ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:松村沙友理

びーむ色調補正3

笑顔の理由


ここまで印象的なシーンを列挙してきましたが、実は個人的に最も強く印象に残ったのは卒業スピーチの中で松村沙友理が語った感謝の言葉です。

「たくさんの人が私に笑顔の印象を持ってくださっているのは、外に出る時に楽しい気持ちになれるようにマネージャーさんがいつも盛り上げてくれるからだと思います」

これまでも常日頃から多くのメンバーがスタッフさんへの感謝を口にしてきました。
ただ、ここまでしっかりと具体的な貢献を言葉にしたことはほとんどなかったのでは。

スタッフさんも乃木坂が大好きで乃木坂のために一生懸命で。
メンバーもちゃんとそれを理解していて感謝している。

私がこの言葉から感じたのは、そんな暖かな関係性でした。

乃木坂って、暖かい。

我々ファンの側が「乃木坂のこういうところが好き」で「バックヤードでも実際にそうだったらいいな」と願うイメージ。
まさにその部分が実際に存在しており、しかもそれがグループ内だけでなく周囲の人々も含めてであることを示唆するメンバーの発言。

嬉しいですよね。

これまでもたびたびこのようなコメントが出てきました。

2020年12月の4期ライブで筒井あやめはライブの感想を聞かれ「何とも言えない暖かい空気感が4期生は初めからあって今回も私自身その空気に支えられた」と語りました。

2021年3月の9thバスラ1期ライブで「いい人の周りにはいい人が集まる」と言った星野みなみ。

そう考えるとこの日も随所に乃木坂の「暖かさ」を感じさせる場面がありました。

1期生コーナーでの『泣いたっていいじゃないか?』。
松村沙友理のラストライブで高山一実センター曲を選ぶという、その優しさ。

前の記事で「舞台メンはみんな超絶」と書いたように、自身の舞台公演期間中なのにそれでもライブに参加するメンバーたち。

この日の前後も久保史緒里以外にも生田絵梨花、伊藤理々杏、中村麗乃、清宮レイ、筒井あやめが舞台の公演期間中でした。それでもみんな2DAYSのうちどちらかに出てくるその気持ちというか心意気。
無理はしてほしくないけど、本人たちが「先輩の最後のライブに出たい」と思ってくれているならそれはやっぱり我々の好きな乃木坂だよなあ。

同じく前の記事でも書いた『でこぴん』。

まっつんが自身の卒コンという晴れ舞台であのエピソードを語るのも、『でこぴん』の歌唱メンバーに葉月を入れて披露するのもいい。

凄く失礼な表現なのは重々承知していますが、決して人気メンバーというわけではない葉月をここで大々的にフィーチャーして特別な曲『でこぴん』をやるという乃木坂の暖かさ。

ああ、乃木坂っていいなあ。
そうしみじみ言いたくなりますね。



「ホントかっこいいよね。わかる」


そしてまっつん最後の出演となった『乃木坂工事中』での大縄跳び46回チャレンジ。

堀ちゃんの時の「2期生ハウス」と同様に自分にとってのアフター配信というかカーテンコールという感じでした。

もう全編が名シーン。

飛ぶ前に「ちょっと1回みんなで気合い入れよう」と言って輪になる1期生。
「できる!」「うちらはできる!」からの円陣。
それをキラキラした尊敬と憧れの目で見つめている梅澤美波と久保史緒里。

かくいう私も正直、ここ最近の1期生を観ている時の感情はずっと「楽しいのに涙が出そう」です。

最初のトライが38回で失敗に終わり、ガチで落胆する1期生たち。
高山一実は「もう多分無理だと思います」秋元真夏は「たぶんあともう1回(が限界)」。

再度トライ。
「がんばってください!」と叫ぶ清宮レイ。

そして悲願達成の瞬間。
悲鳴のような歓声を上げながら笑顔でバンザイする後輩たち。

泣き崩れる松村沙友理。

 1期生で10年間ずっとやってきて
 なんでも頑張ったらうちらに達成できないことはないんだな

その言葉に真夏さんも生ちゃんも樋口日奈も、そして「泣いちゃうんだ、それで」と憎まれ口をたたいていた齋藤飛鳥までもがもらい泣き。その飛鳥ちゃんの頭を優しくなでる星野みなみ。

成功した後に設楽さんが「久保ももう泣く寸前でしたね」って言ってましたけどそれ日村さんですよね。そもそも久保ちゃんはがっつり泣いてましたし。

そんな彼女の「先輩方あまりにもかっこ良すぎて」に日村さんが「ホントかっこいいよね。わかる」と相槌を打っていたのもなんかグッときました。

最後の生ちゃんの高音「難しいですよ!なあ!?」も良かった。

これもまた愛情にあふれた暖かくて優しい時間。

本当に素晴らしいフィナーレでした。


かずみん「みんなと一緒ならなんでも出来る!」


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コショウ入れて鼻にも入れて辛くなれ


第1部のさゆりんご軍団ライブが終わり、休憩を挟んで第2部は全体ライブ。

セットリストはこちらです。

Overture
01. さ~ゆ~Ready?
02. ガールズルール(センター:松村沙友理)
03. 夏のFree&Easy(センター:松村沙友理)
04. ロマンスのスタート(センター:松村沙友理)
05. ごめんねFingers crossed

06. でこぴん(向井葉月、秋元真夏、高山一実、樋口日奈、松村沙友理)
07. 今、話したい誰かがいる(新内眞衣、松村沙友理)

08. 無表情(親衛隊:佐藤璃果、早川聖来、松尾美佑、矢久保美緒、弓木奈於/応援隊:岩本蓮加、阪口珠美、佐藤楓、山下美月、吉田綾乃クリスティー、黒見明香、柴田柚菜、林瑠奈)
09. 1・2・3
10. やさしさとは(松村沙友理、生田絵梨花)

11. 急斜面(松村沙友理)
12. 泣いたっていいじゃないか?(1期生)
13. ひと夏の長さより…(1期生)
14. シンクロニシティ(センター:松村沙友理)

EN1. サヨナラの意味(センター:松村沙友理)
EN2. 悲しみの忘れ方(センター:松村沙友理)
EN3. さ~ゆ~Ready?


印象に残ったシーンを挙げていきます。

オープニング、松村沙友理が赤くてドットでフリフリというザ・アイドルな衣装にツインテールで登場します。
歌うのは卒業ソロ曲『さ~ゆ~Ready?』。めちゃめちゃいい曲ですよね、これ。

最初のMCからまっつんらしさが炸裂して見どころ満載でした。

言葉を探しながら「えー うーん えー うーん」。
早くも「ぶりっ子をしてしまう」が出てますよ松村さん笑

「これ言っていいのかな…もうじき29歳ですよね?」と切り込む齋藤飛鳥
「私NGないけど年齢だけはNGなんだよ!」と激昂するまっつん。

さらに遠藤さくらに向かって
「大丈夫?心配、可愛すぎて」という謎の不安を吐露するまっつん。

その後VTR内で「白石さんが卒業したら松村さん寂しくなっちゃうと思うから、私が沢山話しかけます!」と声をかけてくれた後輩メンバーがいたこと、そして「その子にまいやんのポジションに入ってほしいと思いました」と語ります。

披露されたのは『でこぴん』。後輩とは向井葉月でした。
葉月、本当にいいやつだなあ。

号泣あしなが姉さん・新内眞衣が必死に涙を我慢している姿が泣ける。
そして額縁衣装!ふたりだけのシーソー!結局ふたりで大泣きするのもまた泣ける。

からあげ姉妹。

個人的にはホント『食物連鎖』の時に「ミュージックステーションに出れば世界がざわつくだろ」と思ってました。ていうかなんで『食物連鎖』やらないんですか!からあげ姉妹の最高傑作じゃないですか!

『無表情』では後輩たちが「親衛隊」「応援隊」としてワラワラと出てきて楽しげにはしゃぎます。
最短距離で親衛隊をやり感無量の矢久保美緒。相変わらずこういう時にノリノリなのが好感度高い山下美月。ちなみにメンバーたちが過去制服を着ていたのは運営が私のブログを読んだからに違いない笑

 

生田絵梨花がからあげ姉妹スタート時のエピソードとして「ふたりともくすぶってる時期」と発言していたのが少し驚きました。これたぶん『食物連鎖』を忘れてますよね。10thシングル『何度目の青空か?』の生田絵梨花個人PVですから、まっつんはそれこそ「くすぶってる時期」ですけど生ちゃんはセンターです。
『無表情』は12th『太陽ノック』のカップリングなのでその頃は確かにふたりとも苦しい時期だったかもしれません。

「楽しい時にはいつも横にまつがいた」という生ちゃんの言葉が切ない。

それにしても『1・2・3』は名曲ですね。
ふたりだけの『やさしさとは』にも胸が締めつけられます。



御三家の幻と『サヨナラの意味』


ハイライトだった『急斜面』。

まっつんの左右を水色と緑のスポットライトが照らします。古参オタの7割がこの時点でウルウルしていたことでしょう。
最初から泣き出しそうな彼女。それでもドレスの裾をぎゅっと握って歌い出します。

白石麻衣公式Youtubeチャンネルでの
松村「ひとりでね、『急斜面』やったの~」
白石「頑張ったね~(なでなで)」も含めて、忘れられない名シーンになりました。

その曲の余韻が残る中ステージ上に現れたのは1期生たち。
その戦友たちと歌うのは自身唯一のセンター曲『ひと夏の長さより…』です。

そしてアンコール。

卒業スピーチの中でまっつんは「導いてくれる人はいる」から「自分ひとりで悩まないで」とメンバーに語りかけます。

重い言葉です。

スピーチに続いて歌われたのは『サヨナラの意味』。
「橋本奈々未の歌」だったこの曲を白石麻衣が「乃木坂の卒業ソング」へと昇華し、この日の松村沙友理もそれを引き継ぎました。

 

キャラクターはそれぞれバラバラなのになぜか3人並ぶとバランスが取れて、最強。
それが乃木坂の誇る御三家でした。

その全員が自身の卒コンのクライマックスでこの曲を歌う。
それはとてもでき過ぎたシナリオで、それでいてとても自然なことのように思えました。


横浜アリーナの通路を一周する演出に、ドレスの裾をかいがいしく持つ花嫁介添人の生田絵梨花齋藤飛鳥。そしてそのふたりに「スーパースターにこんなことさせて…」とおどけるまっつん。

本当ですね。
あんな頼りない始まりから、スーパースターが生まれましたよ。

それも、何人も。


ラストはもう一度『さ~ゆ~Ready?』
もう一度言いますけど、めちゃめちゃいい曲。そして初めて聴いた時から思ってましたけど、LINDBERGの『今すぐKiss Me』に似てますね。

ちなみにこの日のビジュアル仕上がってんなあメンは久保史緒里

舞台『夜は短し歩けよ乙女』(配信で観ましたが最高でした)の公演中だからでしょうか。完全に顔面にスイッチ入りっぱなしの美しさ
っていうか主演舞台(しかも台詞も動きもすんごい量)の公演期間中に先輩の卒コンに普通に出てくる久保ちゃんの凄まじさ。あんた生田絵梨花かよ。

いやそれを言うなら舞台メンはみんな超絶ですよね。舞台の本番や稽古をこなしながらライブの演出とか立ち位置とかよく憶えられると本当に感心します。


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乃木坂黎明期にグループを牽引した「御三家」最後のひとり、松村沙友理。
ついにその卒業コンサートの日が来てしまいました。

その第1部は悲願のさゆりんご軍団ライブ。
なぜ卒業「コンサート」なのに軍団は「ライブ」なのだろうかと思わなくもありませんが笑

しんどい、でも素晴らしい


セットリストはこちら。

Overture(鼻歌Ver.)
01. ぐんぐん軍団
02. 白米様

替え歌コーナー
03. さゆりんごが咲く頃
04. 何度目の軍団か?
05. ライス!
06. りんごのパクリから(with秋元真夏、鈴木絢音)

07. 大嫌いなはずだった。(with秋元真夏、鈴木絢音)
08. 働き方改革
09. さゆりんご募集中

例によって印象に残ったシーンを挙げていきます。

そもそも『Overture』の替え歌を鼻歌でやるというのが既にまっつんイズム全開。

オープニングは軍団の自己紹介ソング『ぐんぐん軍団』。

伊藤かりん、佐々木琴子、中田花奈という卒業生たちが当たり前のように出てきますが、そもそも卒業生が乃木坂のライブに出ること自体が異例中の異例。ましてや琴子は他事務所だし。私の記憶が確かなら2ndバスラのアンコールに岩瀬佑美子と宮沢成良が登場して以来ではないでしょうか。(あれは出演ではなく飛び入りでしたし)

それにしても琴子美人だな~どうにか乃木坂で活かす方法はなかったのかと、いまだにしつこく思ってしまいます笑



少し大人っぽくなった印象の彼女。
こんなにしっかり歌声を聴いたのは初めてな気がします。さゆりんご軍団以外でソロ歌唱パートってありましたっけ?

そしてキラーチューン『白米様』はフルコーラス!

続く替え歌コーナーで改めて思い知らされます。
やっぱ俺、まっつんのセンス好きだな~。

『ライス!』の「炊く前 米 米 米よ 炊けたら メシ メシ メシよ~」とか抜群じゃないですか。

『さゆりんごマジョリティー』やらんのかとはちょっと思いました。

『りんごのパクリから』での秋元真夏との茶番が微笑ましいというか涙が出そうになるというか。そして真夏さんリスペクト軍団も既にもう真夏さんと鈴木絢音の2人しか残っていないという事実に切なさがこみ上げます。

軍団でハワイ旅行したいねトークの中での
松村「お金出すよ!」
琴子「じゃあ振り込んどいてください」
松村「それは話が違う」のやり取りも面白かった。

JAの人、前に積まれている唐揚げの量多すぎじゃないですかね?

ラストの『さゆりんご募集中』もフルコーラスだったのが良かった。

そして50年後の武道館はちょっと私は無理っぽいのでもう少し早めに実現していただけると助かります。



とまあつらつらと書いてきましたが、個人的に最も印象に残ったのはクライマックスの『大嫌いなはずだった。』。

この日が初披露だったそうです。

そもそも個人的にはボカロをまったく聴かないのでHoneyWorksさんも知りませんでしたし、この曲も初めて聴きました。

正直、甘酸っぱい青春ストーリーの断片をひたすら積み上げたようなこの曲の歌詞はおっさんには…まあ少なくとも私にはしんどかった。
冠番組でやる妄想シチュエーション系とか懐かしの「乃木恋リアル」のような気恥しさを1曲通して見せられ続ける感覚というか。

ですが、これがまた良かったんですわ。
いや、しんどかったんですよ。最後までずっと「この歌詞はおっさんにはしんどいな~」と思いながら聴いていて、なのに終わった時の感想は「でもすげえ良かったな」でした。

その理由として思い当たるのは、この軍団ライブで唯一のシリアスな楽曲だったという点。

そう、我々は初めて「さゆりんご軍団(with真夏さんリスペクト軍団)の本気」を目にしたのです。

基本的に「まっつんが面白いと思ったことをやる」というコンセプトで進んできたさゆりんご軍団。でもそれは結果的に軍団員のアイドル性(※)の高さを笑いというオブラートにくるんでしまっていたのではないか!それは天才・松村沙友理とは思えない失策だったのではないか!などと今さらにも程がある感情がこみ上げてきて我ながら始末に負えないです笑
※この記事における「アイドル性」は「萌え」とか「胸キュン」させる能力、ぐらいの表層的な意味で使っています

まあ軍団に限らず、乃木坂って基本「ゴリゴリのアイドル」やらないじゃないですか。
上で書いた妄想シチュエーションや乃木恋リアルもあくまでも「演じています」「ファンサービスです」というスタイルでやって、その後照れるところまでがワンセットですよね。

ファンも概ね「ナチュラル」であることを是としているように思います。
それこそ真夏さんやまっつんは「ぶりっ子」だけど、そのふたりでさえそうでない部分を特に隠そうとしない。あくまでも引き出しのひとつという位置づけです。

普段グループでは使っていないアイドル性。
しかしこの曲で私が目にしたのは寺田蘭世や鈴木絢音、そして佐々木琴子が本気でアイドルをやり切った時の破壊力でした。

だとすると天才・松村沙友理はそのラストステージで我々にこう言いたかったのかもしれません。

「普段やってないだけで、乃木坂ちゃんが本気出したらめっちゃアイドルなんやで!」



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乃木坂のターニングポイント


もしもあのスキャンダルがなかったら。

そう考えたことは一度や二度ではありません。

ただ、今改めて思うのは「あれがあったから乃木坂は現在の姿になった」ということです。
ターニングポイントと言っていいかもしれません。

あの出来事がもたらしたものはふたつ。
「アンダーの地位向上」「メンバー相互のリスペクト」

あの日以前の乃木坂は、選抜とアンダーの間に絶望的な格差がありました。
今でもあります。でもまるで比じゃない。

いちファンの私の目には、当時の超選抜には甘えがあったように見えましたしアンダーには絶望しかありませんでした。
そして両者の関係もギクシャクしているように見えていました。(もちろん個人的に仲のいいメンバーはいたでしょうけれど)

選抜は前に立つ者の辛さを分かってもらえないと感じていたでしょうし、アンダーはアンダーで選抜のパフォーマンス力不足に不満を感じていたことでしょう。

しかしあのスキャンダルによりグループに激震が走り、甘えは奪い去られます。
そしてファンと直接対峙して信頼を取り戻したアンダーメンバーの姿は、超選抜のメンバーをしてアンダーへのリスペクトを抱かせるに十分なものだったのでしょう。

結果的にあれがあって良かったとは口が裂けても言えないですし、そもそも微塵も思っていません。

ただ確実に言えるのは、あの件がなければアンダラ2ndシーズンがあんな極限の日々になることはなかったし、あれほどの熱狂を呼ぶこともなかった。そしてアンダラがグループのキラーコンテンツのひとつにまで成長を遂げることもなかったでしょう。

しかも実際には10th『何度目の青空か?』をもって1期生の「思い出選抜」枠は終了となり、この後さらに選抜の硬直化は進みます。ほとんどのメンバーは選抜人数が21人にまで拡大された17th『インフルエンサー』までアンダー漬けでした。

にもかかわらず、その期間のアンダーメンバーから離脱者は件の大和里菜と畠中清羅を除けば永島聖羅ただひとりなんです。

その理由のひとつはもちろんアンダーの地位が向上しアンダラという居場所が確立されたこと。

そしてもうひとつは、グループ内の暖かい雰囲気。
以前の記事で「前に立つ者が後ろにいる者への敬意を持ち、感謝を忘れずにいること。そして後ろにいる者は前に立つ者の重圧と不安を思いやること」と表現した相互にリスペクトする関係性を持つに至ったからではないでしょうか。

居心地のいい場所だったから卒業者があまり出ずにグループが大きくなった。だからこそ底堅い人気を保てたしその雰囲気に憧れて後輩たちが入ってきた。

つまり、現在我々が見ている乃木坂の姿になった。

やはり大きなきっかけとなったのはアンダラ2ndシーズンの熱狂であり、ひいてはあのスキャンダルだったのだと思います。

余談ですが、3期生たちはオーディション合格直後に会議室に集められて全員で『悲しみの忘れ方』を鑑賞したそうです。
もしかしたらそれが現在の彼女たちの持つ体育会テイストや5年経ってもひとりも欠けていないことの遠因になっているのかもしれませんね。

アリーヴェデルチ!


松村沙友理が好きでした。

可愛さと綺麗さを兼ね備えたビジュアル。
しかも表情豊かで笑顔は人懐っこい。
「からあげ姉妹」「ガチャ子さん」のようにアニメチックにデフォルメされたキャラクターも全く違和感なく演じてみせる。(これもベースのビジュアルがいいからですよね)

最強じゃないですか。

凄く印象に残っているのが、モデル仲間数人との写真でひとりだけ優しい顔立ちをしていたこと。

可愛い人も綺麗な人もいっぱいいるけど、可愛くて綺麗でさらにあんな優しい顔立ちをしているのはやっぱり松村沙友理ただひとりだよなあ。そう思ったのを憶えています。

近年は名場面製造機ぶりも完全復活し、冠番組では大活躍でした。

日村さんに振られる役で憑依型の演技をしてスタジオを凍りつかせたり
設楽さん相手に「若い子を贔屓する…」とすねて見せたり
声カワイイ選手権の留守電告白シチュエーションなのに人生のほろ苦さを感じさせるストーリーをぶち込んできたのとか最高ですよね。

そして卒業後の彼女について。

正直、松村沙友理は天才だと思います。

万能型(歌唱力除く)ですが、白石麻衣や衛藤美彩の「そつのなさ」とはまったく違います。
まっつんはどこを取っても非凡。「優等生的にこなす」という部分が一切ありません。いびつなのに何でもできる、ちょっと他にいないタイプ。

そのマルチさを活かせるのはTVに出てモデルをして時々演技をする、「タレント」という形でしょう。

でもやっぱり、クリエイティブ側にも入ってほしい。

その独特の感性と発想力で後輩たちのプロデュースやライブ演出に関わってほしいです。オーディション時に「謝罪ちゃん」と呼ばれていた矢久保美緒に西野七瀬のソロ曲『ごめんね ずっと…』を歌わせてみたいとか素晴らしい。

アイディアを出す企画屋はまっつんで、それを形にするのは…やっぱり伊藤かりんですよね(毎回名前を出してすみません笑)。


さて、つらつらと書いてきましたがそろそろ終わりにしましょう。

元推しとして最後に言いたいことは

あの時、諦めずに乃木坂に残ってくれてありがとう。
今日まで乃木坂にいてくれてありがとう。

そして
色々あったから、この先はとにかく幸せになってください。

松村沙友理さん、本当にお疲れさまでした。

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自分の居場所失くしてたその時の彼女


その日からの数日は悪夢のようでした。

ラジオの生放送で号泣しながら謝罪するも火に油を注ぐ結果に。
運営は空虚な「深くお詫びします」というコメントを出しただけでだんまり。
公式には謹慎等の処分もないことも確定し、多くのファンはさらに激怒します。

翌週には第2弾の報道もなされます。
その週末に行なわれた握手会。
まっつんの背後には、屈強なSPと頭を丸めた乃木坂46運営委員長の今野氏が並び異様な雰囲気を漂わせていました。(後にこの時頭を丸めたのは病気の治療のためだったと語られましたが、当時のファンは知る由もありません)

そしてネット上は目を背けたくなるような罵詈雑言で埋め尽くされました。
乃木坂嫌いと秋元康嫌いとアイドル嫌いとドルオタ嫌い、そして「元ファン」が一斉に松村沙友理と乃木坂と乃木坂ファンに凄まじい量の悪意と非難を浴びせたのです。

間違いなく乃木坂史上最大の危機。
当時をご存じない方には信じられないと思いますが、本当にグループの存続自体が危ぶまれる状況でした。

私も「これまで通りに応援はできない」と感じ、乃木坂ファンを辞めるつもりでした。
最後のつもりで観に行ったアンダーライブ2ndシーズン。そこでもうひとりの推しである井上小百合の鬼神の如きパフォーマンスにより魂をぶん殴られて踏みとどまり、現在に至っています。

この間、まっつんは歌番組にも冠番組にも出演し続けます。当初は感情が失われてしまったかのような無表情で。後にはこわばりまくった笑顔で。
そして、その度に毎回ネットは悪意に満ちた書き込みで溢れました。

11月には内定の報道が流れていた紅白に落選というショッキングな出来事もありました。(これは大和里菜の件の方が問題視されたためという説もあります)

そして紅白を逃したため年末に急遽開催された「大感謝祭」で、まっつんはマイクを持って進み出ます。

現場にいたファンによればその瞬間「会場が凍りついた」。

そこで語られたのが

 私は乃木坂で、もう少し頑張りたい

正直、個人的にはもう辞めてほしいと思っていました。
許すとか許さないではなく、これ以上元推しが晒しものにされるのを見ていられなかったのです。

この後も彼女に対する非難は続きます。

次の11thシングル『命は美しい』では3列目に下がったものの選抜に残留し、ファンの間でも大きな論争を呼びます。

「選抜から落とすべき」というファンもいれば、アンダーファンからは「アンダーを懲罰扱いするな」「アンダーライブに参加してほしくない」という声も上がります。いずれにせよ、彼女の選抜入りに対する否定的な意見が大勢を占めていました。

しかしこの選抜発表を行った時の『乃木どこ』で、設楽さんがこんな言葉を掛けます。

 正直 色々ありましたからね
 俺今回入んないと思いました

 もちろん責める人の事も分かるし
 でもやっちゃったのは自分だから
 それは責任もあるとは思うけど

 昔のバカみたいな事を言ってる
 松村が戻ってきてくれないと寂しい

この後から、少なくとも『乃木どこ』内では通常営業に近い雰囲気に戻りはじめます。
(すぐに番組自体が終了という名のリニューアルをするのですが)

とはいえもちろん彼女の人気は急落しました。

かつて屈指の人気だった握手会の完売速度もだいたい12~13番目ぐらい、「選抜ボーダーメン」と呼ばれるメンバーたちよりはちょっと上というあたりにまで低下します。
17th『インフルエンサー』から個別握手会不参加になりますが、そこまでほとんど握手人気は回復しませんでした。(ただ2019年あたりからは特に女子人気がかなり高かったのではないかと思います)

2017年12月に初の写真集を発売。同時期に出た若月佑美や新内眞衣よりは売れたものの堀未央奈よりはだいぶ下。かつての人気を知るものとしては寂しい数字でした。

そんな目に見える人気指標はともかく、彼女の動きは徐々に活発化していきます。

2015年3月にはファッション誌の専属モデルに。
同年6月の舞台『じょしらく』で蕪羅亭魔梨威(ぶらていまりい)を演じ、ラストの台詞「これ以上、落ちてたまるか!」を絶叫。彼女の状況とリンクした演技が良くも悪くも話題になります。

同じく2015年の夏に公開されたドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』では彼女の件から紅白落選までの流れが大きな山場として描かれました。

一時まったくフィーチャーされなくなっていた冠番組でも、いつしか独自のキャラクターを武器にかつてのような活躍が目立ちはじめます。

そして緩やかにグループ内での序列は回復し、2016年の15thシングル『裸足でSummer』で1年半ぶりに2列目(福神)復帰。以降はその座を守り続けます。ただしフロントは白石麻衣の卒業シングル『しあわせの保護色』のみでした。

やっぱりまつが好き


すごく私事になってしまうのですが、個人的にはずっとまっつんを素直に受け入れられずにいました。
嫌いではない。可愛いとも思う。でも、まっつんが何をやっても「ふーん」という感じ。彼女に心を動かされるのを無意識に拒絶していたような気がします。

それがようやく終わりを告げたのが、2017年7月2日、神宮球場。
(3年近くですから自分で書いていて嫌になるぐらいしつこい男ですね笑)

初の東京ドームが発表されたあの日。期別ライブで乃木坂の底力を知らしめたあの日。
そして、ヒム子と一緒に『インフルエンサー』を踊ったあの日です。

ヒム子の登場に驚き沸き立つメンバーたち。
あるものは笑い転げ、別のものは笑顔で踊り続けます。

そんな中、抜けで映っていたのは
凛とした表情で切れのあるダンスを踊る松村沙友理の姿でした。

鳥肌が立ちました。

一番人気だった頃からさんざん叩かれていたまっつんのダンス。

とにかく「踊れない」。
初期は本当にダンスが苦手でしたし、できなくてもヘラヘラ笑ってごまかしていたという印象があります。(実際は照れ隠しだったのでしょうが)

その彼女が、こんなにも堂々と美しく踊っている。

それを観た瞬間に、自分の中にあったわだかまりのようなものがほどけてなくなりました。

きっと「ああ、まっつんも頑張ったんだな。あんなことがあってどん底まで落ちて、そこから這い上がるために真剣に頑張ったんだな」みたいな感情が湧いたんだと思います。

そこからは「推し」とまではいきませんが「好きなメンバーのひとり」という感じで応援してきました。


その神宮の直後の雑誌インタビューの中に、強く印象に残っている発言があります。

 …きっと3期生が中心となったときも私はまだ残っていると思うけど

1期生たちが卒業して行っても、自分は残ってグループの行く末を見守る。そう言っているのです。そしてこれは現実のものとなりました。

彼女自身に「禊」という意識があったのかはわかりません。

でも個人的には、ずっと心の底に「グループにもメンバーにも本当に迷惑をかけたから、自分の都合は後回しにしてできる限りの恩返しをしたい」という思いを抱えて活動しているように見えました。

さゆりんご軍団も2期生を引き上げる企画でしたし、卒業発表の時にも「自分が見送りたいと思った子(=白石麻衣)の卒業を待ってから卒業しようと考えた」と言っていましたね。

そして自身の卒コンも半分は「さゆりんご軍団ライブ」にしました。
もちろん軍団長としての悲願ではあったでしょう。でも卒コンのなかった佐々木琴子と中田花奈、そしてそのファンへのプレゼントという側面も大いにあるのではないでしょうか。

冠番組でも初期の「特攻隊長」的なキャラクターから、普段は一歩引いた位置にいながら求められればスッと出ていって見せ場を作る、そんなスタンスに変わっていったように思います。

まあ単に楽しんでるだけの時も多々ありましたが笑

大きな挫折で一度輝きを失った彼女は、いつしか周りも自分も輝かせる存在へと成長していました。



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