ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:松尾美佑

びーむ色調補正3
前の記事ではこの日のセトリについての感想、そして梅澤美波の「未来の乃木坂を見ているみたい」というコメントについて思うところを書きました。

関連記事:


当記事ではこの日に感じた「あの頃の匂い」について。

こんな最高の瞬間を


あの頃。
もちろん、初期アンダラのことです。

当時と通じる何かを感じたそのひとつの要因は前の記事に書いた沸点越えの熱気。
そして「有明」という舞台設定も影響していたかもしれません。

でもたぶん一番の理由は刹那性

常に存続の危機と隣り合わせ。
無料の招待イベントでも集客できなかった幕張メッセでの初回開催。
続くO-EASTでは募集期間が終了するも、運営から「まったく、埋まっていない」と言われメンバーが2次募集を懇願しました。

「次がある保証なんてどこにもない」から「今この瞬間に死ぬ気でやるしかない」。
それがスタート当時のアンダラでした。

そしてもうひとつ、アンダラはその構造上「別れ」が内在しています。

常に1回限りの座組
誰かが選抜入りすればもうこのメンバーは揃わない。
むしろアンダラで活躍すればするほど選抜が近づく=ここからいなくなる確率が高い。

文字通りの一期一会。

ある意味「特殊選抜」だった今回はこの刹那性=2度と揃わないメンツ感が満載でした。
さらにラストには「サンフラワー」清宮レイとの別れが待っていたのです。それこそ2ndシーズンでの伊藤寧々のように。

この日2度歌われた『ジャンピングジョーカーフラッシュ』。

意味もなくはしゃいでバカみたいに笑った愚かで愛おしい日々の記憶
底抜けに明るいのに、そこに込められた刹那性ゆえに沁みる曲です。(とりわけ私のようなおっさんには)

そしてまさしく4期の青春そのもののような楽曲であるにもかかわらず「16人の4期生」では一度も披露することが叶いませんでした。

今回の15人もこの日が最後。

でも。だからこそ。
メンバーたちは必死に互いに顔を見合わせながら歌うのです。

忘れないでくれよ。

俺たちの合言葉を。

こんな最高の瞬間があったことを。

ジャンジャンジャンピングジョーカー…

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「個として、そして集団としてより良くあるために」


山下美月卒業に伴う3期全員選抜の副産物として生まれた今回の「史上最強アンダー」。

本当に素晴らしいライブであり、かつこの先に多くの実りを予感させるものでした。

例えば筒井あやめは座長挨拶でこう語りました。

 みんな1人ひとり自分にできることをやって
 このアンダーライブという場所を守るために頑張って

アンダーライブという場所
新人抜擢フロントといういわば「エリートコース」を歩んできたあやめんが、アンダラという乃木坂の重要なファクターを体感し、そこを「守るべき場所」と知りました。

菅原咲月

『セラミュ』の主演、生放送『ラヴィット!』レギュラー、そして初のアンダラ=誰よりも覚える曲が多いという状況。
それでも自身のブログで「辛かったし、苦しい時もあったけれど」、「全て出し切った」「楽しかった」と言い切った彼女。

称賛に値します

そして「急遽キャプテンに任命された」という松尾美佑を筆頭に、初めて「3期生のいないアンダラ」を任された4期生たち

アンダラに初めて参加した28th『マシンガンレイン』から2年半。
3期4期だけになった31st『悪い成分』からはまだ1年4ヶ月しか経っていません。
3期生の場合は和田まあやが長く在籍してくれたため(そして1期全員選抜『しあわせの保護色』の時はアンダラが開催されなかったため)どちらも4年8ヶ月ありました。

ついこの間3期が引っ張る時代が始まったはずなのに、もう自分たちがその立場に立たなければいけなくなった。

その戸惑いと恐怖

ましてや座長は初アンダラの同期あやめん。
「支えなければ」そう思ったでしょう。
自分には何ができるのか。何をしなければいけないのか。そう自問自答したことが彼女たちの言葉から見て取れます。

開幕直前のブログにこう綴った矢久保美緒

 不安がないと言えば嘘になります。でも絶対に大丈夫だと言えるほど練習しました。
 だから期待して、待っていてくださいね。

松尾美佑は後にこう振り返りました。

 今回のライブはみんなそれぞれ思っている不安な部分があったからこそ、
 それぞれが得意な事で助け合えて心強かったです。

そしてこう総括したのは林瑠奈でした。

 15人それぞれが自分の役割を模索しながら、
 個として、そして集団としてより良くあるために、足を止めずにいた期間だったと思います。


この日に出演したメンバーたちそれぞれが今後どのような乃木坂人生を送るかはわかりません。

階段を駆け上がるメンバーも、そうでないメンバーもいるでしょう。

それでもこの日彼女たちがひとつになって作り上げた35thアンダラ千秋楽はきっと、また新たな伝説となって乃木坂の歴史とファンの記憶に刻まれることでしょう

少なくとも私の記憶には深く刻まれました。


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びーむ色調補正3
あっという間に今年の夏も終わろうとしています。

全ツファイナルは聖地神宮、過去最長となる4DAYS

DAY1は現地で、DAY4は配信で観ることができました。

当記事では基本的にDAY4について書いています。

あれから4年


セットリストはこちら。

Overture

01. 裸足でSummer(センター:井上和)
02. ジコチューで行こう!(センター:遠藤さくら)
03. 好きというのはロックだぜ!
04. 太陽ノック(センター:久保史緒里)
05. ガールズルール(センター:山下美月)

<ユニットコーナー>
06. 意外BREAK(センター:遠藤さくら、阪口、楓、中村、璃果、松尾、奥田、冨里)
07. Am I Loving?(センター:筒井あやめ、吉田、田村、菅原)
08. 自惚れビーチ(センター:五百城茉央、理々杏、賀喜、井上、中西)

09. 空扉
10. 他人のそら似(センター:与田祐希)
11. 君に叱られた
12. 僕は僕を好きになる
13. 夜明けまで強がらなくてもいい

<アンダーコーナー>
14. 踏んでしまった
15. 錆びたコンパス
16. Hard to say

17. Never say never
18. シンクロニシティ
19. 誰かの肩

<期別曲コーナー>
20. 絶望の一秒前
21. 4番目の光
22. 三番目の風(センター:与田祐希)

23. 設定温度
24. ごめんねFingers crossed
25. Actually…
26. 逃げ水(センター:岩本蓮加、与田祐希)
27. バンドエイド剥がすような別れ方
28. I see…
29. 僕が手を叩く方へ
30. おひとりさま天国

EN
EN1. 夏のFree&Easy
EN2. ダンケシェーン
EN3. 僕だけの光
EN4. 人は夢を二度見る
EN5. 乃木坂の詩


最初に書いておきたいのは「5期生の選抜組は憶えること多かっただろうな、めちゃめちゃ頑張ったんだろうな」ということでした。
まあまあ出ずっぱり。もちろんオリジナルポジションで参加する曲は数えるほど。
それであの堂々たるパフォーマンスは素晴らしかったと思います。

とりわけ多くの楽曲でフロントを務めた井上和は、ただでさえ座長のプレッシャーがある中で本当に立派でした。

この日のビジュアル仕上がってんなあメンは、珍しいポニーテールがすこぶる可愛かった遠藤さくら
賀喜遥香柴田柚菜筒井あやめも良かった。そしてカメラに抜かれる回数は少ないものの映ると必ず可愛い小川彩

オープニング。
座長井上和の「ヘイヘイ神宮ぅ~、最終日、盛り上がっていくぞぉぉぉ~っ!!」という煽り。

煽りでいえば『ジコチューで行こう!』の遠藤さくらも彼女史上一二を争うぐらい声が出ていました。
そしてそのさくちゃんにキスを要求し見事ゲットした与田祐希。してもらっておいてなぜ首を絞める?

なぜかこの日、同じ画面で抜かれる機会の多かった中村麗乃池田瑛紗ダブルデコ出し

『好きというのはロックだぜ!』でタオルを回すのが下手なのが微笑ましい遠藤さくら清宮レイ

『太陽ノック』でセンター脇を務めた岩本蓮加筒井あやめという「最年少顔面強強」コンビ。

『ガールズルール』で田村真佑金川紗耶に両サイドからほっぺたをプニプニされる五百城茉央

明らかに最初のMCから声が上ずり、テンションがおかしい梅澤美波
彼女を筆頭に肩に力が入りまくっていた3期生たちについては次の記事で書きます。

遠藤さくらの「私も気合入ってポニーテールなんてしちゃってますけども」。
「集大成」が出てこなくてあたふたするのも愛くるしい。

次に誰に話を振るのか思い出せない梅澤美波に「私です」と助け船を出し、「遠藤さくらにチューいただきました!」と荒ぶる与田祐希

幕間のVでラムネを開けられない遠藤さくらに上がる声援。

『意外BREAK』。遠藤さくらの超絶スタイルとアウトロでの不敵な笑み。せっかく手足の長いメンバーを揃えているのに、なぜここに金川紗耶はいないのか。

『Am I Loving?』は筒井あやめ菅原咲月の制服姿の青春感よ!
対する吉田綾乃クリスティー田村真佑が9thバスラでの星野みなみのようになんとなく(「難なく」ではない)着こなすのもさすが。

『自惚れビーチ』、「ありえないから」がありえないくらい可愛くてあざとい五百城茉央伊藤理々杏にちょっかいを出す中西アルノ

『他人のそら似』での「みんな~ちゃんと水飲んでる?ご飯食べてきた?」という与田祐希の煽りというかなんというか。
菅原咲月の顔を至近距離で見つめる井上和。その後与田祐希と手をつないで走る井上和

神宮での『夜明けまで強がらなくてもいい』。
個人的には2019年桜井玲香ラストステージの記憶と分かちがたく結びついたこの曲
あの時玲香から何かを告げられて顔を歪めて泣いた遠藤さくら
そこからの4年もの時間。ちゃんと歩んでちゃんとエースへと成長したさくちゃん
そして金川紗耶はこの曲との相性抜群ですね。

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強気なあの子がもらした本音


『踏んでしまった』。とにかく速い。不敵な松尾美佑可愛いというより綺麗な小川彩

『錆びたコンパス』でちゃんと黄色に染まる場内。ここでも実にいい表情を浮かべる松尾美佑

メンバーがプロ野球のユニフォームを着て出てくる演出の『Never say never』。
昭和男子の私はどうしてもパリーグのデーゲームを思い出してしまうアイパッチ(今は「アイブラック」と呼ぶらしい)をつけてきた黒見明香。歌う時には既に外していたが笑
梅澤美波と五百城茉央というグループ最長身ふたりに挟まれる捕らわれの与田祐希

歌い継ぐ演出の『シンクロニシティ』。
サビの吉田綾乃クリスティーの安定感。中西アルノの声の太さ。

井上和の「ペンライトを消してください」というお願いから『誰かの肩』。
泣く梅澤美波。振り返る井上和を優しく見つめる4人のお姉さん(久保山下遠藤賀喜)。

『ごめんねFingers crossed』。齋藤飛鳥ポジに入る金川紗耶
ここでも改めて思う「さやえんどう」のダンス曲との親和性の高さ。

『Actually…』でキメキメの五百城茉央。舌打ちし苦々しい表情をしてみせる久保史緒里
そして完全に会場が「それ待ち」の体勢に入る中西アルノの咆哮。もはや伊藤理々杏の『僕の衝動』に匹敵するのではなかろうか。

そのイントロがさらに会場のボルテージを上げる『バンドエイド剥がすような別れ方』。
じゃれ倒す5期生たち

『I see…』、バックステージで駆け寄ってくる矢久保美緒を受け止めしっかりと抱きしめた遠藤さくら

本編ラスト前、井上和の座長挨拶。
地方会場では先輩たちが行なっていたこの部分。やはり和ちゃんの負担軽減のためだったのでしょう。

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初の座長はどうしても自省的になってしまう。それは齋藤飛鳥も遠藤さくら賀喜遥香もそうだった。

涙を流しながら自分の至らなさを吐露していたそのかきさくが今、暖かな表情で和ちゃんを見つめている。ちゃんと歴史はつながっている

本編ラスト『おひとりさま天国』。さっきまで泣いていたのに貫録の煽りを見せる井上和

アンコールの『ダンケシェーン』。
ファンのスケッチブックに反応したのであろう弓木奈於、たぶん「ずっきゅん」をやっているのだがやたらとノックバックが激しい。

『乃木坂の詩』前のMCではマイクを持つ両手に力が入って捻りすぎな五百城茉央

そして個人的にこの日最も印象に残ったのはここでの松尾美佑でした。

アンダーコーナーでセンターとして堂々とパフォーマンスしていた彼女が涙を流します。
「やだやだ」泣きたくないと、強気な自分でいたい彼女がもらした本音の言葉。

そこには我々ファンが「そうあってほしい」と願う乃木坂がありました。

「みんなが一生分ぐらい誉めてくれた」
「ひとりにさせてくれないのがこの乃木坂46という場所」
「後輩の前では強くいたいと思わせてくれた」

9thバスラ期別ライブをはじめとする、過去の1期生たちの発言と重なります。

ちゃんと、ちゃんと受け継がれている。

みんながお互いを誉め合って。
後輩は先輩に憧れて、先輩はそんな後輩たちのためにかっこよくありたいと願う。

そんな乃木坂46が今もちゃんと存在している

そう感じさせてくれた松尾美佑の言葉でした。


続きます。

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びーむ色調補正3
前の記事の最後で書いた通り本編ラストまで本当に素晴らしいライブでしたが、それでも私は物足りなさのようなものを感じていました。


もっとギラギラしなくていいのか


その理由は、私自身もそしてメンバーもライブの感想が「楽しい」だったからです。

乃木坂もアンダーも、いまこんなにピンチなのに。

「楽しい」ライブで本当にいいのか。

そう思ってしまったんです。

我ながら思い込みが激しくて恥ずかしい限りなのですが笑

どうしても初期アンダラの「何度も何度も現実に打ちのめされながらも、反骨の魂を燃やし選抜を食ってやろうと全員が懸命に闘っていた」あの頃のことが忘れられません。

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そしてこの日、これでもかとばかりに逆境が-アンダラ2ndシーズンを思わせるように-積み上げられていました。

選抜との距離。

現在のアンダーメンバーのうち、1期生全員選抜だった25thシングル『しあわせの保護色』を例外とすれば最後に選抜入りしたのは伊藤理々杏、阪口珠美、佐藤楓の3人。23rd『Sing Out!』ですからもう3年前です。

そして26th『僕は僕を好きになる』の選抜発表以降、1年半近くにわたって「選抜から落ちるメンバーがいない」状態が続いています。
その間にかつてはあんなに高かった「連続選抜」の壁を何人かのメンバーが易々と突破しました。

さらに5期生が加入し、その中から早くも中西アルノがセンターに抜擢されます。

そこからの大炎上。

抜擢センター発表からネット上は荒れに荒れまくりました。

結局、彼女の「過去の活動及び発言がファンの皆さんを混乱させ不信感を持たせてしまったため」活動自粛。
さらに「グループの活動規約に違反する行為」により同じく5期生の岡本姫奈も活動自粛。

センター不在。
そしてそれを「なかったこと」のように新曲プロモーションを行なわなければならないメンバーたち。極めて不名誉(と私は思います)な事態。

グループ全体への猛烈な逆風が吹き、ネット上に目を覆いたくなるような罵詈雑言が溢れました。

まるで、2014年10月のように。

だから私は勝手な期待を抱いてしまったのです。
アンダラ2ndの再現が観られるんじゃないか、と。

北野日奈子卒コンで本音を吐露する阪口珠美や中村麗乃の姿に、その期待は膨らみます。

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しかしこの日のライブはいわゆる「鬼気迫る」ものではありませんでした。

もちろん当時とは条件がまるで違います。
大前提として私は配信での鑑賞であり、ファンも声を出せない状況であり、会場も広かった。

この条件で「熱さ」や「気迫」を伝えるのは本当に難しいことだったでしょう。

そしてハングリーさが違うのも当たり前のこと。

やっぱり当時のメンバー、特に1期生たちは「まだ何も成し遂げていない」という感覚がどこかにあったと思うんですよね。グループは確実に大きくなっているけれど、それは自分の力によるものではないという。
それに対し3期生以降は「乃木坂に加入する」こと自体がひとつの成果ですから、同じような上昇志向を持つことはきっと難しい。(もちろん生来の性格という要素もあるでしょうが)

あの頃とは状況が違う。それは重々承知しているのですが。

乃木坂もアンダーも、今こんなにピンチなのに。

「楽しい」ライブで本当にいいのか。

もっとギラギラしなくていいのか。
もっと感情を叩きつけなくていいのか。

そう思ってしまったのです。

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2014.12.12


そんな私の勝手な思い込みをすべて覆したのは、アンコールラスト前のMC。

口火を切ったのは松尾美佑でした。

 研修生の頃の何も考えず全力でやれた気持ちがわからなくなっていた

そう言って涙を流した彼女の姿に何人かのメンバーがもらい泣きする中、和田まあやは客席を指さしてこう励まします。

 私たちにはこんな力強い味方がいる
 だから大丈夫

涙の連鎖は続きます。

伊藤理々杏
かつて連続選抜を経験しましたが今は苦しいポジションにいる彼女。

 ああ、これが一番私がやりたかったことだ

そう言って涙にくれます。

ここでやっと私は気づきました。

アンダーメンバーたちが、この日のライブにどれほどの想いをもって臨んでいたかを。

そして思い出したのです。

2014年12月の有明コロシアム、アンダラ2ndファイナル。

あの日もほぼ同じことを考えていた自分を。

乃木坂史上初の全員センター企画でアンダーメンバーたちが輝いたあの日。
本当に楽しい「100点満点で120点のライブ」でした。

でも私は10月の六本木ブルーシアターで観たヒリヒリするような、点数なんかつけられるはずもない「ただただもの凄い」ライブを追い求めていました。

紅白に落選し、グループはまだ危機的状況にある。
アンダーだってこの先どうなるかわからない。

それなのにこんなに楽しい、ニコニコ笑って観ていられるようなライブをやってていいのか。

客席でそんなことを考えていたのです。(今では「伝説の」という枕詞つきで語られるライブの現場にいたというのに!)

あの日もアンコールでメンバーたちが次々に泣き出したのを見て、ようやく気づきました。

彼女たちがどれほどのプレッシャーの中で、どれほどの覚悟をもって有明コロシアムに臨んでいたかを。

翻ってこの日。

松尾美佑が、伊藤理々杏が思いの丈を吐き出し。

気がつけば、和田まあやが綺麗なお姉さんの顔をしていました。

お見立て会のブリッジ歩きでファンを恐怖のドン底に叩き込むところから始まった乃木坂人生。
頭NO王、内輪ウケものまねなど、番組の盛り上げキャラとして活躍してきた1期生年少組の「愛されまあや」。

そんな彼女がいつしかすっかりお姉さんの顔をして、頑張った後輩たちを愛おしそうに見つめます。

そして名場面は突然にやってきました。

「終わりたくないね」
「ちょっとだけ歌わない?後で私が責任取るから」

客席の誰かが掲げたサインボードの文字を読んだのでしょう

「あ、『きっかけ』?」に起きるどよめき。

そしてアカペラで歌われた『きっかけ』。

まあやのひらめきと、誰かが掲げたサインボード。
メンバーの想い。ファンの熱気。

小さな奇跡がいくつも重なって、こんなにも美しいシーンが生まれました。


退場を促すアナウンスに負けずに続いたダブルアンコール。これも、あの日と同じ。

感激屋の林瑠奈が泣き崩れています。

画面越しにも伝わる、会場を包み込んだとても暖かい感情のうねり。
それはアンダラ黎明期からその伝説の多くに立ち会ってきた和田まあやをして、こう言わしめるほどのものでした。

 言葉にならないって、今この感じ

またひとつ、アンダラに伝説が生まれた夜でした。


続きます。

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有観客用のステージセット


2月の全員ライブに始まり、そこから各期別ライブでバトンをつないでいく9thバスラ。

3月下旬に開催された2期と1期に続いて、この日は4期単独ライブ。
緊急事態宣言発令によりまたも無観客配信となりました。

ただ、当初は有観客の予定だったためメインステージから花道が伸びてセンターステージがあって…という有観客ライブのセット。正直、個人的にはそれを見るだけで懐かしさがこみ上げてウルっときそうになりました。

やっぱり配信用のセットだとどうしても「歌番組のスタジオライブ」にしか見えないんですよね。


セットリストはこちらです。

Overture
01. 夜明けまで強がらなくてもいい
02. 逃げ水(センター:清宮レイ・筒井あやめ)
03. バレッタ(センター:早川聖来)
04. ぐるぐるカーテン(センター:遠藤さくら)

歴史体験コーナー
05. 水玉模様(センター:筒井あやめ)
06. ガールズルール(センター:賀喜遥香)
07. サイコキネシスの可能性(センター:遠藤さくら・柴田柚菜)
08. 世界で一番 孤独なLover(センター:田村真佑)
09. 走れ!Bicycle

10. 転がった鐘を鳴らせ!(センター:清宮レイ)
11. 狼に口笛を(センター:松尾美佑)
12. ダンケシェーン(センター:賀喜遥香)

ユニットコーナー
13. 2度目のキスから(掛橋沙耶香、黒見明香、清宮レイ、矢久保美緒)
14. ごめんねスムージー(早川聖来、筒井あやめ、松尾美佑)
15. 流星ディスコティック(賀喜遥香、田村真佑)
16. 偶然を言い訳にして(遠藤さくら、金川紗耶、北川悠理、佐藤璃果)
17. 雲になればいい(柴田柚菜、林瑠奈、弓木奈於)

18. 悲しみの忘れ方(センター:早川聖来)
19. 日常(センター:筒井あやめ)
20. 今、話したい誰かがいる(センター:田村真佑、弓木奈於)

21. I see…(センター:賀喜遥香)
22. キスの手裏剣(センター:遠藤さくら)
23. 図書室の君へ(センター:掛橋沙耶香)
24. Out of the blue(センター:早川聖来)
25. 4番目の光(センター:遠藤さくら)

EN1. 猫舌カモミールティー(センター:田村真佑)
EN2. おいでシャンプー(センター:遠藤さくら)

オープニングは『夜明けまで』。そこからシングル曲連打。

MCを挟んで先輩たちが過去に行なったライブ演出を追体験する「歴史体験コーナー」
3曲挟んで少人数のユニットコーナーへ。再び3曲挟んでからはラストまで5曲連続4期曲。

アンコールでは新曲が披露され、『おいシャン』で締めという流れでした。

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柴田柚菜の「青春感」と『雲になればいい』


例によって印象に残ったシーンを挙げていきます。

『逃げ水』をもってきたのも意外ならセンターが「あやレイ」なのもちょっと意外でした。保護者役(=オリジナルの白石西野)を田村真佑と賀喜遥香にしたのはなんか納得。

早川聖来の『バレッタ』センターはなるほどと思わせました。楽曲の持つどこか不安定で妖しい雰囲気はまさに彼女そのもの。

『ぐるカー』は4期が誇る『夜明け』のフロント3人。さくかきあやめん(=遠藤さくら、賀喜遥香、筒井あやめ)強し!

最初のMCで賀喜遥香が言った「画面を飛び出す勢いで!」というコメントにファミコンディスクシステムの『とびだせ大作戦』を思い出してしまったのは私だけでしょうか。

下駄ップは…うーん、正直オリジナル自体が黒歴史だと思っていたのでこれをやるとは思わなかった。納得のいかない出来だったのか、次の曲の最中に賀喜遥香がボロ泣きしていたのはちょっとかわいそうでした。

『サイコキネシス』のセンター柴田柚菜はまさにベストマッチ。過去記事でも書いていますが彼女には独特の「青春感」がありますよね。実際にはこの春で高校を卒業しているのですが笑

「こげ!Bicycle」企画で疲労困憊になった筒井あやめの「足がフルフルフルフル…もうわかんないです」という秀逸なコメント。

『転がった鐘』ラスト、清宮レイのエルビスポーズがキメキメで良かった。

『2度目のキス』、掛橋沙耶香に真夏さんリスペクト軍団の衣装が似合うことといったら!

『ごめスム』のでっかいリボンをした筒井あやめの可愛いこと。この日の「ビジュアル仕上がってんなあ」賞もこれが決め手で彼女です。

そして個人的にはこの日のハイライト。
「うおマジか!」と思わず声が出た『雲になればいい』。

だって、オリジナルは生田絵梨花に衛藤美彩に桜井玲香ですよ。歌唱力も個性ある声質も乃木坂史上で上位に入る3人。きっと凄いプレッシャーだったと思います。
もちろん上手い下手だけでいえばオリジナルの方が上でした。でも歌い終わった柴田柚菜のやり切った感溢れる清々しい表情を見たら、そんなことはどうでもよくなりました。今の自分でできる精一杯を出し切った3人は本当に素晴らしかったです。

ちなみに弓木奈於はこの日も独特のワードセンスを炸裂させて「色とりどり」を「四季折々」と言ってましたね。

『悲しみの忘れ方』ラストの遠藤さくらの「画が持つ力」を最大限に引き出した長尺アップ。

『日常』もこの曲やるのか!と驚きました。

キラーチューンである『I see…』『4番目の光』の2曲をフルコーラスでやってくれたのは嬉しかった。やっぱフルはいいよなあ。個人的にはこの日のように基本はワンハーフで肝の曲だけフルというのが好きです。

アンコールでは4期生の新曲『猫舌』初披露。
田村真佑センターは順当かと思いますが松尾美佑、弓木奈於というフロントは「攻めたな」という印象です。

結論として、ラストまで個人的にはすごく楽しいライブでした。

…ただ。

翌日の3期ライブがもの凄く良かった。いや、良すぎた。

今さらライブレポを書いている以上、それは無視できません。
続く記事では3期ライブを踏まえたうえで、この日の4期ライブについてさらに深掘りしていきます。



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当ブログに掲載された記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧の方にも楽しんでいただけることと思います。



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