ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:堀未央奈

びーむ色調補正3
前の記事に書いたように初の2期生単独ライブは素晴らしいものでした。

しかし、この日のライブを観終わった時に私が思ったのは、

「ああ、これで本当に2期は終わったんだ」でした。

いや、これだとめちゃめちゃ語弊ありますね。
少しだけ柔らかい言葉で言い換えると「この先の2期生たちの姿」が思い描けなかったんです。

夢の実現は夢の終わりで


その大きな理由のひとつは「2期生ライブ」というタイトルでありながら、その実態は「堀未央奈卒業コンサート」だったこと。

ほぼ全曲出ずっぱりの真ん中たちっぱなし。
過去の卒業生でいえば生駒里奈や若月佑美、そして西野七瀬や白石麻衣と同じですね。まあソロコンをやった衛藤美彩というさらに突き抜けた人もいるわけですが笑
しかしこれらのメンバーは明確に「卒業コンサート」として開催していました。

堀ちゃんの卒業に全振りするのはアンコール以降だけで良かったと思うんです。

桜井玲香でさえそうだったじゃないですか。
彼女は「あくまでも乃木坂の全体コンサート」であることを貫きました。(しかもバスラではなく普通の全ツファイナルでしたが)



繰り返しになりますが、「堀未央奈卒業コンサート」と銘打っているならともかく「2期生ライブ」なんです。それもずっとファンやメンバー待望の。

なのに『風船は生きている』も『自惚れビーチ』も『ブランコ』もやらないって何?

個人的にはそこが大いに不満でした。

ライブ中盤の「全員センター企画」。
おぉ、いいじゃん!と思っていましたが次第に気づきました。あれ、実は単なるユニットコーナーでしたよね。

全員センター企画=それ以外の曲は全部堀ちゃんセンター。

もちろんこの原因はそもそも期別曲のセンターをすべて堀ちゃんにしてきた運営側の采配にあります。

「未央奈の最後だから、彼女に花を持たせたい」という2期生たちの思いがあったことも想像に難くありません。

でもそんな企画をせずとも極めて自然な形で全員がセンターを務めた翌日の1期生たちとはあまりにも対照的で少し残念でした。

それだけ堀未央奈の存在は大きかったと言えばそれまでかもしれません。

でも私はこれからの彼女たちの姿を見せてほしかった。

『スカウトマン』で真ん中に立つ新内眞衣とか『そんなバカな…』でおちゃらける渡辺みり愛とか。オリジナルセンターは堀ちゃんの楽曲であっても、誰かがそれを引き継ぐ姿が見たかったです。

さらにすごく勝手な妄想を押しつけると、北野日奈子には「最後まで全然敵わなかったけど、私はずっと未央奈をライバルだと思ってきた!ずっと負けたくないって思ってた!」と叫んでほしかった(そして堀ちゃんには「わかってたよ、日奈子」と応じてほしい)。
そして鈴木絢音には「これからは私が2期を守るから」と言ってほしかった。

その点さすが寺田蘭世は『ボーダー』で「私はこの6人が辞めるその日まで、この曲を大切に歌いたいです」と力強く言っていましたね。まあ若干彼女は名言言いたい癖がある気もするのですが笑

堀ちゃんが言うところの「みんな自分を責めすぎる」が出てしまった結果、せっかくの晴れ舞台なのに他のメンバーが前に出られていなかったように思います。

ずっと自分に自信を持てない状況が続いたゆえのブレーキ、なのでしょうか。だとしたら悲しい。




不遇はもう終わりにしよう


私は決していわゆる「2期生推し」ではありませんから、ずっと彼女たちを応援してきたファンの方からすると以下の文章はまるで見当違いかもしれません。それでも結成当初からの古参オタとして彼女たちの決して平たんではない歩みをある程度は見てきたつもりです。

やっぱり始まりは2017年神宮の期別コーナーだったんだと思います。

あの日「キラッキラの3期生」と「オールスター感謝祭の1期生」に挟まれて、自分の存在意義とはなにかという問いを突き付けられた2期生たち。

そこで彼女たちが見せたのは、自分たちのこれまでと現状に涙を流しながら異様な迫力でパフォーマンスをする姿でした。キツい言い方をすれば「気持ち」しかなかったんです。

この瞬間に「不遇の2期」というフレーズが生々しい形でファンの前に表れた。いや、表れてしまったと言うべきでしょうか。(それまでも言葉として使われてはいたもののそれほど表立ってはいなかったように思います)

その後も容赦なく3期生の快進撃は続きました。

直後に発表された『逃げ水』では3期生の大園桃子と与田祐希の抜擢センター。
そして翌2018年の『シンクロニシティ』では久保史緒里と山下美月が、続く『ジコチューで行こう!』では岩本蓮加と梅澤美波がいずれも初選抜即福神。さらに『帰り道は遠回りしたくなる』で伊藤理々杏と佐藤楓が初選抜と、3期生は順調に選抜内での地保を固めていきます。

そして気づけばネット上では「2期推し」と「3期推し」の対立構造が目につくようになりました。

流れを変える契機もあったんです。
2019年6月の『乃木坂工事中』では「あらためて知って欲しい!2期生のいいところ」と題し2週にわたって2期生がフィーチャーされます。伊藤かりんや新内眞衣の語り口にバナナマンのサポートもあり「不遇」を「今となっては思い出」という切り口で処理できたように思われました。

しかし2019年夏に発表された24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』で今度は4期生3人がフロントに抜擢されます。
さらに同年末に放送された配信番組内でニューカレドニアへ二人旅をした堀ちゃんときいちゃんは現状について「悔しい」と口を揃え、2期推しのファンはまたも不満を募らせます。

いつしか「不遇」は2期生を語る際の枕詞のようになっていました。

しかし。
この日のライブで私が感じたのは、あの神宮で観せた情念とは真逆の「清々しさ」でした。

それは諦めでも自己憐憫でもなくて、不遇と言われながら懸命に生きた者だからこそ到達できる自己肯定。

 もう、いいじゃないか。

私はこの同じ言葉を2019年末のアンダラ東京シリーズのライブレポでも使いました。

2014年4月のアンダーライブ・シーズンゼロから皆勤賞だった「アンダラの守護神」川後陽菜が卒業したライブ。
あの時の笑顔でさよならした川後陽菜に通じるものを感じたのです。

 思い通りにはいかなかったし、悔しいことも辛いことも惨めな思いもいっぱいしたけど。後悔だって山ほどあるけど。

 でも、誇りに思う。
 私たちは、よくやった。

この日の2期生たちはそんな清々しさを振りまいていました。



2期だけでの単独ライブは皆が望んでいたことでしょう。

でもかつて堀ちゃんが言っていたような「2期全員で選抜に入りたい」とか「2期全員でひとつになってグループを変えよう」みたいなことはもう誰も思っていないような気がします。(凄く勝手な思い込みかもしれませんが)

彼女たちがこの日目指したのはきっと、ここでひとまず「2期生の物語」にケリをつけること。

 だから、記念碑を建てよう

 でっかい、でっかい記念碑を

 私たちがここにいた証を。

この日、間違いなくその記念碑は建ちました。

膨らみすぎてしまった「不遇」という言葉への落とし前を、見事に自らの手でつけてみせた2期生たち。

もうここからは「誰かを見返すため」にではなく、「自分」と「乃木坂46」のためにその力を使ってほしいと思います。

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びーむ色調補正3
2021年3月28日。
2期生の合格発表からちょうど8年という記念すべきこの日。

とうとうそれは実現しました。

乃木坂46、2期生による初の単独ライブ。

幻のままでは終わらせない


2期生メンバーそしてファンにとっても悲願だった2期単独ライブ。
北野日奈子はそれを「夢」と語りました。

2020年に予定されていたもののコロナ禍により直前で中止。
急遽スタジオ配信という形で「幻の2期生ライブ」を届けてくれましたが、生パフォーマンスとVTRを組み合わせた急ごしらえのもの。メンバーたちもやはり悔しかったことでしょう。

ついに。ようやく。

ただこの日は同時にこれまで2期のトップランナーとして走り続けてきた堀未央奈のラストライブでもありました。


セットリストはこちらです。

Overture
01. アナスターシャ
02. ライブ神
03. Am I Loving?
04. 走れ!Bicycle

全員センター企画
05. 日常(北野)
06. 君の名は希望(山崎)
07. ゴルゴンゾーラ(渡辺)
08. サヨナラの意味(純奈)
09. ここじゃないどこか(鈴木)
10. 太陽ノック(新内)
11. ボーダー(寺田)
12. 別れ際、もっと好きになる(堀)

13. 嫉妬の権利
14. 今、話したい誰かがいる

15. 君に贈る花がない
16. 世界で一番孤独なLover
17. かき氷の片想い
18. スカウトマン
19. ハルジオンが咲く頃
20. きっかけ

21. ゆっくりと咲く花

EN1. 冷たい水の中
EN2. バレッタ

EN3. アナスターシャ

セトリをざっとまとめると以下のような流れでした。

『アナスターシャ』で始まり、そこからアップテンポな曲をつないだ後は「全員センター企画」。

2期生全員アンダーだった時のアンダー曲『嫉妬』とその表題曲『話誰』を挟んで一気に本編ラストまで畳み掛け、最後は『ゆっくりと咲く花』。

アンコールは堀未央奈の卒業セレモニー。ゆっくりとじっくりと、思いの丈を語る彼女。
そこからソロ曲『冷たい水の中』、さらに代表曲というにはあまりにも重い『バレッタ』へ。2期生がひとりひとり堀ちゃんへのメッセージを伝え、最後にはサプライズで彼女のお母さんからの手紙も読まれました。

そして再びの『アナスターシャ』。
1期から4期までのメンバーも集結しての幕切れとなりました。




笑顔と涙に包まれて


ここからは印象に残ったシーンを並べていきます。

最近のライブレポでは毎回その日一番ビジュアルが仕上がっていたメンバー(無論、ゴリゴリの主観)を書いているのですが、この日は鈴木絢音かな~。

まず最初に驚いたのは伊藤純奈の髪が長いこと。(エクステですよね?)
そして衣装のスカートが(8人中4人は)短い。きっと堀ちゃんの趣味だなと思ったら案の定でした笑

『走れ!Bicycle』を持ってきたのはちょっと意外でしたが、後で調べたら実は1年前の「幻の2期生ライブ」でもセトリに入っていました。彼女たちにとって「自分がまだファンだった頃の乃木坂」を象徴する曲なのかもしれません。

最初のMCで北野日奈子が言った「人生で1番は難しいとしても3番目ぐらいに入る思い出作ろう!」も面白かった。

そのきいちゃんが全員センター企画のトップバッター。曲はやはり『日常』。
制服でのパフォーマンスはなんか欅坂46の『月曜日の朝、スカートを切られた』を思い出しました。表現しようとしているものはまるで違うんですけどね。

山崎怜奈のセレクトが『君の名は希望』というのはちょっと意外でした。
ザ・乃木坂のこの曲。それを「良くも悪くも乃木坂から一番遠い人」でありながら「今最も乃木坂の名を背負ってメディアに出ている人」な彼女が歌う。不思議なパラドックス。

ひとりだけ1年前と同じ曲を選んだ伊藤純奈
「これが本当のラストチャンスだと思って歌います」
そう語った彼女の『サヨナラの意味』。いつまでも変わらない憧れのあの人に向けて。
最後に頬を伝った涙も印象的でした。

全員アンダーだった『今、話したい誰かがいる』を歌ったのは復讐なのか意地なのか、それとも「復讐そのものへのさよなら」なのか。

『世界で一番孤独なLover』も意外。

この後ぐらいから涙を流すメンバーの姿が目立ち始めます。

『ハルジオンが咲く頃』で早くも泣き始める「号泣あしなが姉さん」こと新内眞衣
『きっかけ』でスカートをグッと握りしめて涙をこらえる北野日奈子

アンコールでの堀未央奈の挨拶にも多くの印象深い言葉がありました。

「そんな自分は凄く好きです」「夢の連鎖」「乃木坂は自慢のグループ」
そして「お花いい匂いする~」笑

本当に最後の最後『アナスターシャ』で、もはや顔を上げられずに涙にくれる鈴木絢音
サプライズ登場した先輩後輩たちは笑顔で卒業を祝い、離れたところで誰よりも激しく泣く林瑠奈

これぞ乃木坂の卒コンという、笑顔と涙で包まれた温かな空間でした。


そして『乃木坂工事中』は自分にとってのアフター配信。

「2期生ハウス」最高でした。

4期生曲『Out of the blue』を楽しそうに踊る2期生たちの姿と「ここだけやりたい純奈」。
堀ちゃんのアドリブダンスに追いつけない山崎怜奈
テンション100での堀未央奈の挨拶。
そして全体的に渡辺みり愛がめちゃめちゃ面白かった。

すぐそこにある別れが見えているこんな時には、明るくバカやってる姿が一番切ないですね。

ああ、乃木坂っていいな。
そう思わせる素敵な30分でした。



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頑なさの鎧


①の記事では堀未央奈のポジションにずっと「異物感」を覚えていたことについて書きましたが、彼女自身のキャラクターもそれを増幅するものでした。

その特徴である、飄々とした…というかすっとぼけた態度。
かつて橋本奈々未に「未央奈は『え?何ですか?』で注目を集めようとしている」と指摘されたあれ。設楽さんからも「ワタス顔」と言われるやつですね。

あれも彼女のファンでない人からすればわざとらしくて腹が立つというか神経を逆なでされるのですが笑、どうも元々本人の持ち味のようです。身近な人からも「何考えてるのかよくわからない」と言われるそうですし。

想像にすぎませんが、突然のセンター抜擢から毎週TVに出るようになる中で必死にやっていたら、自分の素の部分のうちそこが面白がられた。なので多少デフォルメして強調するようになったのではないでしょうか。

「美容番長」でもありました。

これ、女子受けはいいのでしょうが男オタからは「化粧が濃い」とか言われがちですよね…

4期生の掛橋沙耶香や林瑠奈が堀ちゃんリスペクトなのでもちろん間違いではないのですが、これで女性の新規ファンを開拓したかというと微妙な気が。
ただグループに何人かはいてほしいタイプではありますね。

個人的にはずっと3期生をライバル視しているような印象も受けました。

まあ無理もありません。同期で選抜に定着しているのが自分と新内眞衣のふたりしかいないのに3期生はあっという間に5人が定着し、多い時には8人も選抜入りしてきたのですから。

ただ、彼女が2期生不遇を語れば語るほど「いやお前は優遇されてただろ」というツッコミが入る悪循環に陥っていました。
3期4期は曲ごとにセンターが変わっていますが、2期生曲は最後まで堀ちゃんセンター固定。

これも完全に運営側の話なんですけれどね。

同じく「ゴリ押し」と呼ばれ強烈なアンチがついた生駒里奈が徐々にポジションを下げ、13th以降はいくつか例外はあるものの3列目に落ち着いたのとは対照的です。(生駒ちゃんが卒業発表時に功労者として再評価されたのはそれもあったと思います)


そして改めて彼女のこれまでを振り返ってみると、全体に「わからないやつにわかってもらおうなんて思わない」という頑固さのようなものを感じます。

それは彼女自身の「アイドルとは弱みを見せないもの」という美学によるものでしょうが、やはりスタート地点で訳も分からないうちに大量のアンチがついたというのも大きかったでしょう。大いに同情の余地があります。

ただその「頑なさ」が彼女に与えられた主要メンバーという地位にそぐわなかったこと、そしてグループ全体のパブリックイメージとも合っていなかったことは事実だと思います。

カウンターがあることの強さ


こうして言葉を並べてきて思うのは「結局、ポジションだけが間違っていたんだな」ってことです。

彼女自身の持ち味からすれば本来は秋元真夏的な立ち位置が良かったのでしょう。
乃木坂のメインストリームに対するカウンター。

センターやフロントなど前面に出てくるのはグループのイメージを体現する「乃木坂感」溢れるメンバーが望ましい。

ただそれだけだと外番組では盛り上がらないことこのうえない。西野七瀬が20人いてもMCは困っちゃいます笑

そこで必要になるのが「異物」。
いわゆる「バラエティメン」ではなく、アイドル性をキープしながらも「ズレ」を生めるメンバー。言い換えればMCに対してフックのあるメンバー。

外番組ではこういう人が重宝されるんですよね。
高山一実しかり。松村沙友理もその範疇に入ります。生田絵梨花もそうなのでしょうが彼女はもはやいろいろ突き抜けちゃっててこういう評価軸では語れません。

余談ですが、今の山下美月は乃木坂感を残しつつもフックがあるスーパーエースへと脱皮しつつあるような気がしています(と、彼女がマイペースで激辛料理を食べている番組を観ながら思いました)。

『アメトーーク!』や『バズリズム』で見せたように外番組でもすっとぼけたキャラを物怖じせずにできる堀ちゃんは、このカウンターとして存分に機能していました。

「異物感」って重要です。

乃木坂に憧れて入ってきたメンバーが多い3期4期が多数派となった現在、どうしても同質性が高くなる傾向にあります。それは乃木坂が結成当初から持っていた強みでもあります。「スカートの裾が揃っていた衣装デザイン」なんてのもありました。

3期は全体としてタレント性の高いメンバーが揃っておりそもそもの乃木坂感は低めでしたが、彼女たち自身が乃木坂ファンであるために同質性を高める方向に進んでいます。梅澤美波が阪口珠美のギャル言葉を叱るなんていうのもそれを端的に示していますね。
これ自体は結成当初からの古参オタからすると正直、嬉しいことです。

でも同質性の高い組織って、強度は上がりますが折れやすくなるリスクもあるんですよね。

その点、現在の乃木坂には1期2期がキャリアを重ねる中で培ってきたしなやかさや打たれ強さのようなものが備わっています。

しかしこの先、グループが小さかった頃を知らない3期4期だけになった時にしなやかさをもたらせる人材は誰なのか。
そこで再び3期生たちが自分の個性に目覚めるのかもしれませんし、堀ちゃんのような異物感を醸し出す後輩が現れるのかもしれません。

異物感を継ぐとしたら、今いるメンバーの中では林瑠奈じゃないかと思っています。エキセントリック度合いとしてはちょっと抜けた存在ですよね。
もうひとりの堀チルドレン掛橋沙耶香もいいんですが、乃木坂メンバーとしては極めて珍しく上昇志向を隠そうとしない彼女はどちらかというと衛藤美彩を彷彿とさせますね。


最後に、卒業後の彼女について。

既に本人が明確に女優と言っていますね。

これまでは現役アイドルとしてヒロイン的な要素を求められる部分がありましたが彼女の本質はそこにはありません。その枷が外れたこれからの方が幅広い役柄をこなせそうで、むしろ期待できます。

『遊戯みたいにいかない。』とかカップスターの『毎月劇場』でわかる通り、オークラさんの脚本、というか東京03角田さんを傷つける台詞を吐く役が異常に似合うのですがそれはさておき笑

サスペンスドラマの容疑者役にぴったりですね。

犯人役でもいいし、やたらと怪しくて引っ掻き回すけれど犯人じゃない役もできる。あとは他人に無関心で不愛想なんだけど実は主人公の一番の理解者とかも似合う(これはサスペンスに限らずどんな物語でもよいですね)。

犯人役といえば『猿に会う』での演技が印象に残っています。あのドラマ全体に通底する不穏な空気の体現者でもありました。

個人的には「個性派女優」として活躍してほしいし、その方向で10年後も生き残っている可能性があると思います。

乃木坂の看板を下ろしたこれからの彼女がどんな演技を見せるのか楽しみです。


堀未央奈さん、約8年間お疲れさまでした。

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守られた次世代


前の記事で書いた運営による堀未央奈に対する露骨な優遇。

功罪を比べれば、正直「罪」の方が多いように思います。

仮に彼女が他の2期生と同様に研究生からスタートしていたらセンターになることはなかったでしょう。

もちろん2期生で最初に選抜入りしたのは間違いないと思いますが、3列目から2列目に上がってどこかでフロントを経験して涙するという衛藤美彩と同じような軌跡をたどったのではないでしょうか。

その方が堀ちゃんもファンも他のメンバーも、きっと幸福だったろうな。
ついそんなことを考えてしまいます。

ただ、逆説的に考えればいくつかの「功」もあります。

まず乃木坂ファンの「AKB的なものに対する拒否反応」を運営が強烈に認識することになりました。

当時はまだ「AKB48の公式ライバル」という初期設定に囚われており、それこそAKBの総選挙や組閣(48グループ内の異動・兼任)に乃木坂が参加させられるのではないかという不安がファンの間にも現実的なものとして根強く残っていました。
『バレッタ』の3ヶ月後、2014年2月には現実に「交換留学」という名目で松井玲奈と生駒里奈の兼任が行なわれます。

しかし堀ちゃんセンターとこの交換留学に対し、乃木坂ファンはアレルギーと言っていいほどの拒絶反応を示しました。

これによってその後のグループ運営は極めてコンサバティブなものになります。
新人のセンター抜擢こそ続けられたものの、それ以外にサプライズによる話題作りはほとんど行われることはありませんでした。48グループとのコラボも「坂道AKB」ぐらいにとどまります。

そしてその新人抜擢センター。

後に大園桃子、与田祐希、遠藤さくらのセンター抜擢というチャレンジができたのは無論、堀ちゃんの前例があったからこそです。そして結果的に新たな人気メンバーを生み出すことに成功しました(以前にも書いた通り個人的にはこの手法には否定的なのですが)。

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さらにこれまた逆説的ですが、堀ちゃんを齋藤飛鳥のシンメにしてフロントに置き続けることによって「守られた」メンバーがいます。

それは与田祐希

与田っちょは『逃げ水』以降、目に見える人気指標ではことごとく白石西野生田飛鳥に次ぐ位置にいました。実際、1st写真集『日向の温度』の売り上げでも同時期に出した堀ちゃんの『君らしさ』を上回っています。

しかし運営は頑なに飛鳥のシンメには堀ちゃんを使い続けました。
与田っちょのポジションは多くの場合、堀ちゃんよりひとつ外。
これは見方を変えれば一段責任の軽い場所にいることを許されたということです。

『逃げ水』でセンターに抜擢され、なーちゃんに愛でられ、ただでさえ人気面では3期生の中でも突出しつつあった彼女。他推しのファンから敵対視されかねない条件は揃っていました。

もし与田っちょが飛鳥とシンメにいたら、凄くアンチが湧いたことでしょう。

しかしその場所を堀ちゃんが担ってくれたおかげでそれは回避された。
同期の中心人物である久保史緒里、山下美月、大園桃子が相次いで休養する中、与田っちょを守ることができたのはグループにとって極めて大きかったと思います。

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妄想の『バレッタ』なき世界


そしてこれまた逆説的ではありますが、彼女をセンターにするという回り道によって結果的に乃木坂のピークが後ろにずれ息の長いグループとなりました。

例えば7枚目シングルが白石麻衣連続センター、8枚目が西野七瀬であったとします。
(ここから先はかなり妄想になるのですがご了承ください笑)

これはすなわち後の白石西野時代が1年半ほど早くスタートしていたということ。こうなれば人気のピークも前倒しになります。紅白初出場は2014年、『太陽ノック』の生駒里奈センターもなかったでしょう。『悲しみの忘れ方』は生駒から白石西野への流れを追う物語になっていたはずです。

世代交代も御三家から西野を中心とした94年組へ、そして2016年あたりに再び生生星+齋藤飛鳥へと進み、堀ちゃんはこの生生星世代のひとりになったことでしょう(要するに『あらかじめ語られるロマンス』です)。

これが実現していれば西野七瀬を支える桜井玲香、若月佑美の序列が実際よりもっと高くなり、生生星アゲインのタイミングでは選抜のオールスター感がもの凄いことになっていたのではないでしょうか。

「1期2期による乃木坂46」としては明らかにこの方が早くグループが大きくなっていたし、井上小百合推しの自分としてはもちろんこの乃木坂が見たかった笑

しかし。

この場合は東京ドーム公演も1年以上早いタイミング、遅くとも2016年の夏には到達したでしょう。

そうなると3期生の加入はドーム後であり、彼女たちは「ドームまでの道のりを知らずに、天下を取ったグループに後から入ってきたフリーライダー」になってしまいます。

そして恐らく1期生の多くはドームを区切りとして卒業し、代わりに3期生が選抜入りしても「知らない顔ばかりになった」と言われグループの勢いは弱まってしまったことでしょう。

現実はそれとは異なりました。

あの2017年11月の東京ドーム。

既にグループの大きさからすれば前年時点でもフルハウスにできたでしょう。
でも色々な要素が絡まって、満を持しまくりでの東京ドーム。
7月の神宮での歓喜の発表、あの日のドームの破裂しそうな期待感。そして伊藤万理華と中元日芽香の見事な花道。

間違いなく集大成。
でもそれと同時に「ここはゴールではない」感も確かにありました。

なぜなら、3期生がいたから。
あのドーム公演は1期2期の世界の到達点でありながら、3期というブースターに点火したばかりという稀有なタイミングで行なわれたからです。

少なくとも私は3期生のことを、乃木坂をドームにそしてミリオンセラーに押し上げた最後のファクターと認識しています。事実、初ミリオンとなった『インフルエンサー』は3期生が初めて個別握手会に参加したシングルでした。
これ、1期2期のファンでも一定数の方は同意いただけるのではないでしょうか。

乃木坂という物語にとって、もっともふさわしいタイミングで行なわれた2017年11月の東京ドーム。

そこにつながる遠因のひとつが『バレッタ』の堀未央奈抜擢だった。

彼女自身は未来にはなれなかったけれど、彼女がいたからこそ3期生が絶妙なタイミングでグループに勢いをもたらすことができた。

それが妄想の果てにたどり着いた結論です。

堀ちゃん本人とは全く関係のない話になってしまいましたので笑、続きます。

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タオル補正
2020年11月27日午後10時15分。

公式Youtube上で堀未央奈さんのソロ曲『冷たい水の中』のMVが公開され、その最後に彼女自身の口から卒業が発表されました。

使い古された方法論


彼女はそのスタートから「異物」でした。
いえむしろそのスタートがすべてだったのかもしれません。

『バレッタ』でのセンター抜擢。
結成当初からのファンである私からすれば最悪のタイミングでした。

デビュー曲から5作連続でセンターを務めたのは生駒里奈。その「生生星」路線は一定の評価を得つつも売り上げ的には頭打ちとなり、ここで運営は方向転換を余儀なくされます。

6thシングル『ガールズルール』のセンターは白石麻衣。
御三家をフロントにして握手人気上位の「お姉さんメンバー」を重用する、ファンの期待に素直に応える布陣。そしてほぼこの時点での最強と思われるメンバーで構成された選抜(初選抜がいない、総決算的なメンバー)でもありました。

これにより売り上げは一気に1.5倍に伸びます。
さあ、ここから乃木坂の快進撃が始まる。そんな予感で満ちていました。

そのタイミングで突然の2期生抜擢。
まだ何もない、『乃木坂って、どこ?』でお披露目されただけの2期生が。
よりによってセンターに立つ。

正直、個人的には「水を差された」としか言いようのない衝撃。
いや正確には衝撃ですらありませんでした。選抜発表前からネット上では「次のシングルのセンターは2期生の堀未央奈」という噂がまことしやかに流れていましたから。

名前を呼ばれ壇上に立つ堀ちゃん。髪型もメイクも野暮ったいままの彼女は、明らかに場違いでした。

まさに美しい世界に紛れ込んだ「異物」。
それが彼女でした。

結成以来必死に頑張って前作『ガルル』で確かな手ごたえも掴んだはずの1期生たちとそのファンがどう感じたのか。

それを端的に物語っているのが橋本奈々未が当時ブログに綴った言葉。

 発表された瞬間は、正直受け入れられませんでした。
 未央奈をではなく、大人の判断を。
 収録が終わった後、みんなで泣きました

 まだ握手会の日に控え室でしか顔を合わさない、何の経験もない
 2期生がセンター

 こんなこと言える立場じゃないのは分かってる、けど、
 何を基準で抜擢されたのか全く私たちには不明確で、悔しかった


結局、当時の運営はAKB48と同じ方法論しか持ち合わせていなかったのでしょう。

ストレートな表現をすれば「増員」と「作られたストーリー」による「炎上」。

2期生の募集自体、2012年12月。『制服のマネキン』と『君の名は希望』の間です。
そもそも結成1年ちょい、デビューしてからわずか10ヶ月の時点で早くも募集をかけているあたりにそれが窺えます。

当時乃木坂ファンの多くは増員など望んではいませんでした。
現有戦力で十分に戦える。どころか1期生34人のうち23人しか選抜を経験していないのですからまだ1期生の魅力も能力も開発途上。それなのに2期生を募集するという暴挙。単純に46人にしたかっただけという説もありますが。

まして4th『制服のマネキン』時には秋元真夏の復帰即福神が大きな批判を浴びていました。彼女自身は抜群の釣り対応で瞬く間に握手人気上位となりましたが、他メンバーファンの間には真夏さんに対する抵抗感がまだまだ根強く残っていました。
なのにそれと全く同じことを繰り返すという愚行。しかも今度はセンターで。

結果として堀ちゃんには極めて多くのアンチがつくことになります。

そしてもうひとつ、運営は「アイドルとは成長物語を見せるもの」という固定観念からも抜け切れていなかったのでしょう。

原石感の強い生駒ちゃんをセンターに固定していたのもその表れでした。ようやく圧倒的な完成度のまいやんに切り替えたのも束の間、再びまっさらの2期生。

この時点での運営は全体的に「乃木坂ファン」の嗜好を読めていなかったように感じます。
まあ少しフォローするならば、きっと御三家がもっと早くに卒業すると思っていたのでしょう。

最後まで続いた優遇


続く8thシングル『気づいたら片想い』ではフロントに留まったものの、9th以降のポジションは3列目。これは当時の堀ちゃんの握手人気からすると極めて妥当な位置。12~16番目ぐらいの完売実績ですが上位10人とは明確な格差があるという感じでした。

しかしその期間に始まったアンダーライブが熱狂的な支持を集めます。
その立役者である齋藤飛鳥、伊藤万理華、井上小百合、中元日芽香らが握手人気を高め、堀ちゃんと同等かそれ以上のスピードで完売させるようになっていきます。

彼女たちの選抜入りの機運が高まる中、入れ替え対象としてやり玉に挙げられたのが堀ちゃんでした。

そしてついに彼女は12thシングル『太陽ノック』と続く『今話したい誰かがいる』で選抜から外れます。これによってアンチは留飲を下げ、彼女に対する風当たりも少しは弱まるかと思われました。

しかしこれはさらなる「ゴリ押し」の始まりにすぎませんでした。
選抜から外れたにもかかわらず、堀ちゃんは選抜どころか福神並みの優遇を受け続けたのです。

アンダーでは当然のように2作連続でセンター。サンクエトワールというユニットまで結成してもらい、アンダー期間も変わらず冠番組には出続けます。ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』のエンディングでは彼女の挫折からの再起を露骨に予告する映像が流されました。

そして何よりファンを白けさせたのが、アンダーメンバーたちが歯を食いしばり積み上げてきた結果としてたどり着いた武道館公演の座長を堀ちゃんが務めたこと。それだけでなく、その成功という箔をつけてもらっての選抜復帰。

さらにその14th『ハルジオンが咲く頃』のMVでは卒業する深川麻衣からの「継承」をイメージさせる演出がなされます。

お膳立てされまくりにも程がある。

結局彼女がアンダーに落ちたのはアンチかわしのための一時的措置に過ぎなかったことが誰の目にも明らかになりました。

選抜復帰後はポジションも露骨にゴリ押しされはじめます。
17th『インフルエンサー』以降は、基本常にフロント。これには新人抜擢センター曲『逃げ水』『夜明けまで強がらなくてもいい』も含まれます(例外は西野七瀬と白石麻衣の卒業シングルのみ)。

平たく言うと、丸3年もの間白石西野飛鳥に次ぐポジションを与えられてきたのです。
ポジションだけ見れば生田絵梨花よりも上。まあ生ちゃんはそういう次元にはいないと思いますが。

多くの場合飛鳥とシンメ扱いされ、2013年の7thシングルの時点で単独センターを経験しているのにもかかわらずいつまでも「次世代枠」に入り続けました。

与えられたそのポジションからすれば彼女は飛鳥を支える存在になっていなければなりませんでした。にもかかわらずこのタイミングでの卒業。
率直に言って自身の経験によって得たものをグループに還元することなく卒業していく、という印象です。

 今はまだ何も無い
 センターを担う2期生・堀未央奈を皆さんが力を合わせて育てて下さい
 あなたたちの行動が
 未来の乃木坂46を作ります
 (堀未央奈センター発表時の運営からメンバーへの手紙)

 堀未央奈は「乃木坂の未来」だ
 (秋元康のコメント)

こんな言葉が今となっては空しく響きます。

そもそも生田絵梨花と同学年。星野みなみより1歳、齋藤飛鳥より2歳も年上。
その彼女を「未来」「次世代」扱いすること自体が矛盾しているのです。

秋元康の、運営の見込み違い。それが改められなかった(かに見えた)たために最後までアンチが減ることはありませんでした。

ここまで挙げてきたすべてはもちろん運営の采配であり、堀ちゃん自身が選んできたものではありません。

ただ他のメンバーを推しているファンからすれば受け入れがたい、『スラムダンク』の陵南・田岡監督でなくても「なぜそこにいるんだぁ!?」と言いたくなるレベルの優遇であったこともまた事実。

結局のところ彼女は「未来」にはなれず、ずっと「異物」のままでした。


続きます。

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