ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:卒業

タオル補正
前の記事では「掛橋沙耶香 卒業セレモニー」について書きました。

関連記事:


当記事では私の思う彼女の独特な魅力について。

「自我を持った素体」


不思議な人でした。

掛橋沙耶香の名シーンって、ない。
「ちばけとったら、おえんで!」ぐらい。

個人的に「かなり好きな部類に入るメンバー」なのに、その感情に見合うだけの名シーンが思い出せないのです。

それは彼女の持つ一種独特な「現実感のなさ」に起因するのではないでしょうか。

別の言葉にすると「儚さ」なのかもしれません。
でも西野七瀬的な、あるいは遠藤さくら的な儚さとは明らかに異質な何か。

なんというか、腹の底が見えない感じ。
なんでも笑顔でこなすけれど、胸の内では明確に好き嫌いがありそうな。

個人的に彼女を見ていると「プレーン」とか「ニュートラル」「ユニセックス」、もっと言えば「アノニマス」という単語が頭に浮かびます。
全部ひっくるめて無理矢理言語化するならば「自我を持った素体」とでも言いましょうか。

そして、それこそが彼女の魅力を深めていました。
あんなにクセのない綺麗な顔立ちなのに、観る者の心を波立たせる。

変な表現かもしれませんが「日常に潜む闇」の「日常」側も「闇」側もシームレスに演じられる俳優になる可能性があったと思います。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。
そんな彼女は「クリエイターのイマジネーションを刺激するタイプ」だったのではないでしょうか。
個人PVはどれも彼女の魅力を引き出すものでした。
『拾ってください』(23rdシングル特典映像)では無邪気風あざと釣り師。
『KICK THE CRAFTY』(26th特典映像)はシリアスと悪ガキの振り幅。





中でも白眉だったのが『マチアワセ』(27th特典映像)。

「(画面のこちら側の)彼」との待ち合わせに遅刻してくる彼女。
タイムリープしている描写があり、どんどん遅刻の時間が長くなります。
途中彼女は何かと闘っているような様子が挟まれます。しかしその敵も倒したようなのにその後も長くなり続ける待ち時間。疲れて心ここにあらずという彼女。
とうとう1,000時間を超え「実はね、こんなに遅れた理由はね…」。



最後にモノローグで明かされる悲しい真実。
彼が「止まった時間の中に捕らわれている」のを救うためにずっと奮闘してきたこと。
彼を捕らえた敵(あるいはタイムリープ警察?)を倒したはずなのに時間は動き出さないこと。
彼を助ける方法がわからなくて途方に暮れながらも、諦めずにタイムリープを続けていること。

彼に気取られまいと嘘をついてちょっぴりドジな彼女を演じる序盤。
取り繕えなくなって疲弊していく中盤。
もう一度自分を奮い立たせて彼と向き合うラスト。

掛ちゃんはまさしくシームレスに演じています。

そして、おわかりでしょう。
私は久しぶりにこれを観て「止まった時間の中にいる彼」を、あの事故からずっと姿を見せなかった掛ちゃんと重ねてしまいました。
いわゆる「現実と作品の残酷なリンク」が起きてしまったと。

しかし、彼女の卒業に関する記事を書いているうちに考えが変わりました。

ずっと掛ちゃんを待ち続けて止まった時間の中にいたのは我々ファンの方だ。

その時計の針を動かすためにこそ、掛橋沙耶香は卒業セレモニーで姿を現してくれたのだと。


さて。

既に彼女は別の道を歩き始めたのですから、この文章もそろそろ終わりにしましょう。

最後にこの言葉を送ります。

 さよなら、さよなら!
 別れがこんなに甘く切ないなら、
 朝が来るまでおやすみを言うわ。

掛橋沙耶香さん、6年間本当にお疲れさまでした。

どうか、どうかあなたのこれからに幸あらんことを。


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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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前の記事では掛橋沙耶香の乃木坂人生を振り返りました

関連記事:


当記事では卒業セレモニーについて。

「まだまだアイドルやれちゃうな」


『大切なご報告』と題したそのブログで語られたのは、加入からちょうど6年となる2024年8月19日で卒業すること、そしてその日に公式Youtubeで「掛橋沙耶香 卒業セレモニー」が公開されることでした。

ブログの挨拶だけでそのまま卒業することもできたはず。
大きな怪我を負った顔について大衆の目-その一部には好奇の目も含まれるでしょう-に晒すことの怖さもあったに違いありません。

それでも掛橋沙耶香はファンの前にその姿を現してくれました

「勘がいい子」だからファンの気持ちを汲んでくれた。
「さよなら」と「ありがとう」を言う機会をくれた。私にはそう思えます。

そして卒業の日。

オープニングはオルゴールの『乃木坂の詩』。
4期生の輪が広がり、中央にいた彼女が振り返ります。

髪が長くなりおでこも出してめちゃめちゃ痩せて(実は「かなり追いこんだダイエットをした」らしい)、何よりすっかり大人の女性になった掛ちゃん。

 乃木坂46、4期生の掛橋沙耶香です。
 本日をもちまして、乃木坂46を卒業します。

ずっと見たかった彼女が、ずっと言わずにいてほしかった言葉を口にしている

感情の整理がつかないまま流れ出す『4番目の光』。
そこから続く4期生楽曲の数々。どの曲もWセンターのような演出が加えられています。

そして掛ちゃんだけでなく、登場してくる4期生全員がすっかり綺麗な大人のお姉さんになっていたことに気づかされます。

そのなんと切ないことか。
当時あんなに「完成度が高い」と思っていた筒井あやめが、本当はまだあどけなかったんだ。そう思うと痛切に時の流れを感じます。

正直この日の全てが印象深かったのですが、ここではMCについて触れます。

かきさくあやめんまゆたん掛ちゃんというメンバーでのMCで「この5人、何の5人かわかってますか?」。(正解は『I see…』のフロント)

私はこの並びを見て「強いなあ」と思いました

4期生が最も勢いがあった頃。
一部の期推しのファンが「この期だけでデビューしても売れた」とか言い出すは毎回のお約束ですが、4期生が最もそう感じさせたあの頃。
しかし悲しいかな、それはコロナ禍の真っ只中でした。

いわゆる新4期の5人とのMC。
思い出を語る佐藤璃果を「泣く?」といじったり。
黒見明香に「彼女っぽく見える自撮り」をディレクションしたという裏話が出たり。
好きな寿司ネタは「イカ」だと発表したり。

なんだか相変わらず掴みどころがなくてちょっと悪ガキな掛橋沙耶香

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最後に、ドレスに着替えた彼女は我々にこう語りました。

「まだまだアイドルやれちゃうな」「そう感じたことが本望だと思って卒業を決めました」

この言葉の解釈は難しいのですが。

私が思うに
「憧れだけで岡山から上京してきた自分が、4年間ひたすら目の前のことに精一杯だった自分が、2年もブランクがあってもこの場所ならまだまだアイドルがやれるとまで思えるようになった=ちゃんとアイドルになれていたことに気づいた」。

だから「本望」。

別にアイドルを極めたとかやり切ったとは違う意味で、自分はちゃんとアイドルだったと確信できた。

だから「さよなら」。

正直、「そんな悲しいこと言わないでくれよ」と思いました。

でも、あんな事故があって乃木坂に恨みや怒りを抱いていてもおかしくない彼女が「一点の曇りもなく晴れやかな気持ちで卒業を迎えられています」と言ってくれるのだから。

我々ファンにできるのは「さよなら」と「ありがとう」を伝えながら見送ることだけです。

 ひとつだけわがままを言うのであれば
 私がいなくなってからもこの曲を歌い継いでほしい

もちろん『図書室の君へ』。
彼女の後ろに駆け出してくる「4期生制服の」メンバーたち。

 ああ、俺が好きだった4期生だ

反射的にそう思いました。

本当は口が裂けても過去形になんかしたくない。

でもやっぱり、時は流れた
あの頃とは何もかも違ってしまったのは事実です。北川悠理も早川聖来も清宮レイもいません。

それでもなお、確かに変わらないものもある
4期生の「グループとしての強さ」。
そして穏やかで控えめでしなやかな、彼女たちならではの「乃木坂感」。
今ではそこに強さが加わっているけれど、それでもどこか揺らぎがある。

4期生だけの活動が減り見えにくくなってはいたけれど、彼女たちは今も変わらず4期生ならではの魅力を持ち続けている。

過ぎ去ったものへの悲しみと、大切なものがまだそこにある幸せ

その両方を感じられる素敵な卒業セレモニーでした。


続きます。

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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

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2024年8月10日、公式ブログで掛橋沙耶香さんが卒業と芸能界引退を発表しました。

その直後に私が思う掛橋沙耶香の魅力を書いたこちらの記事を公開しました。

関連記事:


当記事はいつもメンバーの卒業にあたって書いてきた、その乃木坂人生を振り返るものです。

勘がいい子


2018年8月19日、「坂道合同オーディション」に合格。
12月3日が初ステージとなる日本武道館でのお見立て会でした。

透明感抜群の素材型美少女。まさに「岡山の奇跡」。
しかし同期には「透明感モンスター」遠藤さくらがいました。

初の4期生楽曲『キスの手裏剣』でセンターに立ったさくちゃんに対し、掛ちゃんは後列の端からふたりめ。歌割りでいえば11人中のラスト3人でした。

運営序列は低かった。あるいは「階段を上っていく候補」だったのかもしれません。

しかし彼女は極めて早い時点からその階段を上り始めます。

上の記事で書いたように対応力が高い、いわゆる「勘がいい」子だったのでしょう。
(さくちゃんとかぶらない)あざとい妹キャラへと方針転換した彼女は、溢れる愛嬌で瞬く間に人気を上げました。

翌2019年4月『4期生初公演「3人のプリンシパル」』でも16戦7勝。ラスト6公演中5勝と怒涛の追い上げを見せます。

私はその怒涛の追い上げ前の2日目と7日目を観劇しましたが、わずか5日の間に「上手くなっている」とはっきり感じさせたのは彼女でした。
当時のレポに「将来的に演技の仕事を定期的にやっていけば化けるんじゃないでしょうか」と書いています。(『2019年の乃木坂46』収録)

この短期間での演技向上も掛ちゃんの勘の良さの表れだったように思います。

握手人気は最初から遠藤さくら・賀喜遥香と同等(=最速の完売速度)。
4期初参加となった4thアルバム、そして23rd&24thシングルでも同期内最速の完売を続けます。
25th『しあわせの保護色』で4期生が初めてスタートから30部フル設定となりますが、ここも最速となる2次完売。
これは同期の遠藤さくら、賀喜遥香、筒井あやめだけでなく、見た目上は福神固定の先輩たち=梅澤美波、久保史緒里、山下美月、与田祐希と並んだことになります。

彼女の快進撃は止まらず、24th収録の4期生楽曲『図書室の君へ』では遠藤さくらに次ぐふたりめの期別センターを射止めます。
同時期から始まった4期冠番組『乃木坂どこへ』でもなかなか前に出れない4期生の中で、初期から早川聖来とともに積極的な姿勢を見せ活躍。

しかし彼女が上昇基調にあったこのタイミングで訪れたコロナ禍。

次作となる26thシングルは約10ヶ月後の発売となり、前作で最速の完売速度だったにもかかわらず選抜入りは叶いませんでした

ここで選抜に入ったのは田村真佑と清宮レイ。
結果だけ見れば、ここで掛ちゃんとレイちゃんふたりの歯車が狂いました。

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そしてオンラインミーグリになったこの26th『僕は僕を好きになる』以降、掛ちゃんはやや完売速度を落とします。

田村真佑、早川聖来というお姉さん組ふたりが安定した完売速度を保ったのに比べ苦労していた印象。
このあたりもしかしたら彼女の「勘の良さ」が目線や雰囲気を感じ取るという同じ空間にいる事を前提とするもの(=握手会向き)でミーグリでは十分に発揮できなかったのかもしれません。
その影響か続く27thでも選抜入りは叶わず、早川聖来に先を譲ります。

待望の初選抜は2021年9月発売の28th『君に叱られた』
「2回待たされた」格好でした。彼女自身選抜発表時にブログで「茨の道でした」と語っています。
そこから30th『好きというのはロックだぜ!』まで3作連続の選抜入り。すべて3列目でした。

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2020年7月には地元岡山県に本社を置く「SUENAGAグループ」のイメージキャラクターに就任しテレビCMにも出演。
2021年3月には配信ドラマ『取り立て屋ハニーズ』で初主演。

『ノギザカスキッツ』の「保険ポリスは許さない」でさらば森田氏とバディを組んで「ちばけっとたら、おえんで!」の名台詞を生み出したり、『乃木坂スター誕生!2』ではぺこぱのおふたりとブラックビスケッツ『Timing』を歌ったり。
冠番組ではMC陣と息の合ったところを見せ活躍を続けます。

最後となった30thシングルのミーグリ(5期生が初めて最初から参加している状態)でも4次完売まで盛り返していますので、新人の勢いに飲み込まれずに自分のファンを掴んでいたと言えるでしょう。

加入当初はあどけない印象だったビジュアルもどんどん洗練されていき、10thバスラでは目を見張るほどの仕上がり。

私は大きな可能性を感じていました。

大人になった彼女が5期生たちと真っ向勝負しながら、選抜固定だった先輩メンバーの卒業により空いた穴を埋めてくれるんじゃないか。
なんなら福神固定ぐらいまではいってくれるんじゃないか、と

しかし、そんな願いは突然断ち切られました。

2022年8月29日

掛ちゃんは神宮でのライブ中に1塁ベンチ上の階段から転落し救急搬送されます。
あの日そのネットニュースを見て「どうか無事でいてくれ」と祈ったのが遠い昔のことのようです。

2ヶ月後にブログ上で語られた彼女の状態に、ファンは衝撃を受けました。

「私は転落した時に、顔の一部を骨折して、2箇所に裂傷の怪我をしました。また、歯も1本抜けて、周りの3本は折れて、神経の機能を失いました。現在は、縫合した傷跡を目立たなくするための治療、歯の治療、表情筋のリハビリ等の治療中です」

2023年の11thバスラ4期生ライブ。
事故から1年後となる2023年の神宮。

何度かあった「復帰するならここかも」というタイミングに、つい仄かな期待を抱いては落胆するということが続きます。

やがてそれも諦めに変わり、2年の月日が流れました。

そして

『大切なご報告』

そう題したブログで、我々はその日が来てしまったことを知りました。


続きます。

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2024年8月10日、公式ブログで掛橋沙耶香さんが卒業と芸能界引退を発表しました。

あの事故から2年。

ご本人が「未練はありません」と言っているのにこんなことを書くのは我ながら甚だ勝手だと思いますが、無念です。

岡山の奇跡


掛橋沙耶香が好きでした
当ブログをずっとご覧いただいている方はもしかしたら薄々お気づきだったかもしれません。

4期生の紹介動画で11人を初めて見た時に、一番気になったのが彼女。
その時から「推し」とまではいきませんが、ずっと「かなり好きなメンバー」のひとりでした。

透明感抜群の素材型美少女。
そのビジュアルは「どこにでもいそうなタイプだけど、絶対どこにもいないレベルで整っている」の究極形だと思います。

まさに「岡山の奇跡」。
その魅力は地元企業の「SUENAGAグループ」のCMでいかんなく発揮されています。





特に上のやつが好きです。


しかし同期には「あの」遠藤さくらがいました
さくちゃんは最初の個人PV『わたしには、なにもない』で透明感モンスターとでもいうべき姿を見せます。

大きな枠組みでいえば同系統(皆さん異論はあるでしょうが)にこんなモンスターがいる。そしてどうやら運営は彼女をエース候補として育てようとしている。

であれば、同じ土俵で勝負するのは得策ではない
聡い掛ちゃんは早いタイミングでそれに気づいていたように思います。
そしてもちろん運営も。だからこそ最初の個人PV『拾ってください』でネコ耳をつけて「にゃあ」とやらせたのでしょう。

余談ですが『I see…』のMVでさくちゃん担当の黒子が掛ちゃんだったのも皮肉というか何というか。

「儚くて不安げ」なさくちゃんに対し、「笑顔と愛嬌」の掛ちゃん。

こうして彼女はあざとい妹キャラへと方針転換します。(まあ実際にお兄さんがいるのであながち「キャラ」でもないのですが)

そして握手会で遠藤さくら・賀喜遥香と同等の完売速度を叩き出し見事にスタートダッシュを決めてみせます。

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ちゃんと努力してきた匂い


あざとで釣り師で妹キャラで企んでる感じ。無邪気でちょっとエキセントリック。

初期というか『乃木坂どこへ』放送期間ぐらいまでの掛ちゃんにそんなイメージを持っておられた方も多いのではないでしょうか。

でも個人的には、彼女の本質は努力家だと思っています。

名作バスケ漫画『あひるの空』で個人的に大好きなシーンがあります。

顧問の五月先生の名ゼリフ。
「やればやった分だけ結果が出るなんてのは、どこをどう探したって学校のテストだけです」
「でもそれがリアルでしょう!?」

そんな「学校のテスト」をちゃんと努力してきた匂い。
ちゃんとまじめに授業を受けて勉強してきた感じ。

それが掛橋沙耶香にはありました。
(大昔は与田祐希もその感じがあったのですが、近年は破天荒っぷりが前面に出ていますね笑)

個人的にはこういう子の方が好感が持てるんです。
可愛さとノリと雰囲気で人生乗り切ってきた感じの子はちょっと苦手。何かと苦労の多いロスジェネなんで笑

最初にその匂いを感じたのは『乃木坂工事中』での運動能力テスト。

テストの結果はかなりダメダメだったのですが、一生懸命チャレンジする彼女。
そして強く私の印象に残ったのが、現場のスタッフとコミュニケーションを取り確認しながら行う姿勢でした。

きっとこれまでの人生でも周りの大人とちゃんとやり取りをしながら、自分が何を求められているのか引き出そうとする「ものわかりのいい子(誉め言葉です)」だったんだろうな。

そう思いました。

後に『乃木坂どこへ』『ノギザカスキッツ』『乃木坂スター誕生!』と続いた日テレでの4期生冠番組でも、常にMCと会話しながら期待される役割をこなし安定した活躍を見せます。
さらば森田氏もぺこぱ松陰寺氏も彼女のことを信頼しているのが見て取れました。

そしてもうひとつ。

加入間もない2019年1月発売の『Platinum FLASH Vol.8』に掲載されたインタビュー。

「あなたにとってアイドルとは?」と尋ねられ、こう答えています

 一見華やかだけど、序列というかポジションとかがあるじゃないですか。
 ある意味で残酷な面もあって、そういうのも含めてきれいだと思います。
 それも含めてアイドルで、かわいいだけじゃないっていう。

当時これを読んで「憧れだけでなく覚悟も持って入ってきたんだな」そして「残酷な面も含めて云々というアンダラの本質を理解しているんだな」と感心したのを憶えています。(「アンダーメンバーの気持ちがわかるのか」と噛みつくファンがいそうだなとも思いましたけど)

この記事全体を通して「きちんとした受け答えのできるしっかりした子」という印象を受けました。


決して派手ではないけれど、どこにも文句のつけようがない整ったビジュアル
そして時々透けて見える「自分の能力の範囲内でちゃんと真面目にやってきた」雰囲気。

それが私の感じる掛橋沙耶香の魅力です。


この記事はそもそもコロナ前に書き始めたものでした。

何かと批判を浴びがちだった彼女。
それに対し「彼女の本質は努力家なところで、そこが魅力的」という私の考えを書きたかったのです。

例えばそらジローとのあれも、私には(制作側の意図を汲んで)「バラエティをやりにいった」ように見えましたし、そもそも批判の多くは溢れる愛嬌で一気に序列を上げた彼女に対する反発から来ていたように思います。

しかし書き上げるタイミングを見失っているうちにあの事故があり、出すに出せなくなりました。

今回、卒業発表を受けて書き上げましたが、タイトルも内容も当初から変えていません。

私が彼女から受ける印象が今でも変わっていないからです。

掛橋沙耶香が、好きでした


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前の記事では早い時期から選抜入りしたゆえの苦しみを味わった清宮レイの乃木坂人生を振り返りました。

関連記事:


今回は彼女の葛藤についての推察と、私の思う名場面を。

子供じゃないならね


帰国子女。生徒会長。
サイリウムカラーは「太陽とオレンジ」のオレンジ×オレンジ。

初めてのブログで「太陽みたいな人になりたい」と宣言し、メンバーからは「レイちゃんはずっと私たちの太陽だったよ」と言われる彼女。

でも私のイメージはやっぱり、ひまわり
太陽に憧れ、あのいたずらっぽい目をキラキラさせながら目一杯手を伸ばしてすくすくと成長していく。

それが私の思うレイちゃんです。

その明るさはグループに必要。そう運営は考えていた節があります。

思惑としては高山一実のように「控室で周りを明るく笑顔にする」存在として、長くグループを支えてほしかったのではないでしょうか。
だから早い時期から選抜に入れて慣れさせようとした。あるいは選抜固定メンとしてファンに印象づけようと(ありていに言えば受け入れてもらおうと)した。

「無邪気で明るい」という彼女の良さはそのままに、先輩と馴染み、4期生とワチャワチャし、少しずつパフォーマンス面でも成長していく。レイちゃんに期待していたのはそれだったように思います。

これは完全に今思いついた余談ですが、彼女が年齢とともに周囲に目を配れるようになったら将来のキャプテン候補という線もあったのかもしれません。なんといっても「元生徒会長なめんなよ」ですし。

しかし彼女自身は「選抜にいる以上は少しでも早く先輩たちに追いつかなければいけない」=クオリティを上げなければいけないと考え、「格好いいパフォーマンス」を志向します。
いわば、早く大人になろうとしたのです。

そして悲しいかなそれはすなわち、彼女の大きな魅力のひとつである天真爛漫さをスポイルするものでした。

その意識のズレは、ファンとの間にもあったように思えます。

卒業を発表した時のブログにはこうあります。

 誰かからの「好き」を仕事にする事の難しさをよく感じていました。
 自分はつくづく向いていないと何度も思いました。
 (乃木坂46 清宮レイ公式ブログより引用)

ファンの求める自分と、自分がなりたい自分。
「大人になってほしくない」ファンと「大人にはなるものだ」と思う自分

いつからかその乖離を感じていたのではないでしょうか。

そして彼女はストレートに言えば「自分を偽ってまで誰かの期待に応えることを潔しとしない」タイプだったように思います。

35thアンダラのアンコールで「ここで流した汗と涙は無駄ではなかったのだと願いたいです」と語ったレイちゃん。

「無駄ではなかった」ではなく「そう願いたい」と言ってしまう正直さこそが清宮レイですね。

自己肯定感が強そうな彼女にとって、乃木坂での5年半はきっと悔しさや挫折感が残ったのでしょう。

それでも。
髪色を濃くして前髪を作った最近のビジュアルは、そして無邪気に笑う姿は「あの頃の私を好きになってくれた人たちへの最後のファンサービス」

私にはそう見えてなりません。

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とても素敵な考え方


センター曲も、ユニット曲もなし。
率直に言って「代表作」と呼べるものがなかったレイちゃん。(公式Youtubeの『REI English !!』を別にすれば)

しかしファンの前でのラストパフォーマンスになった先日の35thアンダラ千秋楽。

そこで彼女は、自身の手で「代表作」を生み出して見せました。

『Against』
初代センターにしてレジェンドである生駒里奈の代名詞のひとつ。
その卒業に際して作られた、初の1期生楽曲でもあります。

イントロでキメキメの表情を浮かべ、ラスサビでのハイジャンプ。
恵まれた身体能力を活かしたダイナミックなパフォーマンス。

清宮レイのポテンシャルを、この場所で培ったものを
そしてきっと、彼女のなりたかった自分を。

観る者すべてに見せつけた瞬間でした。

「ちゃんと気づいてた?私こんなこともできるようになってたんだよ! 」と言わんばかりに。

関連記事:


もうひとつ、どうしても書いておきたいことがあります。

2020年6月。初期の『ノギザカスキッツ』で4期生「自分チャート」というコーナーがありました。
ビジュアル・頭脳・運動神経・性格の良さ・そして自身で追加する独自項目を5段階で自己評価して5角形レーダーチャートを作成するというもの。
しかし皆さんご想像の通り、4期生はみな自分に「0」とか「1」ばかりの低い点をつけます。

そんな中、敢然とオール「5」のフリップを掲げるレイちゃん。独自項目は「笑顔」でした。

さらば森田氏に真意を尋ねられた彼女はにっこり笑ってこう言うのです。

 テスト用紙渡されて「好きな点数書いていいよ」って言われたら100点って書きたいじゃないですか

 そういうこと!

 自分の可能性は無限大ですよ(とガッツポーズ)

その言葉に凄く共感してウンウン頷く北川悠理
自分のチャートをオール「7」に変えて「負けたくない!」と笑う早川聖来

すべてが懐かしく、これを書いているだけでちょっと感傷的になってしまいますが。

なんて素敵な考え方だろう。当時そう思ったのを強烈に憶えています。
本当に素晴らしいし、こういう前向きな考え方をするメンバーが必要だったと今改めて思います。

清宮レイの名シーンとして、私が真っ先に思い浮かべたのはこれでした。


最後に、これからの彼女について。

大人計画の『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』。
そしてヨーロッパ企画主宰の上田誠氏脚本・演出の『鴨川ホルモー、ワンスモア』。
なんというか、実に骨っぽいというかいいところの舞台に出ているレイちゃん。

映画の出演もありましたし、俳優になりたいという彼女の夢をちゃんと運営は後押ししていたんだなと思います。

恐らく充電期間を経てから改めて演技の道へ進むのではないでしょうか。

変わらぬ向日葵のような笑顔を湛えながら

清宮レイさん、約5年半お疲れさまでした。


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