ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:梅澤美波

タオル補正
2024年11月9日、公式YouTubeチャンネル『乃木坂配信中』内で37thシングル『歩道橋』の選抜メンバー発表ならびに初披露が行なわれました。

「ただ単に」いい曲


個人的には、意外。

前作の選抜発表に関する記事で書いたように、年末のリリースはアルバムだと予想していました。

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6期生加入前に現体制のひと区切り。
と同時にシングルを出したらどう考えても売上枚数的には「底」となるでしょうから。

実際、シンプルに個別ミーグリ関連の数字を並べるとなかなか衝撃的です。

今作の個別ミーグリ参加人数は24人。同じく総部数は690部。
前作36th『チートデイ』は26人、745部ですからともにざっくり8%減。

その36thから既に4期生の個別免除が始まっており、37thでは遠藤さくら、賀喜遥香、田村真佑が免除で筒井あやめも5部のみ。
免除メン=フル完売メンですから直接的な売り上げ減少要因になります。

さらに5期生加入後の数字、という意味では初めて1次募集時点から参加していた(ただしフルではなく24部設定)のが30th『好きというのはロックだぜ!』。
その時が38人、1,006部なので、人数でも部数でも2年間で約2/3に減少しているのです。

その30thと比べてオリコン初週売り上げ枚数は約16%減に踏みとどまっているのですからむしろ「底堅い人気」と評価すべきでしょう。

とはいえ見た目上は厳しい数字になることは明らか。
ですから個人的には言い方は悪いですけど「アルバムでお茶を濁せばいいじゃん」と思っていました。
幸いアルバムを出してもおかしくないタイミングなのですから、なおのこと。

しかし運営はシングルリリースを選択しました。
まあトップアイドルグループだから目先の数字に捉われることなくどっしり構えていればいいんですよね。すみません、私が弱気でした笑

結果として37thは実に「エクスキューズのつかない」シングルになりました。

6期生加入もない。卒業ブーストもない(向井葉月は今作のミーグリに参加せず)。
現体制のプレーンな状態で一体どれだけの売り上げを叩き出せるのか。
ちなみに次の想定免除メンバーは金川紗耶で、最短で40thから免除と思われます。

ちょっと意地悪な言い方をすれば、運営にとってデータ取りには最適な条件
もっとシビアなことを言えば6期生が加入した時に先輩がどれだけ影響を受けるのか、現在のファンの行動様式を分析できるのではないかと。

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さて、既に発売され何度もTVで披露された『歩道橋』。
個人的にはこの曲結構好きです。

「バズり」にも「Z世代人気」にも一切色目を使わない、「ただ単に」いい曲。
でも、これこそ乃木坂ですよね。歌詞も含めて良い意味で時代性がない=エバーグリーン
『君の名は希望』をはじめとして、初期は「楽曲の乃木坂」と呼ばれたものです。

MVがまた実に良い。
「雪の世界」側でのメンバーは全員やたらめったら美しいですね。


全部好きなのですが、特に好きなポイントを5つ。

1:53、梅澤美波の柔らかな実にいい表情。
その直後のたゆたうように緩やかに舞う川﨑桜

2:06、井上和の顔面の説得力
かつて『羽根の記憶』そして1年後の『裸足でSummer』で一気に階段を駆け上がった時の齋藤飛鳥が見せた、怖ろしいほどの美しさを思い出させます。

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3:46、鼻を赤くして心底寒そうなのが可愛い賀喜遥香
4:39からさくちゃん以外のフロント4人が清々しい笑顔で走り去っていく描写に芽生える「みんないつかこんな顔でここを旅立っていくのかな」という感傷。

そして4:52の遠藤さくら。サムネにもなっているあの微笑み。


新期生ブーストも卒業ブーストもない。
歌詞もアレンジも「狙った」ところのひとつもない「ただ単に」いい曲。
メンバーの魅力が余すところなく発揮されたMV。

6期生加入前のセールス的には底になるであろうタイミングで、堂々と一切エクスキューズのつかないシングルを出してきた。

3期4期5期の世界の決定版と呼ぶにふさわしい楽曲だと思います。


続きます。

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びーむ色調補正3
前の記事では印象に残ったシーンを挙げました。

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この記事では、ちょっとな異様なぐらい気合の入っていた3期生たちについて。

3期の青春


一番最初のMCから声が上ずり、明らかにテンションがおかしい梅澤美波
梅ちゃんのこんな状態を見るのは珍しい。

加入当初から3期のまとめ役として先輩との、そして大人との間に立つ状況も多かったであろう彼女。いわばずっと中間管理職だったわけです。

そして先輩がいなくなった現在。課長から部長になったような感じでしょうか。
後輩に目を配り、大人との間に立ち、さらにファンやもしかしたら「世間」との間にも立たなければいけない

桜井玲香も秋元真夏も経験してきた「自分の発言がグループの意志と捉えられる」重圧にも直面したことでしょう。

そんな梅ちゃんのMCにメンバーは全力の「イエーイ!」で応えます。

思い出すのは29thアンダラ。座長は『届かなくたって…』の佐藤楓でした。
その時の記事で私はこんなことを書いています。

 なんとかして盛り上げたい、みんなで支え合っていきたい、恥ずかしがってる場合じゃない。そんな気持ちが感じられる

その記事では「全体ライブではMC中にそんなに全力でイエーイはいかないじゃないですか」とも書いたのですが、この日はその時を彷彿とさせる「全力のイエーイ」。

このライブを成功させたい。キャプテンを支えたい。そんなメンバーの気持ちが音圧になって伝わります。

『僕は僕を好きになる』。
明らかに一段階上の気合入った表情をする山下美月。その後ろで岩本蓮加も同じ表情を浮かべます。
そしてDフレを歌う3期5人(山下久保梅澤与田岩本)。
やっぱり白石麻衣卒業後の乃木坂新章開幕を告げる、3期生にとって特別な曲だったのだと思わせます。

「箸休め三姉妹」のMCでの山下美月
「みんなのためにぃ~可愛くお化粧してるの」「のめり込ませてね、私たちのこと」という酔っぱらってんじゃないかスレスレの怪しげなテンションがなんというか、やっぱりさすが美月。

『三番目の風』。センターは与田祐希。伝統の「神宮、騒げ~!!」。

『設定温度』。
3期生がたびたび口にする「特別な曲」。彼女たちが先輩たちと初めて一緒に歌った歌であり、あの2017年神宮の全体ライブ1曲目に選ばれた曲でもあります。
6年もの時が流れて最上級生になって、同じ場所で歌う彼女たちの心境はいかばかりか。涙を流す与田祐希

『逃げ水』はここのところ定番となった「よだれん」=与田祐希岩本蓮加センターでした。
手をつないで歩く花道。もちろん思い出すのは2021年大園桃子卒業ライブ。曲終わりには肩を組むふたり。

『僕が手を叩く方へ』。
これまたあまり見ないぐらい力んでいる久保史緒里
バックステージから花道を走る途中でどんどん合流し、最後に全員揃ってメインステージで肩を寄せ合う。3期の青春。

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ようやく語られた理由


本編最後のMCでも、ずっと感情が抑えきれずに声が上ずったままの梅澤美波

そしてアンコール。『人は夢を二度見る』の前に山下美月が座長っぽいMC。

この日の3期生たちのあまりに高いテンションの理由が「3期の青春が終わりに近づいていること」のような気がしていたので、正直卒業発表しそうで怖かった。
幸いにもそれは杞憂に終わりました。

『乃木坂の詩』も終わり、梅澤美波最後の挨拶。

そこでようやくこの日の3期生たちの気合もしくは気負いの理由が語られます。

それは1期2期の去った世界へのプレッシャーでした。

 私たちでも4日間乗り越えられました
 ツアー16公演、神宮4日間を乗り越えることが、今の私たちにとって、とても大きな試練でした

そして

 今、先輩たちの後をしっかり受け継げたと証明できたと思います
 私たちが乃木坂46です!

正直言っていいですか。

私からすればまだ3期生がこれほど苦しんでいるそのこと自体が意外でした。
先輩を超えるとか超えないとかそういうのはもう乗り越えたんじゃないか。勝手にそう思っていました。

去年の全ツだって1期2期は既に5人しかいなかったし(飛鳥、真夏、樋口、和田、絢音)、飛鳥はともかく他の4人はやや引いた立ち位置にいましたし。

そもそもなんで今年神宮が4DAYSなのか疑問だったんですよね。

バスラのように全曲披露でも期別ライブでもなく、大筋同じセットリストの全体ライブを4日間続ける。

これはどれだけ誉めても「自分たちはよくやっている」ということをどうしても認められない3期生たちのために運営が用意した「先輩もやっていないこと」=新たな歴史、だったんですね。

こんな零細ブログで何を言っても彼女たちに届きはしないでしょうけれど、私も言いたいです。

君たちは、よくやっている

偉そうですね笑
結成当初から乃木坂ファンの私ですが、8年半もの間単推しした井上小百合が卒業しても、そこから3年半も経った今も、ちゃんと乃木坂が好きですよ。


「私たちが乃木坂46です!」が注目されましたけれど、個人的には「過去も今も未来も全部まとめて愛して、みんなで前に進んで行きます」という言葉にグッときました。


梅ちゃんがこの言葉を聞いていたか、頭に残っていたかはわかりませんけれど。

「毎日最高値を更新していく」とか「いつだって今が一番楽しい」というポジティブな考え方もいいと思います。本気でそう思えるのならば。

でも「過去も最高だったけど、今もそして未来も最高でありたい」と願う方が美しい。
そして、乃木坂らしい。

儚いのに決して刹那的ではない

そういうところが実に乃木坂46だと思うし、素敵だなと思うのです。


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びーむ色調補正3

5日間にわたって繰り広げられた11thバスラ。

そのラストは2代目キャプテン・秋元真夏の卒コンでした。

恥ずかしながら、TVの前でだいぶ泣きました笑

めちゃめちゃいいセトリ


セットリストはこちら。

Overture

01. ぐるぐるカーテン
02. おいでシャンプー
03. 走れ!Bicycle
04. 制服のマネキン
05. ガールズルール
06. 太陽ノック

<期別曲コーナー>
07. バンドエイド剥がすような別れ方
08. ジャンピングジョーカーフラッシュ
09. 僕の衝動

<ユニットコーナー>
10. 口約束
11. ごめんねスムージー
12. 魚たちのLOVE SONG
13. 涙がまだ悲しみだった頃
14. Against

15. インフルエンサー
16. シンクロニシティ
17. 好きというのはロックだぜ!
18. 帰り道は遠回りしたくなる
19. 最後のTight Hug

<ユニットコーナー>
20. 言霊砲
21. 忘却と美学
22. 大嫌いなはずだった。

23. ひと夏の長さより…

EN
EN1 僕たちのサヨナラ
EN2 2度目のキスから
EN3 乃木坂の詩

WEN ハウス!
TEN ガールズルール


なんというか、めちゃめちゃいいセトリでしたね。

まず印象に残ったシーンを挙げていきます。(主語目的語が省略されている場合はすべて秋元真夏です)

独断と偏見によるこの日のビジュアル仕上がってんなあメンは賀喜遥香。次いで与田祐希かな。

オープニングは『ぐるぐるカーテン』。
その両サイドは楽曲のイメージからはちょっと外れた鈴木絢音梅澤美波
在籍メンバーの中で「戦友」感のあるふたりという選択ですね。

『おいでシャンプー』。
あの客席と近い横浜アリーナの外周で「おいシャントレイン」。目の前で見れた方がうらやましい笑

『走れ!Bicycle』まで歌い、「自分がいなかった3枚のシングル」であり「あの頃の1期生に感謝している」。

『制服のマネキン』フル!胡坐!

「ず~っと憧れてたやつ」と言ってからの『ガールズルール』「騒げ~!!」。
カメラに愛想振りまく姿が可愛い遠藤さくら
全力でハートをやっている姿が微笑ましい中西アルノ

『太陽ノック』。「卒コンだけど寂しさ忘れて楽しんで下さい」。

MCで「真夏さん今日は絶対転ばないでくださいね」という山下美月の鬼の振り。(でも最後まで転ばなかったはず)

筒井あやめの激煽りから始まった『ジャンピングジョーカーフラッシュ』。キラーチューンすぎる

『僕の衝動』。
「真夏さんはれんたんのことが大好きなんだろうなあ」と思わせる岩本蓮加とのイチャイチャ。そして伊藤理々杏とのキメ顔対決。

『口約束』。これ、曲がいいよな~
佐藤楓が泣いている。ぐちゃぐちゃに泣いている。

「乃木坂の中で一番アイドルらしい曲」、『ごめんねスムージー』。
阪口珠美田村真佑という実にいい感じのメンバー起用。

『魚たちのLOVE SONG』。
着ぐるみ。2019年の全ツで観たやつだ~。
当時と同じ山下美月筒井あやめに加え、カマキリの黒見明香も。全員無表情。
くろみんがMCで「カマキリを詳しく指導してくださった」と丁寧に感謝を述べていたのが面白かった笑

『帰り道は遠回りしたくなる』。
やっぱりこの曲は大間奏でのペアダンスを誰とやるのかに注目してしまうのですが、鈴木絢音でも梅澤美波でもなく岩本蓮加なのがなんだか嬉しい気がしました。

そして本編ラスト直前にユニット曲を3曲続けます。これは極めて異例、というか恐らく初めてのことでしょう。

3期との2曲については後述します。

真夏さんリスペクト軍団の解散式となる『大嫌いなはずだった。』。
男泣きする鈴木絢音。最後まで自分を見送ってくれた彼女への、目一杯の感謝。

そして「一番好きな曲」と紹介した『ひと夏の長さより…』。
アウトロで笑顔から泣き顔になる真夏さん。

アンコール。

OBたちからのコメント。

先代・桜井玲香からはこんな愛に溢れた言葉が。

「私は反対しました」。(矢野顕子ですね笑)
「今の乃木坂が私は大好きです」。

パーフェクトスペックを持ちながらどこかおマヌケで愛されキャラだった桜井玲香。
「完璧じゃないところが逆に完璧」な彼女の暖かさが懐かしく思い出されます。

そして後輩たちからの感謝の言葉。

それにしても菅原咲月は本当に綺麗な顔で泣くなあ。

賀喜遥香の「私たちの力でどうやって進んでいけるのかいっぱい考えた」に対し「十分頑張ってるから背負いすぎないでね」。

梅澤美波「真夏さんの笑顔を一番そばで守ろうと決めた」。

ダブルアンコール『ハウス!』、そしてトリプルアンコール『ガールズルール』。

最後の最後までアイドルを全うして、真夏さんは去っていきました。

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10thバスラの記事で私は真夏さんについて「キャプテンになってから彼女は力のある言葉を語れるようになったと思います」と書きました。

この日も彼女は多くの素敵な言葉を残しました。

『言霊砲』の後に久保史緒里山下美月与田祐希に対し「乃木坂を支える3人」。

梅澤美波との『忘却と美学』の曲中で「メンバーのいいところを見つけられる素敵なキャプテンになってください」。
そして曲終わりにも何か言葉を交わし、「うん、大丈夫」と動いた口

そして歌い終わった後には「辛い時も楽しい時もメンバーを守ることを考えて」。
「辛いポジションに見えるけどメンバーとのコミュニケーションの機会が増える素敵な立場だから」。

これから1期生の役割を果たさなければならない=時には自分のことも後回しにしてでも後輩を盛り立てていかなければならない「よだくぼした梅」

そんな4人への特別なメッセージだと感じました。

さらに本編ラスト前のMCで真夏さんはこう言いました。

「本当に尊敬できる後輩たち」。
「乃木坂はちゃんと世代交代できてるんじゃないかな」。

頭3曲の後のMCからもわかる通り、立ち上げの苦しさを味わわなかった自分にどこか引け目を感じていた真夏さん。

だからこそ「出来上がった」乃木坂に入ってきた3期生以降のメンバーに対しシンパシーを覚えた。そして「乃木坂」という大きい看板ゆえに最初から多くを求められ、それに懸命に応える後輩たちに心からのリスペクトを抱いた。

あとはもうウイニングランだけかと思っていた自分のアイドル人生。

でも、そんな後輩の姿を見て「自分ももう一度、全力で走るのもいいもんだなあ」と思った

なんて素敵なんだろう。

あなたたちのおかげで、私も初心を取り戻せた。
必死に「乃木坂であろう」とする後輩たちへの全肯定

そして最後の最後に真夏さんが伝えたのはこの言葉でした。

「キャプテンには踏ん張らなければいけない時があるから」、
「梅のことを全力で支えてあげてください」。

梅を頼む

キャプテンという立場。

秋元真夏が(そして桜井玲香が)その笑顔の裏に隠してきた苦悩。

ここまではっきりと語ったのは、梅ちゃんのためですよね。

本当の意味でわかってあげることはできないかもしれない。
でも。どうか。思いやってほしい。

キャプテンのためにも、「一緒に泣いてくれる人がいる」乃木坂であってほしい。

これを最後に言える秋元真夏は、本当に素敵なキャプテンでした。



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前の記事ではこの日の印象に残ったシーンを列挙しました。

関連記事:


当記事では彼女たちの「ことば」に注目したいと思います。

「いい答えだね!」


この日、というかむしろ「この日もまた」3期生は数多くの印象的な言葉を残しました。

最初のMCから梅澤美波が飛ばします。
「7年目ってこんなに変わるんだ、成長できるんだと自分たちの強さだったりしっかり経験積んできた部分を見せたい」。
まさしくいい意味で圧があるコメント笑(そして短期間でこれを看破し表現した小川彩の非凡さよ!

そして「初めて私たちが先輩と一緒に歌った曲」、『設定温度』後のMC。

久保史緒里「乃木坂には一緒に泣いてくれる人がいた」。
梅澤美波「誰よりも乃木坂を愛してきた自信があります」

そこからの『世界で一番 孤独なLover』という流れもなかなかグッとくるものがありました。
やっぱり『セカラバ』って、2015年ぐらいまでの=それこそSTILL YOUNGだった頃の乃木坂を知らなければ出てこない選曲だと思うんですよ。

さらに今、最も歌うべき曲『未来の答え』

先輩が全員卒業して初めてのシングルとなる32nd『人は夢を二度見る』。
センターを任されたのはくぼした=久保史緒里と山下美月。

『三番目の風』『思い出ファースト』では大園桃子の両脇を固め、3番目の3期生期別曲『未来の答え』、そして『不眠症』でWセンターを務めたふたり。

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あの日夢見た未来が、その答えが出た今作。

だからこそ。
その曲中でくぼしたはこんなやり取りをします。

山下美月「未来の答えは出た?」
久保史緒里「7年経って、みんなで笑ってステージに立ってる!」
山下美月「いい答えだね!」

このふたりの言葉を読み解くには「お見立て会リバイバル」後のV中コメントを振り返る必要があります。

岩本蓮加は「認めてもらうのに必死でもがいていた」。
久保史緒里の「どうやったら受け入れてもらえるんだろう」。
そして再びれんたんの「単独ライブでつけた力ってスタート地点にも立てていないと思った」。(このあまりに的確な現状分析を弱冠13歳で行なえていたことにも驚愕!)

乃木坂に憧れて。
先輩たちとの間には絶望的な差があって。
「3期は乃木坂らしくない」と言われているのも知っていて。

それでも「乃木坂が好き」だから「ここにいたい」と、悩んで迷って足掻いた日々

2年前の3期ライブは、そんな彼女たちが遂に「乃木坂46になれた」と感じた記念すべき日だったのです。

あれから2年経ち、さらに状況は変わりました。
「真ん中に立つべき」大園桃子は卒業し、先輩たちも全員グループを去った。

そして今、3期生たちは先頭に立っています。
かつては乃木坂を名乗ることすらためらいがあった彼女たちが。

正直に言えば背負うものの大きさに時々不安で震えることもあるけれど、それでも今こうして「みんなで笑ってステージに」立てている。

そのこと自体が「私たちは間違ってなかった」証

アンコールラスト前のMCで山下美月が口にした「ここまで頑張ってきてよかった」という感慨は、つまりはそういうことなのだと思います。

これもまた大河。

くぼしたふたりだけでなく、3期全員の大河です。

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勲章を手にした先輩たちと


時に体育会系と評される3期生。

その熱い想いが伝わるライブでした。

2年前の方が良かったなんて言わせない
4期5期に花を持たせる気もさらさらない

もちろん彼女たちは別に「2年前を超えなければならない」とか「後輩よりいいライブをしなければならない」なんて思っていないでしょうけれど。
「2年前の方が良かった」「後輩の方が良かった」なんて言わせないよ、という自負もあるでしょう。

プライドも負けん気もあるけれど、何より感じるのは余裕

思い出すのは1期生の姿です。

2017年神宮(1公演で各期の期別+全体ライブという構成だった)の円陣で「3期と2期なんか関係ないぐらい超いいライブにしようぜ!」と叫んだ1期生たちの「いい意味での大人げなさ」。

…と言ってみたものの、私の当日のメモには「2018年の夏頃みたいだ」と書かれていました笑

4期生が2015年なら、3期生は2018年夏ぐらいの雰囲気があるんですよ。
あの6thバスラ「シンクロニシティライブ」の頃。

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ジコチュープロデュース企画でいろいろ遊んでいたあの頃の先輩たちと、楽曲を再解釈して自分たちの色を載せているこの日の3期生たちにどこか相通ずるものを感じました。

上で書いた2017年神宮の後、乃木坂は初の東京ドームそしてレコード大賞受賞と一気に坂道を駆け上がります。(思えば3期生はその姿を、デビュー1年にも満たないよちよち歩きの状態で羨望の眼差しで眺めていたわけです)

そして明け2018年の乃木坂。頂点に上り詰めた後の乃木坂。

あの頃の先輩たちのように分かりやすい勲章を手にしたわけではない。
同じほどの「スター軍団感」も正直、ないと思う。(これはそもそも人数が違うのでしょうがない)

それでもこの日の3期生が見せた、観客を巻き込む力。
あんなに気合が入っているのに、決して力んではいないこと。
その根底にある揺るぎないもの自信

それはやはり、既に多くの勲章を手にしていた2018年頃の先輩たちを思わせるのです。

この日、メンバーから一番多く出た言葉は「楽しい」。
岩本蓮加と山下美月がずっとニコニコしていたのが印象的でした。

きっと3期生は、ようやく自分たちを認めることができたのでしょう。

 乃木坂の看板を、背負ってもいいんだよ

そう自分たちに向かって言えるほどに。


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前の記事では全体の印象を書きましたが、こちらではこれがラストライブとなった大園桃子について。

思い出すのは生田絵梨花壮行会


この日のライブ本編はあくまでも全ツのいち公演であり、アンコールからが桃子の卒業セレモニーという体裁。

しかし、もう最初からメンバーたちの彼女に対する愛が溢れて止まりません。
さながら「桃子スペシャル」の様相です。

思い出すのはプリンシパルtrois千秋楽のこと。

生田絵梨花が受験による活動休止前ラストとなったあの日。
一幕も二幕もそこかしこで彼女に対するエールが送られ、ステージ上の誰もが「頑張れ、生ちゃん!」というメッセージを送っていたあの日。

なんかこれもう「生田絵梨花壮行会」だな。もはやプリンシパルが壮行会の出し物みたいだ。

しみじみ乃木坂の暖かさを感じたあの日と、同じ感覚。

6年も経ってメンバーもほとんど入れ替わって、それでもなお同じ感覚を味わえる。
確かに受け継がれているものがあると感じられる喜び。古参の特権です笑


開演前のご当地メンバーコーナー。みんな大好きな「楽しい茶番」ってやつですね。
私も「これ必要なのか?平和か?」と思いながら微笑ましく観ていました。

そこで披露された「茶碗蒸しの歌」の時点で既にその魅力を炸裂させる大園桃子。

それを皮切りに繰り広げられたのは、誰もがみな彼女のことを想うそれはもう暖かい時間。

最初のMCから桃子との思い出を語るメンバーたち。
久保史緒里の横で涙をこらえる岩本蓮加。

いくつもの「桃ポーズ」。

そしてクライマックスはもちろん、『逃げ水』。

イントロでは泣くのをぐっとこらえる与田祐希。
サビ前の『月光』部分で手をつなぎ歩き出すふたり。
ふたりにしかわからない何かが彼女たちの間を流れ、そして最後に抱き合います。

よだもも。特別なふたり。最強のふたり。

続く『ガールズルール』、桃子の後ろで「3期」ポーズを取る岩本蓮花。

アンコール。
桃子からの挨拶に続き流れて来たのはあのアンセム。

特別で特別な曲『三番目の風』。

泣き崩れる岩本蓮加。クールなビジュアルで普段は感情があまり表に出ない(昔も今もゲラですが笑)彼女の桃子への愛、3期への愛。

この曲終わりに桃子が浮かべた「終わった…」という表情も素晴らしく印象的でした。

そして『やさしさとは』。

2018年全ツ、ふたりの思い出。語られる齋藤飛鳥の悔恨。

 なんで私の力で乃木坂っていいなって思わせられなかったんだろう。ずっと心残りでした

吉田綾乃クリスティーの「11人でもがんばる」コメントにはちょっと安心しました。

最後の最後、Wアンコールの『逃げ水』。
よだもものうしろで号泣する梅澤美波と久保史緒里。

この日だけでこんなにも忘れられないシーンを残し、彼女はステージを降りました。

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大切にしたいもの 一番目は何だろう?


この日のライブ。
最終活動日である9月4日には『乃木坂配信中』で「大園桃子から最後のご挨拶」を生配信。
そしてその中で公開された『思い出ファースト』のMV。
翌5日深夜の『乃木坂工事中』での「3期生 12人で最後の晩餐」。







大園桃子はこれ以上ないぐらい手厚く送り出されました。

あえて意地の悪い言い方をすれば、表面的には抜擢センターで華々しくデビューしたのに3列目まで落ちたメンバーですよ。

それでもほとんど批判的な声は聞こえませんでした。むしろ絶賛の嵐。

これだけ考えてもいかに大園桃子という存在が特殊だったかがわかります。

記録より記憶に残るタイプ、などという定型句では表現できません。
ファンはもちろん、彼女のアンチだった人たちも否応なく思い知らされたはずです。

そしてもうひとつ。
この手厚い送り出し方、その全てが5年間懸命に走り続けて今や乃木坂の太い幹にまで成長した3期生12人に対する運営からのプレゼント。

それが感じられたからこそ、桃子推しでも3期推しでもないファンが観ても感動的なものになったのではないでしょうか。

そして当の大園桃子はといえば。
卒業発表以降ずっと、観ているこちらが切なくなるほどのビジュアルの仕上がりでした。

みんなそうだ。

毎回思うのですが、卒業を発表すると乃木坂メンバーはみな透明になります。
透明感が増し過ぎて、現実味がなくなっていく。

桃子の場合は透明感などという言葉では表現しきれない、常軌を逸した「それ」でした。

話を戻します。

『配信中』、『思い出ファースト』MV、そして『工事中』。
そこでも新たな記憶に残るシーンが生まれました。

「卒業でわがままを聞いてもらえると思って」桃子が希望したからMVが作成されたという事実。

「クリスティーは泣くのが早いのいつも」というコメント。

MVのラスト。花火のあと、海辺でメンバーたちが歌い出します。

大切にしたいもの 一番目は何だろう?
そう歌いながら輪になって飛び跳ねる3期生たち。

ラララララ…
の部分で「ちゃんと歌うんだね」と笑う桃子。

『三番目の風』について
「桃子がいなくなったら誰が立ち上がるんだろうね?」
「みんなで立ち上がろう!」

そして彼女はこう語るのです。

 今が一番楽しい
 今なら明るく卒業できる


私は桃子が卒業を発表した際の記事で「物語が突然終わってしまった」と書きました。

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でもこの日のライブと『配信中』そして『思い出ファースト』のMVに『工事中』まで見届けて考えが変わりました。

よだももとくぼしたの物語は美しいフィナーレを迎えた。

今ではそう思っています。

天下を取ったわけでも王子様と結ばれたわけでもないけれど。

ずっと「乃木坂を知らない罪悪感」を感じていた彼女が、最後に「乃木坂になることができました」と胸を張り「私は乃木坂46が大好きです」と笑う。

こんなハッピーエンドありますか。


乃木坂46という美しい物語における、ひとつの章が幕を閉じました。


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