ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:卒業

タオル補正
2025年9月16日、公式ブログで久保史緒里さんが卒業を発表しました。

「よだももくぼした(与田祐希、大園桃子、久保史緒里、山下美月)」もとうとう全員卒業です。

エースにはなれなかったけれど


これまで当ブログでは彼女の乃木坂人生について、3期4強「よだももくぼした」の物語として繰り返し取り上げてきました。

特に初めて表題センターに立った32rd『人は夢を二度見る』選抜発表の記事ではかなりじっくりとその歩みを振り返り「大河」だったと書いています。
まずはこちらの記事をご一読いただければ幸いです。

関連記事:



当記事ではそこと少し切り口を変えて彼女のポジションについて書きます。

小学生の頃から乃木坂ファンだった久保ちゃん。

2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに無事合格。
同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

第一印象は「折れちゃいそう」
いや、乃木坂メンバーの多くが折れちゃいそうではあるんですけど。
とにかく初期の久保ちゃんは細くて白くていつも瞳をウルウルさせていて幸薄そうでした。

『NOGIBINGO!8』でブリーフ姿のイジリー岡田さんに泣きじゃくりながら「なんで裸なんですか~」と抗議していたのが懐かしい。

タレント性が高くそれゆえに「乃木坂っぽくない」「AKB的」と言われていた(あくまでも当時の感覚とすれば、です)3期生の中にあって、最も「乃木坂感」を感じさせるメンバーでした。

初の3期生楽曲『三番目の風』ではフロント脇、『3人のプリンシパル』でも15戦11勝とトップの戦績と早くから頭角を現します。

18thシングル『逃げ水』の抜擢センターこそよだももに譲ったものの、同時期には雑誌『Seventeen』で3期生初の専属モデルに。

19thに収録された『不眠症』ではなんと選抜入りしていないのに表題曲の選抜メンバー+よだももを従えてのくぼしたWセンター。続く20th『シンクロニシティ』では初選抜初福神、さらによだももくぼしたのユニット曲『言霊砲』。

まさに順風満帆

しかし2018年6月、久保ちゃんは体調不良により活動を休止します。
初選抜初福神という「一番大切なタイミング」でした。

ここで休めたのは英断でした。
当時弱冠18歳の久保ちゃんが不安定な体調のまま選抜固定メンバーとして活動するのはきっと無理だったでしょう。

それでも彼女の復帰と時を同じくして4期生が加入。
早くも時代は移り変わろうとしていたのです。

コロナ禍、白石麻衣卒業。
大きな転換点となった26thシングル『僕は僕を好きになる』のセンターは自身初となる山下美月。久保ちゃんはその隣で初のフロントとなりますが、明らかに「支える側」。

そこから齋藤飛鳥卒業となる31stシングルまでフロントは飛鳥よだやまかきさくの5人でほぼ固定。久保ちゃんはその間ずっと2列目

悲願の初センターを掴んだのは32nd『人は夢を二度見る』。盟友美月とのWセンターでした。

その後35th『チャンスは平等』まで3作続けてフロントを保ちますが、36thから40thまではすべて2列目でした。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。
20枚のシングルに参加しWセンター1回、それ以外のフロント4回。
2列目12回、3列目2回、そしてアンダー1回。

センター経験こそありますが、数字だけ見れば「2列目の人」です。
ポジションでいえば堀未央奈と秋元真夏の間ぐらいでしょうか。
最後まで「エース」やそれに次ぐ「エース格」(フロント固定でセンター候補ぐらいの意味で使っています)になることはありませんでした。

ストレートに言えば「アイドルとしての人気」ではよだやまに及ばなかった。
まあそのふたりは握手会場の並びも写真集売上でもグループ史上屈指ですけれど。

それでも乃木坂ファンの多くは彼女を「2列目の人」と呼ぶことに違和感を感じるのではないでしょうか。
なぜならそれだけの存在感を示し続け、グループに多くのものを残したからです。

そもそも久保ちゃんは「乃木坂のエース」になりたかったのでしょうか。
その夢を諦めてはいなかったように思います。32ndでWセンターに選ばれた時にもそれが窺えるコメントをしていましたし。

でも、彼女にはもっとなりたいものがありました。

「先輩たちみたいになりたい」
久保ちゃんはこの言葉を本当に何度も何度も口にしてきました。

そして、その夢はかなった。

大園桃子の卒業で終わった「よだももとくぼしたの物語」。(与田祐希卒コンという夢のようなエピローグがありましたが)
32ndシングルのWセンターで終わった「くぼしたの物語」。

「3期生のエース」から「乃木坂のエース」へと至る、大河と呼ぶにふさわしい物語でした。

そのふたつが終わってもなお続いた「久保史緒里の物語」。

それは「先輩たちみたいな人」になるまでの9年間の軌跡だったのです。

彼女はいかにしてそこに辿り着いたのか。次の記事ではそれを書きたいと思います。


続きます。


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2025年2月28日、公式ブログで中村麗乃さんが卒業を発表しました。

はじめ「ちょこれーの」のち「れのリカ」


2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。
同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

第一印象は「ジャイアント・ベイビー」

とにかく幼かった。

中学生にして既に未亡人のような雰囲気を漂わせていた久保史緒里。
どこか年齢不詳で実際にビジュアルイメージは卒業まで基本変わらなかった阪口珠美。
(どちらも悪口ではありません)

同い年のふたりと比べると新・中3トリオの中でもひときわ幼く見えました

既に長身で小顔という抜群のスタイルだっただけに、そのフワフワポワポワしたあどけない表情はかえってアンバランスさを際立たせていました。今だから言えますが、個人的にはどこか「居心地の悪さ」さえ感じたものです。

改めて観返すと2017年7月の神宮ライブの時点で童顔ではあるものの既に髪型やメイクは洗練されてきていましたし、2018年の6thバスラ「シンクロニシティライブ」ではかなり締まった顔つきになっていたのですが。(実際に私がそれに気づくのはさらに1年ぐらいを要しましたが…)

そして、握手人気では当初から大苦戦します。

少しずつ完売部数を上げていきますが、同期の中でも下位から抜け出せずにいるうちに4期生が加入。そこからはさらに苦戦を強いられ、追い打ちをかけるようにコロナ禍。
25thシングルからしばらくの間は「完売ゼロ」という状況が続きました。

冠番組でもなかなか目立った活躍ができませんでした。

弟さんが高山一実のファンで全国握手会の鍵開けをして「れののおとうとです」と名乗るエピソードは可愛かったのですけれど。

2018年1月放送の『乃木坂工事中』における「第2回 頭NO王決定戦」でれのちゃんは2代目頭NO王の栄冠を手にしてしまいます。

まだ若かった(当時高校1年生)彼女にはそれを「キャラ」として受け入れることが難しく本気で嫌がります。
まあ、そりゃそうですよね。キャラにまで昇華させた和田まあやと弓木奈於が偉大なだけです。

自分でそれをネタにできるようになったのは3年近く経過した『ノギザカスキッツ ACT2』あたりからでしょうか。

握手人気で出遅れ、冠番組でも見せ場を作れなかったれのちゃん。

それでも運営は彼女のポテンシャルを信じ「何かひとつきっかけを掴めば」と思っていた節があります。

何かひとつ。

例えば、「歌メン」として。

2019年末の3期4期ライブでの『私のために 誰かのために』。
彼女は久保史緒里、遠藤さくら、賀喜遥香というエース級と並んで歌唱メンバーに選ばれます。

そして翌2020年2月、ナゴヤドームでの8thバスラでも同曲を歌いました。
今改めて観ると緊張ゆえか硬い歌唱でしたが、それでも運営が彼女のポテンシャルを高く評価していることがファンにも伝わりました。

アンダー曲でのポジションもそうです。

史上最少人数のアンダラであった23rdアンダー曲『滑走路』ではアンダーフロント抜擢。
28th『マシンガンレイン』でもフロント。どちらも反骨のセンター寺田蘭世の隣だったというのも面白い巡り合わせですね。

そして31stシングルのアンダー楽曲『悪い成分』で初のアンダーセンターを務めます。
握手・ミーグリ人気でずっと苦戦していた割にはアンダーでのポジションは悪くなかったという印象。これも「目につく場所に置けばきっと」という運営の期待ではないでしょうか。

そして舞台

スタイルの良さと大きな目という舞台映えするビジュアルと歌唱力。そんな彼女のストロングポイントを最大限に活かせる場所がここでした。

2019年1月に『逆転裁判〜逆転のGOLD MEDAL〜』のヒロイン役として初めてグループ外舞台に出演。
以降、コロナ禍による公演中止や延期にたびたび見舞われながらも継続的に舞台出演を続けます。

それが実を結んだのは2023年1月のこと。

オーディションでミュージカル『Endless SHOCK』のヒロイン、リカ役という特大の外仕事を掴んだことが発表されたのです。

KinKi Kidsの堂本光一さん主演。
初演から21年間、全日程即日完売。「もっともチケット入手が困難な舞台」とも言われるお化け舞台。
実に53日間55公演。しかも帝国劇場。

この作品で彼女はふたつの夢を叶えます。

ひとつは帝国劇場のステージに立つこと。
もうひとつは憧れの神田沙也加さんと同じ役を演じることでした。

そして33rdシングル『おひとりさま天国』で加入7年目にして初の選抜入りも果たします。

こうしてれのちゃんはグループ在籍中に自身の夢を叶え、未来への道を大きく切り拓いたのです。

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床に落ちて転がるハートのサイコロみたいな


彼女の道行きを振り返って思うこと。
それは「乃木坂は夢への最短距離だ」ということ。

(以下の内容をご本人や彼女のファンの方に納得いただける自信はありませんが…)

時々議論される大人数アイドルグループに所属することの是非。

そこで「非」の理由としてよく言われるのが「アイドルで身に付くスキルは卒業後のキャリアで役に立たない」。だから「将来の夢がある人間がアイドルを続けるのは時間の無駄である」。

これはまあ、わかります。
アイドル時代に行っていたことの多くを卒業後には行わなくなりますから。

そもそも本業ともいえる「歌って踊ること」を続けるメンバーは極めて稀ですし、その数少ない例である「ミュージカル俳優」においてもアイドル時代とは違うものが求められます。(れのちゃんも『Endless SHOCK』の時に「ジャンルが違う(ので苦労した)」という趣旨の発言をしています)

それでも。

中村麗乃が弱冠21歳にして『Endless SHOCK』のヒロイン役を射止めたのは、やっぱり「乃木坂だったから」だと思うんですよね。

別に乃木坂の肩書があったからオーディションに合格したというつもりは微塵もありません。
むしろ「中村麗乃だったから」こそできたこと。れのちゃん自身のポテンシャルとグループ内の序列では苦戦が続いていても腐らずに自分の武器を磨いた努力があったからだというのが大前提です。

でも彼女がひとりの女優として個人的にどこかの事務所や劇団に所属して活動していたら。
21歳の時点でその場所にたどり着けた確率は極めて低い、というかほとんどゼロだったのではないでしょうか。

やっぱり「乃木坂46」という環境があったから

憧れの先輩、切磋琢磨する同期、刺激をくれる後輩。
スタジアムクラスのステージに立つという経験。
初の外舞台からヒロイン役をもらえる看板の信頼度。
彼女の適性を信じオーディションの情報を伝えてくれるスタッフさん。
恐らくは高いレベルのレッスンを受けられるコネクション。
そして生活のためにアルバイトをしなくてもいい収入。(これ大事)

決して「舞台俳優として必要なこと」だけに集中できる環境ではないけれど「舞台俳優としての道を拓くための最短距離」だったと言ってもいいのではないでしょうか。

グループ内の序列とかミーグリ人気とか色々悩んだり苦しむこともあるけれど。
全部が全部、自分の将来のためになるというわけでもないだろうけれど。

それでもなお、「乃木坂46にいる」そのことが、夢への最短距離である。

乃木坂がそういう場所であることをファンに対し、そして後輩たちに対して証明してくれた
この点で彼女の功績は極めて大きいと思います。


最後に、これからのれのちゃんについて。

考えるまでもなく、舞台俳優でしょう。
いつの日か生田絵梨花と共演する姿を観たいですね。

場所はもちろん、新しくなった帝国劇場で

中村麗乃さん、8年半お疲れさまでした。



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2025年3月7日、公式ブログで佐藤楓さんが卒業を発表しました。

まずは彼女の乃木坂人生を振り返りましょう。

憧れの背中を追いかけて


2016年9月、乃木坂46の3期生オーディションに合格。応募動機は「憧れの乃木坂メンバーに会えるかと思って」。
同年12月の日本武道館におけるお見立て会で初めてファンの前に立ちます。

第一印象は「地味めスポーツ女子」

タレント性の高いメンバーが多かった3期生の中では正直あまり目立っていなかったように思います。
それゆえかスタート当初、彼女は握手人気で出遅れました。
それでも徐々に人気を上げ、21stシングルで初めて30部フル完売。
その勢いのまま22ndで同期の伊藤理々杏と共に初選抜を勝ち取ります。

その『帰り道は遠回りしたくなる』は「憧れの人」西野七瀬の卒業シングルでした。
最後の最後で「間に合った」。いちファンに過ぎない私ですが今改めて「本当に良かったなあ」と思います。

同シングルでも4次で30部フル完売し23rdでは連続選抜。このまま選抜常連へとステップアップするかと思われました。

しかし。
この2作連続で選抜されたでんちゃんと理々杏のふたりはヘイトを集めてしまいました。

ただそれも無理はないのです。
さほど差のない完売速度だった「アンダラのスター」たち、樋口日奈や斉藤優里そして2期生アンダーセンター経験者を差し置いての選抜でしたから。

それと時を同じくして4期生たちが握手会に参加し始め、2期3期の何人かが完売速度を落としたりフル完売できなくなります。

でんちゃんもその影響を免れることはできませんでした。
23rdはフル完売を逃し、24thと25thではフル完売に戻す粘りを見せますがそれでも徐々に完売速度を落としていきます。

このあたり、やはり3期生は本当に苦しかった。

レジェンドたちの握手免除による「ファン流し」の恩恵は確かに受けましたが、4期生加入までの期間は2年間しかありませんでした。4期と5期の間は3年強、5期と6期も3年です。(ちなみにグループ史上最短は1期と2期の間の1年7ヶ月)
「最初から超人気だったメンバー」以外が自分の支持基盤を確固たるものとするには少々時間が足りなかったように思います。

そしてこのタイミングでコロナ禍。
握手会はオンラインミーグリへと変わり、何度も書いてきたようにミーグリ人気は二極化します。

26thシングル以降、でんちゃんはフル完売できなくなりました。

「あざといこととか一切できない」彼女にとって、画面越しの瞬発力勝負であるミーグリはあまり相性が良くなかったのかもしれません。
皮肉にも、彼女のビジュアルが完成の域に達したのはちょうどこの頃だったと個人的には思っています。

29thシングル収録の『届かなくたって…』では初のアンダーセンター。
「アルノ事変」でグループに猛烈な逆風が吹く中でのアンダラ座長を任されたでんちゃん。
アンコール、急遽アカペラで歌われた『きっかけ』
アンダラの歴史に残る名シーンでした。

関連記事:


続く30th『好きというのはロックだぜ!』で3年3ヶ月ぶりの選抜復帰。
それ以降は3期生全員選抜だった35th『チャンスは平等』で選抜入りした以外はすべてアンダーでした。

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飾らない美しさ


2017年7月『乃木坂工事中』の「内輪ウケものまね大賞」で梅澤美波がやった「感情の起伏が平坦すぎて棒読みになってしまう佐藤楓」。

そこで生まれたのが後に彼女の代名詞となる「ヤラカシタ ヤラカシタ」

「棒読み」「こぼし」
このふたつの要素を含み、一言で彼女の愛すべきキャラクターを表現する秀逸なフレーズですね。

『乃木坂工事中』全ツ密着企画では「全国こぼしツアー」が毎年の風物詩に。
『ノギザカスキッツ』での「AI den」。
最終的にそれは「楓さん正そう軍団」へと繋がります。

あんな綺麗な顔立ちでスポーツも勉強もできるのに、気取ったところがひとつもなくて親しみやすい。
『乃木坂お試し中』でもMCの鈴木拓さんからいつも強めにいじられていたのも厚い信頼の証しですよね。

自身が中高6年間部活でやったバドミントンや、いとこが選手だったことからマニアになった駅伝。(ちなみに2020年度青山学院大学主将の神林勇太さん)
そして『オールスター感謝祭』でのミニマラソンからついには『SASUKE』出場まで、スポーツ関連の外仕事での活躍も目立ちました。


個人的に印象に残っているシーンがふたつあります。

2019年2月、7thバスラの『口約束』
秋元真夏、桜井玲香、中田花奈、若月佑美の「女子校カルテット」のユニット曲。
若の卒業により空いたポジションを埋めたのがでんちゃんでした。

この時の3期生はまだお披露目会から2年ちょっと。
そんな彼女たちが卒業した先輩のポジションを埋めることに一部のファンは過敏に反応しました。
梅澤美波をして「あの頃が一番辛かった」と言わしめるほどに。
(梅ちゃんはこの時に橋本奈々未ポジを埋め、猛烈なバッシングを受けたと言われています)

ましてそもそもプライベートでの関係性から生まれたユニットである女子校カルテット。
怖かったでしょう。

互いに目を合わせながら歌う最後のサビで大粒の涙をこぼしたでんちゃん
曲が終わり「頑張ったね」と言わんばかりに優しく彼女に寄り添った先輩3人。

まさにこれぞ乃木坂というべき、愛に溢れたシーンでした。

先日行われた卒業セレモニーでは岩本蓮加、吉田綾乃クリスティーという同期ふたりとこの曲を歌いました。

彼女にとっても特別な思い出だったのです。

もうひとつは2020年6月、コロナ禍真っ只中での46時間TV。
電視台で奥華子さんの『変わらないもの』を歌った大園桃子を見守ったでんちゃんは涙を流しながらこうつぶやきます。

 桃子には幸せでいてほしい

他人の幸せを願って涙を流せる彼女は本当に素敵でした


卒業発表のブログは素晴らしく彼女の人柄をしのばせるものでした。

先輩に、後輩に、同期に。
そして自分を応援してくれたファンに。

全方位への愛と感謝を伝えるまっすぐな言葉が並んでいます。

決して飾らずどこまでも優しい、私たちの見てきた佐藤楓そのものでした。


最後に、これからのでんちゃんについて。

これを書いている時点では将来についての言及はありませんが、思うことはただひとつ。

彼女の言葉を借りれば

 でんちゃんには幸せでいてほしい

って感じです。

佐藤楓さん、8年半お疲れさまでした。



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前の記事では『逃げ水』が後のグループに与えた大きな影響について書きました。

関連記事:


言い残した想い


2020年3月発売の与田祐希2nd写真集『無口な時間』は推定売上21万部を超えるメガヒット
これは白石麻衣『パスポート』(同44万部超)、生田絵梨花『インターミッション』(31万部超)に次ぐグループ歴代3位の数字。

同時期に発売された山下美月1st写真集『忘れられない人』も19万部超、歴代4位という数字を叩き出し、堂々の3期生2枚看板へと成長します。

齋藤飛鳥+「よだやま」+4期生。
白石麻衣と西野七瀬という大エースふたりが去ってもなお、乃木坂は盤石

私は当時そう感じていました。

ポジションは20th『シンクロニシティ』から31st『ここにはないもの』まで、基本常にフロント

例外は4曲。
4期生抜擢センターの24th『夜明けまで強がらなくてもいい』、1期生全員福神の25th『しあわせの保護色』、5期生抜擢センターの29th『Actually…』。

そしてもう1曲が白石麻衣卒業後最初のシングルである26th『僕は僕を好きになる』。
これも当時は山下美月をセンターにし箔をつけることにより、与田っちょと同格にしたぐらいの感覚でした。(上で書いた写真集メガヒットの直後でしたし)

しかしその後も与田っちょがセンターに立つことはないまま、気がつけば『逃げ水』から5年以上の月日が流れていました。

そして2022年12月末。
週刊文春が彼女のプライベートに関する記事を公開します。

本人は即座にブログで「やましい事は一切ありません」とコメントしました。
それでも次作『人は夢を二度見る』以降、彼女のポジションは基本2列目固定となり明らかに「センター候補」ではなくなります。(唯一フロントに立ったのは3期生全員選抜だった山下美月卒業シングル35th『チャンスは平等』)

実際のところは知る由もありませんが、いちファンに過ぎない私には「懲罰人事」に見えました。

そういう危うさがあったからずっと単独センターにしなかったのか、単独センターにしなかったから危うい行動をとってしまったのか。

それももちろん、わかりません。


27th『ごめんねFingers crossed』に収録された『全部 夢のまま』。

与田祐希の左右に星野みなみと筒井あやめという「可愛い」に全振りした新鮮なフロント。
ブラスとストリングスのアレンジがゴージャスで『I see…』同様に「SMAP感」溢れ、個人的にはかなりの名曲だと思っています。(ちなみに編曲は『I see…』とは別の方です)

これが表題だったら当時も今も、そう思います
でもフロント3人それぞれに違う未来があったかもしれない、なんて考えてしまうのはただの感傷ですね。


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いい8年半だったよ。


彼女の活動を振り返って思い出されるのは『乃木坂工事中』での数々の名シーン。

沖縄ロケで罰ポイント最下位になってハブハンターさせられたり
『フィンクロ』ヒット祈願バンジーでムササビ飛行したり。
「奇想天外!与田クイズ」とか
「スタジオ即売会2022」で58万円のマッサージチェアを値段も聞かずに購入即決とか
「おじさんあるある勉強会」での「私はドジでのろまなカメです!」「寝たい!食べたい!痩せたい!」とか。

最後のバナナマンのおふたりとのパイ投げに至るまで、名場面製造機であり続けました。

そしてもうひとつ、キャリア終盤の与田っちょを語る上で外せないのが後輩たちとの交流。

初センターに先輩センターがアドバイスする「クイズ・パイセンター」で和ちゃんに暖かい言葉を掛けて泣かせたり
活動休止していた掛橋沙耶香を「一緒に乃木坂で活動したい」と励ましたり。
「5期生お歳暮グランプリ」でも井上和と川﨑桜からもらっていましたね。

そして与田っちょ卒業発表後にその川﨑桜が『乃木坂、逃避行。』で筒井あやめに語ったエピソード。

 今まですっごい もう無理だってなった時に 絶対与田さんがいてくれたから
 明日からもう本当に頑張れないなって思ってたら「じゃあ明日ご飯行こう」って言ってくれて
 「これで1週間頑張れます」って言ったら「じゃあ1週間後ご飯行こう」って…

「私は与田さんみたいな先輩になりたい」

これ後輩から言われて一番嬉しい言葉ですよね。


齋藤飛鳥卒コンで「頼れる後輩になれなくて本当にごめんなさい」と泣いたあの子は、大きな愛で後輩を包む頼れる先輩になっていました

「先輩に色々してきてもらったので、ちゃんと返さないとな」

そう言って、当たり前のように微笑みながら。


独特な人でした。

もの凄く綺麗な顔立ちなのに印象は「可愛い」
結構あざといことも平気でやるのに狙ってる感じがしない。
嫌味のない、異次元の愛され力

グループ外の方と仕事をするたびに自分の味方を増やして帰って来ました。
田中要次さん、千鳥大悟さん、ブラックマヨネーズ小杉さん、品川監督…。
どこかの番組で今田耕司さんが「本当に綺麗な顔してんな…」と呟いていたのも印象深い。

猛烈にキャラクターが立っているけれど2次元感がない。
というかむしろ「2次元にもいない」オリジナリティ

『よだちゃん』というタイトルであずまきよひこ先生にマンガ化していただけないものか

今ふと思いましたけど、与田っちょってフォルムが「ちよちゃん」で脱力具合が「大阪」ですよね。
そっかー、そりゃ人気出るわけだわ笑

一頓挫あって人気を落としたけれど、それでもなおグループトップクラスの人気メン。

壊れない、休まない。
正真正銘、最初から最後までトップランナー

与田祐希さん、8年半本当にお疲れさまでした。

あなたを観てきたこの8年半
ずっと可愛かったし、ずっと楽しかった

ありがとう。


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『2019年の乃木坂46』 kindle版
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前の記事では与田祐希の加入から大園桃子とともに抜擢センターに選ばれたところまでを書きました。

関連記事:


当記事ではその続きを。

「よだもも」だけの偉業


『逃げ水』は初のミリオンセールスとなった17thシングル『インフルエンサー』の次という極めて重要なタイミングでのリリースでした。

しかも真夏の全国ツアー時のシングルでありライブのオープニング曲。

後に与田っちょも「体重が8kg減った」と明かしたほどのプレッシャー。
途中、ステージ上で写真集発売がアナウンスされその最初のページを撮影されるというサプライズもありました。

それでも彼女は笑顔でツアーを完走します。

ツアーファイナルとして初の東京ドーム公演。
年末には『インフルエンサー』で日本レコード大賞受賞。

凄まじい勢いで坂道を駆け上っている真っ最中の、その最前線に突然放り込まれて(しかも周囲はもはや完成の域に達している!)それでもどうにかこうにか一緒に走り抜けた。

その一点において「よだもも」は乃木坂史上において彼女たちふたりにしかわからない経験をしているし、ふたりだけの偉業を成し遂げたと言えるでしょう。


そして7年半経過した現在から改めて振り返って思うのは『逃げ水』がグループの歴史上いかに重要なシングルであったかということ。

「1期生後の世界」においても乃木坂46がトップアイドルグループとして存続できるのか否か

その最大の分岐点がここでした。

「新人に貴重なリソースを割きすぎだ」と批判されながらも一歩も引かずに彼女たちを売り出した運営。
「個性が強くて乃木坂感が薄い」と言われながらも懸命に乃木坂46として認められようとくらいついた3期生たち。
その切り込み隊長の役目を見事に果たしたよだもも。

グループの勢いを増し加えた3期生を大方のファンは受け入れます。
乃木坂ファンの間に新人を「(推しの選抜入りを脅かす)異物」ではなく「新戦力」として受け入れる土壌ができたのは間違いなくこの時の成功があったからです。


そしてもうひとつ、『逃げ水』から始まり後にグループの文化となったもの。

それは「先輩が後輩を愛で倒す(めでたおす)」こと

そもそも『逃げ水』がWセンターだったのは、加入当初からの3期センターを務め「運営推し」と目されアンチがついていた桃子を守るため1番人気の与田っちょをセットにして不満の矛先を分散させようとしたのでしょう。

さらに運営は手を打ちます。白石麻衣と西野七瀬の両エースをそれぞれ桃子と与田っちょの「後見人」としたのです。

言うまでもなく「先輩メンバーは新人を受け入れている」というのを目に見える形でファンに示すための「作られた」ペアリング。

しかしなーちゃんと与田っちょの姉妹感は思いの外はまり、なーちゃん卒業後もプライベートで一緒に旅行や食事に行く間柄になります。

もの凄く印象に残っているのが『アップトゥボーイ 2017 SEP vol.257』。

背表紙は「ディス イズ パーフェクト。みんなが見たかった乃木坂46大特集44P。」
表紙は花冠をつけたふたりのツーショットで「フレッシュ、かつ盤石。世界よ、これが乃木坂46だ。」

このあまりにも大上段に構えたキャッチコピーに苦笑しながらも大いに頷いた記憶があります。

後に「懐いてくれて嬉しかった」と語った通り、なーちゃんは与田っちょを愛でます。
それまでどちらかというと孤高の存在だった彼女が「お姉さん」している姿は新鮮かつ魅力的でした。

新人をファンに受け入れてもらうための後見人制度が、先輩の新たな魅力を引き出すという思わぬ副産物を生じさせたのです。

現在まで続く「先輩が後輩を愛で倒す」という乃木坂の文化。
後輩たちが繰り返し語る「先輩がしてくれたことを後輩にもしてあげたい」
すなわち、齋藤飛鳥が卒コンで語った「恩送り」

それが形成された理由のひとつが、このふたりの成功事例なのも間違いないでしょう。


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過熱する人気


一気にスターダムに駆け上がった2017年。

年末に発売した1st写真集『日向の温度』も推定売上9万部を超える大ヒット。

当時これを超える売り上げを叩き出していたのは白石麻衣、西野七瀬、齋藤飛鳥、生田絵梨花、橋本奈々未そして衛藤美彩だけ。

お見立て会からわずか1年で、与田っちょは「センター候補」「フロント固定」クラスの人気メンバーへと成長したのです。

その後も彼女の人気は過熱します。

コロナ禍以降にファンになった方はもしかしたら山下美月と互角かそれ以下ぐらいの人気という認識かもしれません。

しかし私は24thシングル選抜発表の時点(2019年7月)でこんなことを書いています。

 現状、目に見える人気指標では白石麻衣と齋藤飛鳥が先頭を走り、そして与田祐希と生田絵梨花がそれを追うという構図に見える。

(中略)

 そして、最大の狙いは与田の突出を抑えること。

 正直、3期の中で人気では彼女が抜け出しつつあると思う。
 しかし与田1強状態を作ると、いよいよ本当に潰れかねない。

 だからこそ、ここで「くぼした」のWセンターである。

『2019年の乃木坂46』収録「【考察】美しい未来を見せてくれ~24thシングル選抜発表に思うこと」より)

3期の中でも人気は突出しつつある。

まあ、推しの贔屓目かもしれませんが笑

とりわけ握手人気は抜群でした。

「ちっちゃいけれど、色気はあるとよ」と「すいとーよ」という初期の2大フィニッシュブロー。
そしてくるくる変わる表情と頭の回転の速さ。

抜群のビジュアル×最高レベルの握手対応=最強

キャリアを通じて握手会、ミーグリをすべて最速で完売させたはずです。
ミーグリ開始当初には20時終了予定を22時を超えてもひとりだけまだやっていたなんてこともありました。

それだけの人気ですから、当然のごとく選抜発表のたびに取りざたされた「与田センター」。

しかし。

彼女が再びその場所に立つことはついにありませんでした。


続きます。

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総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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