いったいなんだったのか。
そう言いたくなるぐらい、2020年は狂乱の1年でした。
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2020年セイコーダイバー百花繚乱
まずは2020年の主な出来事を振り返ってみましょう。
基本的にはプロスペックスのダイバースキューバシリーズに関するものですが一部他シリーズ(マリンマスターやアルピニスト)も記載に含めています。
1月
・プロスペックスとして復活した「アルピニスト」SBDC087/089/091/093発売
・「タートル」がモデルチェンジした「キングタートル」ことSBDY049/051がネット流通限定モデルとして発売
・オールブラックの限定モデル「ブラックシリーズ」SBDX033(MM300)、SBDC095(スモウ)、SBDL065(ソーラークロノ)発売
2月
3月
・セイコーダイバーズ55周年アニバーサリーモデルが発表(発売は6月)され、その中に「ファーストダイバー現代デザイン」がフルリニューアルされたSBDC107が含まれる
6月
・新型「ファースト現代」SBDC107およびそのバリエーションであるSBDC101/103/105が発売
7月
8月
・「サムライ」のモデルチェンジ「キングサムライ」SBDY065が「Save the Ocean」モデルとして発売、同時発売のSBDY063は「キングタートル」仕様
・マリンマスターシリーズの「ツナ缶」がモデルチェンジ
10月
・「アルピニスト」から簡易方位計を省略したシンプルモデルSBDC115/117/119が発売
12月
整理し直すと、
フルモデルチェンジが「ファースト現代」「ショーグン」「1968現代」。
マイナーチェンジが「タートル」「サムライ」そして「ツナ缶」。
復活したのが「アルピニスト」。
完全新作として「小径ツナ」「セカンド現代」「シンプルアルピニスト」。
まあ正直、何やってんのって感じです笑
ダイバースキューバでは2019年に既にモデルチェンジしていたスモウ以外すべてモデルチェンジ…いやモンスターもしてないか。(モンスターはちょっと現行の位置づけがよくわかりません)
それに加えアルピニストの復活&シンプルモデル発売、マリンマスターではツナ缶系のモデルチェンジと「出せる札を全部出し切った」感が強いです。
個人的に1月2月はワクワクしていてディスコン予想も楽しくて笑
3月のファーストダイバーで盛り上がって、セカンド発表ぐらいまでは「うわ、早く現物見たい!」って感じだったんです。
それが10月のシンプルアルピニストで「さすがに出し過ぎでは?」と思い12月のショーグンと1968現代では「売れるのか?」と心配になりました。
大好物はおいしく食べたい
もちろんロングパワーリザーブの6R35への移行というムーブメントの世代交代を進めたかったのはわかっています。
最初に6R35を搭載したスモウがムーブメント変更&風防のサファイヤクリスタル化で旧型から+27,500円の価格上昇がありました。
さらに流通限定化=値引きなしに変更したためスモウとファースト現代(先代のSBDC051)との間で実勢価格の逆転現象が発生します。それを解消するためにファースト現代をフルモデルチェンジ。すると今度はファーストとショーグンや1968の間で実勢価格が逆転したためそのふたつもモデルチェンジ。
こんな単純な話ではないと信じたいですが…これ以外に理由があれば教えてほしいです。
6R15の生産を止めてすべて6R35にしたいという生産効率の話はもちろんあるでしょうが。
ただね。
これ、ぜーんぶセイコーさんの都合です。
ユーザーがどう感じるかという観点が全く欠落しているようなので教えてあげますよ。
2020年みたいなことをやると、ユーザーはこう感じるんです。
「雑に扱われた」
「自社製品に対する愛がないメーカーだ」
そしてこうも思うんです。
「長期的な視野も販売戦略もないんだな」
ダイバースキューバは数多くのラインナップを抱えるシリーズになりました。
SBDC系はスモウ、ファースト、セカンド、1968、ショーグン。
SBDY系がタートル、サムライ、モンスター、小径ツナ。
これだけあるんですから普通に毎年SBDC系でひとつずつモデルチェンジすればいいんですよ。それこそロレックスのスポーツモデルみたいに。
そうすれば好事家は毎年買ってくれるかもしれない。
でも1年で全部出したらマニアでも呆れるだけです。
ユーザーはセイコーダイバーが大好物なんです。でも大好物も全部同時に出されたら食べきれない。
自分で価値を下げてどうすんだ、って感じです。
2021年はセイコー創業140周年だそうです。
きっと2020年に出たモデルに勝るとも劣らぬ魅力的なモデルが数多く準備されているのでしょう。
だったらなおさら2020年に出したモデルを上手く見せてほしかった。
というか55周年でファースト現代デザインを使ったならセカンド現代デザインは残しておけば良かったのに。なぜ140周年記念モデルとして出さなかったんですかね。なんか隠し玉が準備されているんでしょうか。
価格設定もそうです。
旧型がこの値段で、モデルチェンジに伴う変更点がこれだから+いくら。
ちなみにモデルチェンジを機に流通限定にするので値引きはなくなるよ。
みたいな。
いや、それは全部そっちの理屈じゃん。
あと、それで売れんの?
6R35へ最初に移行したスモウの新型がデキも評判も良かった(きっと売れ行きも良かったんでしょう)ので、勘違いしちゃったんでしょうか。
ここでもユーザー目線が全くないし、価格戦略もない。
どういう層にどういう訴求をしてどれだけ売れるか、ちゃんと予測しているんですかね。
流通限定にして定価販売を強いたいのであれば値付けは抑えればいい。
変更点に対する価格上昇はモデルを跨いでも同じにしなきゃいけないというなら、それは思考が硬直化してますね。
まあキングタートルを途中から値引きありにしたのだけは評価できます。
売れなきゃ値段を下げるのは正しい。でもセイコーさんが欲しい(はずの)ブランド価値を下げるんだから最初からそうならない値付けをしてくれればなお良いですね。
あとはモデルチェンジした1968、ショーグン、サムライでプレーンなブラックダイヤル・ブラックベゼルモデルを出さないのも気に入らないです。
タートルは文字盤エンボス加工でちょっとプレーンとは言い切れないSBDY049がありますがこれもネット流通限定。
これまでは標準的なモデルをきちんとユーザーに見せてきたのに、どうしちゃったんですかね。
さて、新年早々めちゃめちゃ文句言ってきましたが笑、言いたかったのは要するにこういうことです。
私にとってセイコーダイバーはとても魅力的な時計です。
だからこそ、もう少しセイコーさんにも大切に扱ってほしい。
それだけなんです。