
前の記事では座長・冨里奈央について書きました。
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当記事では副キャプテン・菅原咲月について。
それでも力になりたい
千秋楽の座長挨拶で冨里奈央は「プレッシャーとか責任とかで押しつぶされそうになった時に、いつも必ず誰かがそばにいてくれた」と語りました。だから自分も挫けずにいられたと。
同じ言葉を我々はこれまで何度も耳にしてきました。
座長としてアンダラ横浜アリーナ2DAYSを控えた松尾美佑は「乃木坂はひとりにしてくれない場所」。
齋藤飛鳥も自身の卒コンで「いつかどこかで誰かが助けてくれる、だってそれが乃木坂だもん」。
今回、「ひとりにされなかった」メンバーがなおなお以外にもうひとりいました。
それは菅原咲月。
37thアンダラのさっちゃんは本当に苦しい立場でした。
2024年12月の「乃木坂46 大感謝祭2024」で発表された彼女の副キャプテン就任。
まだお披露目から2年10ヶ月、後輩も加入する前の段階。グループで3番目に若いメンバーです。
これがいかに異例のことであるか、他の期に当てはめるとよくわかります。
4期生でいえば『君に叱られた』の頃に柴田柚菜が副キャプテンになるようなもの。
3期生は2年違いで既に4期生が加入していましたのでちょっと状況が違うのですが、時期としては秋元真夏がキャプテン就任してすぐの頃の阪口珠美。
2期生はさらに極端で最初の紅白出場というか初の46時間TVの頃(『ハルジオンが咲く頃』の選抜発表ぐらい)の伊藤純奈です。
実際に梅澤美波が副キャプテンに就任したのはまさに上で書いた『君に叱られた』期間中でした。
そこから秋元真夏を齋藤飛鳥を山下美月を送り出し「私たちが乃木坂46です」と宣言した。
個人的にはこれをゆんちゃんがやっている姿は全くイメージできない。というか、4期の誰であっても考えられない。
菅原咲月はそんな極めて早いタイミングで副キャプテンに任命されたのです。
彼女が感じているプレッシャーはいかばかりか。我々には想像することしかできません。
しかもそれがグループ内に発表されたのは37th選抜発表と同じタイミングでした。
副キャプテンになる不安と選抜から外れた悔しさ。それが同時に襲いかかる言いようのない感情を味わったことでしょう。
そして悪意はなくとも一部のファンから「でも君はいずれ選抜固定なんでしょ?」という目が向けられるであろう(そしてそれは無理もないであろう)ことも分かっていたでしょう。
迷いや悩みや不安。そんなマイナスの感情もライブにぶつけて昇華したい。
でも、もしかしたらその日の客席はアウェイかもしれない。
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そんな中で始まった今回のアンダラ。
DAY1のソロ歌唱コーナーで『何もできずにそばにいる』を選び、その理由を「この曲の歌詞に何度も救われてきたから、これからは自分が乃木坂の力になりたい」と語ったさっちゃん。
正直、個人的には「そこまで抱え込まないでほしい」と感じました。
副キャプテンだけど、まだ下から3番目の年少メンバーなんだから。
そして千秋楽。
序盤は素晴らしくしなやかなダンスをしていた彼女が本編ラスト前のブチ上げコーナーでは髪を振り乱して一心不乱に踊ります。
「ライブ映えする」という自身の長所を堂々と観る者に印象づけました。
それでも最後の『乃木坂の詩』前のMCでとうとう溢れ出した感情。
副キャプテン就任から複雑な思いを抱えて色んなことを考えてプレッシャーを感じて苦しかったこと、それでも「このライブでは自分の立場とかを気にせずにいることができた」と。
そんな彼女にこう語りかけたのは吉田綾乃クリスティー。
「せめてここにいる時ぐらいはその重圧から解放されてほしい」。
言葉に詰まり涙を流すさっちゃん。
その身体を隣でずっと優しくさするあやてぃー。
ふたりの様子を微笑みながら見つめるメンバーたち。
乃木坂の暖かさに満ちた素敵なシーンでした。
菅原咲月が最後に涙を流せたこと。
おかしな表現かもしれませんが、これは本当に「良かった」。
年末から何度も梅澤美波の隣に立っていたさっちゃん。
2025年はきっとさらにその機会が増えるでしょう。
彼女がいちプレイヤーとしていられる場面はこの先どれほどあるのだろうとか考えると胸が苦しくなります。
それでも。
キャプテンや副キャプテンの重圧を知ることはできなくても。
選抜聖域と見られることの苦しさを知ることはできなくても。
「それでも力になりたい」と思ってくれる人が乃木坂にはいる。
さっちゃんはこの日、改めてそのことを実感できたのではないでしょうか。
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「今にして思うこと」は各章の末尾に「追記」という形で新たに文章を加え、さらに書き下ろしとして4期生の初冠番組であった『乃木坂どこへ』を振り返っています。
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過去に当ブログに掲載した記事を再構成し加筆したもの。
こちらは総文字数10万文字、加筆部分だけでも22,000文字以上のボリュームです。
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