ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:桜井玲香

びーむ色調補正3

そして何かが託された


アンコールからは桜井玲香卒業セレモニーでした。

ドレスを着て登場した彼女がひとりでファンに語りかけます。
そして歌われたのは、この場が最初で最後の披露となるソロ曲『時々 思い出してください』でした。最初は笑顔だった桜井。しかしステージ上に登場してきたメンバーの寂しさを感じ取り、自らも涙を流します。

続く曲は『夜明けまで強がらなくてもいい』。
イントロの4期フロント3人と先輩が手を取り合う振り付け。遠藤さくらの手を取った桜井が何か語りかけ、感極まったさくちゃんは力強く頷きながら顔をくしゃくしゃにして泣き出します。そこに被さるファンの「オイ!オイ!」の絶叫。いやあ、あれはグッときました。

「あとは任せたよ」なのか、それとも「あなたなら大丈夫」か。
初代キャプテンから、未来のエースへ。何かが託された瞬間でした。

桜井玲香の『夜明けまで』。大阪ドームと神宮、わずか4回しかステージ上では披露されなかった特別なものです。正直この曲あんまりだったんですがこれを見せられては抗えるはずもなく、好きな曲のひとつになりました。
ちなみに以前の記事で「ヘイはいらん」と書いたのですが、ライブではめちゃめちゃ盛り上がります笑


継承の儀式が済んだところで『ロマいか』から『僕だけの光』。
そしてトロッコで場内一周しステージに戻ってきた桜井が叫びます。「にゃんが来てくれたよ~!」。ただひとりこの日のステージに参加していなかった井上小百合がここでサプライズ登場!

この日は出演するミュージカル『リトル・ウィメン』の開幕2日前。既に劇場入りして劇場稽古を行なっている切羽詰まった状況の中、キャプテンの最後を見届けるために駆け付けます。
94年組。他星ユニット。犬メン。いくつもの共通点を持つふたりの間にはファンに見えている以上の深い結びつきがあるのでしょう。

そして先日卒業を発表した井上小百合にとってもこれが最後の神宮となりました。


思い出で散らかった部屋を出てゆくよ


次期キャプテン秋元真夏から心のこもった手紙が読まれ、最後はやはり『乃木坂の詩』。
涙にくれるメンバーに囲まれながら桜井は笑顔で最後の挨拶をし、退場していきました。

それでも「玲香」コールが鳴り止みません。

それに応えて駆け出してくるメンバーたち。そして歌われたのはなんと『会いたかったかもしれない』!!

ここでこの曲を持ってくるか!

AKB48の公式ライバルとしてスタートした乃木坂の歴史。
オケも歌詞も同じ、メロディラインをちょっといじっただけの、タイトルからしていかにもネタ先行の秋元康の思い付きっぽい曲。「パチモン」と呼ばれAKBファンから嘲笑されたけれど、ライブではやたらと盛り上がるので初期のセットリストでは重宝されていた曲。
しかし乃木坂が独自の個性と評価を確立した現在となっては歌われる機会も減っていました。

個人的には最初のプリンシパルが忘れられません。Bフレでメンバーが両サイドのカメラに駆け寄るシーンを下手側最前列で観た時に「一体俺はどこを見ればいいんだ!可愛いが多すぎて脳が処理できない!」と思ったあの日の衝撃。まあこれは完全に余談ですが。

この曲が選ばれた理由はきっと、
初心に返る。

言葉にするのは簡単だけれど、あまりにも状況が変わってしまった今となってはとても難しいこと。

初めて撮影したMVで、何が正解かもわからないままただ懸命に言われることをやっていたあの頃、メンバーもスタッフもそしてファンさえも、乃木坂がここまで大きくなるとは誰も思っていなかったあの頃へ。

私も、乃木坂46も。
もう一度、初心に返ろうよ。

そんな桜井玲香からのメッセージではないでしょうか。


最後に場内を一周する彼女の前に現れたのは相方、若月佑美(この日も相変わらず驚くほど美形!)。

「よく頑張りました」

この言葉にすべてが込められていた気がします。


セレモニーの中で桜井玲香はこう語っています。

「グループの外で、これからも乃木坂を作り続けていく」

私が外の世界でグループの価値を上げてくる。そう言ってるんです。

見ようによってはもの凄い自信。
でも、彼女だからこそ言える言葉。

全方位にハイスペックなポテンシャルを持つ彼女。これまではグループのことを第一にして、どこかブレーキをかけていた部分があったのかもしれません。

でもこれからは。

自分が全力を振り絞ることがグループのためになる。
そう信じて、堂々と「元乃木坂」を名乗っていく。

なんて頼もしい。惚れそうだ笑

これからの彼女がどんな姿を見せてくれるのか、本当に楽しみです。


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ミュージアムコーナーに秘められた意図


もうひとつのポイント、ミュージアムコーナー。これは2018年全ツのジコチュープロデュースと同様、ライブの定番であるユニット曲コーナーに代わるものです。元々は恐らく各楽曲のオリメンがだいぶ卒業してしまったことに起因しているのでしょう。

トップを切って出てきたのは我らがキャプテン、桜井玲香。
元は3期生がポップに踊っていた『自分じゃない感じ』です。楽曲本来のダンストラックとしての実力を存分に引き出せるよう、中田花奈、和田まあや、阪口珠美、金川紗耶と
各期の誇るゴリゴリのダンスメンを引き連れての登場。
率直に言って人気に忖度しない、必然性のある選択です。

続いて「可愛いの天才」「偉いねぇ」でおなじみ星野みなみが後輩たちを引き連れて現れます。メンバーは岩本蓮加、向井葉月、掛橋沙耶香、矢久保美緒と低身長の妹キャラで統一。(れんたんはこのところの急成長によりこの範疇から外れつつありますが)
曲は『自惚れビーチ』。ただでさえ可愛いこの曲を、カラフルでポップな世界の中で可愛いの天才とその妹たちが歌い踊る。もう、カワイイの権化です。

そしてトリを飾るのは秋元真夏。
…コントでした。着ぐるみ着ての、コントでした。

こういうの大好きそうな山下美月はともかく、筒井あやめを起用したのが驚きでした。
今にして思えば次期キャプテンが最年少メンバー(しかもフロント)と接点を作りに行ったのだと考えられます。さすが真夏さんとしか言いようがないです。


このミュージアムコーナー、各リーダーが「やりたい曲を選んだだけ」らしいのですが、その選曲が非常に興味深く感じました。

3期の期別曲『自分じゃない感じ』。
鈴木絢音の代名詞『自惚れビーチ』。
白石高山橋本深川の『魚たちのLOVE SONG』。(そして他星ユニットの『隙間』)

特定メンバーと結びつきの強い曲が遠慮なく選ばれているのです。(まあ真夏さんは得意のまいやんいじりという気もしますが)


そしてメンバーの選び方も面白い。
ジコチュープロデュースではどちらかというと仲の良いメンバーを集めたセレクトでした。その中で異彩を放ったのが生田絵梨花と若月佑美のふたり。

生ちゃんが『コウモリよ』をベビメタインスパイア系で披露した際に、一緒に踊ったのは「背格好でオーディションした」伊藤理々杏と向井葉月でした。
若はイケメンに扮し『低体温のキス』を披露し、侍らせるセクシー美女役に伊藤純奈と樋口日奈というさすがのセレクト笑

今回もこのふたりと同様「この演出でこの楽曲をやるのにふさわしいメンバー」が選択されていると思います。それにプラスひとつ前の記事で書いた3期と4期のミックスも意図されているかと。


ちょっとだけ「楽曲志向」


これらは何を意味しているのか。

もう多くの楽曲でオリジナルメンバーはいない。
だから期別曲とか誰かの代名詞とか、そういうのに縛られるのはもうやめにしよう。
それよりも今いるメンバーと楽曲、両方の個性を活かしたベストな表現を目指す。

「メンバー志向」から少しだけ「楽曲志向」へ舵を切る。
そんな方向性のシフトではないでしょうか。


7thバスラやレポしためざましライブはオリジナルポジションにこだわり、オリメンの穴を誰が埋めるかというアプローチでした。
これはキツい言葉で言い換えれば「その曲を誰にやらせればそれっぽくなるのか」ということ。

例えば西野七瀬の穴は現エース飛鳥ちゃんや妹分の与田祐希、そして乃木坂感満点の遠藤さくらあたりが埋めるのだろう。なんとなくそんな想像がつきます。

でも空いた場所を誰かが代わりに埋めることを続けていると、徐々につぎはぎ感が強くなっていきいずれジリ貧になります。

そして必ず「こんなんじゃない」と言い出すファンは一定数います。「~の後継者」というレッテルが張られるとまたそれに対してアンチが叩いてきたりもするでしょう。

思い出に寄せに行ってもどうせ文句を言われるのであれば、思い切って新たな解釈を提示する。そうやって大切な曲たちを単なる懐メロにしない。これは結果としてこの日のように色々なメンバーに光を当てる場を生むことにもなります。

もしかしたら2018年のジコチュープロデュースから、運営はこのシフトチェンジを意図していたのかもしれません。そして生ちゃんと若のふたりはそれに本能的に気づいていた。ありえそうで怖いです笑


忘れられない大切な思い出。しかしそれは時にしがらみへと変化して自由を奪います。

古参オタである自分には複雑な思いもありますが、この方向性は絶対に正解だと思います。
舞台『ザンビ』のアフターライブで美月と与田っちょが『ごめんね、スムージー』を歌ってくれた時は素直に嬉しかったですし。

いずれ3期生の代名詞『三番目の風』すら他の誰かが歌う日が来るのかもしれません。
いや個人的にはこれはさすがに受け入れられない気がしますけど笑

この日の4期さん


最後にこの日印象に残った4期メンバーを挙げておきます。

今にして思えば24th選抜発表前に行なわれた=4期抜擢をメンバーは知っていてファンは知らない状況だったのはナゴドだけでした。

遠藤さくらは楽しそうにステージに立っていました。
全員センター企画以外はほとんどの曲でセンターに立ち続けた横浜アリーナの4期ライブとは違い、信頼できる先輩たちに囲まれた彼女は、地元でのびのびとした笑顔を見せていました。

そしてもうひとりの地元、筒井あやめ。
コントで着ぐるみを着せられて怒った彼女が「真夏さん、私の将来を奪ったな!」と叫ぶシーンはハイライトのひとつでした。
横浜アリーナでもあった、モニターで彼女がアップになるとそのビジュアルの完成度に客席がちょっとどよめくという現象がこの日も発生していました。

そしてやっぱり金川紗耶。
ミュージアムコーナーで名だたるダンスメンの中で堂々と踊っていた彼女はかっこよかった。桜井玲香と一緒に踊れたことは、彼女にとって大きな財産となったことでしょう。


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『じょしらく弐』が切ない


個人的に忘れられない場面があります。

2016年5月に行なわれた舞台『じょしらく弐 〜時かけそば〜』。
そのクライマックスで彼女演じる防波亭手寅(ぼうはてい・てとら)がひとり残されて、コールドスリープする仲間たちをずっと見守るというシーンがありました。
それを見た時に「ああ、桜井玲香は最後のひとりになるまで残って、キャプテンとしてみんなの卒業を見届けるつもりなんだ」と勝手に思って勝手に感動したのを思い出します。

あの舞台ではアイドルグループの解散ライブをメンバーたちが演じていたのも印象的でした。
蕪羅亭魔梨威(ぶらてい・まりい)を演じた井上小百合の「悲しいこともつらいこともいっぱいあったけど、皆さんのおかげでここまで来れました」という台詞に、やがて訪れるであろうその日を思って目頭が熱くなったのは内緒です笑

コメディなのに、アイドルという職業の儚さを痛切に感じさせる内容でした。

最近CSで放送されていましたが、今観るとその内容と当時から今に至るまでの乃木坂に起きた出来事とが色々とリンクしてとても切ないです。あとひめたんがやたらと可愛くて、それがまた切ない。


この舞台の後から桜井玲香は体調を崩して療養します。

体調不良により真夏の全国ツアー2016を全欠席。
そしてツアーの最後は乃木坂の聖地・神宮球場でのバスラ3Daysでした。

初日のオープニング映像で「桜井」と書かれたマイクを握る誰かの姿がモニターに流れ、巻き起こる大歓声。

あの時、よくぞ戻ってきてくれた。今改めてそう思います。


それ以降でしょうか。徐々にスポークスマンとしての役割は減っていきます。それまで対外的な発表の場には桜井がいることがほとんどでしたが、外番組で経験を積んで喋れるようになってきた秋元真夏や高山一実がその役割を担うことが増えました。


別れの時が近づいて


東京ドームの前ぐらいからだと思いますが、少しずつグループの未来に対して前向きな発言が目立つようになります。

特に3期生に対する信頼を繰り返し言い表す彼女の言葉は、後輩たちにとって大きな支えになったことでしょう。

今にして思えば、これも自身の卒業への準備だったのかもしれません。


2018年には盟友との別れがありました。

生駒里奈と若月佑美。
キャプテン桜井玲香を両脇で支えてきたふたりでした。

生駒ちゃんとの絆。
初代センターとキャプテン。誰も答えを知らずに手探り状態の活動初期に、重い責任を課せられた者同士の熱い信頼関係。
本来は強いことを言えるタイプではないふたりが協力してメンバーに向かって真摯に語りかけ、グループの空気を引き締めたことは多くの証言があります。

そして「若桜」「れかつき」と呼ばれファンにも親しまれた若とのコンビ。
大好きで楽屋でもプライベートでも仲が良くて、グループ内でのポジションも近くて、『犬』や『松子』で同じ舞台を経験して。とてもとても特別な存在の「相方」。

それまではメンバーの卒業を最後は笑顔で見送ってきた桜井が、このふたりの卒コンだけははっきり違う表情を浮かべていました。

嫌だ

映画館のスクリーンで大写しになったその表情は、観る者の胸を締めつけるものでした。


ずっと前から


どこからどう見ても美人で、抜群の歌唱力と魅力的な声を持っていて。ダンスはしなやかかつ切れがあり、演技までできちゃう。
個人的にはビジュアルもパフォーマンスも、全方位でグループトップクラスだと思います。

でもお高く留まったところが全くなく、むしろ「ポンコツ」なんて呼ばれて親しまれていました。ポンコツといってもちょっと天然で勘違いとか言い間違いが多いというだけなのですが。

完璧すぎるスペックだと嫌味になるので、ちょっと隙を残しているところが逆に完璧ですよね笑


当初の生真面目な印象が和らぎ、いつからか肩の力が抜けた姿をファンにも見せるようになってきた彼女。

『乃木中』で誰よりも大きく口を開けて豪快に笑う姿が好きでした。
普通なら下品になりそうなのに決してそうならない。

11thシングルのペアPVを撮った小泉監督が語った「可愛く撮られなくても気にしないっていうスタンスの方」というコメントが彼女の素晴らしさを端的に表していると思います。


卒業発表のブログはこう締めくくられています。

「グループの更なる成長のためにも、未来の新たな仲間のためにも、何より私自身のためにも。早く一人前になって、この人、乃木坂46の初代キャプテンだったんだよ!とみんなの自慢になれる様に頑張らなきゃな!!」


気づいてなかったんですか?

あなたは、ずっと前から自慢のキャプテンでした。


8年間、本当にお疲れさまでした。


そして、新キャプテンに任命された秋元真夏さん。

偉大な前任者の後を継ぐプレッシャー。1期生の卒業が相次ぎ激動の真っただ中にあるグループ。今キャプテンになることは火中の栗を拾うようなものかもしれません。
聡い真夏さん、ましてや「女子校カルテット」として桜井玲香の苦労を間近で見てきた彼女が感じる不安は相当なものでしょう。

それでも、大切なものを守るためにキャプテンを引き受けてくれた。

その漢気は素敵です。


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2019年7月8日、公式サイト上で乃木坂46キャプテン、桜井玲香さんの卒業が発表されました。

まずはこれまでの歩みを振り返ってみましょう。

いつしか消えたアンチ


彼女は2012年2月のデビュー直前に冠番組内で暫定キャプテンに、そしてその6月に正式にキャプテンとして任命されます。メンバーの投票による選出だったと言われています。

はっきりした顔立ちとハキハキ喋る姿。幼稚園から私立の女子校という経歴。そして漂うお嬢様感。いい意味で「大人受けのいい」彼女。
結成当初「公立共学校」のAKB48対し「私立女子校」のイメージと評された乃木坂のキャプテンとしてはうってつけの人材だったのでしょう。

しかし、これは弱冠18歳の彼女にとってとても重い荷でした。

AKB48高橋みなみの強烈なリーダーシップと比較され「何もやっていない」と容赦ない批判を浴びせられたのです。

そして、年齢、人気、ポジションが自分より上であるメンバーが何人もいる状態。

当時をご存じない方は驚かれるかもしれませんが、初期の彼女は特にアンチが多いメンバーのひとりでした。

当初はなかなか握手人気が上がらなかったこともあり、キャプテンという役職による選抜聖域呼ばわりをされていたのです。

デビューシングル『ぐるぐるカーテン』こそ3列目でしたが、2nd『おいでシャンプー』ではフロント。さらに続く『走れ!Bicycle』もフロントだったのですが、なぜか福神からは外れるという謎の采配。(フロントで福神でなかったのはこの時の桜井玲香と『バレッタ』センター堀未央奈がなぜか福神扱いでなかった2例だけです)

このあたりのモヤモヤがファン心理に与えた影響は決して小さくありませんでした。2作連続フロントという状況で臨んだ最初のプリンシパルでは全公演2幕出演するものの、ほとんどトランプ役(観客投票で9位以下)と非常に苦戦します。

そして彼女がフロントに立ったのはこの『走れ!Bicycle』が最後になりました。

4thから12thまではずっと2列目で福神。
唯一の例外は福神の人数をフロントの5名だけに絞った8th『気づいたら片想い』でした。

この時の選抜発表で、彼女はずっと抱えていた胸の内をこぼします。
「キャプテンだからずっと福神に入れてるんだって言われる、それが悔しい」

6thシングルあたりからは握手人気も向上し、完売かそれに準ずる売上を出すようになります。しかし御三家の厚い壁、西野七瀬の躍進、交換留学生松井玲奈のフロント固定などの状況が絡み合い、彼女を再びフロントへという機運が高まることはありませんでした。

この頃から、彼女は演技の道に活躍の場を見出します。
2014年10月の『Mr.カミナリ』を皮切りに舞台へのに出演を積み重ね、現在ではグループ内でも屈指の舞台メンという評価を不動のものとしています。

13thから18thは2列目と3列目をいったりきたり。
19th以降はまた24thまでずっと2列目で福神。
人気・ポジションとも選抜メンバーの中間あたりの位置を保ち続けます。

この時期は、その立場ゆえか一歩引いた場所からグループ全体を眺めていた印象です。
「メンバーと一緒の撮影だと無意識のうちに引いてしまう」と語っていたこともありました。


ふと気がつけばあんなにいたアンチはほとんど見かけなくなりました。

彼女のポジションと人気のバランスが取れてきたことも、もちろんあるでしょう。
ビジュアルとパフォーマンスのレベルの高さに多くの人が気づいた、それもあります。

しかし何よりも、乃木坂の魅力である雰囲気の良さの一端を間違いなく桜井玲香の穏やかなキャプテンシーが担っていることを、多くのファンが認めるようになったからではないでしょうか。


たとえ時が戻せたとしても


かつてインタビューで彼女はこう語っています。

「キャプテンという重みは、思いのほかズシンとあるんです。考え方から何から、何をしていてもキャプテンということを意識してしまいます」

自分の発言がグループの意見と受け取られる怖ろしさ。そして時には自分の思いとは違うことをキャプテンとして言わなければならない場面もあったことでしょう。

同じ記事で、キャプテンを辞めたいと思ったことは?と問われた時の答え。

「あります。やりたい、やりたくない……の繰り返しで。本当に紙一重。常に葛藤しながらです」

そして最後にこうつけ加えています。

「時々思うんです。もしキャプテンじゃなかったら、どんな乃木坂46人生になってたかなって」

もしキャプテンという枷がなかったら彼女がどれほどの輝きを放ったか。それを見てみたかったという気持ちは確かにあります。

でも、彼女がキャプテンではなかった場合の乃木坂を見たいとは思いません。


キャプテン、桜井玲香。

それが間違いなく正解だったと確信しているから。


続きます。

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卒メン抜きのシングル集


バスラ4daysの余韻も冷めやらぬ3月5日。めざましテレビ25周年記念ライブが開催され、しれっと笑乃木坂も出演していました。

当日の出演メンバーは事前にアナウンスされませんでしたので、舞台を間近に控えた推しの井上小百合が出るかドキドキしながら行ってきました。

まずは当日の出演メンバー(50音順)。

秋元、生田、理々杏、井上、梅澤、大園、久保、飛鳥、桜井、佐藤、白石、新内、星野、堀、与田、渡辺

卒業済みの西野・若月はもちろん、卒業を発表している衛藤も不在。
さらに優里・高山・松村・山下もおらず、アンダーから入ったのは久保と渡辺。

16人構成でのライブは久しぶりじゃないですかね?新鮮に感じました。


続いてセトリはこちら。カッコ内はセンターです。

Overture
M1.裸足でSummer(飛鳥)
M2.逃げ水(大園与田)
M3.制服のマネキン(飛鳥)
M4.何度目の青空か?(生田)
M5.君の名は希望(飛鳥)
M6.シンクロニシティ(白石)
M7.ジコチューで行こう!(飛鳥)
M8.おいでシャンプー(与田)
M9.ガールズルール(白石)

なんというか、凄くはっきりしたセトリですね。

すべてシングルですが、なーちゃんがセンターないしWセンターの曲はゼロ。
『ハルジ』、『サヨナラ』もなし。
つまり、卒メンの曲を外したシングル集。生駒曲はライブ定番の重要な3曲をやっていますが、これは昨夏の全ツからそうでしたね。あと堀ちゃんいたのに『バレッタ』は外れてますね。

現状の「なーちゃん抜き」のライブはこうなるということなんでしょう。
飛鳥ちゃんを中心に、まいやんと生ちゃんがガッチリ両脇を固め、よだももくぼした梅の3期5人が躍動する。
それが今の乃木坂。そう感じました。

このセトリですから当然めちゃくちゃ盛り上がり、結論から言うと非常に楽しいライブでした。なかなかこのサイズの箱で乃木坂を観られる機会もないので純粋にメンバーが近くにいるというだけで嬉しいですね。

乃木坂のファンだという堤礼実アナが袖で楽しそうに踊っている姿がめっちゃ可愛かったです笑

いつもながらぞのっちはライブになるとキラキラしていて、その意味でなーちゃんを彷彿とさせました。また、今回の選抜入りではなかなか前に出るタイミングの少なかったりりあとでんちゃんも上手に馴染んでいたと思います。


ただ、この日はなーちゃん卒コンの直後、またまっつんとかずみんが不在とあって、嫌でも近い将来の乃木坂の姿についていろいろと考えてしまいました。

その目線で見ると、気になったことがあります。
それは楽曲でのポジション。

卒業生の位置に3期生を入れて埋める。それが今の運営の考え方のようです。
オリジナルメンバーは原則元の立ち位置。飛鳥ちゃんだけが例外で『マネキン』でセンターを務めるなど、当時とは全然違う良ポジに入ることが多いようです。
メンバーもファンも思い入れがありますので、それは意味のないことではありません。ダンスの振りも入れ直さなくて済みますし。

ただ、本当にそれでいいのかな、と。


誰かを支えることの価値


かつてスラムダンクの「沢北がいなきゃどこでもエース張れる男」こと山王工業・松本になぞらえて「よそに行けば全員センターを張れる」と評され、乃木坂の層の厚さを目に見える形で示していた「最強の3列目」。
例えば『今、話したい誰かがいる』の時は、生駒ちゃん・まっつん・若桜・さゆまりというまさに最強の布陣です。

生生星を支え、御三家を支え、なーちゃんを支え、飛鳥を支え、3期を支えてきた彼女たち。
この日の出演メンバーで言うと、さゆ・キャプ・まいちゅん。
主に2列目を任されるメンバーの中でも真夏さんやかずみん、それにみなみやまっつんも(ふたりはかつて支えてもらった側でしたが)それに含まれるかもしれません。

長い間、フロントメンバーを支え続けてきた。その彼女たちにもっといい目を見せてあげてもいいんじゃないか。

そう思ったんです。

こんなことを言うのは自分の推しが3列目固定の井上小百合だから、というのは大いにあります笑

でもそれだけじゃありません。

さゆはむしろ3列目固定メンの中では恵まれている方です。アンダーにいた時期に橋本奈々未の代役を務める機会が多く、最近のライブでも『きづ片』『何空』『命』『はだサマ』では基本フロントに立っています。
これがファンにとって、どれほど嬉しいことか。

ですが、なんだかこの日のライブとこれまでの流れから考えると、近い将来「じゃあ4期も上手いこと支えてね~得意でしょ?よろしく~」と言われそうな気がします。

それはあんまりじゃないか?と。

一度脇役になったらずっと脇役のまま、そんなグループには夢も希望もありません。

みさ先輩は最初脇役(3列目)にもなれませんでした。そこから這い上がり、福神常連になり、シングルのフロントまで来ました。だから彼女の道行きはアンダーメンバーの希望です。

ですが、先輩以降で叩き上げ感を与えるメンバーは登場していません。

序盤でついた序列を覆して人気を博したという意味では恐らく梅ちゃんも該当しますが、彼女はあっという間に福神に抜擢され「支える」役割を果たす機会が乏しいままフロントに立ってしまいました。彼女の持つ男前キャラクターを考えると、3列目から階段を上っていく方が似合うし支持を得られたような気がしますね。
まあそれは余談です。

ずっとフロントメンバーを支えてきた先輩たちが良ポジションを勝ち得る。
つまり与えられた場所で懸命に努力すれば、いつか報われる時が来る。

それはきっと現在アンダーにいるメンバーたち、4期生が合流し大きな危機感を持っているであろう彼女たちにとっても大きな励みになるはずです。


書いているうちにライブレポではなくなってしまったので笑、記事を分けて続けます。
【乃木坂46考察】4期生合流の前に思うこと

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