ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:田村真佑

びーむ色調補正3
前の記事では印象に残ったシーンを挙げました。

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こちらではフロントの3人について書きます。

まゆたんの真骨頂


本編最後の「Hot! Cool! Sexy!ブロック」。

フロント3人がそれぞれ3曲ずつセンターを務め、周りを固めるメンバーを入れ替えながら披露していくという新しい試みでした。

Sexyは田村真佑。ここまでやや大人しかった印象でしたがここで一気に本領を発揮します。

彼女の真骨頂である「下品にならないセクシーさ」
そこに『バレッタ』の妖しさ、『深読み』のいい意味での不安定さ、そして『悪い成分』の危うい強がりと、曲ごとのテイストを加えてみせたのです。

こう言ったらなんですが3曲ともやや地味めな楽曲なのに、客席を惹きつけるパフォーマンスをしていたのはさすが

神宮からちょうど1ヶ月。
初めてのアンダラですから新たに覚える曲が最も多かったであろう田村真佑。不安も緊張もあったと思います。

そしてシングルにして13枚、実に4年半の間入り続けた選抜から外れたわけですから、もちろん思うところはあったでしょう。選抜発表時のブログでも「いっぱい泣きました」と悔しさを吐露していました。

それでもこの日の彼女は悲壮感を一切感じさせない「いつものまゆたん」
「私は常に明るくハッピーな気持ちを皆さんに届けたい」という自身の矜持を貫いた彼女は立派でした。

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林瑠奈はわかってる


Coolの林瑠奈
いきなり『Wilderness world』そしてダンストラックでつないでからの『命は美しい』。
あの誰よりも踊れなかった子が…(失礼)とこちらがウルウルしているところへ

 永遠に―
 こうしてるのか―

こちらの感傷を振り払うような力強い歌声で『ここにいる理由』!
初期アンダラ!お前はわかってるってわかってたぞ林!
ちゃんと大間奏でメンバーの名前を叫ばせてくれるのもわかってるな!

みたいな感じで個人的にこの日一番盛り上がった瞬間はここでした。

Hotは金川紗耶
Hotな曲ってなんだろう?と思っていたら『太陽ノック』『狼に口笛を』『ジャンピングジョーカーフラッシュ』。
盛り上がる曲ってことなのかな。にしても『ジャンフラ』は卑怯笑

ライブでの彼女の見せ場といえば真っ先に思い浮かぶのが「格好いいダンス」。
しかしこの3曲では「アイドルっぽいキラキラ笑顔」を見せてくれました。

少し話がずれますが、このやんちゃんのアイドル笑顔や林のダンス曲連打をはじめとして多くのメンバーに「得意分野以外」での見せ場があったように思います。

これまでなら『Wilderness』や『命は美しい』はやんちゃんセンターだったでしょう。

そして全体的にセンターに8小節任せるソロ歌唱が多かった。
歌に苦手意識のあるメンバーにはかなりのプレッシャーだったでしょう。

でも「得意なことだけやってるわけじゃない」ゆえの緊張感や「チャレンジし続ける」というアンダラの心意気が伝わってきたので個人的には非常に良かった。

さらに余談になりますが、この日のセトリには『日常』がなかったんですよ。
やればブチ上がるのはわかっている。それでも敢えてセトリに入れない。
その意味はきっと「反骨のその先を目指す」ということなのでしょう。(このあたりは40th選抜発表の記事で改めて書きます)

話を金川紗耶に戻します。

アンコールのラスト。
彼女の「次の曲は私たちの想いを曲に乗せて歌います」から流れ出したのは『錆びたコンパス』。

3日間でこの日だけ歌われた、本当に特別な曲でした。

 行ったことのない地平線の先よ
 努力した涯に何を思う?

堂々のアンセム。黄色に染まる客席。ラスサビで目に涙を浮かべるやんちゃん。

最後に彼女が語った言葉はこれでした。

 乃木坂ってやっぱ素敵な場所ですね
 これからも私たちが守り続けます


この日の時点で恐らく40thシングル選抜発表は行われていたでしょう。
すなわち矢久保美緒と松尾美佑の卒業もメンバーは知っていたと思われます。

アンダラを支えてきたふたりが去る。
(39thの田村真佑のように)選抜固定と思われていた五百城茉央が次の座長になる。

そこで私は、私たちは何ができるだろう

そのひとつの答えが「守り続ける」なのだと思います。

センターを経験した金川紗耶をはじめとした39thアンダラメンバーがいおちゃんをどう支え、まつおさんとみっちゃんをどう送り出すのか。

40thアンダラが楽しみです。


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タオル補正
前の記事ではフロント3人について書きました。

関連記事:


当記事はある意味最大の話題となった田村真佑の選抜落ちについて。

制度疲労


まゆたんの選抜落ちが驚きをもって迎えられたのは彼女が「免除メン」だったからです。

「免除制度」。

それは握手(またはミーグリ)の通算完売部数が一定数を超えたメンバーがその次作から個別握手不参加になること。公式に言明されたことはありませんがほぼ例外なく適用されてきたので、暗黙の了解ですね。

制度がスタートしたのは3期生加入直後。

「先輩から後輩へのファン流し」
「これまで多くの部数を売り上げたメンバーへの福利厚生(ご褒美休暇)」

このふたつが導入の主な目的であろうと推察されます。

17thシングルでは白石麻衣と松村沙友理。
18thでは西野七瀬、19thが秋元真夏と桜井玲香。
20thから衛藤美彩と若月佑美がその対象となりました。

これまで免除とはすなわち選抜固定を意味しました。
(例外は免除シングルで卒業だった寺田蘭世と免除後に活動自粛した岩本蓮加のみ)

この「聖域化」については以前から疑問の声がありました。

曰く「免除メンの人気が落ちたらどうするんだ」

そりゃそうですよね。最も目に見える人気指標である握手人気の現在状況が見えなくなるわけですから。追い上げている後輩メンバーのファンからすれば「フェアじゃない」と感じるのも無理はありません。

とはいえ1期生の免除メンは先行きが不透明だった黎明期から売り上げを立ててきたわけで、その貢献がなければグループ自体が存続していたかもわからないという意味で「殿堂入り」にも一定のコンセンサスがあったように思います。

そして今作。

まゆたんは事実上初めて「選抜固定から外れた免除メン」となりました。

一度もアンダーを経験しないままミーグリ免除に到達していた彼女。
免除前最後の36thでは3次でフル完売。これは一ノ瀬美空と井上和に次ぐ3位タイの速度です。
写真集は推定売上約8万3千部と、これもかなり優秀な数字。

これまでの常識で考えたら外れる理由がないのです。

とすると考えられることは。

そもそも運営はかねてより免除自体が制度疲労を起こしているという認識があり、今作でその運用変更(選抜固定をやめる)に着手した。

現在の免除メンで誰を選抜から外すか考えた時に、消去法でまゆたんになった。
一度アンダーを経験している筒井あやめよりもメンバーにもファンにもインパクトがある、という計算もあったかもしれません。

つまり、彼女は被害者

個人的にはそう思っています。

制度疲労の要因はやはり、コロナ禍によって生じた握手会からオンラインミーグリへの変更。

オンライン化による問題点は下の記事にまとめていますのでよろしければご一読ください。

関連記事:
 

そこでも書いているようにミーグリ人気は極端に二分化します。

「至近距離で見れた喜び」がなくなり対応の反射神経勝負という要素が強まったこと、そしてついで買い需要が減ったことがその原因でしょう。

これにより失われるのは選抜の流動性

また加入直後からフル完売を続けるような超人気メンが何人も同時期に免除に突入する=売り上げが大きくダウンするリスクがあります。

実際に5期生は36thから4シングル連続で全員全完売を継続中。
このままフル完売を続ければ多くのメンバーが来年の夏シングルないしその次までで免除です。

これまでのように免除=選抜固定を続けている限り、選抜の硬直化は進みアンダーとの距離感は開く一方。
しかも近い将来5期生の個別売り上げがゴソっとなくなるタイミングがあるのです。

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悪平等


そうなった時に今度は、コロナにより生じたもうひとつのシステムであるリアルミーグリのデメリットが顕在化します。

それは「人気が見えにくい」こと。

32ndシングルから以前の全国握手会に替わるものとして始まったリアルミーグリ。
要するに握手をしない握手会です。

かつての全握は好きなメンバーの列に並ぶだけというシンプルな仕組みだったので、CD1枚買って会場に行けば誰でも(気力と体力と根性があれば)白石麻衣や西野七瀬と握手できました。
当然ながら、まいやんなーちゃんのような超人気メンの待ち行列はとんでもない長さになり、それを現地で見たファンは改めてその人気を実感したものです。

しかし現在のリアルミーグリは申込時にメンバーを指定しての事前抽選制。
つまり一部当たりの上限が決まっています(枚数も結構絞っている印象)。
さらに1次保障期間までにほとんどのメンバーが完売するので、超人気メンバーとそうでないメンバーでさほど行列の長さが変わらない。

これには超人気メンバーの負荷を軽減し、ミーグリ人気が相対的に下位のメンバーの心を折らないという非常に大きなメリットがあります。

ですがこのやり方って、強い言葉を使えば「悪平等」なんですよ。

全握の時代と比べ、免除メンの人気が見えづらい。
結果として免除メンのポジションを上げるにせよ下げるにせよ、ファンの側に納得感がない。

例えばかつて与田祐希は何人もの先輩を飛び越えて一気にフロント固定となりました。
それでも与田っちょは全握でそれこそ白石西野に劣らぬほどの行列を生んでいたので、彼女の飛び級に対する不満の声は先輩免除メンのファンからもほとんど上がりませんでした。

しかし現在の「平準化された」リアルミーグリの行列では、超人気メンもそうでないメンバーも「それなり」の行列に収斂してしまいます。

こうなると既に免除されているメンバーは仮に人気が上がってもそれがファンに見える機会はほとんどなくなります。

そして免除された「後に」人気が上がって福神固定になったという例も過去にないはずです。

以前の記事ではこのあたりの問題点を岩本蓮加と筒井あやめを例に書きました。

関連記事:
 

免除後にポジションをどう上げればいいのか
今回選抜落ちしたまゆたんにはその課題が降りかかったのです。そして近い将来に軒並み免除となる5期生たちにも同じことが起きます。

結局、現在の「免除+事前抽選リアルミーグリ」という仕組みには限界が来ているのだと思います。

じゃあ、どうすればいいのか。

その点は次の記事で書きます。


続きます。

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各章末尾の「追記」に加え、書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。


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