ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:卒業

タオル補正
2023年1月7日、公式ブログで秋元真夏さんが卒業を発表しました。

まずは彼女の歩みを振り返りましょう。

理解不能


2011年8月21日、すなわち乃木坂46結成日。

その日に暫定選抜メンバーのフロント(センターの隣)として写真に写っていた彼女ですが「学業都合」によりそのまま活動を休止します。

次に我々の前に現れたのは1年と少し後、2012年10月に放送された『乃木坂って、どこ?』。

その日は4thシングルの選抜発表でした。
まず行なわれた、それまでの「七福神」が「八福神」になるという説明にざわつくメンバーたち。

そして最初に発表された3列目の端は、高山一実。

衝撃が走ります。

乃木坂46が見た最初の地獄『16人のプリンシパル』。
そこで「覇王」生田絵梨花に次ぐ結果を残したかずみんが3列目の端。
つまり、あのもがき苦しんだ日々が何らポジションに反映されていない

そう感じたメンバーが多かったといいます。

発表は続きます。
なぜか後ろから前にではなく、3列目、フロント、そして最後に2列目を発表するという違和感のある流れ。

フロントは生駒里奈、生田絵梨花、星野みなみの「生生星」。
そして2列目はキャプテン桜井玲香に白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理の御三家が並びます。

残すは2列目一番右。そして福神最後のひとり。

可能性の高そうなメンバー、特に中田花奈が繰り返しカメラに抜かれる中で読み上げられた名前は。

 秋元真夏

「は?」
メンバーの間に声にならないその叫びが響きます。

理解不能

次にカメラが抜いたのは、番組収録を見学していた私服姿の真夏さんでした。
その時から既にノースリーブでミニのワンピースというのがさすがというか笑

レッスンにはこれ以前から参加していたのでメンバーたちにとって「見知らぬ人」ではありません。

でも結成から1年以上休業しデビュー当初の厳しい状況も知らず、プリンシパルという地獄も味わっていない彼女が、いきなり福神?

選抜もアンダーも、誰もがこわばった表情のままでした。

わざわざ「八福神」などというポジションを用意し、発表の順番を最後に回してまで祭り上げる。
初期の運営が何度も繰り返した悪しき習慣、AKB的な残酷ショー。

そのダシに使われた中田花奈は収録後に泣き叫び、あおりを食って福神から外れた西野七瀬はスタッフに「大阪に帰ります」と告げたそうです。
この時に生まれたなーちゃんとの確執は2014年2月の2ndバスラでの「真夏、おかえり」まで1年4ヶ月も引きずることになるのです。

さらにそのすぐ後の『乃木どこ』。
真夏さんをフィーチャーするために行なわれたのはなんと真夏vs選抜全員、1対15の対決企画でした。

これも今にして思うととんでもない企画ですね。

もちろん「茶番」であり「台本ありのバラエティ」。

松村沙友理「日村さんのいいところ山手線ゲーム」、井上小百合「わんこうどん早食い」、生駒里奈「水中息止め」と敢えて自分の苦手なことを対決にして「いやそれお前勝つ気ないだろ!」と設楽さんに突っ込まれます。

最終対決で生駒ちゃんが1秒で顔を上げ「苦しかった…」。
真夏さんが8勝7敗で勝利。

それでも、画面から終始伝わってくるのは隠し切れないピリピリしたムードでした。

西野七瀬とはこの時「手押し相撲」で対決したのですが、至近距離で押し合いをしながら一度もふたりの視線は交わらなかったそうです。

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完璧な答え


今にして思えば、秋元真夏は乃木坂のメンバーとファンが初めて経験する「異物」だったのです。

もちろんファンは猛反発しました。

真夏さんが凄いのはここからです。

選抜発表の放送直後(なんと0時28分!)に初のブログ更新を行い「今日から復帰することになりました」「がんばります」とコメントしていた彼女。

しかし放送を観たファンからの猛烈な拒否反応を目にし、その翌日に再びブログをアップするのです。

その内容がこちら。


 発表から1日

 4thシングルの選抜メンバーの発表から1日が経ち、いろんな方の気持ちや意見もたくさんたくさん伝わってきました。

 また改めて、いきなりこのポジションに立たせていただいていることがあらゆる人に迷惑をかけてしまったり悲しませてしまっているんだということもわかりました。

 じゃあこの場にいる私はどうするべきなのか?と何回も何回も真剣に考えました。

 私なんかがいつまでもクヨクヨしてる場合じゃないんです。

 今はチャンスを与えていただいた。

 だからメンバーや、メンバーのことを応援してくださっている方々の色々な気持ちを背負って、今の状況に決して甘えないで一生懸命全力で進んで行かなきゃいけないんです。

 もらったチャンスは、チャンスのままにしておいちゃいけないと思うんです。

 いただいたチャンスの中で一生懸命努力して、いつか自分の持っている力と結びついたとき、そのときがみなさんに認めていただける時なんじゃないかなと感じています。

 なので今は賛否両論すべてを受け止めて、一歩一歩前に進みながら一生懸命取り組んでいこうと思います。

 最後にたくさんのコメントをくださった方々、ありがとうございました(/ _ ; )

 応援してる!とかこれから頑張ってね!って言ってもらえたことがすごく嬉しくて元気がでました。

 これから私は乃木坂46で頑張って行きます。

(引用元:「あれから1日」乃木坂46秋元真夏公式ブログ 2012.10.09)

いや正直今回この記事を書くにあたって初めてこのブログを読んだんですよ。(私も当時真夏さんの抜擢に反発を覚えていたのでブログをチェックしていなかった)

衝撃ですね。

わずか1日でこれを書ける。

その後に「異物」となってしまった堀未央奈中西アルノはもとより、現在に至るまで数多くの乃木坂メンバーが苦しんできた「抜擢」「初選抜」「初センター」というポジションの重み。「私なんかがここにいていいのか」という問いかけ。

それに対する完璧な答えがここにあります。(「賛否両論すべてを受け止め」る必要はないと思いますけど)

「チャンスを活かすことこそがチャンスを与えられた者の使命であり、それこそが与えた者たち(=運営)と与えられなかった者たち(=メンバー)に対する礼儀である」

このグループアイドルにおける真理-ただわかってはいてもなかなかそう発言するのも実践するのも難しい-に彼女はこの時点で到達しているのです。

もの凄い。空恐ろしいと言ってもいいくらい。

いわゆる「メンタルの強さ」とは異質なもののように思います。

むしろ自分自身を理屈で納得させて無理矢理にでも前に進ませる力というか。

この「クレバーさ」と「我慢強さ」が合わさった結果である、一種の「自己実現力」。

この彼女の最大の武器が、期せずしてアイドル人生の第一歩で花開くことになったのです。


まだ復帰までしか書けていないのですが笑、長くなりましたので続きます。

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前の記事では齋藤飛鳥の乃木坂人生を振り返りました。

関連記事:


乃木坂のすべてを知る者


星野みなみと齋藤飛鳥。

このふたりは最初期からよく比較されてきました。

そしてふたりを語る際によく用いられたのが「エリート」のみなみちゃんと「雑草」の飛鳥という対比。

しかしこの構図は明らかに運営が「意図して作り上げた」ものでした。

運営が当初から飛鳥のポテンシャルに高い期待を寄せていたことに疑問の余地はありません。
なにせあの「奇跡の軍団」乃木坂46の1期生の中で、デビューシングルの選抜16人に選ばれたのですから。

結成時に中学生だったメンバー8人(※)の中で1st~6thシングルの間に選抜入りしたのは生田絵梨花、星野みなみのフロントふたりを除けば飛鳥ただひとりでした。
(率直に言ってしまえばそれ以外の5人は「思い出選抜」での初選抜だったのです)
※生田絵梨花、斎藤ちはる、中元日芽香(96年組)、川後陽菜、樋口日奈、星野みなみ(97年組)、齋藤飛鳥、和田まあや(98年組)

とはいえデビュー曲から「生生星」の一角としてフロントを任されたみなみちゃんと3列目だった飛鳥の間には明確な差がありました。

その時点での完成度やタレント性でも先を行っていた印象がありますし、そもそも年齢がひとつ上ですのでこれは妥当な判断でしょう。

運営はこのふたりがライバルとしてフロントで並び立つ未来がいつか訪れればそれが最高だと思っていた節があります。

「いつか」。
例えば御三家(白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理)が全員卒業した頃に。
それはきっと、2016年か遅くとも2017年には訪れる想定だったのでしょう。

こうして並び立つライバルではなく追いかけるべき目標として「星野みなみ」を設定され、年少組の(生田、星野に次ぐ)離れた3番手として活動をスタートした飛鳥。

1stに続き4thシングル『制服のマネキン』、7th『バレッタ』で選抜入りします。
余談ですが1st、4th、7thで選抜だったので3作品ごとに飛鳥選抜説=10thも選抜では?なんていう噂が流れたこともありました。

さらに3rdシングル収録の年少組ユニット曲『海流の島よ』ではセンター。
6thシングルアンダー曲『扇風機』でもセンター。
ちなみにアンダーセンターはその1回でしたが基本フロント。例外は2nd『狼に口笛を』のみ(この時は3列目)。

こうしてみると活動初期において「最も出入りの激しいメンバー」でした。
もちろん既に述べたようにそれは運営の大きな期待の裏返しだったのでしょうが、年端もゆかぬ彼女にとってそれは想像も及ばないほど苦しい日々だったことでしょう。

10thシングル『何度目の青空か?』までの期間。

それは齋藤飛鳥、雌伏の時。

そこで彼女はありとあらゆる経験をします。

右も左も分からぬまま活動していたデビュー当時の選抜
TVで何度も司会者に「乃木坂48」と紹介されたことも。
デビュー曲『ぐるぐるカーテン』のヒット祈願である駅前でのティッシュ配りも。

本当に全く仕事がなかった初期のアンダー
『走れ!Bicycle』を全握で初披露した時に、選抜メンバーがスタンバイするのを隠すための幕をアンダーメンバーが持たされるという屈辱の記憶も。

アンダーライブ
その立ち上げから激動の2ndシーズンまで(つまり「一番キツいとこ」です)立ち会ったのも本当に大きかった。

グループ立ち上げ時に受けた様々な屈辱と、お姉さんメンバーたちがそこで歯を食いしばって頑張ったこと。
2期生たちの不安や混乱。
アンダーの絶望と不屈。

そのすべてを実際に経験し目撃してきた飛鳥。

この「叩き上げ感」こそ彼女に対するファンからの絶大な信頼の基盤です。

飛鳥ちゃんは全部わかってる、という。

結成当初からのメンバーであり、過去31作すべてのシングルに参加。
その中でアンダー、選抜3列目、2列目、フロント、センターとあらゆるポジションを経験した齋藤飛鳥。
ちなみにアンダー経験後に表題曲のセンターになったのは深川麻衣と齋藤飛鳥のふたりだけです。

彼女は文字通り「乃木坂のすべてを知る者」でした。

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The miracle of miracles


結成当初から見てきた古参オタとして言わせてください。

乃木坂46はいくつもの奇跡が折り重なってできあがった奇跡のようなグループです。

あれほどの美貌を持った白石麻衣が加入したこと

アイドルとは無縁に見える橋本奈々未が加入したこと(しかも「ロケ弁で飢えをしのげる」という今考えても少々意味不明な理由で!)。
そしてそのクールなイメージからは想像もつかないほど熱い想いをもってグループを愛してくれたこと。


その3人がそれぞれ全く違う個性で、負けず劣らず魅力的だったこと。
にもかかわらず3人がお互いをリスペクトし仲良しだったこと。

そして彼女が常軌を逸した努力の天才であったこと。
その超人的な頑張りと、外仕事による不在を埋められるグループの層の厚さにより自身の夢を追いながらもグループに長く在籍できた(してくれた)こと。

御三家と生ちゃんだけでも十分に奇跡でした。

でも。

乃木坂最大の奇跡はやっぱり齋藤飛鳥だと思うんですよ。

彼女が我々の想像を遥かに超えて美しく成長したこと。
中二病全開だったのに、こんなにも優しく気遣える人になったこと。
11年以上にわたり4つも下の代が加入するまでグループに留まり、その背中を後輩に見せてくれたこと。

何より、こんなにもグループを愛してくれたこと。

最年少が「やさぐれ」も「やらかし」もせず、勘違いにも甘ったれにもならず。
大エースへと成長し、かつグループを愛し長くそこに留まってくれた。
そして最年少だからこそ、オリジンのスピリットを継承することができた。

こんな理想的なことありますか

全部が全部、奇跡としか言いようがない。

これもちょっと蛇足ですが、彼女がブレイクしたのも最高のタイミングでした。

『裸足でSummer』がリリースされた当時、駅のホームで電車を待っていたら周りにいた男子高校生たちが「飛鳥ちゃん、めっちゃ可愛いよな!」と盛り上がっていたのを憶えています。

2016年ですから白石麻衣ら御三家が24歳、西野七瀬ら94年組で22歳の年。
彼女たちが中高生からするとだいぶお姉さんになっていた頃です。

しかもその年の4月には欅坂46がデビュー。
『サイレントマジョリティー』のMVが強烈なインパクトを与えます。そのインパクトとフレッシュさで一気に中高生からの支持を獲得しているまさにその最中でした。

あまり語られていませんが、このタイミングで学生の年齢層に対して齋藤飛鳥が訴求できたのは乃木坂にとってめちゃめちゃ大きかった。欅坂の勢いに飲み込まれず、三番目の風が吹くのを待つことができたのは彼女の功績でしょう。


私が(勝手に)齋藤飛鳥の本質に近いと思っている言葉がふたつあります。

いつのことだったか思い出せないのですが、同期に対する想いとして語ったもの。

 とにかく幸せであってくれ

もうひとつは、5期生募集CMの中で。

 人の事を想ったら、
 自分を好きになれるなんて
 知りませんでした。

この言葉が飛鳥ちゃん発信かどうかは知りませんが、その歩みをずっと見てきたファンとしては彼女自身からのものに聞こえます。

お姉さんたちに愛された飛鳥がいつしか周囲を大きな愛で包むようになった。

そんな年月の重さを感じさせるふたつの言葉です。


最後に、これからの彼女について。

CMではちょこちょこ見るけどTVにはあまり出てこない、「生活の匂いがしない」タイプのタレントさんになってくれたら嬉しいです。

でも、まずはゆっくり休んでほしいですね。

齋藤飛鳥さん、11年以上にわたり本当にお疲れさまでした。

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2022年11月4日、公式ブログで齋藤飛鳥さんが卒業を発表しました。

もう何度目かはわかりませんが、それでもやはり「来るべき時が来た」と思いました。

まずはその足跡を振り返ります。

2011-2014


1998年8月生まれの1期生最年少。同学年は和田まあや。

当初の印象は「幼女」。

川後陽菜につけられたあだ名が「ロリ手羽先」でしたが、まさにそんな感じ。
応援するのもはばかれるぐらい幼かったので、個人的には正直まったく興味がありませんでした笑

そんな中でも強く記憶に残っているのが2012年9月に行なわれた最初の『16人のプリンシパル』。

私が行った日の投票で彼女は5位と大健闘したのですが、その時の自己PRが秀逸でした。

細かい言い回しは憶えていませんが「私は一番小顔で一番若くて未来しかない!」みたいな内容を、お姉さん組への若干の毒を交えながら満面の笑みで語っていました笑

当時「中学2年生があんな台本思いつくはずがない!背後に優秀なブレーンがいるに違いない!」と驚愕したのを憶えています。

まあ後に飛鳥の得意技となる「笑顔で毒舌」の原型ですから、本人発信だったんでしょう。

あとはその少し後ぐらいに『乃木坂って、どこ?』のハロウィン仮装企画では幼稚園児のコスプレ。「セクシーな一言」というお題に対して「たまごボーロ」も強烈でしたね。

私が次に彼女の存在を強く意識したのは約2年後、アンダーライブ2ndシーズンでのこと。

既に1stシーズンで会場人気が爆発しており彼女の覚醒はアンダーファンの間では周知の事実だったようですが、個人的に飛鳥の評価が爆発的に上がったのはここでした。

10thアンダー曲『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』でセンター井上小百合の両サイドを伊藤万理華と共に固めた飛鳥。
お顔も声も可愛くて、しかも踊れるこの3人のフロントは超強力。

しかし。
ご存知の方も多いでしょうが、アンダラ2ndシーズンは想像を遥かに超える過酷な日々でした。

(この伝説の日々を題材にした小説をnoteで公開しています。
有料記事ですが全14話中の第4話までは無料で読めますので、よろしければこちらもどうぞ)


15日18公演という超ハードスケジュールに離脱者が続出。
ついにセンター井上小百合までが故障で欠場を発表。
それと時を同じくして件のスキャンダルが報道されます。

当時高校1年生だった彼女にとって、あの壮絶な毎日は到底受け止め切れるものではなかったでしょう。

2ndシーズンの期間中や有明でのファイナルが発表された全国握手会、そしてその有明でのWアンコール。顔を真っ赤にしてぐちゃぐちゃに泣き崩れる彼女の姿を何度も見ました

まだ幼さを残したその顔で、それでもグループを守りたいと懸命に足掻く姿は心を打つものでした。

ちなみにかの有名な「どうせお前らクリスマス過ごす相手いねえだろ?」(文字にすると激辛ですが最高に愛らしい敬礼ポーズつきです)が発せられたのは、2ndシーズンのゴール地点であるこの年末の有明コロシアムでのことです。

そういえば(凄く蛇足なのですが)2ndシーズン直前の全国握手会で「井上小百合×齋藤飛鳥×中元日芽香」というアンダラ推し垂涎の超絶レーンが組まれ、西野七瀬や白石麻衣に匹敵するほどの並びになったこともありました。

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2015-2022


続く11thシングルで選抜入り。

ちなみにアイドルらしい前髪ぱっつんだった髪型をいわゆる「今野分け」に変えたのもこのタイミングでした。
結果的に…いや今野さんの思惑通りに笑、そのビジュアルが急速に完成されつつあることがファンの目にも明らかになります。

そこからはまさに「ライジングスター」。一気に階段を上っていきます。

『羽根の記憶』MVで鮮烈な美しさを放ち、まさに「未来がここにある」と観る者に思わせ。
同時期の『乃木坂工事中』で「ラジオ体操をしたことがない」ということで音だけを頼りに面白可愛い体操をしてみたり。

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そして彼女の人気を決定的にしたのが2016年2月、同番組の2期生バレンタイン企画

2期生から1期生にバレンタインのプレゼントを贈るのですが、まずは「この子からはもらえるんじゃないか」と思っている1期生が立候補しなければならないという鬼のフォーマット。

そこで主役になったのが飛鳥でした。

開始早々に北野日奈子と伊藤純奈に連続で振られ、涙。
「ちょっと休憩します」と引き下がるも番組後半で相楽伊織に再度挑戦。
しかしここでもあえなく玉砕し「もういいよ」と言い残してまた涙。

その哀愁漂う姿と可愛い泣き顔に多くのファンが心を鷲掴みにされ、大反響を呼びました。

さらに2016年4月『乃木坂工事中』での「齋藤飛鳥・独り立ち計画 初めての○○」。
要するに飛鳥ちゃんのひとりでできるもん企画。「朝ご飯をお母さんに食べさせてもらっている」という衝撃のカミングアウトもありました。

完全に彼女ひとりをフィーチャーしたこの日の放送を観ながら私は「ああこれもうフルスイングで飛鳥ちゃん売り出すのね、うんうんそれ凄くいいと思うよ」と思っていました笑

そして迎えた2016年7月に発売された15thシングル『裸足でSummer』。

満を持して。全箱推し待望の。
齋藤飛鳥、初センター。

そしてそれは紛れもなく、1期2期の世界におけるラストピースがはまった瞬間でもありました。

選抜発表の『乃木坂工事中』では「今いい調子で乃木坂来てるのに私のせいで売れなくなっちゃう」とベソベソ泣いていました。(実際には前作に比べ売り上げは伸びた)

しかしMVでは頭に羽根飾りをつけ土色の海で踊る彼女はまたも我々に鮮烈な美しさを見せつけます。

その年の真夏の全国ツアーでは高校3年生、弱冠18歳にして座長。

ファイナルは4thバスラも兼ねて全曲披露を行なった神宮球場3DAYS。
3日目本編ラスト、乃木坂ライブの名場面と言えば誰もが思い出すあの「じんぐ~う!」です。

こうして2016年の夏は終わり、「最年少愛でられキャラ」だった彼女はいつしか押しも押されもせぬ「乃木坂の主要メンバー」になっていました。

自分を「嫁」と呼んで慕った飛鳥の独り立ちを見届けて安心したかのように、橋本奈々未が卒業を発表したのはこの年の10月のことでした。

そのななみんの卒業シングル、16th『サヨナラの意味』こそ2列目中央に下がりますが、次作『インフルエンサー』以降はすべてフロント。

翌2017年は既に先輩の風格を漂わせはじめ、客前での『逃げ水』初披露となる「お台場みんなの夢大陸」時にはもう与田祐希の首を絞めていました。

同年の舞台『あさひなぐ』でも主演。
18thシングル『いつかできるから今日できる』では映画版主人公を演じた西野七瀬とのWセンター。

2018年の21st『ジコチューで行こう!』そして2019年の23rd『Sing Out!』では単独センター。
西野七瀬卒業シングルである22nd『帰り道は遠回りしたくなる』の前後でセンターを任されたのですから、どこからどう見ても「託された」形です。

なーちゃんの卒業と時を同じくして白石麻衣と生田絵梨花のふたりはどこか一線から退いた「別格」扱いになり、それ以外の1期生福神常連組も自身のゴールを見据えた活動という印象が強くなります。

そんな中で飛鳥はグループの顔としてライブでも常に獅子奮迅の活躍を見せ、CMにも皆勤賞。

そして遠藤さくら、山下美月、賀喜遥香、中西アルノと新センターを支え続けました。

まさに最後の最後まで最前線に立ち続けた飛鳥。

 尊敬に値する

そんな平凡な言葉しか思いつきませんが、本当に見事な11年間でした。


続きます。

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2022年7月18日、公式ブログで和田まあやさんが卒業を発表しました。

未来卵から生まれたモンスター


1期生最年少の齋藤飛鳥と同学年である98年組。
加入は中学1年生、13歳の時でした。

しかし率直に言って、アイドルとしての人気は上がりませんでした。
最も目につく人気指標である握手会の完売状況はグループ内でも低位。

結果として11年間のほとんどをアンダーとして過ごします

初選抜は8thシングル『気づいたら片想い』。これはいわゆる「思い出選抜」でした。

次に選抜に入ったのは6年後の25th『しあわせの保護色』。
こちらは白石麻衣の卒業に合わせて1期生全員が選抜(そして福神)。

つまりキツい言い方をすれば、2度の選抜入りのどちらもいわば「外的な要因」によるものだったのです。

全体的に乃木坂ファンの嗜好の逆を行ってしまっていた感は否めません。

明るく天真爛漫でおバカキャラ。テンション高めの声でしゃべり、リアクションも大きい。

そんな彼女の個性は、「清楚で儚げで華奢」「体温低そうでガツガツしない」「どこかノスタルジックで切ない」という「乃木坂感」の対極。

彼女に限らず、いわゆる「バラエティ担当」メンバーの多くが人気面では厳しい状況でした。

さらに初期からお姉さんメンバーの方が圧倒的に人気だった乃木坂46において95年組=生駒里奈の代(結成時に高校1年生)以降の年少組は、ほぼ全員が握手人気の面で苦戦を強いられていました。(唯一の例外は生田絵梨花)

大きな転機となったのは2014年に『乃木坂工事中』での「頭NO王選手権」。
ここで並み居る強豪を打ち破り初代王者として戴冠します。

そもそもお見立て会でもブリッジ歩きでファンを恐怖のドン底に叩き込むところから乃木坂人生をスタートさせた彼女。
そのバラエティキャラとしての能力を開花させ、これ以降はクイズ対決や「内輪ウケものまね」など、冠番組で盛り上げキャラとして活躍してきました。

最近であれば2022年の46時間TVにおけるドッキリ企画(「まあやだ」のやつ)が印象深いですね。あれは『嫉妬の権利』MVのセルフカバーと言えなくもない。

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かつて私はまあやを「人を笑顔にする天才」と評しましたが、基本いつも面白かった。

クイズにせよ空耳にせよ、間違え具合とワードセンスが絶妙でした。

『乃木坂46えいご(のぎえいご)』で課題曲の英語歌詞をリスニングして歌うコーナーがあったのですが、そこでも抜群の空耳力を発揮。嘆きながらくずおれる安河内先生の姿が懐かしい笑

そして徐々にバラエティ以外の部分でも評価を高めていきます。

2018年末のアンダーライブ(『日常』の時です)で「リーダー」に就任。
これは恐らく「ダンスリーダー」を意味していると思われます。勝手な想像ですが前任者は伊藤かりんではないでしょうか。

いつしかアンダラを観ているファンの間では「ダンスメン」と認識されるようになります。

それがわかりやすい形で示されたのが2019年夏の全ツのユニットコーナーで披露された『自分じゃない感じ』。
桜井玲香、中田花奈、阪口珠美、金川紗耶という各期のダンス巧者と共に、まあやはかっこよく踊って見せました。


こうしてキャリアの後半は「番組に登場する時にはしっかり笑いを生み」「ライブではアンダーのパフォーマンスを支えるひとりとしてビシッと決めて見せる」というスタイルを確立していました。


ニックネームは「愛されまあや」


人のよさそうなタレ目でいつもニコニコ。

メンバーからも共演者からも、そしてスタッフからも愛された彼女

卒業発表後の『乃木坂工事中』地元グルメを紹介する企画でこんなやり取りが放送されます。

「本当に10年間お世話になりました。本当に良くして頂いているって聞いていますので…ありがとうございました」と涙ぐむまあやのお母さんに

「番組にとっては欠かせない人物ですので我々スタッフもみんなまあやのことが大好きで、産んでくれてありがとうございます」と応じるスタッフさん。

彼女の人柄をしのばせるシーンでした。

卒業発表したブログではこう語っています。

 活動中は辛くて苦しいことのほうが多かった気がしていたのに、
 今振り返ると全て幸せな記憶に塗り替えられていることに
 自分でびっくりしています

さらに卒コンとなった30thシングルアンダーライブでの言葉。

 沢山辛いこともありましたけど、振り返ってみたらすごく素敵な青春だったな

盟友、樋口日奈もラスト『乃木坂工事中』や自身の卒業セレモニーに際してほぼ同じニュアンスのコメントをしています。

グループにおける「主役」ではなかったメンバーが「幸せだった」と言える
そしてそれが単なる決まり文句でも強がりでもない言葉としてファンに届く。

私は乃木坂を美化しすぎているきらいがあるのは自覚していますが、それでもやっぱり「これが乃木坂なんだよなあ」とか思ってしまうのです。


最後に、彼女のこれからについて。

『乃木坂お試し中』でのコメントを聞く限りは何らかの形でタレント活動を続けていくようです。

やはりバラエティタレントでしょうね。

大きなリアクションやワサワサした喋り方や人のよさそうな表情。

乃木坂としてはあまりポジティブに働かなかったそんな彼女の個性も、バラエティではプラス要素です。

そして何といっても、アンタッチャブルや東京03や塚地武雅さんを近くで見てきた鈴木拓さんをして「天才」と言わしめるのですから。

乃木坂時代を知るファンを驚かせるような活躍を見せてくれるかもしれません。


和田まあやさん、11年間お疲れさまでした。


『2020年の乃木坂46』 kindle版
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総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各記事の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。



タオル補正
2022年7月18日、公式ブログで樋口日奈さんが卒業を発表しました。

私は以前にそれを「ストレートを磨いた」と表現しましたが、11年間まっすぐで優しい乃木坂人生を送ったメンバーでした。

ひなちまってる


まずはその経歴を簡単に振り返ります。

通った鼻筋と大きな目に黒髪ロング。
中学生なのにどこか艶っぽさのようなものをたたえた顔立ちで穏やかな笑顔。

加入当初の雰囲気は「和風美少女」
特技として披露した歌舞伎もその印象を強めました。

東京出身なのにキャッチコピーで「おいでやんす」と言っていたので川後陽菜に「ニセ京都人」なんてあだ名をつけられたこともありました笑

齋藤飛鳥、和田まあやと共に「年少組」のイメージがある彼女ですが、実際にはふたりより1学年上の97年組。
川後陽菜、相楽伊織、佐藤楓、星野みなみ、山崎怜奈というなかなかクセの強いメンバー揃いですね。

8th『気づいたら片想い』で初選抜。

しかしそれ以降は選抜の厚い壁に跳ね返され続けます。

「(齋藤飛鳥や星野みなみといった)同世代のメンバーに対し遅れをとっている」という思いから高校卒業後は進学せずに芸能活動に専念。
その夏に15th『裸足でSummer』のアンダー曲『シークレットグラフィティー』で初のアンダーセンターを務めます。

18th期間のアンダラ九州シリーズ(『アンダー』の時です)では座長である中元日芽香と北野日奈子が共に不安定な体調を抱え欠場を続ける中、その代役を果たし続けます。
続く19thのアンダー曲『My rule』では再びセンターに。

末っ子キャラからアンダーの柱へと成長した彼女。
同時期に台頭してきた寺田蘭世、渡辺みり愛、鈴木絢音ら2期生たちと共にアンダーライブを盛り上げ、選抜の座を争うようになります。

この15thからのアンダーを私は「樋口日奈と2期生の時代」と認識しています。ちなみにその前は「温泉トリオ時代」でブリッジとなるのが「サンダル脱ぎ捨て隊時代」かと。

若干話が前後しますが、待望の選抜入りは約3年ぶりの17th『インフルエンサー』そしてその1年後の『シンクロニシティ』でした。

2018年4月には『JJ』の専属モデルになります。

3期生合流以降のグループにおける立ち位置は「安定勢力」「中堅メンバー」という感じ。
握手人気は斉藤優里や中田花奈といったかつての選抜常連組や寺田蘭世、渡辺みり愛ら2期生たちと比べて突出するところまではいかず「アンダー最上位」というところでした。

1期生全員集合の25th『しあわせの保護色』で選抜復帰。
26thは選抜落ちしたものの27thから卒業する30thまで4作連続選抜入りしました。

2022年4月には写真集『恋人のように』発売。推定売上部数5万7千部強となかなかの数字を叩き出します。

舞台メンのひとりでもありました。

井上小百合とWキャストでヒロイン白鳥美美子役を務めた『帝一の國』シリーズに始まり、グループ内舞台でも『じょしらく弐』『墓場、女子高生』『セーラームーン』と中核を担います。
2019年にはいわゆる外部の舞台に4本も出演。2021年の『フラガール』では自身初の主演も経験しています。


アンバランスなバランス


変な人でした。

メンバーが彼女を評する言葉でよく聞くのは「とにかく優しい」
ただ苦楽を共にしてきた1期生からは「ノリで生きている」とも言われていますね笑

もの凄く真面目で自分を律するしっかり者なのは先日の久保史緒里とのラジオでもわかるのですが、やっぱり私の印象は真面目さとクレイジーさが同居したような「変な人」です。

中高一貫の有名校出身と言われており、学業との両立に励んでいるエピソードが多かったことから初期は「生真面目な優等生」だと思っていました。

しかしその印象もいつしか薄れていきます。

初選抜の時に冠番組で披露した「恐竜の真似をする坂之上くんの真似」や後に見せた「ダイナミックすぎて怖い鉄棒」など、徐々に「ブレーキが壊れてる感」溢れる言動が目立ち始めます。
(逆に言えば、当時の乃木坂はアンダーメンバーの露出が少なく初選抜までなかなかキャラクターがわからなかったのです)

天真爛漫で世間知らずなお嬢さん。
そんなどこか危なっかしい雰囲気もありました。

『乃木坂工事中』のメンバー投票企画で「将来お金に困りそう選挙」堂々の2位。
理由も「悪い男に貢ぎそう」「ダメな男に尽くしそう」という危険極まりないものでした笑

そして初選抜からアンダーに落ちた頃からでしょうか。自身の「セクシーさ」を武器にしなければいけないと感じている節もありました。
『のぎ天』での「布は少ない方がいいかと思って」という発言や「憧れの女性は壇蜜さん」など、なかなか上がらない人気に焦りを感じていたのではないでしょうか。

写真集以外は露出度が低いという暗黙のルールがある乃木坂において、真面目で幸薄そうなビジュアルの年少メンバーがセクシーさを武器にするというのはあまり得策ではなかったように思います。

そんなどこか危ういアンバランスさのある彼女には、たぶん時間が必要だったのでしょう。

アンダーライブや外舞台の出演を積み重ね磨かれたパフォーマンス。

髪をバッサリ切って明るめのショートカットにしてからのビジュアル、特に2021年の9thバスラ前後の充実ぶりには目を見張るものがありました。

グループ加入10年を目前にし自身も「年少メン」から「お姉さん」へと成長する中で、色々なものがやっとかみ合ってきたという印象です。

この頃から顕著に見えてきた「優しくてとぼけた無自覚におもろい姉さん」というキャラがきっと彼女の本質に近いのでしょう。


最後にこれからの彼女について。

ほぼ間違いなく演技の道へ進むでしょう。

『乃木坂工事中』の「キメ顔グランプリ」を観てわかるように彼女は映像に強い。
ただあの度胸は舞台向きだし、舞台上での華やかさも兼ね備えています。

ヒロイン役というよりも女性キャストの3番手4番手で登場し、「あの人綺麗だったな、何て名前だろ?」と視聴者がエンドロールで確認するような俳優さんになりそうな気がします。

上で書いたアンバランスさゆえに、エキセントリックな役もひたすら優しい聖母キャラもどちらも素で行けそうな彼女。

役柄に振り幅のあるバイプレイヤーとして息の長い活躍を見せてくれるかもしれません。

樋口日奈さん、11年間お疲れさまでした。



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