2022年6月13日、パーソナリティを務めるラジオ番組内で山崎怜奈さんが卒業を発表しました。
私は以前にそれを「チェンジアップ」と表現しましたが、極めて特殊な乃木坂人生を送ったメンバーでした。
好奇心の磁石
彼女の経歴をざっと振り返ります。
お芝居のオーディションで知り合い友人だった井上小百合を通してグループの存在を知り、2013年3月に2期生として乃木坂46に加入。
5月に『16人のプリンシパル deux』と『乃木坂って、どこ?』でお披露目。
当時の印象は「こまっしゃくれた中学生」笑
特技「チャップリンの英語演説」でバナナマンを当惑させていました。
まあこまっしゃくれただとやや悪口なので「ちょっと生意気な」という感じ。同じか。
実際に高校生になりたての頃でしたし、子役出身ということもその立ち居振る舞いに影響を与えていたのだと思います。
2期生の中で正規メンバーに昇格するのが最後だった、いわゆる「ボーダー組」のひとり。
昇格発表は加入から2年近くが経過した2015年2月、極寒の西武ドームでのことでした。
さらに言えば、ボーダー組の中でもやや出遅れていた感がありました。
最初期にビジュアルで注目を集めた佐々木琴子や『ボーダー』のセンターだった寺田蘭世あたりと比べると地味な印象。
しかも昇格後初参加となるはずの12thシングル『太陽ノック』期間も学業に専念するために活動休止。(実は前年のアンダラ2ndシーズンも怪我のため多くの公演を欠場していました)
ただその甲斐あってか翌2016年3月に慶応義塾大学へ進学。
そしてこの前後ぐらいから「あざとい釣りキャラ」という方向性に活路を見出します。
個人的にれなちさんといえば「上目遣いの自撮り」という印象が強いのもこの頃のイメージが残っているのでしょう。
これにより一時期かなり握手人気を上げていた彼女ですが、それでも選抜ボーダーの域から突き抜けるまでには至りませんでした。
アンダー曲におけるポジションも決して高くはありませんでした。
初参加した13rd『嫉妬の権利』から3作連続で3列目。
16th『ブランコ』で初めて2列目に、そして続く17th『風船は生きている』では渡辺みり愛、鈴木絢音の同期ふたりと共にフロントに立ちます。
18thから26thはほとんどの場合2列目。
例外はフロントに立った20th『新しい世界』と23rd『滑走路』。
1期生の斉藤優里、中田花奈、樋口日奈。そして同期の北野日奈子や寺田蘭世、渡辺みり愛といった選抜経験者を差し置いてその前に立つという域には達しませんでした。
一時は選抜ボーダーラインに近いところまで上げた握手人気。しかし23rdあたりからは徐々にそれも降下していきます。
「握手会売上での選抜入りが叶わなかったのでファンの心が折れた」とも言われています。
それでも彼女は諦めませんでした。
歴女、クイズ、そしてラジオ。
自ら興味や得意分野を積極的に発信し、その多くを外仕事につなげたのです。
2018年4月、ラジオ番組『金つぶ』のアシスタントMCに就任。
同時期より『Qさま!!』に準レギュラーとして出演。
2019年5月からはひかりTVで単独冠番組。
2020年10月からは平日昼間のラジオ生放送帯番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』。
いずれも「乃木坂のメンバー誰か」ではなく「山崎怜奈」を求められての仕事です。
気づけば乃木坂屈指の売れっ子にまで成長していました。
「アンダーメンバーは乃木坂にいることの価値を最大限に活用して、何かひとつ自分を発揮できる場を取りに行ってほしい」
25thシングル選抜発表の記事で私はこんなことを書いていましたが、まさにこれを地で行ったれなちさん。
乃木坂というその看板で取っ掛かりを作ったら、そこから先は自分次第で開ける道もあるということを証明してみせました。
その多忙な日々の中、無事4年間で大学を卒業したのも立派ですね。
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歴史のじかん/山崎怜奈
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8年3ヶ月目のピーク
こうして「良くも悪くも乃木坂から一番遠い人」でありながら「最も乃木坂の名を背負ってメディアに出ている人」という独自の地位を築いた彼女。
それを「もはや買い支える必要がない」と感じたファンが多かったのでしょうか。
なんと26thミーグリ、完売数はゼロでした。
しかし続く27thシングル。
ここで彼女の乃木坂人生におけるひとつのピークが訪れるのですから、本当に何が起こるか分からない。
27thシングルアンダー曲『錆びたコンパス』で、自身初となるセンター。
既に加入から8年3ヶ月が経過していました。
力強いメロディとタフな歌詞。
それは何度も壁にぶち当たりそのたびに方向転換しながら、それでも決して止まらなかったこれまでの山崎怜奈の歩みと重なるものでした。
この『錆びコン』はアンダラで異常なほどの盛り上がりを見せる鉄板曲へと成長します。
突き上げられる拳。
照明とサイリウムで黄色一色に染め上げられた場内は、アンダーメンバーの歩むべき道を照らす明かりのようで。
まさに「アンダラに誕生した新たなアンセム」。
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9年3ヶ月在籍し、選抜経験なし。
2期生曲とこじ坂46(AKB48小嶋陽菜とのユニット)を除けば、ユニット曲もソロ曲もなし。
その事実だけ見れば、決してアイドルとして成功したとは言えません。
やはり一度は選抜に入れるべきだったと思います。
彼女の働きに対する評価として。そしてアンダーメンバーたちへ「握手が売れなくても外仕事を頑張れば選抜が見えてくるんだ」という希望を与えるために。
それでも、様々な挑戦を続け新たな仕事を切り拓き、多忙な中でもマメに告知を続ける。(今なお755でも告知をしているのは凄い)
そんな彼女の姿勢を見て学んだ後輩は大勢いるはずです。
そんな彼女の姿勢を見て学んだ後輩は大勢いるはずです。
実際、大学進学を選んだ後輩たちの何人かが「山崎さんに相談した」とコメントしていますね。
乃木坂のメインストリームではなかったれなちさん。
それでも彼女はグループに確かな財産を残しました。
最後に、彼女のこれからについて。
基本的には今のまま、ラジオスターまたテレビタレントであり続けるのでしょう。
外番組で後輩たちと共演する姿が頻繁に観られたら嬉しいですね。
そして何年後か、あるいはずっと先のことかもしれませんが。
れなちさんが次に方向転換をする時、彼女はどんな道を選ぶのか。
私はちょっと楽しみにしています。
山崎怜奈さん、約9年半本当にお疲れさまでした。
◇
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