そして別れの日がやってきました。
齋藤飛鳥、卒業コンサート。
幸いにもDAY2のチケットが当選したので東京ドームに行ってきました。
ちなみにこの記事を公開する時点で既に円盤が発売されていますが、すべて現地で観た感想です。
いつも通り
セットリストはこちら。
Overture
01. ジコチューで行こう!
02. インフルエンサー
03. シンクロニシティ
04. ハウス!
05. ダンケシェーン
<期別曲コーナー>
06. 絶望の一秒前
07. I see…
08. トキトキメキメキ
09. 扇風機
10. Against
<ユニットコーナー>
11. ファンタスティック3色パン
12. なぞの落書き(飛鳥、岩本、筒井)
13. 他の星から(飛鳥、遠藤)
14. 制服を脱いでサヨナラを…(飛鳥、理々杏、中村、賀喜、金川、柴田)
15. あらかじめ語られるロマンス(飛鳥、久保、阪口、清宮、田村)
16. ロマンティックいか焼き
17. ガールズルール
18. Route 246
19. ありがちな恋愛
20. 地球が丸いなら
21. 人は夢を二度見る
22. 帰り道は遠回りしたくなる
23. サヨナラの意味
24. 裸足でSummer
25. Sing Out!
26. ここにはないもの
EN
EN1. 硬い殻のように抱きしめたい
EN2. 僕だけの光
EN3. ロマンスのスタート
EN4. おいでシャンプー
EN5. ジコチューで行こう!
印象に残ったシーンを少しだけ挙げます。
この日のビジュアル仕上がってんなあメンは与田祐希。
岩本蓮加、筒井あやめという「最年少の系譜」ふたりも可愛かった。
今野さんと菊池さんによる影ナレ。
たびたび見かける、我々ファンに負けず劣らず運営サイドも乃木坂が大好きで強い思い入れがあると感じられる瞬間。
『他の星から』。2019年夏の記憶。
歌い終えしっかりと抱き合った飛鳥と遠藤さくら。
『人は夢を二度見る』に加わり、つい観ているこちらも「これが完成形じゃん」と思わされてしまう飛鳥の存在感。(そしてきっと、久保史緒里と山下美月ならちゃんとそれを悔しがってくれるでしょう)
アンコールラスト、ゴンドラで上空に消える飛鳥。
これも彼女の思惑通りまんまと「橋本奈々未じゃん」と思わされました。
さて、こんな乃木坂の歴史において重要なライブの現場に行っておきながら半年もレポを書かなかったのには理由があります。
それは「泣かなかったから」。
2017年の初ドームは花道を歩きながら肩を組む中3トリオ(生田絵梨花、斎藤ちはる、中元日芽香)に恥ずかしながら号泣した私。
この日も、正直ぐちゃぐちゃに泣くんじゃないかと思っていました。
結成当初からの乃木坂ファンですから、当然1期生には並々ならぬ思い入れがあります。
ましてや「乃木坂のすべてを知る者」にして「奇跡の中の奇跡」、齋藤飛鳥。
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その卒コンですから泣かないはずはなかろう…そう思っていたのですが。
いくつか胸を締めつけられるシーンはあったものの、涙は流れませんでした。
その理由を考えて言葉にするのに時間がかかってしまったというのが正直なところです。
そして辿り着いた結論。
いつも通りだったから。
これだと思うんですよね。
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飛鳥真夏体制
その理由を説明するには、ここ数年の乃木坂の活動を振り返る必要があります。
今から3年半前、2019年2月のバスラで西野七瀬が卒業。その夏の神宮における初代キャプテン桜井玲香の卒業を経て白石麻衣卒業シングル『しあわせの保護色』を初披露した2020年2月のナゴヤドーム8thバスラ。
このあたりの乃木坂は「移行期間」でした。
しかしその直後からコロナ禍が始まり、すべてのシナリオが大きく、大きくズレていきます。(もちろんそれは社会全体も同じなのですが)
新時代の旗手たる山下美月をセンターにするタイミングも恐らく半年遅れた。
そして未来を担うべきひとりであったはずの大園桃子も「在宅期間中に色々考えて」卒業を決意します。
『保護色』選抜発表に関する記事の中で私はこんなことを書いていました。
『君の名は希望』までの生生星時代
『ガールズルール』からの白石西野時代
『裸足でSummer』からの白石西野飛鳥時代
26thからは新たな時代である。
まだ現時点では「飛鳥3期4期時代」としか表現できない。
ポイントは誰が飛鳥に並び立つのか。
(『2020年の乃木坂46』収録 「【考察】旅立ちのフィエスタを歌え~乃木坂25thシングル選抜発表に思うこと」より)
そこからの3年半は確かに「飛鳥3期4期時代」でした。
しかしその実態は「飛鳥真夏時代」、より正確に表現するのであれば飛鳥真夏「体制」だったのだと思います。
その目的はただひとつ。
大人数アイドル史上、まだどのグループも成し遂げていない「世代交代」を成功させること。
1期生2期生たちは自身の卒業を見据えつつ、パフォーマンスや言動を通して「これまでの乃木坂」を伝え。
後輩たちはそれを受け取りながら「これからの乃木坂」を描く。
そんな困難なミッションを、しかも卒業生ひとりひとり手厚く送り出しながら果たそうとしてきたのです。
2022年の全ツで設けられた、期も選抜もアンダーもシャッフルする「シャッフルコーナー」。
MCでは1期2期が「後輩のためにできることを考えた」と語っていました。
しかし個人的には、同様の試みは2019年夏の全ツから既に始まっていたと思います。
それぞれの期別曲を3期4期合同で行ない、アンダー曲をアンダー経験のないメンバー(生田絵梨花、桜井玲香、与田祐希など)も交えて行なう。
そして期を跨いだユニットによる「ミュージアムコーナー」。
時間をかけて融合と継承が進められたのです。
そしてもうひとつ、エース格の確立。
上で引用した記事で私は「ポイントは誰が飛鳥に並び立つのか」と書きましたが、運営が下した判断は「誰も並び立たせない」でした。(もちろん成り行き上…という部分もあるでしょうが)
飛鳥と誰かではなく、「ネクスト飛鳥(=与田山下遠藤賀喜)」同士を並び立たせた。
これにより「エース候補」が「エース格」へと成長し、新たな大エースひとりではなくエース格4人を揃えることができたのです。
そして5期生として井上和をはじめとする新たなエース候補たちが加入してくれました。
そんな飛鳥真夏体制の歩みと、その中で行なわれたライブの多くを観てきた私からすると、この日のライブは少し極端な表現になりますが「いつも通り」でした。
出ずっぱりの飛鳥が後輩みんなと絡む姿は、ここ数年の全ツで何度も見た光景。
だから私は飛鳥が卒業しても「飛鳥がいないだけ」なのだと思うことができました。
もちろん齋藤飛鳥がいなくなることはとてつもなく大きい。でもそれ以上じゃない。
そうなるように、飛鳥が、秋元真夏が、そしてメンバーみんなが頑張ってきたから。
飛鳥真夏体制で3年かけて築いてきたものがちゃんとあるから。
だから私はメンバーたちが思うほどこの日以降の乃木坂を心配していませんでした。
「乃木坂をよろしくね」
泣きながらその言葉に頷いた後輩たちはこの夏、1期2期のいない初めての全ツを見事成功させてみせました。
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最後にもうひとつ。
飛鳥はこの日、「乃木坂とは何か」をこんな言葉で表現してくれました。
しんどいときは まわりを頼ろう
とにかく頼って甘えまくろう
ひとりじゃないんだし 絶対に絶対に
いつかどこかで誰かが助けてくれる!
だってそれが乃木坂だもん
これまでも、これからも。
それが乃木坂46。
◇
『2020年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
総文字数84,000文字、加筆部分だけでも10,000文字以上のボリュームでブログをご覧になった方にも楽しんでいただけることと思います。
「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
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『2019年の乃木坂46』 kindle版
過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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『アンダラ伝説』 kindle版
伝説のアンダーライブ2ndシーズンを題材にしたセミドキュメンタリー小説。あの頃の熱量を叩き込んだ渾身の50,000文字です。
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