ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:菅原咲月

びーむ色調補正3
前の記事ではこの日のセトリについての感想、そして梅澤美波の「未来の乃木坂を見ているみたい」というコメントについて思うところを書きました。

関連記事:


当記事ではこの日に感じた「あの頃の匂い」について。

こんな最高の瞬間を


あの頃。
もちろん、初期アンダラのことです。

当時と通じる何かを感じたそのひとつの要因は前の記事に書いた沸点越えの熱気。
そして「有明」という舞台設定も影響していたかもしれません。

でもたぶん一番の理由は刹那性

常に存続の危機と隣り合わせ。
無料の招待イベントでも集客できなかった幕張メッセでの初回開催。
続くO-EASTでは募集期間が終了するも、運営から「まったく、埋まっていない」と言われメンバーが2次募集を懇願しました。

「次がある保証なんてどこにもない」から「今この瞬間に死ぬ気でやるしかない」。
それがスタート当時のアンダラでした。

そしてもうひとつ、アンダラはその構造上「別れ」が内在しています。

常に1回限りの座組
誰かが選抜入りすればもうこのメンバーは揃わない。
むしろアンダラで活躍すればするほど選抜が近づく=ここからいなくなる確率が高い。

文字通りの一期一会。

ある意味「特殊選抜」だった今回はこの刹那性=2度と揃わないメンツ感が満載でした。
さらにラストには「サンフラワー」清宮レイとの別れが待っていたのです。それこそ2ndシーズンでの伊藤寧々のように。

この日2度歌われた『ジャンピングジョーカーフラッシュ』。

意味もなくはしゃいでバカみたいに笑った愚かで愛おしい日々の記憶
底抜けに明るいのに、そこに込められた刹那性ゆえに沁みる曲です。(とりわけ私のようなおっさんには)

そしてまさしく4期の青春そのもののような楽曲であるにもかかわらず「16人の4期生」では一度も披露することが叶いませんでした。

今回の15人もこの日が最後。

でも。だからこそ。
メンバーたちは必死に互いに顔を見合わせながら歌うのです。

忘れないでくれよ。

俺たちの合言葉を。

こんな最高の瞬間があったことを。

ジャンジャンジャンピングジョーカー…

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「個として、そして集団としてより良くあるために」


山下美月卒業に伴う3期全員選抜の副産物として生まれた今回の「史上最強アンダー」。

本当に素晴らしいライブであり、かつこの先に多くの実りを予感させるものでした。

例えば筒井あやめは座長挨拶でこう語りました。

 みんな1人ひとり自分にできることをやって
 このアンダーライブという場所を守るために頑張って

アンダーライブという場所
新人抜擢フロントといういわば「エリートコース」を歩んできたあやめんが、アンダラという乃木坂の重要なファクターを体感し、そこを「守るべき場所」と知りました。

菅原咲月

『セラミュ』の主演、生放送『ラヴィット!』レギュラー、そして初のアンダラ=誰よりも覚える曲が多いという状況。
それでも自身のブログで「辛かったし、苦しい時もあったけれど」、「全て出し切った」「楽しかった」と言い切った彼女。

称賛に値します

そして「急遽キャプテンに任命された」という松尾美佑を筆頭に、初めて「3期生のいないアンダラ」を任された4期生たち

アンダラに初めて参加した28th『マシンガンレイン』から2年半。
3期4期だけになった31st『悪い成分』からはまだ1年4ヶ月しか経っていません。
3期生の場合は和田まあやが長く在籍してくれたため(そして1期全員選抜『しあわせの保護色』の時はアンダラが開催されなかったため)どちらも4年8ヶ月ありました。

ついこの間3期が引っ張る時代が始まったはずなのに、もう自分たちがその立場に立たなければいけなくなった。

その戸惑いと恐怖

ましてや座長は初アンダラの同期あやめん。
「支えなければ」そう思ったでしょう。
自分には何ができるのか。何をしなければいけないのか。そう自問自答したことが彼女たちの言葉から見て取れます。

開幕直前のブログにこう綴った矢久保美緒

 不安がないと言えば嘘になります。でも絶対に大丈夫だと言えるほど練習しました。
 だから期待して、待っていてくださいね。

松尾美佑は後にこう振り返りました。

 今回のライブはみんなそれぞれ思っている不安な部分があったからこそ、
 それぞれが得意な事で助け合えて心強かったです。

そしてこう総括したのは林瑠奈でした。

 15人それぞれが自分の役割を模索しながら、
 個として、そして集団としてより良くあるために、足を止めずにいた期間だったと思います。


この日に出演したメンバーたちそれぞれが今後どのような乃木坂人生を送るかはわかりません。

階段を駆け上がるメンバーも、そうでないメンバーもいるでしょう。

それでもこの日彼女たちがひとつになって作り上げた35thアンダラ千秋楽はきっと、また新たな伝説となって乃木坂の歴史とファンの記憶に刻まれることでしょう

少なくとも私の記憶には深く刻まれました。


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びーむ色調補正3
いいものを観た

この日現地参戦した私が、終わった瞬間にしみじみ思ったことです。

もはや卑怯


セットリストはこちら。

Overture
01. ジャンピングジョーカーフラッシュ
02. バンドエイド剥がすような別れ方
03. 自惚れビーチ(センター:冨里奈央)
04. 思い出が止まらなくなる
05. 13日の金曜日(センター:筒井あやめ)
06. 錆びたコンパス(センター:筒井あやめ)
07. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた(センター:小川彩)
08. 嫉妬の権利(センター:柴田柚菜)
09. 不等号(センター:金川紗耶)
10. 狼に口笛を(センター:黒見明香)

<ユニットコーナー>
11. ブランコ(センター:小川彩)
12. 羽根の記憶(センター:林瑠奈)
13. その女(センター:金川紗耶)
14. Against(センター:清宮レイ)

15. ハウス!
16. 扇風機

<企画コーナー>
「あーやと遊ぼう」

17. 日常(センター:筒井あやめ)
18. Hard to say(センター:菅原咲月、冨里奈央)
19. さざ波は戻らない(センター:林瑠奈)
20. 踏んでしまった
21. Actually. . . 
22. 夜明けまで強がらなくてもいい(センター:筒井あやめ)
23. 車道側

EN
EN1. ざぶんざざぶん
EN2. 太陽ノック
EN3. 左胸の勇気(センター:筒井あやめ)

WEN
WEN1. ジャンピングジョーカーフラッシュ


Overtureに続いて流れて来たのはド派手なイントロ。

『ジャンピングジョーカーフラッシュ』。
もうこの瞬間に客席はあっさり沸点越えしてました。

期待感でパンパンに膨れ上がったところにニトログリセリンを放り込むようなものですからね。完全に出来上がりきった客席。2014年の有明コロシアムみたいだ。

そして息もつかせず『バンドエイド剝がすような別れ方』。

現在の乃木坂ブチ上げ曲で5本の指に入るであろう両曲のオリジナルセンターが揃い踏みした今回のアンダラ。そりゃセトリに入れるでしょうよ。

でもド頭で2曲続けるか!しかもフルで。
もはや卑怯だ笑

しかしそれ以外はいつものアンダラ同様に、アンダー楽曲中心の構成。
例外はユニットコーナーとトロッコ曲と『Actually...』『夜明けまで強がらなくてもいい』ぐらいですね。

新旧アンダラのアンセム『錆びたコンパス』『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』。
2期生全員アンダーだった『嫉妬の権利』。
中元日芽香の想い『不等号』。
初期アンダラの鉄板曲『13日の金曜日』『狼に口笛を』。

アンダラが初めてなファンにも、そしてもちろん初参加となる筒井あやめと菅原咲月にも「これがアンダラだよ」と伝えるような選曲です。

ユニットコーナーでアンダー楽曲史に残る名曲『ブランコ』が入ったのもセトリを締めた要因でしょう。
それをまた小川彩という、最年少でありながらもはやひとつの磁場になっているメンバーのセンターでやるというのが素晴らしい。

この日のハイライトのひとつ、清宮レイ渾身の『Against』。こちらについては彼女の卒業の記事で書くつもりです。

企画コーナーで一度完全に緩めた空気を一気に引きずり戻す『日常』。

どこまでいっても北野日奈子のものであるはずのこの曲を、自分のものの「ように」してみせた筒井あやめ。11thバスラ4期生ライブで『思い出ファースト』のセンターを務めた時にも感じた、彼女のスペシャリティ。
最後の薄ら笑いのド迫力

そこから近年のアンダー楽曲を連ね、超速の『踏んでしまった』。
畳み掛ける『Actually…』。オリジナルの清宮レイによる最後の英語台詞

「私にとってとても大切な曲」ここまできて何をやるのかと思えば『夜明けまで強がらなくてもいい』。

筒井あやめの座長挨拶。
そして本編ラストはみんな待ってた『車道側』

アンコールはあやレイファイナル
そしてWアンコールでは私服姿の奥田いろはも加わって2度目の『ジャンフラ』。

大満足の素晴らしいセトリでした。

この日のビジュアル仕上がってんなあメンはやっぱり、筒井あやめ
デコ出しで美形お姉さんっぷりが強調されていた金川紗耶林瑠奈のふたりも印象に残りました。フレッシュなフロント3人との対比という面でも非常に良かった。

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梅澤美波は今回のアンダラを観て「未来の乃木坂を見てるみたい」と語ったそうです。

それもそのはず。

山下美月が卒業し、いよいよ4期Wエース「かきさく」=賀喜遥香と遠藤さくらが乃木坂の先頭に立ちました。
これから4期5期の時代が始まります。すなわちある意味「4期5期ライブ」でもあったこの日のメンバーが中心となる未来がもうすぐそこまで来ているということです。

しかもこの日の最年長は金川紗耶と佐藤璃果の2001年組ですからかきさくと同い年。
つまりこの日のアンダラはさらにその先の、やがて来る「かきさく後」の世界を垣間見せるものだったのです。

もちろんここに井上和をはじめとした5期生選抜組5人が加わります。その頃には6期生からも何人か「センター級」「エース格」が生まれていることでしょう。

それでもその時に筒井あやめがひとつの柱として存在してくれたら
中学生にしてかきさくとともに抜擢フロントを経験し、ふたりの苦悩とその後のエースへの歩みをそばで見てきた彼女がいてくれたならなんと心強いことか。ましてや彼女は和ちゃんと同い年なのです。

ここではあやめんにフォーカスを当てて書いていますが、もちろん彼女以外でもかきさく後に「4期生ここにあり」と感じさせてくれるメンバーがいることを願っています。

余談ですが個人的には岩本蓮加もしれっとその頃まで在籍していてほしい。
彼女は2003年組(あやめんのひとつ上の代)のしかも早生まれなので3年後の夏でもまだ23歳ですからね。


続きます。

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deux補正2
前の記事ではTeamSTAR5人の演技についての感想を書きました。

関連記事:


今回は5期生版『セラミュ』の意義について。

彼女たちが『セラミュ』を演じる意味


前の記事で書いたように様々なタイミングが重なって実現できたであろう今回の再演ですが、それと同時に現在の彼女たちがセーラー戦士を演じるのは必然であるように感じました。

まず「5期生が」演じる意味。

かつて『2020年の乃木坂46』で新4期生加入に際し「4期版『じょしらく』をやってはどうか」と書いたことがあります。

遅れて加入した彼女たちが4期生と、そしてかつてその役を演じた先輩たちとの距離を縮める格好の機会になるのではないか、と。

今回の再演にはそれと同じような効果があったのではないでしょうか。

5期生たちは過去の先輩の演技を何度も繰り返し観たそうです。

舞台で活躍を続ける卒業生たちの姿。そして憧れの3期生4期生たちがまだ加入間もない時期に懸命に食らいついている姿も。
※2018年の3期生(山下美月、伊藤理々杏、梅澤美波)はお見立て会から1年半後、2019年の4期生(田村真佑、早川聖来)は同じく10ヶ月。ちなみに今回の5期生は2年2ヶ月

何か感じるものがあったはず。
そうやってまたグループの歴史が続いていくのです。

中西アルノがお歳暮を贈った仲の向井葉月に水野亜美をどう演じるか話せていたら嬉しいですね。

そして「乃木坂が」演じる意味。

運命の5人

過去に演じた先輩たちも今回の5期生も異口同音に「セーラー戦士が集まっていく物語がアイドルである自分たちに似ていると思った」と語っています。

前作までは期を跨いで「キャリアも年齢も違う私たちが集まった奇跡」。
今回は「この5人(11人)が乃木坂の5期生として集まった奇跡」でした。

ゴリゴリの舞台ファンや純粋なセラミュファンからすれば「演者の関係性」なんて知ったこっちゃないだろうし、それに立脚した感動なんて邪道以外の何物でもないでしょう。

それでも、乃木坂版においてはこれも…というかこれこそが醍醐味だと思うんですよね。

ストーリー上のセーラー戦士たちの関係性と現実のメンバーとしての絆が交錯する瞬間。

前の記事では「木野まこと像を提示した」と書いたなおなおが、終盤にどうしても冨里奈央が抑えきれずに浮かべる感極まった表情

「遅れて登場」のセーラーヴィーナスが実際に遅れて5期生に合流した川﨑桜と池田瑛紗だったり。

そして最泣きポイント(過去の先輩たちはみんな千秋楽でガチ泣きでした)である『運命の貴女へ』歌唱前の「みんながいたから、ここまでこれた」という言葉。

それこそ「嘘がない」からこそ観ているこちらの胸に迫るのです。

楽曲PVだって現実とリンクした内容のものがありますよね。
そしてそれが名作を生んだりするじゃないですか。それこそ『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』とか。

それによって物語が本来持つ以上の奥行きが生まれるのです。


私は井上小百合推しですので彼女が主演である2018年版のTeam STARは都合3回観劇しましたし、同年のTeam MOON(山下美月主演)や2019年(同じく久保史緒里)バージョンもCSで放送されたものを観ています。

正直、思い入れも相当あります。

そんな私にとっても、今回の5期生版は諸手を挙げて称賛したい素晴らしいものでした。

5期生が『セラミュ』をやってくれて、本当に良かった

主演の井上和と菅原咲月は口を揃えて「バトンを繋いでくださった先輩方のおかげ」と言っていましたけれど、

あなたたちも立派にバトンを繋ぎましたよ

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deux補正2
それは予想外の嬉しいニュースでした。
突如発表された5期生版『セラミュ』。

2024年4月、IMM THEATERにおけるTeamSTAR公演を2回観劇してきましたのでレポします。

大英断


乃木坂46「5期生」版 ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』。
2018年と2019年に上演されたものの再演。

まず何より、5期生に『セラミュ』を演じさせたという英断に拍手を送りたいです。

そもそも5期生は11人。セーラー戦士5人のダブルキャスト自体が不可能でした。

しかし。

経緯や内情は存じ上げませんが、発表の時系列から推測するに奥田いろはが『ロミオ&ジュリエット』のオーディションに合格した(素晴らしい偉業!)のが最初なのでしょう。

そこで「いろはが離脱する期間があるのか…え、ってことはセーラー戦士5人をダブルキャストで5期生版『セラミュ』できるじゃん!」と思いついた誰か、そしてゴーを出した誰かの超ファインプレー、大英断

そこからキャストとスタッフと会場のスケジュールを押さえ開催にこぎつけた運営の苦労も相当なものだったでしょう。

そして何より新参者とスタ誕ライブと年末進行とアンダラとバスラと美月卒コンに冠番組まである5期生たちの頑張りは本当に想像を絶するものだったと思います。

全体の振り返りは次の記事に譲るとして、ここではTeamSTAR、5人の演技についての個人的な感想を。

川﨑桜:セーラーヴィーナス/愛野美奈子

さくたんはさくたんでした笑
ただかつての西野七瀬も「何を演じても西野七瀬」でしたしそれこそ木村拓哉さんもそう言われるので、逆に演者として武器になるかもしれません。

それにしても相変わらず抜群に華があります。「美の化身」にふさわしい。
『超・乃木坂スター誕生!』のコント「千葉魂」で「クイーンって、呼んでくれぇ~泣」のさくたんがクイーン・セレニティの前で「クイーン!」と跪いているのはなんか面白かった笑

冨里奈央:セーラージュピター/木野まこと

初登場シーンの最初の台詞「危ないよ、気をつけな」で野太い声を出して客席をどよめかせます。
この発声一発で自分の演じる、演じたい木野まこと像を観る者に伝えたのはお見事。

自身のトレードマークである満面の笑みは封印して、凛々しい表情のまま頬と口元を緩める笑い方をしていたのも印象的でした。

一ノ瀬美空:セーラーマーズ/火野レイ

ずっと真顔。そして素晴らしく綺麗な立ち姿。
高い集中力で火野レイとしての自分をキープしているのが好感持てました。
いわゆる憑依型っぽく、俳優としての可能性を感じます

普段は笑顔の印象が強く「可愛い系」に見える彼女ですが、実に整った顔立ちなのも良くわかりました。

中西アルノ:セーラーマーキュリー/水野亜美

さすがの歌唱力。特に複数人で歌う際に周りと合わせる能力が非常に高い。

逆に演技にはやや迷いがあったように見えました。水野亜美というキャラクターの要素のうちどこか(例えば「理知的」とか)をもっと前に出した方が観客に伝わりやすかった気が。

菅原咲月:セーラームーン/月野うさぎ

素晴らしかったですね。

菅原咲月であり、同時に月野うさぎ
先達・井上小百合は演じる際に自分とその役柄の共通点を見出し「だからこの役は私!」というアプローチをするそうですが、それと同じものを感じました。

『超・乃木坂スター誕生!』の「さつまいろ鎌倉ロケ」で見せたような「楽しそうに笑って踊ってお調子者」な姿が覚醒前のうさぎちゃんと大いに重なります。

だからこそその後の演技に、自分の運命に翻弄されながらもそれに立ち向かう姿に説得力があるのです。

「おっちょこちょいの女子中学生」が「世界を救うスーパーヒーロー」になるという振り幅MAXでありながら、そのどちらも紛れもなくひとりの女の子であると観客に思わせる説得力

彼女自身はブログでそれを「嘘がない」と表現していましたが、奇しくも月野うさぎを演じた時の井上小百合も同じ言葉を使っていました。

そしてやや蛇足になりますが舞台上で月野うさぎでない瞬間がないのも凄い。

なおなおやみっくもそれは同じなのですが、さっちゃんは自分にスポットライトが当たっていない時の演技が実に細やかで質量ともに図抜けていました。(他のキャストはそれをやらない演技指導が出ていたのかもしれませんが)

間違いなく彼女には演技の才能があると思います。


続きます。

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タオル補正

3期生全員選抜の副産物


前の記事で少し触れましたが、コロナ禍により始まったオンラインミーグリは間口を狭め完売速度という最も目につく人気指標が極端に二分化するという弊害をもたらしました。

関連記事:


この最大の問題点は思うようにミーグリ人気が上がらないメンバーのモチベーション低下。
もうひとつ「人気の中間層」が不在=層が薄いように見えてしまうこと。

かつては確かに中間層がありました。

例えば乃木坂史上最大の売り上げ枚数を誇る22nd『帰り道は遠回りしたくなる』の前後には、なんやかやでフル完売かそれに近い数字を叩き出すメンバーがアンダラに10人くらいいたんです。

「レジェンド」北野日奈子。
かつて選抜常連だった1期生の重鎮、中田花奈や斉藤優里。
「樋口日奈と2期生の時代」を築いたアンダーセンター経験者たち、樋口日奈、寺田蘭世、渡辺みり愛、鈴木絢音。
「よだももくぼした梅れんたん」に続き選抜入りを果たした新興勢力、伊藤理々杏と佐藤楓。
虎視眈々と選抜入りを狙う山崎怜奈、阪口珠美。

そりゃ超選抜メンほどの人気や知名度はないかもしれませんが「その界隈ではしっかり盛り上がってる感」はありました。

しかし1期2期の相次ぐ卒業や4期生合流タイミングの問題もあり、寺田蘭世の卒業あたりからは「アンダラのスター」(その良し悪しは別として)不在という状況が続きました。ライブ動員でも苦戦しているという話も聞こえ始めます。

関連記事:


その風向きを変えたのは5期生の加入でした。
お見立て会から1年1ヶ月という過去最速のタイミングでアンダー合流。(ちなみに3期生は1年4ヶ月、4期生は2年9ヶ月)

これにより池田瑛紗をはじめとして、超人気メンに次ぐ速度でミーグリを完売させているメンバーがアンダラに登場。
それと並行していわゆる「思い出選抜」枠が復活したかのような選抜がおこなわれ、メンバーの流動性によりアンダラが活気づきます。

その流れからの今作。

3期生全員選抜の副産物として、「史上最強」とも言われるメンバーがアンダーに集結しました。

選抜固定だった4期生、筒井あやめ(9作連続)、柴田柚菜(6作連続)。
超人気メンに次ぐ速度でミーグリを完売させている5期生たち。その中には前作選抜だった菅原咲月と冨里奈央も含まれます。
体調が良ければ選抜であったろう金川紗耶も『届かなくたって…』以来、2年ぶりとなるアンダー。

そして「乃木坂46分TV」生配信中にアンダー曲『車道側』が発表されます。

センターは筒井あやめ

私は配信を観ながら「ああ、これ一番反感買うやつだな…」と思っていました。
かつての星野みなみや堀未央奈と同じ、「聖域」と思われていたメンバーが選抜を外れて即アンダーセンターというパターン。

しかし、そんな懸念は直後に流されたMVで吹き飛ばされます。

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炸裂する青春


一言でいえば「青春感」
淡い色彩、ざらつきのある質感の映像で切り取られる「どこかもどかしい青春群像」。

多くの方が「昔の乃木坂っぽい」という感想を書いていますが、私も『涙がまだ悲しみだった頃』を思い出しました。


秒刻みで見どころを書き連ねたいところですが、3人だけ挙げておきます。

青春感といえばこの人、菅原咲月

映像作品でのキメ顔ではいつもフォトジェニックな彼女ですが、このMVではもうひとつの魅力である「楽しそうに笑って踊ってお調子者」な姿を見せてくれます。

『超・乃木坂スター誕生!』でのさつまいろ(=菅原咲月、五百城茉央、奥田いろは)3人での鎌倉ロケが思い出されます。由比ヶ浜で遊ぶ姿に中西アルノが思わず「眩しすぎる」とつぶやいたあれです。

彼女の凄さはどれほど楽しそうにしていてもどこか「儚さ」「切なさ」「ノスタルジー」を感じさせる(なんて乃木坂的!)ところ。今回のMVともベストマッチですね。

柴田柚菜

かつて青春感そのものであった彼女が髪を切って綺麗な先輩役を演じているのがなんとも切なくもあり、嬉しくもある。要するに「実にいい」ってことです。

ラスト前の菅原咲月が筒井あやめを撮っているシーンの隣で「う~今日は本当に寒いな~」という絶妙な表情を浮かべているのがなんか好き笑

そしてもちろん、主役の筒井あやめ

どこか彼女自身のパブリックイメージとリンクする「感情をうまく表に出せない、でもそれが私だから」な役柄。

そして劇中での感情も現実とどこか重なります。

みんなそれぞれの場所でキラキラしている友達。
それを眺め写真に収めることが楽しかったはずなのに、いつの間にか心に湧き上がる「あれ?私は…?」という想い。
これもストレートに言えば、ポテンシャルや周囲の期待からするともどかしさを覚えるグループ内における彼女のポジションを思わせます。

これを生々しくも重くもならずにほぼ表情だけ(それも口元の!)で演じ切り、ラスサビ屋上ダンスでの笑顔と最後の3人スナップでのノリノリポーズで昇華させてしまうあやめん。やはり逸材としか言いようがありません。


最後にひとつ、妄想を書いておきます。

 6月9日、有明アリーナでのアンダラ最終日のアンコール。

 座長・筒井あやめがファンへの感謝を述べようと口を開きかけた瞬間、突如場内が暗転しモニターに映し出される「特報」の文字。

 「真夏の全国ツアー2024は明治神宮野球場4DAYSからスタートします!」

 「そのDAY1は…」

 『35thSGアンダーライブ FINAL!』

 響き渡るメンバーたちの言葉にならない絶叫。

マジでやってくんないですかね、これ。

実際にやるとライブ当日には次の選抜が発表済みで若干微妙な空気というパターンになってしまいそうですが笑



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