ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:北野日奈子

びーむ色調補正3
前の記事では印象に残ったシーンを挙げていきました。

でも実を言うと、私がこの日最も強い印象を抱いたのは北野日奈子と後輩たちのやり取りでした。

たまちゃんが感情を吐き出した


ライブの最終盤、阪口珠美からの送る言葉。

 日奈子ちゃん

そう呼びかけたことにまず驚きました。
(すぐ後に「日奈子ちゃんって呼んでいいよって言ってくださった」と説明していましたね)

そしてこう続けます。

 このラストライブをアンダーメンバーと一緒にやってくれるって選んでくださって本当に有難いです

きいちゃんが選んだんだ。そして選抜メンバーのサプライズ出演がないのもきっと彼女の意志なんだ。

きいちゃんが望めば、それこそ齋藤飛鳥だって来たでしょう。
でも、彼女は最後のステージをアンダーメンバーとだけ行なうことを選んだ。

もうそれだけで私はグッときました。

ポジションにこだわり続けたきいちゃん。
ずっと「選抜メンバーを目指すことがあるべき姿だと」考えてきたきいちゃん。
自信を失って、それでもあきらめきれない向井葉月に「選抜を目指してもいいんだよ」と語りかけたきいちゃん。

それでもアンダラに誇りと思い入れを持ち続けたきいちゃん。

そんな彼女が最後に共演することを望んだのが、今まさにポジションで辛い思いをしているアンダーメンバーたち。

さらに言葉をつなぐたまちゃん。

 私は辛くても表に出す自信もなくて勇気もないけど、
 私たちアンダーメンバーも今この場所で自信を持って頑張れば良いんだって思えるようになったのは日奈子ちゃんのおかげです

確かにその言葉通り、めったに感情を表に出さない印象のたまちゃん。
そんな彼女が表情を乱し泣きながら絞り出した言葉の重み。

そんな彼女にきいちゃんはこう答えます。

 立場上、ポジション的にも凄く苦しい場面が今までもこれからもあるかもしれない

「立場上」。

もはや先頭を走らねばならない3期生たち。
加入6年目でふたつ下の代の後輩ができる。これはまさにかつて=2017年当時の1期生の立場です。

「ポジション的に」。

ダンススキルが高く、代打での歌番組出演はある。
選抜もアンダーセンターも経験し、一定の人気もある。
それでも目に見える人気指標であるミーグリの完売実績において、選抜入り当確というところには至っていない。

「凄く苦しい場面が今までもこれからもあるかもしれない」。

後輩に抜かれるのではないか。
自分は便利屋として使われているだけではないか。
もう選抜には入れないんじゃないか。

そんな不安や葛藤、そして恐怖。

私の勝手な(そして大変失礼な)推測ですが、かつて中田花奈や斉藤優里が感じていたかもしれない感情。
そしてもしかしたら、26th『僕は僕を好きになる』で選抜落ちした時のきいちゃん自身も。

だから彼女はこう言います。

 でも乃木坂を好きな気持ちを大切にしてね

辛くても苦しくても、乃木坂が好きでいられるのならここにいればいいんだよ。

たとえ選抜が遠くても、この場所を愛し活動を続けた先輩たちのように。

安易な慰めではなくリアルな、でもとても暖かいメッセージ。

この日の最後、きいちゃんはもう一度後輩たちに語りかけます。

 自分の心を大切に
 大事な人を大切に
 元気で楽しく

もがき苦しんで心が折れて、それでも今笑って卒業していく彼女だから言える言葉でした。

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観なければきっと後悔する


この日、苦しさを吐露したのはたまちゃんだけではありませんでした。

序盤のMCでの中村麗乃。

 頑張ることがわからなかった時期に
 日奈子さんがめちゃくちゃリハーサルで頑張ってるのを見て
 こうやって頑張るんだ、って思えた

その顔を隣でじっと見ながら目を潤ませる北川悠理。
きっと彼女にだって思うところはあって。

5期生の加入。そして中西アルノの抜擢センター。

そんな状況で現在のアンダーメンバーたちが抱える不安を受け止めてきた北野日奈子が卒業してしまう。

だからこそ。

この日のライブ序盤できいちゃんはファンにこう語りかけたのです。

 アンダラに来ない乃木坂ファンにアンダーの魅力を伝えてほしい

思えば初期アンダラもそうでした。

超選抜メンバーのファンの多くはアンダラに全く興味がありませんでした。
さらに悪いことに一部にはアンダラを「アンダーメンバーのガス抜き企画」と揶揄する人たちさえいました。

そんなアンダラが瞬く間にファンの支持を集めたのは、メンバーの熱気とそれを観たファンの口コミによるもの。

2ndシーズンで大きなムーブメントになり、翌年には武道館に到達。
最少最弱と言われた17thアンダラ東京体育館も成功させ、東京近郊では1万人キャパの会場で行なわれることが当たり前になって。
アンダーの地位はかつてとは比べ物にならないくらい向上しました。

しかし、メンバーが大きく入れ替わりファンも入れ替わった現在。

再びアンダラ黎明期と同じように「超選抜メンバーのファン」のアンダーに対する関心が低くなっているように思います。

かくいう私もアンダラの会場に行ったのは2018年末の武蔵野の森が最後。

コロナ禍以降の配信も毎回観ているわけではありませんし、この翌日からのアンダラも正直迷っていました。

私は今も初期アンダラの反骨の炎が燃え盛った、切羽詰まりまくった空気が忘れられずにいます。
そのためアンダーメンバーにも色々な仕事があるという現在の状況を嬉しく思いながらも、どこか物足りなさのようなものを感じていたのも事実です。

でも。

この日のメンバーたちの姿、そしてきいちゃんの言葉に背中を押されて配信チケットを購入しました。

観なければきっと後悔する。

そんな予感めいたものがありました。



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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

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びーむ色調補正3
2022年3月24日、「フライパン曲げてたあの娘」こと北野日奈子のラストステージ。

彼女の卒業発表の際の記事はこちら。
 

全曲センター、でもワンマンショーじゃない


セットリストはこちらです。

Overture
01. 気づいたら片想い
02. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
03. ハウス!
04. ロマンスのスタート

<アンダー曲コーナー>
05. ここにいる理由
06. 嫉妬の権利
07. 別れ際、もっと好きになる
08. 不等号
09. 風船は生きている
10. ブランコ
11. アンダー

<ユニットコーナー>
12. 君に贈る花がない
13. ゴルゴンゾーラ(センター:吉田綾乃クリスティー)
14. 大人への近道(センター:北野日奈子、林瑠奈)
15. 隙間
16. ゆっくりと咲く花

17. バレッタ
18. Route 246
19. ガールズルール
20. 裸足でSummer

21. 僕だけの光
22. 日常

EN1. 忘れないといいな
EN2. 君は僕と会わない方がよかったのかな
EN3. 乃木坂の詩

基本、全曲センター。

それなのに全然「自分が自分が」という感じがしませんでした。

同じ時間を歩いてきたここにはいない仲間たち。
この日一緒にステージに立ったアンダーメンバーたち。
その両方に対するきいちゃんの愛が溢れるライブでした。

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以下に印象に残ったシーンを列挙します。(主語目的語が省略されている場合はすべて北野日奈子です)

まずこの日のビジュアル仕上がってるメンは林瑠奈佐藤楓もかなり目を引きました。
そして常に余裕を感じさせる阪口珠美のパフォーマンス。
バリエーションが豊富になった佐藤璃果の表情も良かった。

開演前の影ナレの時点で「泣くな林!」と声をかけてあげたくなりました笑

途中のMCで「意味合いがある曲を歌いたくて」と本人が語った通り、ひとつひとつの選曲に意味が込められたかなりグッとくるセトリ。

初選抜の『気づいたら片想い』。
アンダラ2ndシーズン『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』。
『咄嗟』のイントロで力んでいる表情があの頃の拙かったきいちゃんを思い起こさせます。

自身初のアンダラ『ここにいる理由』。
2期生全員アンダー『嫉妬の権利』。この曲では吉田綾乃クリスティー金川紗耶松尾美佑のスタイリッシュさが際立っていました。

特に金川紗耶の、このアンダー曲コーナー衣装での足の長さたるや。

『別れ際、もっと好きになる』。
選抜落ち即アンダーセンターとなった堀未央奈への複雑な感情。

『不等号』。
その堀ちゃんとWセンターでアンダーでの武道館という目標も達成したのに、それでも選抜に入れなかった中元日芽香の無念。

『風船は生きている』渡辺みり愛!『ブランコ』寺田蘭世!
同期ふたりの、長くアンダラを支え続けたふたりの代表曲。

そして様々な思いがこみ上げる『アンダー』をフルコーラスで。
Aフレで感極まったきいちゃんですが、ラストでは「やり切った」と言わんばかりの笑顔を見せます。

MCで和田まあやが語った「きいちゃんって努力・感謝・笑顔を全部持ってるな」という言葉。

サンクエトワール最後のひとりとなったきいちゃん。
『君に贈る花がない』は阪口珠美佐藤楓金川紗耶佐藤璃果と共に披露。
なんか「いい5人だな」と思いました。

『ゴルゴンゾーラ』では吉田綾乃クリスティーがセンター。半泣きの向井葉月

『大人への近道』。
Aフレを託された林瑠奈のボーカルの安定感、そして美しさ!

『隙間』!『ゆっくりと咲く花』!

2期についての「他の人がスッと通れる道をどうしてもスッと通れない人たち」というコメントも印象的でした。

そして『バレッタ』。

最近の卒コンでたびたび見られる「呪縛を解く」。
既に卒業したメンバーの強烈な印象がついている楽曲を、その日卒業するメンバーが歌ってみせることにより「これからも歌い継いでいってもらいたい」という願いを残すもの。

この日、きいちゃんも呪縛を解いてみせました。

個人的にはアンダラ3rdシーズンでこの曲を彼女がセンターで歌った時のことを凄く憶えています。
大間奏の花道を前に出てくる時に「にへへへへ~っ」て笑ったんですよ。懐かしい。
7年経ったこの日も相変わらずヘラヘラしてました笑

『Route 246』は現在のアンダーダンスメンの見せ場ということかな?

『ガールズルール』で「がおー」。

悲願の選抜復帰を果たした『裸足でSummer』。

「ステージの上でなかなか笑顔になれなかった頃」。
アンダラ九州シリーズをそう表現してから流れたのは、当時本編ラストで披露されていた『僕だけの光』ピアノバージョン。

北野日奈子のラストラン、『日常』。
イントロで既に目がバキバキになるきいちゃん。
「もうこれで見納めか」というこちらの感傷など委細構わずなぎ倒すような、圧巻のパフォーマンス。
乱れた髪の佐藤楓の美しさ。

アンコールは卒業セレモニー。

挨拶、そして『忘れないといいな』。
すごくいい曲。でもだいぶ『Swallowtail Butterfly』に似てますね笑

そしてなんとここで『君は僕と会わない方が良かったのかな』!

「大切な友達」中元日芽香の代表曲。
アンダラ3rdシーズンのブルーシアター。2017年東京ドーム。武蔵野の森。
いつものようにピンク一色に染め上げられる観客席。
久保史緒里が号泣していたに違いありません。

ラストは『乃木坂の詩』。

Wアンコールでもう一度登場したきいちゃんは最後にこう叫びました。

 どうか乃木坂46のことを愛し続けてください!


続きます。

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前の記事では盟友・ひめたんとの別れまでを書きました。

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新たな伝説、新しい絆


『アンダー』以前から体調が思わしくなく不安定な活動を続けていた北野日奈子。

19th『いつかできるから今日できる』は選抜に復帰しますが、20th『インフルエンサー』は正式に活動休止。

20th期間に行なわれた生駒里奈卒業コンサートに参加したものの、まったく笑顔をつくれていなかった彼女の姿を今も憶えています。

21stアンダー曲『三角の空き地』から段階的に復帰し、本格復帰となったのは続く22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』。

そのアンダー曲である『日常』のセンターに任命されたきいちゃんはアンダーライブ関東シリーズ(東京公演だけでしたが)の座長になります。

そして迎えた2018年12月、武蔵野の森総合スポーツプラザ。

アンダーライブに新たな伝説が生まれます。

「初期アンダラのような熱いライブをしたい」

その想いでひとつになったメンバーたちはその言葉通りのライブを繰り広げます。
圧巻だった本編最終ブロック。きいちゃんのソロダンスから始まった怒涛のダンス曲連打から最後は『日常』。

まさに鬼気迫るパフォーマンスでした。

これ以降『日常』は北野日奈子の代名詞またライブのブチ上げ曲として定着し、2022年の46時間TV内での「バナナ&メンバーが選ぶ! ベストソング歌謡祭」でも見事1位を獲得します。

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この日に生まれた新たな絆もありました。

ここが本格復帰の場となった久保史緒里。
彼女はきいちゃんと同じように体調を崩していました。

3期生加入当初からエース格として活躍していた久保ちゃん。
順調ならきっと経験することがなかったであろうアンダラ。それが様々な要素が絡み合って参加することになります。

元々アンダラ東北シリーズを観て乃木坂入りを決意したという彼女。一度歩みを止めてしまった彼女のリスタートとしてこれ以上に相応しい場所はありませんでした。

名曲『私のために 誰かのために』で伊藤かりん、伊藤純奈と鳥肌もののハーモニーを奏で『君は僕と会わない方が良かったのかな』でピンクに染め上げられた花道を涙を流しながら歩いた久保ちゃん。

このステージを観ていた井上小百合は後にこう語りました。

 久保ちゃんがたまに、ひめたんに見えました

彼女が元気に活動している現在があるからこそ言える言葉ですが、久保ちゃんがアンダラを経験できたのはグループにとって本当に意味のあることでした。

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その後のきいちゃん


アンダラの大成功を手土産に23rdシングル『Sing Out!』で選抜復帰を果たしたきいちゃん。そこから3枚連続で選抜入りし、とうとう選抜に定着したかと思われました。

しかし26thシングル『僕は僕を好きになる』。
白石麻衣卒業後の乃木坂を見せるシングルで、きいちゃんは選抜から外れました。

私もこの采配には大いに疑問を感じ、以前に記事にしました。

続く27th『ごめんねFingers crossed』もアンダー。

しかしこの選抜発表後のブログで彼女はこんな言葉を残しています。

 グループにいる限り、表題曲を歌う選抜メンバーを目指すことがあるべき姿だと。
 ずっとそう思っていたけれど26thアンダー後にファンからかけられた多くの暖かい言葉で頑張ってきて生まれた思いは、本来なりたかった形態を無理にでも追いかけるのではなく違う形に進化をしてなりたかった自分を超える自分になることだと思いました。

さらに28th『君に叱られた』で選抜復帰した際のブログ。

 私がいまグループにいて強く思っていることは
 大好きな乃木坂がずっとずーっと幸せにスクスクと育つことで、大好きな先輩達が見てきた守ってきたモノを守り続けること繋いでいくことで、
 大切な後輩の皆んなが楽しく大事に活動をして、日に日に乃木坂への愛を積み重ねてくれたら
 私は十分に嬉しくて幸せだって思います!

かつて「同期は私が守る」と語っていたきいちゃん。
いつしか後輩たちについて「守りたい子たちができた」と言うようになります。

先輩が好き。同期も好き。
そして後輩も好き。

要するに乃木坂大好き。

この心境に達した彼女はついに「今どこにいたって やるべきことって同じだ」という『アンダー』の歌詞を自分自身のものにすることができたのです。


いい意味で、最初から最後まで普通の女の子っぽかった。

特技はオーディションでも披露したという「雑誌を引きちぎる」
後に番組内で見せた「フライパンを曲げる」と合わせ、彼女は怪力キャラとして認知されるようになります。

もうひとつ「がおー」も忘れちゃいけませんね。

「のぎ天」のアスレチックロケで、チャレンジする時に早出さんから「北野さん、がおーやっておきますか?」と問われ「やりません!」と笑顔で全力拒否していたのがなんか好きでした。

明るく無邪気で天真爛漫。
でも実は過去に学生時代の辛い経験がありました。

色々なことを乗り越えて、楽しい時、嬉しい時にそれを全開で表に出せる今のきいちゃんは本当に素晴らしい。

本当によくぞここまで体調を戻し、よくぞここまで活動を続けてくれた。
そんな気持ちでいっぱいです。


最後に卒業後の彼女について。

ずっと動物保護に関係する仕事をしたいと言ってきたきいちゃん。

その夢が叶えばいいなと素直に思いますし、そのために「芸能人」や「元乃木坂メンバー」という肩書が有効なのであれば芸能活動を続けるのも選択肢のひとつだと思います。

でも私の正直な気持ちを言えば、「何でもいい」。

きいちゃんがいつまでもあのくしゃくしゃの笑顔でいてくれさえすれば、もうそれだけで嬉しいです。

北野日奈子さん、9年間本当にお疲れさまでした。



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2022年1月31日、公式ブログで北野日奈子さんが卒業を発表しました。

彼女がそのブログでポジションについて書いていたのがとても印象に残りました。

ずっと自分のポジションに翻弄され、だからこそ最後までポジションにこだわっていた彼女。

その歩みを振り返ります。

乃木坂の歴史でたったふたり


ボーダーメン。

乃木坂において、選抜とアンダーのボーダーライン上にいるメンバーを指して使われる言葉です。

私もこのブログ内で便宜上使うことがありますが、本当はこの言葉が好きではありません。

どこか揶揄する響きがあること、そして自分の推しである井上小百合もそう呼ばれていたことがその理由です。(もちろん私が使う時は揶揄する気持ちは一切ありません)

実際には選抜固定メンなのに相対的に握手人気が低いためにそう呼ばれたり(さゆがそのタイプでした)、ずっとアンダーでも選抜発表のたびにファンの間で俎上に載せられるメンバーをこう呼んだりと色々なパターンがあります。

でも個人的には本当の意味でボーダーメンと呼べるのは、乃木坂の歴史でたったふたり。

中元日芽香と北野日奈子だけだと思っています。

初期から選抜硬直化が顕著だった乃木坂。それがさらにガッチガチになったのが11thシングルから12thシングルにかけての期間でした。

いわゆる「お試し選抜」が10thまでで全員完了。超選抜に対するアンチテーゼだったアンダーライブからもその立役者である伊藤万理華と齋藤飛鳥が11thで、井上小百合は12thで選抜復帰し以降は選抜固定メンに。同時期には生駒里奈と松井玲奈の交換留学も解除されました。

これをもって初期乃木坂=1期生と2期生の世界はほぼ完成を見ます。

私は以前に『羽根の記憶』の楽曲考察でこれとほぼ同じことを書いていました。

 こと「1期生」というくくりでは全員のビジュアルがひと通り洗練され完成の域に達したのはこの頃

 乃木坂を乃木坂たらしめたのは間違いなく1期生たちで
 そんな彼女たちの作り上げた世界の完成形こそ、この頃から翌2016年6月にまいまいが卒業するまでの1年にも満たない期間



当時の選抜メンバーを並べるとそれが良くわかります。

白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理
生駒里奈、生田絵梨花、星野みなみ
西野七瀬、桜井玲香、若月佑美
衛藤美彩、高山一実、秋元真夏
伊藤万理華、井上小百合
齋藤飛鳥、堀未央奈
深川麻衣

ここまでで既に17人。

当時の乃木坂は選抜が16~18人で構成されていたことを思えば、これは選抜に全く空きがないに等しい状態でした。

この絶望的ともいえる状況下で「どうすれば選抜に入れるんだろう」と悩み迷い苦しんだアンダーメンバーたち。

そしてこの17人に最も肉薄したのがひめたんときいちゃんでした。

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ここでいったん話を戻し、彼女の経歴をざっと振り返りましょう。

2013年3月、2期生として乃木坂46に加入。5月に『16人のプリンシパル deux』と『乃木坂って、どこ?』でお披露目。

堀未央奈に続く2期生のNo.2として8thシングル『気づいたら片想い』で初選抜。
もちろん単独抜擢センターだった堀ちゃんからはとても離れた2番手ではありました。

そしてその8th期間中に彼女は打ちのめされます。

加速度的に洗練の度合いを高めていた当時の1期生たちの中で、メイクもダンスも素人感満載だった彼女は(堀ちゃんもですが)浮いていました。
正直、全然ついていけていなかった印象です。歌番組で表情を作れずにこわばった顔で踊る姿を強烈に憶えています。

当然のように続く9thで彼女は選抜から外れました。
2期生抜擢第3弾もなし。「自分がダメだったから続かなかったんだ」当時そう思ったと後にきいちゃんは語っています。

しかし彼女がアンダーに合流した9thシングルは伊藤万理華率いるアンダーライブ・ファーストシーズンの時期でした。
さらに伝説のアンダラ2ndの激動の日々もくぐり抜け、アンダラ黎明期の熱気を体感したきいちゃんは大きく成長します。

個人的には3rdシーズンを観に行った時に、以前はとにかく「踊れない」印象だった彼女が笑顔で楽しそうにダンスする姿に感心したことを憶えています。

その後「アンダーのキャプテン」永島聖羅の卒コンでは「らりんさん、卒業許しません!」と叫んだり、初期アンダラの妹キャラとしてファンからもメンバーからも愛されました。

そしてついに扉は開きます。
待望の選抜復帰は15th『裸足でSummer』。そこから17th『インフルエンサー』まで3作連続選抜入りを果たしました。

しかし18th『逃げ水』でアンダーへ。19thでは選抜復帰するも20thは活動休止。21stのアンダー曲『三角の空き地』から限定的に活動を再開。

そして22ndアンダー曲『日常』ではセンターを務め、これが彼女の代表作となります。

23rdで選抜復帰するとここから25thまで3作連続で選抜入り。
しかし26th、27thはまたアンダーに。28thは選抜入り。

彼女の歩みを列挙すると下のようになります。

 8th 選抜、9th アンダー、10th アンダー、11th アンダー、
 12th アンダー、13th アンダー、14th アンダー、
 15th 選抜、16th 選抜、17th 選抜、
 18th アンダー(Wセンター)、19th 選抜、20th 活動休止、
 21st アンダー、22nd アンダー(センター)、23rd 選抜、
 24th 選抜、25th 選抜、26th アンダー、27th アンダー、28th 選抜、
 29th 卒業

20枚のシングル表題曲に参加し、選抜9回、アンダー11回。そして活動休止1回。

彼女自身が述べた通り「選抜アンダーと繰り返し、自分のポジションと向き合ってきた9年間」でした。

15thシングル『裸足でSummer』。盟友ひめたんと共に選抜復帰。堀ちゃんを加えた3人での「サンダル脱ぎ捨て隊」はフレッシュな印象を残します。
しかしそこで選抜から外れたのは伊藤万理華と井上小百合というアンダラの立役者ふたりでした。
握手会の完売実績だけを見れば生駒里奈や星野みなみ、松村沙友理や高山一実も大差はなかった。それでも落とされたのは「さゆまり」のふたり。

この事実にアンダーメンバーのファンは突きつけられます。

選抜聖域メンの牙城は決して崩せない。
所詮はアンダー同士での潰し合いだ。

別にそのせいだとは言いませんが、中元日芽香は17thシングルで活動を休止します。
きいちゃんも18thシングル『逃げ水』で組まれた「新人抜擢センターをその時点の最強メンバー支える布陣」からは漏れます。

そのふたりがWセンターとして歌った18thシングルアンダー曲が『アンダー』。

当時、人はこんなにも無神経になれるのかと怒りを覚えました。秋元康に対し。運営に対し。

そこで歌われたのはアンダーメンバーはスポットライトが当たらなくてもステージを支える存在であると、そして「まだ咲いていない花」であるというあまりにも雑な慰めの言葉でした。

そもそも劇場を持たない乃木坂のアンダーに対し「ステージを支えてる」という言葉を用いること自体、彼女たちの状況に一切関心のないことが透けて見えます。

アンダーメンバーの心を破壊したと言われ、当時「魔曲」とまで呼ばれたこの曲。

これを最後に中元日芽香は卒業します。

そしてひめたんにとって最後のアンダラとなった九州シリーズ。

しかしWセンターのふたりが共に体調不良でどちらかが欠場という状態が続きます。必死にそれを支えた樋口日奈をはじめとするメンバーたち。
そしてふたりが揃った福岡公演最終日。

ついにWセンターで披露した『アンダー』。
イントロで抱き合うふたりのシルエット。
ラスサビでひめたんの頬をつたった涙。

あまりにも残酷で
悲しいほどに美しい
忘れられない名シーンです。


続きます。


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浴びせられた冷や水


前回の46時間TV、記事の最初を私はこんな言葉で始めていました。

 毎回そうなんです。

 観ている間はちょっぴりグダグダ感を感じていたはずなのに。
 終わりが近づくにつれてこみ上げる「やっぱ乃木坂だな!」感。
 そして終わった後の強烈な乃木坂ロス。

 4度目の『乃木坂46時間TV』。
 今回もやっぱり同じでした。

前回(2020年)乃木坂46時間TVの記事:


そして迎えた5度目の46時間TV。残念ながら今回は「やっぱり同じ」ではありませんでした。

理由はご想像の通りです。

前日深夜から立ち込めていた暗雲。

『乃木坂工事中』で発表された29thシングルの選抜メンバー。

既に「29thセンターは5期生の中西アルノ」という(結果的に的中だった)リークも、加入前の彼女に関する良くない噂(こちらの真偽は存じません)も目にしていました。

発表されたのは齋藤飛鳥と山下美月というエース格ふたりにキャプテンと副キャプテンまでつけた「保護者4人」というフロント。そして5期生からたったひとりでの抜擢センター。

私はこの時点でリークが事実であることを確信しました。

例えば5期生抜擢センターが井上和さんであったらきっとこういう構成にはならなかった。恐らく4期生の時と同様に3人同時登用になったと思います。

しかしそうではなく、この違和感バリバリのフォーメーション。
特にキャプテンである真夏さんフロントの違和感が凄い。
それが指し示すものは、5期生の中でもファンが諸手を挙げて歓迎するタイプではない「誰か」の抜擢。

間もなく始まる46時間TVのラストにそのセンター披露が控えていると思うと、始まる前から冷水を浴びせられた気分でした。

余談ですが「あれ?もしかして真夏さん初フロントか?」と思って調べたら17th『インフルエンサー』以来5年ぶり2回目なんですね。
本人はもうポジションがどうこうというのはないでしょうが、こういう形で引っ張り出されるのは真夏さん推しの方からすると複雑なのではないでしょうか。


まあ言いたいことは山ほどありますがこれは46時間TVの記事ですので、まずはざっと時系列で印象に残った場面をピックアップしていきます。

「どうせ1週間ぐらいはアーカイブあるだろう」と思ってほとんどメモを取っていなかったのでいつものライブLVレポに比べてすごく粗いですが笑(時系列も間違っていたらすみません)

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。


DAY1


まずオープニング、『乃木坂配信中』での予告通りコスプレで登場した梅澤美波田村真佑与田祐希

そしてオープニングアクトを務めたのは齋藤飛鳥
『浅草キッド』にインスパイアされてのタップダンス。
見守る今野さんと菊池さんのカットイン。やり切って倒れこむ飛鳥。
後でファンの方から送られてきたイラスト「乃木坂キッド」も素晴らしかったですね。あれTシャツにしてほしい笑

書道パフォーマンスの筒井あやめ
まさに「凛」。
タスキを結ぶところから始めるのが良いですね。それにしても綺麗な顔してんなあ笑

大運動会のチーム分けのために行なわれた全メンバーの50m走タイム測定。

走る前の煽りVの中で「普段走ったりしないんですか?急いで駅に行く時とか」と聞かれて「駅?タクシーで行っちゃう」と素直に答える岩本蓮加
嬉しそうにニコニコ笑いながらダサい走り方をする山下美月(凄く褒めてます)。

3期生が集まってカメラに映るといつも後ろでジャンプする与田祐希

オープニングの時点で「電視台でティモンディ高岸さんインスパイアキャラをやるのでもしよかったら来てください!」と言っていた清宮レイ
願いが叶ってご本人登場。本物の横でもフルスロットルで走り続けるレイちゃんが素晴らしい。

そしてこの日のハイライトは「バナナ&メンバーが選ぶ! ベストソング歌謡祭」。

 その曲その曲に思い出があるから

これ、メンバーが言うならわかりますけどバナナマンの言葉なんですよ。

それってなんかもう、ファンじゃん。

10年半乃木坂を見守り続けてくれているおふたりの愛情。
この日はMCではなくひな壇での参加だったのでそれが素直に出ていたように思います。

齋藤飛鳥の「日村さんが好きだから」日村さん「やぁった!」設楽さん蹴りを入れる、の流れも良かった。

『裸足でSummer』について北野日奈子が語った「どうすれば選抜に入れるだろうねってひめたんと一緒に必死に考えていた時期で」という言葉。

弓木奈於「生田絵梨花さんっていう先輩がいて」への日村さん「知ってるよ!」の速さ。

佐藤楓が語った西野七瀬への想いも強く印象に残りました。

彼女が加入前からなーちゃんファンなのは知っていました。『帰り道は遠回りしたくなる』が初選抜なのももちろん知っていました。
でもでんちゃんにとって「推しの卒業シングルにギリギリ間に合った選抜入りだった」というのは個人的には気づいていなかったなあ。彼女も「最後の切符を掴んだメンバー」だったんですね。

「ベストソング歌謡祭」が終わり再び電視台へ。

賀喜遥香は「46時間、生絵カキ!」。46時間中にメンバー全員を描いたイラストを完成させるというチャレンジ企画であることを発表。衝撃的な量のコピックペンが衝撃的でした。

人狼が始まるところまで観てこの日は寝ました。


DAY2以降に続きます。


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