前の記事に書いたように初の2期生単独ライブは素晴らしいものでした。
しかし、この日のライブを観終わった時に私が思ったのは、
「ああ、これで本当に2期は終わったんだ」でした。
いや、これだとめちゃめちゃ語弊ありますね。
少しだけ柔らかい言葉で言い換えると「この先の2期生たちの姿」が思い描けなかったんです。
夢の実現は夢の終わりで
その大きな理由のひとつは「2期生ライブ」というタイトルでありながら、その実態は「堀未央奈卒業コンサート」だったこと。
ほぼ全曲出ずっぱりの真ん中たちっぱなし。
過去の卒業生でいえば生駒里奈や若月佑美、そして西野七瀬や白石麻衣と同じですね。まあソロコンをやった衛藤美彩というさらに突き抜けた人もいるわけですが笑
しかしこれらのメンバーは明確に「卒業コンサート」として開催していました。
堀ちゃんの卒業に全振りするのはアンコール以降だけで良かったと思うんです。
桜井玲香でさえそうだったじゃないですか。
彼女は「あくまでも乃木坂の全体コンサート」であることを貫きました。(しかもバスラではなく普通の全ツファイナルでしたが)
繰り返しになりますが、「堀未央奈卒業コンサート」と銘打っているならともかく「2期生ライブ」なんです。それもずっとファンやメンバー待望の。
なのに『風船は生きている』も『自惚れビーチ』も『ブランコ』もやらないって何?
個人的にはそこが大いに不満でした。
ライブ中盤の「全員センター企画」。
おぉ、いいじゃん!と思っていましたが次第に気づきました。あれ、実は単なるユニットコーナーでしたよね。
全員センター企画=それ以外の曲は全部堀ちゃんセンター。
もちろんこの原因はそもそも期別曲のセンターをすべて堀ちゃんにしてきた運営側の采配にあります。
「未央奈の最後だから、彼女に花を持たせたい」という2期生たちの思いがあったことも想像に難くありません。
でもそんな企画をせずとも極めて自然な形で全員がセンターを務めた翌日の1期生たちとはあまりにも対照的で少し残念でした。
それだけ堀未央奈の存在は大きかったと言えばそれまでかもしれません。
でも私はこれからの彼女たちの姿を見せてほしかった。
『スカウトマン』で真ん中に立つ新内眞衣とか『そんなバカな…』でおちゃらける渡辺みり愛とか。オリジナルセンターは堀ちゃんの楽曲であっても、誰かがそれを引き継ぐ姿が見たかったです。
さらにすごく勝手な妄想を押しつけると、北野日奈子には「最後まで全然敵わなかったけど、私はずっと未央奈をライバルだと思ってきた!ずっと負けたくないって思ってた!」と叫んでほしかった(そして堀ちゃんには「わかってたよ、日奈子」と応じてほしい)。
そして鈴木絢音には「これからは私が2期を守るから」と言ってほしかった。
その点さすが寺田蘭世は『ボーダー』で「私はこの6人が辞めるその日まで、この曲を大切に歌いたいです」と力強く言っていましたね。まあ若干彼女は名言言いたい癖がある気もするのですが笑
堀ちゃんが言うところの「みんな自分を責めすぎる」が出てしまった結果、せっかくの晴れ舞台なのに他のメンバーが前に出られていなかったように思います。
ずっと自分に自信を持てない状況が続いたゆえのブレーキ、なのでしょうか。だとしたら悲しい。
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不遇はもう終わりにしよう
私は決していわゆる「2期生推し」ではありませんから、ずっと彼女たちを応援してきたファンの方からすると以下の文章はまるで見当違いかもしれません。それでも結成当初からの古参オタとして彼女たちの決して平たんではない歩みをある程度は見てきたつもりです。
やっぱり始まりは2017年神宮の期別コーナーだったんだと思います。
あの日「キラッキラの3期生」と「オールスター感謝祭の1期生」に挟まれて、自分の存在意義とはなにかという問いを突き付けられた2期生たち。
そこで彼女たちが見せたのは、自分たちのこれまでと現状に涙を流しながら異様な迫力でパフォーマンスをする姿でした。キツい言い方をすれば「気持ち」しかなかったんです。
この瞬間に「不遇の2期」というフレーズが生々しい形でファンの前に表れた。いや、表れてしまったと言うべきでしょうか。(それまでも言葉として使われてはいたもののそれほど表立ってはいなかったように思います)
その後も容赦なく3期生の快進撃は続きました。
直後に発表された『逃げ水』では3期生の大園桃子と与田祐希の抜擢センター。
そして翌2018年の『シンクロニシティ』では久保史緒里と山下美月が、続く『ジコチューで行こう!』では岩本蓮加と梅澤美波がいずれも初選抜即福神。さらに『帰り道は遠回りしたくなる』で伊藤理々杏と佐藤楓が初選抜と、3期生は順調に選抜内での地保を固めていきます。
そして気づけばネット上では「2期推し」と「3期推し」の対立構造が目につくようになりました。
流れを変える契機もあったんです。
2019年6月の『乃木坂工事中』では「あらためて知って欲しい!2期生のいいところ」と題し2週にわたって2期生がフィーチャーされます。伊藤かりんや新内眞衣の語り口にバナナマンのサポートもあり「不遇」を「今となっては思い出」という切り口で処理できたように思われました。
しかし2019年夏に発表された24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』で今度は4期生3人がフロントに抜擢されます。
さらに同年末に放送された配信番組内でニューカレドニアへ二人旅をした堀ちゃんときいちゃんは現状について「悔しい」と口を揃え、2期推しのファンはまたも不満を募らせます。
いつしか「不遇」は2期生を語る際の枕詞のようになっていました。
しかし。
この日のライブで私が感じたのは、あの神宮で観せた情念とは真逆の「清々しさ」でした。
それは諦めでも自己憐憫でもなくて、不遇と言われながら懸命に生きた者だからこそ到達できる自己肯定。
もう、いいじゃないか。
私はこの同じ言葉を2019年末のアンダラ東京シリーズのライブレポでも使いました。
2014年4月のアンダーライブ・シーズンゼロから皆勤賞だった「アンダラの守護神」川後陽菜が卒業したライブ。
あの時の笑顔でさよならした川後陽菜に通じるものを感じたのです。
思い通りにはいかなかったし、悔しいことも辛いことも惨めな思いもいっぱいしたけど。後悔だって山ほどあるけど。
でも、誇りに思う。
私たちは、よくやった。
この日の2期生たちはそんな清々しさを振りまいていました。
2期だけでの単独ライブは皆が望んでいたことでしょう。
でもかつて堀ちゃんが言っていたような「2期全員で選抜に入りたい」とか「2期全員でひとつになってグループを変えよう」みたいなことはもう誰も思っていないような気がします。(凄く勝手な思い込みかもしれませんが)
彼女たちがこの日目指したのはきっと、ここでひとまず「2期生の物語」にケリをつけること。
だから、記念碑を建てよう
でっかい、でっかい記念碑を
私たちがここにいた証を。
この日、間違いなくその記念碑は建ちました。
膨らみすぎてしまった「不遇」という言葉への落とし前を、見事に自らの手でつけてみせた2期生たち。
もうここからは「誰かを見返すため」にではなく、「自分」と「乃木坂46」のためにその力を使ってほしいと思います。
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