ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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オリエント。
一言でいえばセイコー、シチズン、カシオに続く日本第4の腕時計メーカーです。

いや正確に言うとセイコーグループの中核企業であるセイコーエプソンの1ブランドだったり(事業統合されているので)と色々ややこしい話があるのですが。そこを書くと亀戸だ諏訪だとセイコーの歴史の話までなってしまうので今回は省略します(いずれGSの記事を書く時にでも)

まあ家電量販店に行って日本製の腕時計を探せば大抵の店舗で上に書いた3社に次ぐ売り場を確保しているでしょう。

メイドインジャパンの機械式腕時計を探すならセイコーかオリエント。安さを求めるのであればオリエント。そしてもうひとつ、個性を求める場合もオリエント。

個人的には結構好きです。

繰り返しになりますがとにかくクセが強い、そして安い。

創業は1950年。今年でちょうど70周年です。
それを記念して2020年3月に復刻されたのが「キングダイバー」。

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インナーベゼルにブロードアロー


初出は1965年。

最大の特徴はインナーベゼル(風防の内側にあるベゼル)。力強いアロー針も含め、個人的にはロンジン「レジェンドダイバー」を思い出します。

インナーベゼル自体がクラシカルな意匠ですよね。
現行でパッと思いつくのは他にIWC「アクアタイマー」ぐらい。ちなみにアクアタイマーの1stモデルはバーインデックスでキングダイバーに近いイメージですが、1967年初出なので実はキングダイバーの方が先に出てます。現行はスマートなデザインでリューズも2時4時ではなく3時9時なのでちょっと印象が違いますが。
あとは6時位置の湾曲した曜日表示。日付とは別の場所。その上に「22」と石の数が書かれているのもアンティークっぽい。オリジナルは25石なので数が違うのはご愛敬です。

意匠的にはオリジナルの雰囲気をかなり忠実に踏襲しています。
相違点…というかブラッシュアップされたのは平面だった針が2面になったこと、インデックスがエンボスからアプライドになったこと。質感向上ですね。


それ以外ではサイドの処理とかラグの長さといったケースまわりのつくりがちょっと違うぐらいでしょうか。

RN-AA0D11B

ブラックダイヤル。オリジナルカラーはこれですね。モデル名末尾のアルファベットは文字盤カラーを表しているようです。限定1,000本。

RN-AA0D12R

深い色味のボルドーっぽいレッドダイヤル、ブラックベゼル。ちょっと特殊な組み合わせですね。限定500本。



RN-AA0D13E

グリーンダイヤル。こちらのベゼルはグリーン…だと思います。末尾の「E」はエメラルドかな?限定500本。


RN-AA0D14G

ゴールドグラデーションダイヤル。「ジャガーフォーカス」と呼ぶそうです。さらにブロンズめっきのケースにレザーベルト。限定1,000本。



3月に出した復刻が好評だったようで、7月にほぼ同じものが再度発売されました。
違いは曜日表示が英語なことだけみたいですね。いや限定の再発を出すのは禁じ手でしょう。でもここまですぐだとむしろ潔い気がするしそんな何でもありなところも嫌いじゃない笑

RN-AA0D01B ブラックダイヤル。限定1,500本。
RN-AA0D02R レッドダイヤル。限定500本。
RN-AA0D03E グリーンダイヤル。限定700本。

なぜに後に出た方が通番が若いのかは理解に苦しみますが笑
せっかくキングダイバーを持つならクラシカルな漢字の曜日表示がいいような気もしますが、オリジナルも海外モデルは当然英語表示だったので別に復刻モデルとしての価値を損ねるものではないかと。

スペックと価格


サイズは厚さ14 ㎜、横43.8 ㎜、縦50 ㎜とやや大きめ。ただオリジナルも横43 mmなので幅はそれほど変わりません。写真を比較する限りでは厚みはちょっと増していそうです。

パワーリザーブ40時間。20気圧防水で雨の日も気にせずガンガン使えます。ISO規格準拠のダイバーズではありません。そのためカテゴリは「3針」にしています。


これで実勢価格アンダー4万円なんですよ。

定価49,500円(税込、以下同じ)、実勢価格は2割引きで39,600円。ポイント10倍の店を選べば実質35,640円。

安いなあ。

諸々ディスコンして安価なモデルが消えつつある機械式セイコーダイバーだと一番安くても実勢で5万強のサムライSBDY009とかですから。
むしろ値段的にはセイコー5が比較対象かな。

まあISO規格のダイバーズウォッチじゃないとかツッコミどころはありますが、この値段で歴史的モデルの復刻を手にできるんですから、興味があれば買いです。

個人的に1本選ぶとしたらやはりオリジナルに近いRN-AA0D11Bかな。



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復刻サードのネット流通限定モデル「キングタートル」が2割引きに!


以前に紹介したSBDY049の値下げがどうやら解禁されたようです!

セイコーが150m防水ダイバーズウォッチの第3世代として1976年にリリースしたモデルの復刻盤、「復刻サード」。海外ではその亀っぽい愛らしいフォルムから「タートル」というペットネームで親しまれてきました。

その最新モデルSBDY049/051は質感の部分でグレードアップしており、一部では「キングタートル」などと呼ばれています。

そのキングタートルの魅力については以前にこちらの記事で紹介しましたのでご参照ください。

 

この記事の中で「不満は価格設定と販売戦略(ネット流通限定)」と書いたのですが、このたびその価格が下がりました。

記事作成時点で各ネットコアショップにおける価格が77,000円(税込、以下同じ)から61,600円へ変更されています。2割引きですね。

これまで流通限定モデルでは値引きなしを原則としていたセイコーがついに動きました。
というかSZSB011/012/013/014も値引きを行なっていたようなので方針転換でしょうか。



コロナ禍によるインバウンド需要への壊滅的な打撃を受けてのテコ入れか、近く発表されると噂の2ndダイバー現代モデルとの価格帯における住み分けか。いずれにせよ購入を検討していたユーザーにとっては非常に嬉しいニュースですね。

SBDY049の紹介記事と同じように、現行(今となっては先代でしょうか)タートルSBDY013と比較してみましょう。

SBDY013

定価63,800円、実勢価格は2割引きで51,040円。楽天やYahoo!ショッピングでの付与ポイントは概ね10倍なので実質45,936円。

SBDY049

定価77,000円、実勢価格は2割引きで61,600円。楽天やYahoo!ショッピングでの付与ポイントは以前と変わらず5倍で実質58,520円。

これまでの+27,214円から+12,584円へ、実質で価格差が14,630円圧縮されました。
これはかなり値上げに対する心理的抵抗が少なくなりましたね。

この価格差で型押しダイヤル、ベゼルインサートがセラミック、風防がサファイヤクリスタルになりとどめにサイクロップスレンズ。全体の質感はかなり向上していると思われます(ネット限定のため「思われます」)。

楽天スーパーセールやYahooショッピングの5の日などと併用すれば、実質5万円に近い金額で手にすることができるわけです。

これはかなり魅力的ですね。

現物を見たい派の私でもちょっと揺さぶられます笑

その他のモデルの価格動向


まず念のためセイコーHPを確認しましたが相変わらずカタログに載っていませんでしたので、ネットのみという流通限定そのものを解除したわけではないようです。

また、他の流通限定モデルについても値引き解禁したのか確認したところ、この「キングタートル」と同じく2020年1月にリリースされたネット流通限定モデルSBDY053/055も同じく当初価格から2割引きになっていました。
「モンスター」の外胴プロテクターつき、いわゆる「ベビーツナ」ですね。48mmも横幅があってどこが「ベビー」なのか甚だ疑問ですが笑

すべてを確認したわけではありませんが、2020年2月にリリースされたSBDC097/099をはじめ他のネット流通限定モデルおよび流通限定モデルの値引きは相変わらず行なわれていないようです。(一部家電量販店では以前から流通限定モデルを値引いていますが)

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アルピニストも値引きなしです。

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今後他のモデルへも値引きが波及するのか、流通限定モデルの価格戦略がどうなるのかはわかりませんが引き続き注視していきたいと思います。

ワールドフェイマスなセイコーダイバー。その「タートル」シリーズに、2020年始早々大注目のモデルが登場しました。

セイコー プロスペックス SBDY049

タートルの歴史と基本スペック


「タートル」は海外ユーザーが名付けたと思われるペットネーム(愛称)です。いつの間にか定着し現在ではメーカー側資料でも用いられるようになりました。

日本ではサードダイバーという名称の方が有名かもしれません。
その名の通りオリジナルはセイコーが150m防水ダイバーズウォッチの第3世代として1976年にリリースしたモデル。その復刻盤であるため「復刻サード」などと呼ばれることもあります。国内正規品のリリースは2018年4月でした。

特徴は何と言ってもケースの形状。
かのジェラルド・ジェンタがオメガ コンステレーションで用いた、Cラインと呼ばれるケースとラグが一体化した卵型のデザイン。そのドレッシーなフォルムを無骨でデカいダイバーズウォッチに採用した結果、この少しユーモラスかつレトロな独特のスタイルが生み出され、タートルというペットネームの由来ともなりました。


この極端に短いラグが格好いい。
公式によれば厚さ13.2㎜、横45㎜、縦47.7㎜。縦と横幅の差はわずか2.7mmに抑えられています。

ムーブメントは4R36。国内正規機械式ではエントリーモデル用ですね。リローンチしたセイコー5と一緒です。21,600振動なのでややロービート。パワーリザーブは約41時間。

防水性能は200mと十分なレベルです。

関連記事:セイコー5、待望の日本逆上陸!

ラグスポ調の型押しダイヤルが魅力の「和製アクアノート」


そして既に上の写真でお気づきのことと思いますが、このモデルの売りはダイヤル(文字盤)。

 

ラグスポ=ラグジュアリースポーツウォッチの印象が強いブロックパターンの型打ちダイヤル。ロイヤルオーク、アクアノート、最近ではジラールペルゴのロレアートやモーリスラクロアのアイコンなどと同じイメージですね。

厳密にはロイヤルオークはタペストリーダイヤル(溝部分にも模様がある)、ロレアートやアイコンはクル・ド・パリダイヤル(細かいピラミッド状の模様)なので微妙に違いますが。

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パターンのブロックサイズはやや大きめ。ロイヤルオークとアクアノートの中間ぐらいでしょうか。ケースが丸みを帯びているのでどちらかと言えばアクアノートの方が近いイメージでしょう。せっかくですので言い切りましょう、「和製アクアノート」だと。

その証拠に?こんなバリエーションも出してます。
SBDY051。実にアーミーなカーキグリーンでウレタンバンド仕様なのですが、これって完全にアクアノートのこれを意識してますよね?
見比べてみるとそっくり…いや結構違いますね笑

ダイバーズの回転ベゼルの有無とインデックスがドットとアラビアという違いがあるのでいたしかたないでしょう(それ以前に値段が100倍ですけど)。

話を戻します。

ラグスポが本当に手の届かない価格帯になってしまった現在。
アイコンはあのブレスの出来で20万円ですから本当に頑張っていると思うし好感が持てます。っていうかなんなら欲しい笑
ただカリプソというデザインコードの元ネタはあるものの、ラグの切り方とダイヤルの細かさは露骨にロイヤルオークインスパイア。

それに対しこのSBDY049はサードダイバーの歴史的デザインをほぼ完全に踏襲し、ダイヤルのみをラグスポ調にしたモデルなので「いやパクッてません、単なるダイヤルバリエーションです」と開き直れます。

いやむしろCライン+エンボス文字盤ってことはジェラルド・ジェンタへのオマージュじゃん!まあそれだと「和製ロイヤルオーク」になっちゃって話がややこしくなりますが。



不満は価格設定と販売戦略


ここまで書いてきたように非常に魅力的なこのモデルですが、不満もあります。

それは価格と販売戦略(流通形態)。

!!!2020年6月5日追記!!!
どうやら当モデルの値下げが解禁されたようです!
詳しくはこちら>>>
【速報】「キングタートル」値下げ解禁!セイコー プロスペックス SBDY049/051

SBDY049の定価が77,000円(税込、以下同じ)。記事作成時点で現行タートルのメタルブレスで最も安いSBDY013が63,800円ですから+13,200円です。
でも実勢価格は2割引きで51,040円、それに対しこちらは値引きなし。
さらに楽天やYahooショッピングでの付与ポイントも、セイコー側からの指示があるのか10倍と5倍と差があるので実質価格は45,936円と73,150円。+27,214円、約160%です。
SBDY013からの変更点は風防がサファイヤクリスタルになりサイクロップスレンズもついたこと。そしてベゼルインサートがセラミックに。それに加えてこのダイヤルですから、全体の質感はかなり向上しているのでしょう(「でしょう」の理由は後述)。

定価の13,200円差であればまあ妥当かと思います。しかし値引きやポイントまで含めた実質価格の27,000円差は…ちょっと納得できません。

定価販売したいという思いと、既存モデルからコストのかかる変更があれば定価を上げざるを得ないということからこういう設定になったのでしょうが、完全にメーカー都合ですよね。ユーザーからすれば実勢価格がすべてです。


しかもこのSBDY049、ネット流通限定モデルなのです。
つまり店舗で実物を確認することができない。そのため上の文章でも「質感は向上しているのでしょう」という表現になっています。

このモデルは質感向上こそがストロングポイントであり、ユーザー側から見れば購入動機そのものです。

なのになぜそれを確認させないのか。
ユーザー目線が欠けているとしか思えなません。

セイコーの思惑としてはレアモデルにして飢餓感を煽りたいのでしょう。
でもこんな一目惚れ購入がありそうなモデルをなぜにわざわざネット流通限定にしてユーザーの目から隠すのか。正直理解に苦しみます。

ネット限定のメリットは本来コストが減る=安くなる、のはずなのに値段は上がるしショップのポイントも5倍までと制約をかけているのもなんだかなあ。


とまあここまで不満に思うのも、裏を返せばそれだけ惹きのあるモデルだということ。

私は手首が極細なのでタートルは正直これまでスコープ外だったのですが、これ見て一度お店で腕に乗っけてサイズ感確認してみようかなと思いました。

元々タートル狙いだった方ならマストバイのド本命モデルと言えるでしょう。



関連記事:セイコー プロスペックス SBDC097、スモウなのにスタイリッシュ!な「和製ヨットマスター」

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