ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:松村沙友理

タオル補正

乃木坂のターニングポイント


もしもあのスキャンダルがなかったら。

そう考えたことは一度や二度ではありません。

ただ、今改めて思うのは「あれがあったから乃木坂は現在の姿になった」ということです。
ターニングポイントと言っていいかもしれません。

あの出来事がもたらしたものはふたつ。
「アンダーの地位向上」「メンバー相互のリスペクト」

あの日以前の乃木坂は、選抜とアンダーの間に絶望的な格差がありました。
今でもあります。でもまるで比じゃない。

いちファンの私の目には、当時の超選抜には甘えがあったように見えましたしアンダーには絶望しかありませんでした。
そして両者の関係もギクシャクしているように見えていました。(もちろん個人的に仲のいいメンバーはいたでしょうけれど)

選抜は前に立つ者の辛さを分かってもらえないと感じていたでしょうし、アンダーはアンダーで選抜のパフォーマンス力不足に不満を感じていたことでしょう。

しかしあのスキャンダルによりグループに激震が走り、甘えは奪い去られます。
そしてファンと直接対峙して信頼を取り戻したアンダーメンバーの姿は、超選抜のメンバーをしてアンダーへのリスペクトを抱かせるに十分なものだったのでしょう。

結果的にあれがあって良かったとは口が裂けても言えないですし、そもそも微塵も思っていません。

ただ確実に言えるのは、あの件がなければアンダラ2ndシーズンがあんな極限の日々になることはなかったし、あれほどの熱狂を呼ぶこともなかった。そしてアンダラがグループのキラーコンテンツのひとつにまで成長を遂げることもなかったでしょう。

しかも実際には10th『何度目の青空か?』をもって1期生の「思い出選抜」枠は終了となり、この後さらに選抜の硬直化は進みます。ほとんどのメンバーは選抜人数が21人にまで拡大された17th『インフルエンサー』までアンダー漬けでした。

にもかかわらず、その期間のアンダーメンバーから離脱者は件の大和里菜と畠中清羅を除けば永島聖羅ただひとりなんです。

その理由のひとつはもちろんアンダーの地位が向上しアンダラという居場所が確立されたこと。

そしてもうひとつは、グループ内の暖かい雰囲気。
以前の記事で「前に立つ者が後ろにいる者への敬意を持ち、感謝を忘れずにいること。そして後ろにいる者は前に立つ者の重圧と不安を思いやること」と表現した相互にリスペクトする関係性を持つに至ったからではないでしょうか。

居心地のいい場所だったから卒業者があまり出ずにグループが大きくなった。だからこそ底堅い人気を保てたしその雰囲気に憧れて後輩たちが入ってきた。

つまり、現在我々が見ている乃木坂の姿になった。

やはり大きなきっかけとなったのはアンダラ2ndシーズンの熱狂であり、ひいてはあのスキャンダルだったのだと思います。

余談ですが、3期生たちはオーディション合格直後に会議室に集められて全員で『悲しみの忘れ方』を鑑賞したそうです。
もしかしたらそれが現在の彼女たちの持つ体育会テイストや5年経ってもひとりも欠けていないことの遠因になっているのかもしれませんね。

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アリーヴェデルチ!


松村沙友理が好きでした。

可愛さと綺麗さを兼ね備えたビジュアル。
しかも表情豊かで笑顔は人懐っこい。
「からあげ姉妹」「ガチャ子さん」のようにアニメチックにデフォルメされたキャラクターも全く違和感なく演じてみせる。(これもベースのビジュアルがいいからですよね)

最強じゃないですか。

凄く印象に残っているのが、モデル仲間数人との写真でひとりだけ優しい顔立ちをしていたこと。

可愛い人も綺麗な人もいっぱいいるけど、可愛くて綺麗でさらにあんな優しい顔立ちをしているのはやっぱり松村沙友理ただひとりだよなあ。そう思ったのを憶えています。

近年は名場面製造機ぶりも完全復活し、冠番組では大活躍でした。

日村さんに振られる役で憑依型の演技をしてスタジオを凍りつかせたり
設楽さん相手に「若い子を贔屓する…」とすねて見せたり
声カワイイ選手権の留守電告白シチュエーションなのに人生のほろ苦さを感じさせるストーリーをぶち込んできたのとか最高ですよね。

そして卒業後の彼女について。

正直、松村沙友理は天才だと思います。

万能型(歌唱力除く)ですが、白石麻衣や衛藤美彩の「そつのなさ」とはまったく違います。
まっつんはどこを取っても非凡。「優等生的にこなす」という部分が一切ありません。いびつなのに何でもできる、ちょっと他にいないタイプ。

そのマルチさを活かせるのはTVに出てモデルをして時々演技をする、「タレント」という形でしょう。

でもやっぱり、クリエイティブ側にも入ってほしい。

その独特の感性と発想力で後輩たちのプロデュースやライブ演出に関わってほしいです。オーディション時に「謝罪ちゃん」と呼ばれていた矢久保美緒に西野七瀬のソロ曲『ごめんね ずっと…』を歌わせてみたいとか素晴らしい。

アイディアを出す企画屋はまっつんで、それを形にするのは…やっぱり伊藤かりんですよね(毎回名前を出してすみません笑)。


さて、つらつらと書いてきましたがそろそろ終わりにしましょう。

元推しとして最後に言いたいことは

あの時、諦めずに乃木坂に残ってくれてありがとう。
今日まで乃木坂にいてくれてありがとう。

そして
色々あったから、この先はとにかく幸せになってください。

松村沙友理さん、本当にお疲れさまでした。

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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。

「今にして思うこと」は各記事の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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自分の居場所失くしてたその時の彼女


その日からの数日は悪夢のようでした。

ラジオの生放送で号泣しながら謝罪するも火に油を注ぐ結果に。
運営は空虚な「深くお詫びします」というコメントを出しただけでだんまり。
公式には謹慎等の処分もないことも確定し、多くのファンはさらに激怒します。

翌週には第2弾の報道もなされます。
その週末に行なわれた握手会。
まっつんの背後には、屈強なSPと頭を丸めた乃木坂46運営委員長の今野氏が並び異様な雰囲気を漂わせていました。(後にこの時頭を丸めたのは病気の治療のためだったと語られましたが、当時のファンは知る由もありません)

そしてネット上は目を背けたくなるような罵詈雑言で埋め尽くされました。
乃木坂嫌いと秋元康嫌いとアイドル嫌いとドルオタ嫌い、そして「元ファン」が一斉に松村沙友理と乃木坂と乃木坂ファンに凄まじい量の悪意と非難を浴びせたのです。

間違いなく乃木坂史上最大の危機。
当時をご存じない方には信じられないと思いますが、本当にグループの存続自体が危ぶまれる状況でした。

私も「これまで通りに応援はできない」と感じ、乃木坂ファンを辞めるつもりでした。
最後のつもりで観に行ったアンダーライブ2ndシーズン。そこでもうひとりの推しである井上小百合の鬼神の如きパフォーマンスにより魂をぶん殴られて踏みとどまり、現在に至っています。

この間、まっつんは歌番組にも冠番組にも出演し続けます。当初は感情が失われてしまったかのような無表情で。後にはこわばりまくった笑顔で。
そして、その度に毎回ネットは悪意に満ちた書き込みで溢れました。

11月には内定の報道が流れていた紅白に落選というショッキングな出来事もありました。(これは大和里菜の件の方が問題視されたためという説もあります)

そして紅白を逃したため年末に急遽開催された「大感謝祭」で、まっつんはマイクを持って進み出ます。

現場にいたファンによればその瞬間「会場が凍りついた」。

そこで語られたのが

 私は乃木坂で、もう少し頑張りたい

正直、個人的にはもう辞めてほしいと思っていました。
許すとか許さないではなく、これ以上元推しが晒しものにされるのを見ていられなかったのです。

この後も彼女に対する非難は続きます。

次の11thシングル『命は美しい』では3列目に下がったものの選抜に残留し、ファンの間でも大きな論争を呼びます。

「選抜から落とすべき」というファンもいれば、アンダーファンからは「アンダーを懲罰扱いするな」「アンダーライブに参加してほしくない」という声も上がります。いずれにせよ、彼女の選抜入りに対する否定的な意見が大勢を占めていました。

しかしこの選抜発表を行った時の『乃木どこ』で、設楽さんがこんな言葉を掛けます。

 正直 色々ありましたからね
 俺今回入んないと思いました

 もちろん責める人の事も分かるし
 でもやっちゃったのは自分だから
 それは責任もあるとは思うけど

 昔のバカみたいな事を言ってる
 松村が戻ってきてくれないと寂しい

この後から、少なくとも『乃木どこ』内では通常営業に近い雰囲気に戻りはじめます。
(すぐに番組自体が終了という名のリニューアルをするのですが)

とはいえもちろん彼女の人気は急落しました。

かつて屈指の人気だった握手会の完売速度もだいたい12~13番目ぐらい、「選抜ボーダーメン」と呼ばれるメンバーたちよりはちょっと上というあたりにまで低下します。
17th『インフルエンサー』から個別握手会不参加になりますが、そこまでほとんど握手人気は回復しませんでした。(ただ2019年あたりからは特に女子人気がかなり高かったのではないかと思います)

2017年12月に初の写真集を発売。同時期に出た若月佑美や新内眞衣よりは売れたものの堀未央奈よりはだいぶ下。かつての人気を知るものとしては寂しい数字でした。

そんな目に見える人気指標はともかく、彼女の動きは徐々に活発化していきます。

2015年3月にはファッション誌の専属モデルに。
同年6月の舞台『じょしらく』で蕪羅亭魔梨威(ぶらていまりい)を演じ、ラストの台詞「これ以上、落ちてたまるか!」を絶叫。彼女の状況とリンクした演技が良くも悪くも話題になります。

同じく2015年の夏に公開されたドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』では彼女の件から紅白落選までの流れが大きな山場として描かれました。

一時まったくフィーチャーされなくなっていた冠番組でも、いつしか独自のキャラクターを武器にかつてのような活躍が目立ちはじめます。

そして緩やかにグループ内での序列は回復し、2016年の15thシングル『裸足でSummer』で1年半ぶりに2列目(福神)復帰。以降はその座を守り続けます。ただしフロントは白石麻衣の卒業シングル『しあわせの保護色』のみでした。

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やっぱりまつが好き


すごく私事になってしまうのですが、個人的にはずっとまっつんを素直に受け入れられずにいました。
嫌いではない。可愛いとも思う。でも、まっつんが何をやっても「ふーん」という感じ。彼女に心を動かされるのを無意識に拒絶していたような気がします。

それがようやく終わりを告げたのが、2017年7月2日、神宮球場。
(3年近くですから自分で書いていて嫌になるぐらいしつこい男ですね笑)

初の東京ドームが発表されたあの日。期別ライブで乃木坂の底力を知らしめたあの日。
そして、ヒム子と一緒に『インフルエンサー』を踊ったあの日です。

ヒム子の登場に驚き沸き立つメンバーたち。
あるものは笑い転げ、別のものは笑顔で踊り続けます。

そんな中、抜けで映っていたのは
凛とした表情で切れのあるダンスを踊る松村沙友理の姿でした。

鳥肌が立ちました。

一番人気だった頃からさんざん叩かれていたまっつんのダンス。

とにかく「踊れない」。
初期は本当にダンスが苦手でしたし、できなくてもヘラヘラ笑ってごまかしていたという印象があります。(実際は照れ隠しだったのでしょうが)

その彼女が、こんなにも堂々と美しく踊っている。

それを観た瞬間に、自分の中にあったわだかまりのようなものがほどけてなくなりました。

きっと「ああ、まっつんも頑張ったんだな。あんなことがあってどん底まで落ちて、そこから這い上がるために真剣に頑張ったんだな」みたいな感情が湧いたんだと思います。

そこからは「推し」とまではいきませんが「好きなメンバーのひとり」という感じで応援してきました。


その神宮の直後の雑誌インタビューの中に、強く印象に残っている発言があります。

 …きっと3期生が中心となったときも私はまだ残っていると思うけど

1期生たちが卒業して行っても、自分は残ってグループの行く末を見守る。そう言っているのです。そしてこれは現実のものとなりました。

彼女自身に「禊」という意識があったのかはわかりません。

でも個人的には、ずっと心の底に「グループにもメンバーにも本当に迷惑をかけたから、自分の都合は後回しにしてできる限りの恩返しをしたい」という思いを抱えて活動しているように見えました。

さゆりんご軍団も2期生を引き上げる企画でしたし、卒業発表の時にも「自分が見送りたいと思った子(=白石麻衣)の卒業を待ってから卒業しようと考えた」と言っていましたね。

そして自身の卒コンも半分は「さゆりんご軍団ライブ」にしました。
もちろん軍団長としての悲願ではあったでしょう。でも卒コンのなかった佐々木琴子と中田花奈、そしてそのファンへのプレゼントという側面も大いにあるのではないでしょうか。

冠番組でも初期の「特攻隊長」的なキャラクターから、普段は一歩引いた位置にいながら求められればスッと出ていって見せ場を作る、そんなスタンスに変わっていったように思います。

まあ単に楽しんでるだけの時も多々ありましたが笑

大きな挫折で一度輝きを失った彼女は、いつしか周りも自分も輝かせる存在へと成長していました。



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2021年4月15日、自身がMCを務める配信番組内で松村沙友理さんが卒業を発表しました。

ただただ、寂しいです。

名場面が多すぎる


松村沙友理が好きでした。

当ブログの「このサイトについて」には「推しは今も昔も井上小百合」と書いていますが、かつては「Wさゆ(※)単推し」を名乗っていました。
※もちろん、井上小百合と松村沙友理のこと

実は結成間もないころから私の推しはさゆとまっつんのふたりだったんです。

そう、あの日までは。

彼女はその強烈なキャラクターで当初から人気を集めます。

その魅力がいかんなく発揮されたのが『乃木坂って、どこ?』。

初期の『乃木どこ』は一部で「バラエティとして普通に面白い」と評されていました。実際にバナナマンきっかけで番組を観てそこから乃木坂ファンになる人が一定数いたと言われています。(このころはけっこう人力舎芸人が出演していました)

その「面白さ」に多大な貢献をしたのがまっつんでした。

番組序盤は彼女が支えたと言っても過言ではないでしょう。
(あとは高山一実と畠中清羅ですかね。せいたんは「パッチョ」「シケた空気」「メンズエッグ」というワードセンスと道を聞くとき必ずコンビニに入るくだりが面白かった)

失恋で傷心の演技で海に向かって「なんでなんよ~」と叫び
長縄では「妥協じゃないです、方向転換です!」と歴史に残る名言を吐き
HK3=日村嫌い3(白石・高山・松村)として「日村のいいとこ山手線ゲーム」で徹底したホクロいじりをしたり
生誕祭で「実家は金曜日がフライデー=揚げ物の日」と語りバナナマンに「超いいじゃねえか!」と羨ましがられたり(ちなみに土曜日はカレーの日で日曜日はお好み焼きの日だそうです)
「正座しないと寝れない」というフェイク笑もありましたが

初期だけでも枚挙にいとまがないほど多くの名場面を残してきました。

中でも強い印象を残しているのはやはり、料理関連。

最初の乃木どこ料理企画。

お題は「五目チャーハン」だったのですが、彼女が作り上げたのは食べ物とはとても思えない茶色でドロドロでグチャグチャの物体。
それなのに工程ごとに指差し確認しながら満開の笑顔で「ヨシっ!」とガッツポーズをする姿に、TVの前で私も「いやひとつも良くねーだろ!」と突っ込みながら心を鷲掴みにされたものでした。

2度目はHK3+クッキングモンスターこと生ちゃんが日村さんの好きな料理を振舞うという企画。

ここでも麻婆豆腐というお題に対し、巨大な片栗粉のダマが入った謎の物体を作り上げます。
白石麻衣卒業の記事でも書いたのですが、何をしていいかわからず呆然と佇むまっつんとそれを尻目に時短テクを使いながらテキパキと料理を作り上げるまいやんのコントラストが絶妙でした。
この時酒飲みながら録画を観ていて、ふたりが「頑張るぞ」とピースする姿に「何だこの可愛さ」と思わず声が出たのを憶えています。「だ~いじょぶです」も可愛かったな。

2回とも「とりあえずパプリカ切りま~す!」から始まったのも懐かしいですね。

ぺこ-1グランプリ(大食い対決)での生田絵梨花との対決も思い出深い。

オープニングでまっつんの「誰が一番食べるのか、ガチで決めたらええんですよ!」から始まり、満腹になった生ちゃんがいきなり立ち上がって謎のエクササイズを始めたり(少しでも体の中で下に送るため、らしい)畠中清羅が制服のチャックを開けてまで食べ続けたりと、この日も名場面満載でした。

可愛くて面白くて頭の回転が速い。
そのストロングポイントをいかんなく発揮した彼女は、間違いなく乃木坂黎明期の立役者でした。

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夏の翳り


握手対応も抜群でした。
剥がしに抵抗してファンの手を離さないそのサービス精神と必殺の「さゆりんごパンチ」を武器に、個別握手会の売り上げでは一二を争う人気となります。

実際に2nd『おいでシャンプー』から5th『君の名は希望』ぐらいまでは一番人気だったのではないでしょうか。

そして6thシングル『ガールズルール』でそれまでの生生星から綺麗なお姉さん路線へと運営は舵を切り、まっつんにとっても待望の御三家フロントが誕生します。

当時はまさかこれが最初で最後になるとは思いもしませんでした。

実はこのあたりから、彼女は相対的にじりじりと握手人気を落としていきます。

『ガルル』で西野七瀬に抜かれ秋元真夏に並ばれ、その後も桜井玲香、若月佑美、衛藤美彩そして深川麻衣あたりが遜色のない速度で完売するようになります。
これ、今にして思うと「真夏ショック」ですよね。彼女の加入以降に明らかに他のメンバーの握手対応も良くなったという噂を聞いたことがあります。あからさまな「釣り師」の真夏さんが一気に人気を集めたことはきっと他のメンバーたちに大きな影響を与えたのでしょう。

これはまっつんにとって先行者利益が失われたことを意味していました。

続く7th『バレッタ』はフロントを維持しますが、8th『気づいたら片想い』では御三家の中でひとりだけ2列目。
同郷の西野七瀬がセンターにまで上り詰めるのを横目に見ながら彼女は何を思ったでしょうか。実際には生駒里奈・堀未央奈というセンター経験者を2列目に下げるという判断を運営が下せなかった結果だと思われますが。ちなみにこのシングルからかつて「触らないで~」と死守していた触角をなくしています。

9th『夏のFree&Easy』ではフロントに復帰しますが、ここから交換留学生としてSKE48の松井玲奈が参加したことにより、フロント争いはさらに激化します。

そして運命の10th『何度目の青空か?』。
記念すべき10枚目。紅白歌合戦初出場へ向けて乃木坂の代表作となるべく制作されたシングルで、彼女のポジションは2列目の向かって左端でした。


それ以前からどこか危うさのようなものが垣間見える瞬間はあったんです。

早くも最初のプリンシパルでそれは噴出していました。
観客の投票により2幕出演者を決めるシステムの舞台。そのゲネプロ(最終通し稽古)で2幕に残れなかった彼女は衝撃を受けます。なぜならこの日の投票者は観客ではなく関係者だったから。

一番人気のはずの自分が上位16人にも入れなかった。
それも身内の投票で。

映画『悲しみの忘れ方』でもこの時の映像が使われていますが、「みんな私と仕事したくないんや!」と感情を爆発させるまっつん、「そんな悲しいこと言わないでよ!」と泣きじゃくりながら叫ぶ生駒ちゃん、その横で言葉を失いふたりを見つめるななみんの姿は強烈に印象に残っています。

でも、実際に観た者としてはこの投票結果はわからなくもないんです。
投票のカギとなる自己PRがさゆりんごパンチだけ。つまり普段の自己紹介とほぼ同じでしたから。

現在の彼女のプロデュース能力からすると、考えられないぐらいの無策。
一番キツい言葉を使えば、人気に胡坐をかいた驕り。

彼女を推していた当時の自分でさえそう思ったのですから、ファンでない方からすればなおのことでしょう。

結果的にまっつんはこのプリンシパルで最後まで大苦戦することになります。

それ以外にも気になる発言がありました。

「ぶりっこをしてしまう」
どこでのコメントか忘れましたが、彼女が自身の特徴(それか短所)として述べた言葉です。

単にぶりっこ、ではなくそれを「してしまう」。
この表現を見て「嫌われたくない」という自己防衛本能が強い人なのかな、と思ったのを憶えています。

白石麻衣がモデル、橋本奈々未がドラマとグループ外へ活躍の幅を拡げる中で「自分には何もない」と語ったこともあります。
これもちょっと自己肯定感の低さを感じさせますね。

そんな危うさを抱えたまま彼女は徐々に序列を下げていきました。

そして2014年10月7日の夜。

あのスキャンダルがネット上を駆け巡ります。

勝負の10thシングル『何度目の青空か?』の発売前夜。そしてそのヒット祈願で富士山頂に立つ彼女の姿が放送されたわずか2日後のことでした。



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『世界中の隣人よ』
感染拡大防止の呼び掛けを目的として作成された楽曲。新型コロナウイルス対策の活動支援を目的として配信シングルとしてリリースし、その収益を全額寄付する予定。
2020年5月25日公式Youtubeチャンネルで公開。歌唱メンバーは白石麻衣を含む全在籍メンバー、ならびに卒業生11人。

本当に大きなグループになったもんだ


イントロのリフは『羽根の記憶』にだいぶ似てますが、楽曲全体としては『悲しみの忘れ方』ですね。合唱曲っぽい、というか実際に合唱曲をイメージして作られたのでしょう。シンプルなメロディ。アレンジもピアノとストリングスを中心にした実にシンプルなもの。

『忘れ方』も名曲と評価される方が一定数おられるのは承知しているのですが、個人的には正直あまりこういう曲はピンと来ないんです。

でもそういうことじゃないですよね。

こういうチャリティーソングを乃木坂が歌うようになった。
まずそのこと自体にちょっと感慨深いものがあります。

『忘れ方』では深く傷ついた自分と目の前の彼女を励ます歌でした。
それがこの『隣人』では見知らぬ「あなた」への愛情と感謝を歌っています。

『忘れ方』はドキュメンタリー映画の主題歌で『隣人』はチャリティーソングなんだから当たり前かもしれません。

でも、この歌詞をてらいもなく歌える、歌っても恥ずかしくないグループに乃木坂がなった。

今の状況の中で世界に向けてメッセージを発信するグループになった。
本当にビッグネームになったんだな、って思いました。

予想通り、でも胸が締めつけられる


そしてMV。
やっぱり泣きそうになりました。



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以下、順に好きなポイントを挙げていきます。(カッコ内はMVの時間)

公式サイトに「卒業生多数参加」「神宮球場の現在の様子」と明記されてたので心構えはできていました。

それでもやっぱり、白石麻衣で始まったAフレにそのまま西野七瀬が登場した時(0:43)はウッと来ました。予想通りなのに、胸が締めつけられる。

サビ前、星野みなみがふと外を眺めるシーン(1:21)では『羽根の記憶』で彼女が見せた同じ仕草を思い出します。彼女はこういう「ふとした」表情が本当に上手いですよね。

そして若月佑美と衛藤美彩の美形コンビ(1:38)。
さらに斉藤優里と能條愛未というグループに明るさを加えていたふたり(1:46)が続き、ソファの上に胡坐をかいてゆらゆらと揺れる生駒里奈(1:51)で1番が終わります。

ほんの少しふっくらしたように見える生駒ちゃんの、ずっと何かと闘っている感のあった彼女とは違う、穏やかで柔らかな表情。安定感がありすぎて若干影のフィクサー風味もありますが笑

1番は1期生たちでまとめられていました。

みんな大人になったなあ。
でもやっぱ今も乃木坂だな。そんなことを感じました。

間奏で描かれる人気のない東京の風景がまた切ない気分にさせ、2番に入ります。

そこでいきなり登場するのが斎藤ちはると市來玲奈の局アナコンビ(2:14)。ちょっとしたサプライズですね。

その後は2期生以降の後輩たちが登場してきます。

その中でも特に、大園桃子の彼女にしか出せない陽だまりのような表情(2:39)が素晴らしい。

ぶりっ子をする新内眞衣(2:55)を挟み、2番でサビへのブリッジを務めたのは久保史緒里のまっすぐな瞳(3:04)。

ストレッチする遠藤さくら。歯を磨く賀喜遥香。そして丼でメシを喰らう松村沙友理笑(3:15)
ビジュアルの強い3人がそれぞれの魅力全開。個人的にはここの流れが一番好きです。

伊藤かりんと相楽伊織。卒業したふたりの暖かなイメージ(3:22)。
岩本蓮加の自粛期間中も完成度が上がっているんじゃないかと思わせるビジュアル(3:27)。

立ち昇る乃木坂感


そして大間奏。

閑散とした神宮球場が映し出されます(3:53)。
そこから紫のサイリウムで埋め尽くされたライブの映像(4:21)に切り替わり、さらに無人の神宮が再び紫の海となるCG(4:33)へと。

そりゃ色んなこと思い出して、もう二度とこんな日が来ないかもしれないとも思って胸が締めつけられますよ。

 ララララ ラララララ…

いつかまた。その願いが空へと羽ばたきます(5:09)。

そして一番心を揺さぶられたのは5:22からのメンバー連打。

桜井玲香能條愛未北川悠理伊藤理々杏早川聖来衛藤美彩市來玲奈矢久保美緒林瑠奈伊藤かりん掛橋沙耶香金川沙耶黒見明香弓木奈於松尾美佑斉藤優里相楽伊織中村麗乃阪口珠美佐藤璃果若月佑美斎藤ちはる吉田綾乃クリスティー田村真佑佐藤楓柴田柚菜生駒里奈

1期も2期も3期も4期も新4期も卒業生も。

16歳から27歳までいて。入りたての新人から局アナからレジェンド(そして人妻)までいて。ビジュアルもキャラクターも表情もそれぞれで。

さらに言ってしまえば卒業生を除けば主にここまでのシーンで取り上げられていなかった、比較的地味なメンバーたちで。

それでも皆が醸し出す、驚くほどの乃木坂感。

以前24th選抜に関する記事でこんな文章を書きました。

 私の思う乃木坂は眩いほどの純白ではなく、生成り。

 『シンクロニシティ』のMVを思い出してください。メンバーたちが着ていた衣装は確かに純白でした。しかしその撮影場所はスポットライトに照らされたステージではありませんでした。窓から差し込む木漏れ日を背に踊る彼女たち。その姿は柔らかな色味を纏っていました。



そして今回の『隣人』。
屋内での撮影。多くのメンバーは恐らく自宅なのでしょう。カーテンや壁の前で歌っているため、全体の色味は柔らかなアイボリー。生成り。

そして彼女たちから立ち昇る「乃木坂感」。

生駒ちゃんが『シンクロニシティ』のMVを観た時に言ったのと同じ台詞が頭に浮かびます。

 ああ…乃木坂だ

こんな状況でも、ここには確かに乃木坂があって、今も「やっぱ乃木坂だな!」と思わせてくれる。

きっと私はこの僅か14秒の間にそのことを感じて感動したんだと思います。

初代キャプテンで始まり、同じく初代センターで締めているのもいいですね。

そして締めの生駒ちゃん前で柴田柚菜が発する「乃木坂感」の強さたるや。
乃木坂の熱狂的なファンである彼女がこうしてそれを体現しているのはなんだかとても素敵なことだと思います。


離れてもみんな乃木坂。

これまで誰かの卒業を見送る時、残される側のメンバーがたびたび口にしてきた言葉です。

今回のMVはこの言葉が紛れもない真実であることを目に見える形で証明してくれたという意味でも非常に意味深いものとなりました。

乃木坂LLCの本気、見せてもらいました。


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「今にして思うこと」は各記事の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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また、note上で乃木坂46に関する有料記事を公開しています。どちらも無料で読める部分がありますのでぜひご覧ください。

『アンダラ伝説』¥300
伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
 

マガジン「2019年の乃木坂46」¥200
当ブログに掲載された記事を再構成し加筆したもの。総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームでブログをご覧の方にも楽しんでいただけることと思います。



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