされて今を生きている」。
天才詩人にして天才詐欺師であるこのダ・ポンテ様がそんなことこっ恥ずかしくて書けるかよ!という照れくささ、気恥ずかしさ。

ミュージシャンは時々「楽曲が作り手である自分たちの手を離れ、時の流れと共にファンの方の人生で大きな意味を持つものとなった」と言いますが、きっとダ・ポンテの場合はそれが自分の作品によって引き起こされたのです。

語り部が年老いた後の彼だからこそ、この曲がフィナーレとして高らかに鳴り響く。

そんな音楽の力音楽のマジック
その素晴らしさと美しさ。

クライマックスの『コジ・ファン・トゥッテ』を浴びながら、私はそんなことを考えていました。


続きます。


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ラスサマトリミング
2022年7月に公開され、ロングヒットとなった映画『ラストサマーウォーズ』。

井上小百合が出演しているので映画館に足を運びました。

嫌なところがひとつもない


内気な小学6年生の男の子が好きな女の子のために、仲間を集めて自主映画を撮り始める。

「映画作り」映画、しかもジュブナイル。
好きな人にはたまらん設定でしょう。

あらすじはこちら。

 「ボクの映画の……ヒロインになってくれない!?」

 小学6年生の男の子・陽太(阿久津慶人)は内気な映画オタク。持っているタブレットで日々アクション映画やホラー映画を観るのが日課。クラスに友達はいなかったが、自分の世界でそれなりに楽しく生きていた。

 だが1学期の終業式の日。クラスメイトの明日香(飯尾夢奏)が、夏休み終わりに外国に引っ越してしまうことを知る。密かに明日香に想いを寄せていた陽太に、ホームルームでの担任教師・土方(井上小百合)の言葉が響く。
 「最後の夏休み。やり残したことがないかしっかり思い返して、後悔のないものにしましょう」

 陽太は思わず明日香を呼び止めると、僕の自主映画に出てほしいと言ってしまうのだった-

公式サイトより抜粋)

この後、土方先生の助言によりクルーを集め撮影に入るのですがそこで様々な困難が立ちはだかり…というまあお決まりの展開。

この映画を一言で評するなら「嫌なところがひとつもない」。

捻りも裏切りもなくて素直なハッピーエンドで、でもそこが素晴らしい

「粗」はいっぱいあるんです。
ストーリーはご都合主義だし映画の撮影シーンはかなりチープ感が漂っています。
子供キャストの演技もやや素朴に過ぎる気がするし、登場人物の心理描写は浅い。

でもね。
何かそういうのはもう全部どうでも良くて。

というか上で挙げた粗はほとんど全部「わざと」だと思います。

この映画を小学生に観て、何かを感じてほしいから。
制作サイドが本気でそう考えているからこそ、枝葉を削ぎ落しスリム化した。

テンポの良い展開も80分という短めな上映時間も、小学生という観客を飽きさせないため

子供たちの素朴な演技は、過剰な演技をしないように指導したんじゃないかという気がします(子役で十分経験のある子たちなのでなおさら)。
そして母親役の櫻井淳子さんは「わかりやすい敵キャラ」になるようにステレオタイプの演技を求められたのではないかと。

チープな撮影シーンは「リアリティ」ですよね。
子供たちの取る映像が当然ながらチープなものであることを、その映像を見せずに表現しているのだと解釈しています。

「子供を飽きさせない」映画ですが、決して「子供向け」映画ではありません。

大人の観客もセンチメタリズムを刺激されまくりです。

演技の「行間」を読んで登場人物の感情の機微に思いを馳せるもよし、随所に散りばめられた小ネタを楽しむのもまたよしです。

大切なのは、その一歩


この映画を通して子供たちが感じてくれたら嬉しいこと。

その一歩目が周りを動かす、踏み出す勇気の大切さ。

仲間と何かを作ることの楽しさ。
誰かの助けで自分一人では決してたどり着けなかった場所へと行けること。
そして異なった個性を持つメンバーを組み合わせることによってより大きなことが成し遂げられるというチームビルディングの極意笑

この映画を通して大人たちが思い出すあの頃のこと。

仲間と集まるだけでなんか強くなった気がしたこと。
変なノリが楽しくて、無駄に走って大声出して、バカみたいに笑ったこと

何かものづくりをやりたくて、でもどこから始めたらいいかわからなくて。
最初だけ作って放り出しちゃったこと。

夏休みは何でもできる気がして、でも何もできずに終わっちゃったこと。


あらゆる年齢層の観客に「なんかちょっと、頑張ろう」と思わせてくれる素敵な映画だと思います。

上映期間終了して円盤発売とか諸々のビジネス展開が一息ついた後でいいので、全国の小学校で映画鑑賞会として上映してくれないかな~。
(私の頃は体育館に全校生徒を集めての映画鑑賞会があったんですが、今もあるんでしょうかね?)

全国の子供たちがこの映画を観て何かを感じてくれたら、それはとても素晴らしいですね。

はたゆりこさんの歌う主題歌『ラストサマーフィルム』がまた爽やかで、MVも映画の素敵なダイジェストになっているのでぜひこちらもご覧ください。



そして、担任の土方先生を演じた井上小百合について。

凄く、いい役

若くてはつらつとしていて、ちょっとドジで(寝坊のシーンあり)。
かつて映画業界を志したけれど挫折した経験があり、心に棘が刺さっていて。

直接手は貸さずにちゃんと距離を取って、子供たちの自主性を尊重して。
でも「大人」という最後の壁にぶつかった時、一緒に立ち向かってくれる。

いやホントに「いい役もらったな~」という感じです。

たぶん映画を観た人でキャラクター人気投票をしたら、1位は羽鳥心彩さん演じる栗原夏音で土方先生は堂々の2位なのでは
(夏音ちゃんはクールなブレーンっぷりと、主人公に対するほのかな恋心とすら呼べないような曖昧な好意が実に良いのです)

クルーが円陣を組んで「努力と感謝と笑顔で、うちらの映画完成させよう!」と叫んだり、当たりつきアイスで主人公が「はずれ」だったりと、井上小百合ファンに向けたサービスではないかと思えるシーンもありました。
(後者は『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』のMVが思い出されますね、念のため)

余談ですが乃木坂スター誕生!LIVEの直後だったため、クライマックスでさゆが鬼の角をつけて「鬼ゾンビ」を演じるシーンでは「そういえば『乃木坂工事中』の4期生紹介で遠藤さくらを担当したなあ」という感慨にふけりました笑


最後に(やや黒い)続編予告を。

 あれから3年…あの最強クルーが帰ってきた!

 街を離れた者、別の学校に通う者。
 今はそれぞれの場所で歩んでいた彼らが中学時代最後の夏に再び集結する。

 「明日香、もう一度僕の映画のヒロインになってくれ!」

 「いいけど私…彼氏いるよ?」


うわこれ、めちゃめちゃ観たい笑



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『アンダラ伝説』¥300
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マガジン「2019年の乃木坂46」¥200
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deux補正2
2020年8月に下北沢本多劇場で行なわれた舞台『ワイルドなサイドを行け!』の配信を観劇しましたのでレポートします。

配信を観てからなんと1年後の記事ですが、それには理由があります。

正直、ピンとこなかったんですよ。

観た当時に箇条書きレベルまでは書いていたんですが、自分のこの作品に対する評価がどうにも定まらなくてどうしたもんかなあと。

ようやくその辺りの整理がついたので記事にしました。

配信でドタバタは難しい?


凄く期待していました。

コロナ禍の真っ只中で「劇場の灯を消すな」という関係者の熱い想いで実現した「DISTANCE」第1弾。小劇場の聖地・下北沢本多劇場。無観客の一人芝居。
しかも井上小百合にとっても乃木坂卒業後の初仕事。

これでもかとばかりに盛り上がる条件が揃っていました。
そして井上小百合はこれまでと同じように我々の期待を見事に超えてみせます。

関連記事:
 

本当に素晴らしい公演でした。

その好評を受ける形で実現したのであろう今回の第2弾。観客数は絞っているものの有観客。
しかも共演の小林顕作さんは舞台『帝一の國』で演出を務めた方。今回も脚本、演出も兼ねておられます。
第1弾の川尻恵太さんに続き、乃木坂時代からのご縁。嫌でも期待が膨らみます。

でも、ピンとこなかったんですよ笑

ざっくりあらすじを書くとこんな感じ。

 駆け出しの若手女優(井上小百合)はドラマの現場で上手くいかずにムシャクシャしながら帰宅。
 発泡酒を飲みながらマネージャーに渡された「一流女優になるための秘訣」DVDを再生するも、そこに現れたのはバブリーな服で女装したおっさん(小林顕作)。
 W浅野に憧れ「あさだりょうこ」と名乗るおっさんが激しく踊るだけという全くためにならない内容に激怒した若手女優は直接あさだの家に乗り込み…

あれ、なんか面白くなりそうな雰囲気ありますね笑

ですが…もの凄くストレートに言うと、正直「全力の悪ふざけ」の域を出ていないように感じました。

いやわかんないですけど。本当は背後に深いメッセージとか風刺が隠されているのかもしれないですけれど。少なくとも私はちょっと受け取れませんでした。

これたぶん劇場で観たら面白かったんじゃないかな。

劇場なら文字通りの「熱」=体温がダイレクトに伝わりますし飛び散る汗も観えます。
でも演者の熱量が伝わりづらい配信ではドタバタ喜劇は難しい。

第1弾でさゆと同日に配信された永島敬三さんの『ときめきラビリンス』がタイプ的にはこれと近い感じだったんですが、やはり私には「あんまり」でした。

しかもこの日の配信は2本立てで1本目が感動系。
その余韻が残っている中で、女装したおっさんのダンスにふてくされた表情のさゆが悪態をつくというのをひたすら見せられてもねえ。

何でも演じられるのは良いことなのか?


さゆが演じたのはずっとふてくされてしかめ面しながら乱暴な言葉を吐くガラの悪いキャラ。恐らく役名もありません(私が聞き逃していなければ)。

「あ゛~!ビールにすりゃよかった」

初っ端からこんな台詞が飛び出します。
過去に演じた役でいえば『あさひなぐ』の将子ちゃんをさらに感じ悪くしたような。

そしてその「感じ悪さ」は最後まで続きました。
この舞台だけ観た人は井上小百合にあまりいい印象持たないだろうなと思うぐらい。
いやそれは演技プランとしては成功なんですが、個人的にはなんか釈然としませんでした。

ファンの贔屓目はもちろんあるでしょう。そりゃ10年も応援してますから笑

でも井上小百合には「ヤな奴」じゃない役を演じてほしい。
それを演じられる幅の広さはあっていいけど。
この日のさゆはきっちり最後までトゲトゲしてイライラしている役を演じ切っていて、それは役者として正しいことだと頭では理解できるんですけど。

なんて言うのか、さゆは仮にヤな奴でも悪人でも「どこか魅力のある人物」を演じる方が上手いと思うんですよ。

もちろん「魅力がない人物」をその通りに演じられる能力も必要でしょうし、何ならそれを器用にこなす役者さんの方が食いっぱぐれはない気がしますが笑

私が思うに、たぶんさゆは純モブキャラに向いていない。
あるいは、純モブキャラとしてだったらさゆを使う意味がない。
いやこれだと語弊がありますし、これでさゆの仕事が減ったら困るので言い換えます。

チョイ役でも、どこか観る人の心にひっかかりのある役柄の方が彼女の個性が活きる。
(この日は二人芝居なので別にモブじゃないんですけど)

それが井上小百合という演者なんだと思います。

ラストに「…いつか見つかるといいな、W浅野の再来が」みたいな歩み寄りというか希望の欠片を残す台詞でもあれば良かったと思うんですけどね。まあそういう甘さを残さないのが恐らく小林さんのスタイルなのでしょう。

あと思ったのが、やっぱりさゆはこれまで見せてきたようにニコニコ笑いながら毒を吐く方が似合っています。

冠番組で真夏さんやろってぃーをディスったりとか、『大人のカフェ』の千秋楽アフタートークでの「3人ともそんなに好きじゃない…」発言(これ好き)とか懐かしいですね笑



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