前の記事では星野みなみの乃木坂人生を振り返りました。
テロップの末尾はいつだってハート
「可愛いの天才」以外にもうひとつ、星野みなみを象徴する言葉があります。
やりたくな~い
5thシングル『君の名は希望』ヒット祈願のスカイダイビングでのこと。
メンバーたちが話し合いで「誰が飛ぶか」をなすりつけあい笑、最後に投票で秋元真夏と星野みなみのふたりが同票で選出されます。(最終的に飛んだのは真夏さん)
そこで彼女が発したのが上の言葉。
アンチがみなみちゃんを叩く時にこれを良く引き合いに出していました。
その話し合いの中でも「頑張ってるのに頑張ってると見えないみたいで…これ以上は無理かな」なんてコメントもしていました。
他人に優しい、でも自分にも優しい。
それを「甘い」と表現する人もいるでしょう。
結局、自分を追い込めない人だったんだと思います。
でも個人的にはそれを否定しようとは思いません。
そういう人もいる。というか世の中そんな人ばっかりです。我々ファンは20歳そこそこのアイドルに多くを求めすぎているのです笑
グループの年少組でデビュー曲からフロントに立って、呑み込みが早く何でもこなせる子に「もっと頑張れ」というのは無理ですよ。
しかも「努力する天才」生田絵梨花なんていう怪物がすぐそばにいた。
だってもう自分としては頑張ってるし。生ちゃんみたいにはなれないし。
そう考えてしまうのがむしろ当然ではないでしょうか。
ましてフロントに立つことによりアンチに晒された彼女に「いいポジションを与えられているんだからそれに感謝しその場所にふさわしくあるよう頑張れ」なんて理屈が通じるはずもありません。
卒業セレモニーで語ったように「前に行きたいなっていう気持ちはなかった」彼女。
センターを目指すのでも
ひとつでも序列を上げるのでも
バラエティキャラに徹するのでもなく
ただ可愛くそこに在る
それはある意味アイドルとして究極の姿。いやむしろこれが本来の姿というべきか。
いずれにせよグループの中に「こういう生き方もある」という選択肢を与えるのはいい事だと思います。
そして「ガツガツしない」という乃木坂の空気を作ったひとりであることは間違いありません。
育ちの良さのようなものを感じさせるメンバーでもありました。
いつだったか思い出せないのですが『乃木坂工事中』の早押しクイズで「これ(早押しボタン)に手を置いていいんですか?」と聞いたのを凄く憶えています。
当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。
苛立ちと悲しみのようなもの
運営は明らかに初期から齋藤飛鳥とのシンメ売りを意識していましたが、結局それは成功しませんでした。
エリートのみなみちゃんとたたき上げの飛鳥という対比。
その方向性は正しかったと今でも思います。
でも星野みなみは(そして堀未央奈も)、齋藤飛鳥に並び立つことはできなかった。
IF、という意味ではもしみなみちゃんが9thもアンダーだったら。
『生まれたままで』に続き『ここにいる理由』でも伊藤万理華の左右があしゅみなだったら。
アンダラシーズンゼロだけでなく、ファーストシーズンまで立ち会っていいたら。
もしかしたら、我々が見てきたのとは違う星野みなみが、あしゅみなの関係性があったかもしれません。
ここから下は私の勝手な思い込みです。気を悪くされる方がいたら申し訳ありません。
たしか2021年バスラの1期生ライブの時だと記憶していますが、齋藤飛鳥は星野みなみについて「なんでもこなす天才」と語っていました。
私が飛鳥のこの言葉から感じたのはみなみちゃんへのもどかしさ、物足りなさ。
もちろんもうとっくに乗り越えた過去のものではあるけれど、苛立ちと悲しみに近いもの。
自分より大きなポテンシャルを持ち「かなわない」とさえ思っている相手が全力を振り絞らずに自分より下の序列にいる。
本当は切磋琢磨してお互いに向上し、グループの未来について熱く語り合いたかった。
みんながそれを期待していたことを
ホントはあなたもわかってたでしょ?
自然体でもあれだけできる彼女が、もしグループのために死ぬ気で頑張ってくれていたら。
そうしたらグループももっと大きくなるし自分の負担も軽くなるしお姉さんたちも安心して卒業できるのに。
そんなエースの孤独。
白石西野の後という重い重い荷を負わされた飛鳥の心情が含まれた言葉に感じられました。
それを埋めたのは結局3期生、とりわけ『映像研には手を出すな!』で共演したふたり。
グループ愛の梅澤美波と、自分を追い込むことにかけては乃木坂屈指の山下美月だったように思います。
星野みなみ卒業の記事のはずがすっかり齋藤飛鳥の話になってしまいましたね笑
秋元真夏、堀未央奈といったサプライズ抜擢メンバー、ストレートに言えば「招かれざる者」とされてしまったメンバーに真っ先に手を差し伸べたのは彼女でした。
2018年の46時間TV、メンバーがちぎり絵アートを作成するコーナーにフラッと現れた当時長期休業中の北野日奈子。そんな彼女を優しく迎えたのも相楽伊織とみなみちゃんでした。
何人ものメンバーが「その優しさに救われた」と語っています。
自分に優しい星野みなみは、ちゃんと他人にも優しかった。
それも、とびきり。
彼女の卒業が交際報道により引き金を引かれる形になったのは本当に残念です。
晩節を汚した。
それは事実だと思います。
ただ、彼女がしてしまったことは消えないけれど、彼女のこれまでの貢献も消えはしない。
それもまた事実です。
なんとか衛藤美彩ぐらいに逃げ切って卒業させてあげることはできなかったんですかね。まあ個人的には正直みさ先輩は逃げきれてないと思いますけれど笑
卒業して芸能界を引退する彼女。
過去のインタビューでは目標も卒業後のビジョンも「ない」と答えていました。
明言しなかったけどたぶん「お嫁さん」だったんでしょうね。
願わくば、どうか幸せになってほしいです。
星野みなみさん、10年半本当にお疲れさまでした。
◇
『2020年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各記事の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
リンク
Kindle本が読み放題になる Kindle Unlimited の新規登録は こちら から。
初めてご利用の方は30日間の無料体験が可能。期間終了後は月額980円です。
また、note上で乃木坂46に関する有料記事を公開しています。どちらも無料で読める部分がありますのでぜひご覧ください。
『アンダラ伝説』¥300
伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
マガジン「2019年の乃木坂46」¥200
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。