
前の記事で書いたように、スタートで出遅れながらもその後は右肩上がりにポジションを上げてきた早川聖来。
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いつもトゥーマッチ
舞台『CROSS ROAD』の2022年6月24日公演。
幕が上がる前から泣きじゃくっていた彼女。
オープニングの歌をどうしても歌うことができず、そのまま幕が下りて公演中止となったそうです。
そして千秋楽まで全て休演。
24日間31公演というハードスケジュールの舞台に加え、6月26日には『乃木坂スター誕生!』ライブ。
本来は4月に開催予定だったこのライブがコロナの影響で延期され、ちょうど舞台とバッティングするという悪い巡り合わせもありました。
このライブは2年半に及んだ4期生冠番組の総決算ですから、せーらもどうしても出たかったのだと思います。
佳境に入った舞台。4期生にとって大きな区切りとなるライブのリハーサル。
そのふたつが重なったことによるオーバーヒート。
私にはそうとしか見えませんでしたし、多くのファンもそう感じたのではないでしょうか。
そして7月10日には公式サイト上で彼女の休養が発表されます。
初期からどこか危うさのようなものはありました。
『乃木坂どこへ』で時間の都合で東京タワーに上れないと言われただけで泣いてしまった時に「ちょっと感情の起伏が激しいタイプだな」と思ったのを憶えています。
決定的だったのが2022年2月の46時間TV。
電視台「せらずきっちん!」で料理中に電流を流されるという狂気の沙汰に遭います。
さらにその後の「乃木坂三者面談」ではホリケン(ネプチューン堀内健さん)の無茶ぶりの洗礼。「46時間働かなきゃいけないのに、もう脳味噌が回りません」と号泣。
この直後、2022年3月の『Actually…』リリース時点でのインタビューでも「根拠のない自信がずっとあって」「それが去年(2021年=初選抜の頃?)ぐらいからなくなっちゃった」。
そして「自分を否定することしかできなくなった」。
ネガティブな言葉が並び、ファンは一層不安を募らせます。
残念ながらその不安が的中してしまいました。
シングルのたびに握手(ミーグリ)人気を上げてきた彼女ですが、改めて振り返るとその間ずっと印象に残る活躍を続けてきたことに気づきます。
前の記事で書いたプリンシパル。
2019年10月から2020年3月の『乃木坂どこへ』。
泣いて笑って感情を見せる彼女の姿は大人しいメンバーが多い4期生の中で目立っていました。
2020年6月から2021年4月の『ノギザカスキッツ』では大活躍。
ACT1ではさらば青春の光とスタッフさんが選ぶMVPに選出されています。
出たがり、欲しがり、サービス精神旺盛。
脇役でも常に爪痕を残しにいくスタイルの彼女は乃木坂ファンの好みからすると「出しゃばり」と言われそうな気がしていたのですが、それ以上に自身のファンを掴みました。
同じ頃に4期曲『Out of the blue』では初となるセンター。
勢いそのままに続く27th『ごめんねFingers crossed』で初の選抜入り。
というかこれが初選抜だったのか、と思うぐらい既に彼女の活躍は目立っていました。
同作のMVでは高山一実、新内眞衣という乃木坂史上屈指の美脚メンと共に「美脚軍団」として登場というのも凄いですね。
2021年5月から2022年3月までの『乃木坂スター誕生!』および同『2』ではゲストとのコラボ要員としての起用が目立ちました。
ここまで冠番組で見せてきた彼女の器用さ、如才なさ、度胸が信頼されてのことでしょう。
ずっと、ずっと活躍してきました。
46時間TVでホリケンさんに泣かされた時に賀喜遥香が「頑張り屋さんだから、何でも期待に応えようとしちゃうんですよ」と語っていましたが、まさにこれが早川聖来なのだと思います。
勝手な想像ですが「できません」が言えなかったのではないでしょうか。
そしてその一因はスタート時点での握手人気で出遅れたことにあるのではないか、とも。
体育祭で帽子に穴を開けてツインテールの髪の毛を出していたというエピソードからすると間違いなくスクールカースト上位。
そんな自分が同期の中で人気下位というのは受け入れがたかったし、怖くもあったのではないでしょうか。
だからがむしゃらに頑張った。
人気が上がってからも、「落ちてしまう」恐怖がつきまとってアクセルから足を離せなくなっていた。
明らかなオーバーペース。
でも、勝手な私はこうも思ってしまうのです。
美形で美脚でスクールカースト上位感があるのに、いつもトゥーマッチ。
だからこそ彼女は魅力的だった。
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めぐりあい
活動休止から3ヶ月、2022年10月2日にラジオで電撃復帰。
しかし復帰後の彼女は「丸くなった」。もっとストレートに言えば「気が抜けた」ように見えました。
彼女を「アイドル・早川聖来」たらしめていた何かは、失われていました。
グループアイドルにつきものである「序列」。
この先もそれに追いまくられる生活を続けることはできない。
活動休止中にそう思ったのではないでしょうか。
きっとどのメンバーもどこかのタイミングで「自分が走り続けられるペース」と「そのペースで立てるポジション」に折り合いをつけていくものなのでしょう。活動休止を機にそのペースを見出すこともあるかもしれません。
しかし早川聖来はそれを見つけられなかった。あるいはそれを良しとしなかった。
だからもう、辞めるしかない。
恐らく復帰の時点で既に卒業、そして引退まで考えていたように思います。
ただ生来の負けん気とファンへの想いが「体調を崩して舞台を欠場してそのまま辞めるなんてできない」と彼女を突き動かした。
だから齋藤飛鳥卒コンでわざわざ「久しぶりにまとまった曲数参加できる」と言った。
体調不良に負けたんじゃない
私は帰ってきたよ
自分を応援してくれたファンに、そう言って笑う姿を見せるため。
卒業間際のせーらが演出家とのあれこれで注目されてしまったのは残念です。
いちファンに過ぎない私には実際に何が起きていたのか分からないのでここから先は全部推測ですけれど。
そもそも個人的にはいわゆる「秋元人脈」といわれるものが(利権の匂いがするので)好きではありません。
そして乃木坂のライブは2012年から観てますけど、演出に感心したことは基本ないです。というか正直いつもすべってる。
たまに良いのがあるとそれはことごとくメンバー発信です。
件の演出家の暴言に関する噂もたびたび目にしていましたし。
まああれだけ早く辞任という形での幕引きに至ったのですから、メンバーに近い現場サイドでは以前から疑問の声が上がっていたのではないでしょうか。
もしそうなら「秋元人脈」ということでこれまで切るに切れなかった運営にも問題がありますね。
もちろんせーらの取った手段も社会人としては褒められたものではありません。
乃木坂の周囲に「叱ってくれる大人」がいなくなってしまわないか、という別の危惧もあります。(件の演出家がそうだったという意味ではありません、念のため)
でも「秋元人脈の演出家」「運営」「メンバー」の中で、一番弱い立場なのはメンバーですよね。ましてや彼女たちはまだ20歳そこそこの若さなのです。
せめて今回の出来事が今後のグループ運営の糧となってくれれば、と思います。
せーらは卒業セレモニーでこう語りました。
アイドルって、愛を巡らせて、愛がまた帰ってくる、そういう場所
乃木坂46が愛の出発点で終着点でもあることをこれからも祈っています
最後になりますが『スキッツ』での「刹那少女」、大好きでした。
あの3人がもう見れない、ということが実感できません。
そして、真ん中にあなたがいない『Out of the blue』もうまく想像できません。
でも、今はただ。
早川聖来さん、5年間お疲れさまでした。
どうか心穏やかに暮らしてください。
◇
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