ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

タグ:高山一実

タオル補正
物語が突然終わってしまった。
今はそういう気持ちです。

2021年7月4日、3期生オーディション募集開始日からちょうど5年のその日。
公式ブログ内で大園桃子さんが卒業を発表しました。

未完の物語


よろしければ、まずは2020年4月のこちらの記事をお読みください。



コロナ禍において彼女が発信したブログをきっかけに、大園桃子の「ゆいいつむに」の魅力と彼女の言葉が持つ力についてどうしても書いておきたくなったものです。


彼女は2016年夏の3期生オーディションに合格して乃木坂に加入しました。
きっかけは「高校の先輩に勧められて」だそうです。

合格発表は例の今野さんの「合格者は全員。皆さんです」。
その言葉に狼狽し目を泳がせる彼女の姿はたびたび3期生の歴史を辿る映像として流されてきました。

そしてその日、彼女は「暫定センター」に任命されます。
これ、オーディション会場でコメントをしている彼女の映像を観たことがある方なら納得だと思います。それぐらい彼女の原石感は見るものの目に明らかでした。

3期生がファンの前に初めてその姿を見せた2016年12月のお見立て会。
そこでパフォーマンスした3曲のうちの『命は美しい』ではセンターを務めます。(ちなみに残り2曲は『裸足でSummer』と『ガールズルール』。センターはそれぞれ与田祐希と山下美月)

この時の自己紹介で彼女は泣きじゃくるのですが、これ以降も泣いて泣いて泣きまくります。

2017年2月の『3人のプリンシパル』では早くも大きな挫折を味わいました。
2幕出演は15回中わずかに1回。この時点で既に明確なアンチとまでは言わなくとも、暫定センターである彼女に対する潜在的な反感のようなものがあったことがうかがわれます。

2年後の遠藤さくらも同じく16戦1勝ともがき苦しんだことを考えると、乃木坂ファンの間に根深く「運営推され」に対する拒否反応があるのでしょう。(さくちゃんは「暫定センター」と明言されてはいなかったと思いますが多くのメディアにより「エース候補」としての扱いを受けていました)

この拒否反応は、やはり生駒里奈や堀未央奈を運営が聖域扱いしてきたことによるものだと思います。それを見てきたファンとしてはどうしても身構えてしまうところがありますよね。

桃子はこのプリンシパルにおける自己PRでも「争うのは嫌」と言って泣き。
5thバスラのさいたまスーパーアリーナでも泣きじゃくりながらステージ上を彷徨い。

4月の『乃木坂工事中』初登場の3期お披露目回でもオープニングから大泣き。
小刻みに震えうつろな目であらぬところを見ながら設楽さんの「緊張してるの?」に「してません」と答える彼女の姿は、正直「大丈夫かこの子?」と思わせるものでした。

今観るとこの回は「先輩たちが3期生を紹介しつつ大いにふざける」というなかなか楽しい内容なんですけどね。
彼女と共に剣道着姿で登場した高山一実が懸命になだめながら進行するあたり、先輩の優しいお姉さんぶりも引き出す良い企画でもありました。

そのカズ先輩に「桃ちゃん、はいトマト!トマト食べていいよ!」と言われて口に運び、「おいしい…」とにっこり微笑む桃子の姿は可愛らしかったのですけれど。

さらに同時期に始まった3期冠番組の『NOGIBINGO!8』でも毎回のように泣き、企画に対して後ろ向きな姿勢を見せていました。

しかし運営は彼女を押し続けます。
同年3月、初の3期生楽曲『三番目の風』ではセンターに。
同年5月発表の3期生楽曲『思い出ファースト』でも引き続きセンター。

「暫定センター」から明確な「3期のセンター」へ。

2017年5月には3期生単独ライブも開催されました。
最近改めてこの映像を観たのですが(当時も現場で観ています)、初期の生駒里奈もかくやと思うほど桃子は「センター」を背負わされていました。

声がほとんど出ない状態での千秋楽。そして『君の名は希望』のピアノ伴奏。
その過剰とも思えるほどの「逆境」「大泣き」「周囲の支えと励ましでクリア」という流れは、やはり人によっては反感を覚えるものだったと思います。

暫定センターから3期センターといういわゆる「推されルート」。そのまま乃木坂のセンターになるのではないかという懸念。さらに大泣きして周りを振り回す一連の振る舞い。これらを受け入れがたく感じるファンも一定数いました。

上の記事で書いた通り、私も当初は彼女に対して否定的な見方をしていました。

「凄くストレートな言い方をすると、可愛い顔と泣き芸で嫌なことを回避してここまで人生乗り切ってきたタイプに見えた」んです。

ただ、今観ても彼女のセンター適性は抜群でした。
特に『命は美しい』でスイッチを切り替えた時の表情はちょっと「別格」と表現したくなるほど。プリンシパルで無双した久保史緒里や山下美月すら凌ぐ楽曲への没入度合い。(あくまでも当時は、の話です)


そして7月。
18thシングル『逃げ水』の選抜発表が行われ、ある意味予想通りに彼女はセンターに抜擢されます(与田祐希とのWセンター)。

いわゆる「3期新規」のファンの中でも多くのアンチがいた彼女。
ここで全体シングルのセンターに立ち、ありていに言えば先輩メンバーのファンまで敵に回すことになったのです。

結果、猛烈にアンチが湧きました。

そしてそのまま真夏の全国ツアーが始まり、初のツアーに選抜メンバーとして参加することになります。そこで待っていたのは(あの「死にはせん」の)与田っちょさえ後に「体重が8kg減った」と語ったプレッシャーと負荷。

桃子もボロボロになった当時のことをこう振り返っています。

「裏にいる時はずっと泣いていたけど、ステージに出た瞬間には笑ってるんです。そんな自分が怖かった」

本当に、抜擢センターには反対。
どうせ5期でもやるんでしょうけど。
与田っちょやさくちゃんが人気メンバーになったのは奇跡みたいなものです。

 

19th『いつかできるから今日できる』は映画と舞台の『あさひなぐ』出演メンバーで固められた選抜でしたのでよだもものふたりはいったん選抜から外れます。

そして20th『シンクロニシティ』では久保史緒里、山下美月も加えた「よだももくぼした」の4人が揃って選抜入り。しかし与田っちょと美月はここからフロントに定着したのに対し、桃子は2列目そして3列目へとポジションを落としていきます。

これは握手人気に対し妥当なポジションだったため「ゴリ押し」という批判の声は少しずつ減っていきます。それと同時に徐々にグループに慣れてきた彼女はのびのび活動できるようになり本来の笑顔が戻ってきた。少なくとも私にはそう見えていました。

この2018年末、乃木坂は『シンクロニシティ』でレコード大賞連覇という偉業を成し遂げます。その舞台裏でグループの暖かさと先輩たちの想いに感動した桃子は「乃木坂も悪くないなって思った」と発言し、これは映画『いつのまにか、ここにいる』のハイライトにもなりました。

このように少しずつ変化の兆しを見せていた彼女に運営も改めて期待したのではないでしょうか。
山下美月の活動休止の穴を埋めるように、23rdシングル『Sing Out!』では『逃げ水』以来となるフロント復帰。

しかし、結果的にはこれが裏目に出ます。
その夏の全ツ、さらに24thシングル期間の活動を休止。

復帰は全ツファイナルの神宮球場でした。

続く25th『しあわせの保護色』で選抜にも復帰し、27th『ごめんねFingers crossed』まで3列目2列目3列目というポジションでした。

2020年10月にはずっと「まい姉さん」と慕ってきた白石麻衣が卒業します。

ファンの間にも、まいやんの卒業で精神的支えを失い活動へのモチベーションがなくなってしまうのではないかという不安と、逆に独り立ちして成長した姿を見せてくれるのではないかという期待の両方がありました。

個人的には、涙をこらえてまいやんを見送った卒コンでの姿から期待の方が膨らんでいたのですが、

彼女が選んだのは卒業。


物語は未完に終わりました。



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笑顔の理由


ここまで印象的なシーンを列挙してきましたが、実は個人的に最も強く印象に残ったのは卒業スピーチの中で松村沙友理が語った感謝の言葉です。

「たくさんの人が私に笑顔の印象を持ってくださっているのは、外に出る時に楽しい気持ちになれるようにマネージャーさんがいつも盛り上げてくれるからだと思います」

これまでも常日頃から多くのメンバーがスタッフさんへの感謝を口にしてきました。
ただ、ここまでしっかりと具体的な貢献を言葉にしたことはほとんどなかったのでは。

スタッフさんも乃木坂が大好きで乃木坂のために一生懸命で。
メンバーもちゃんとそれを理解していて感謝している。

私がこの言葉から感じたのは、そんな暖かな関係性でした。

乃木坂って、暖かい。

我々ファンの側が「乃木坂のこういうところが好き」で「バックヤードでも実際にそうだったらいいな」と願うイメージ。
まさにその部分が実際に存在しており、しかもそれがグループ内だけでなく周囲の人々も含めてであることを示唆するメンバーの発言。

嬉しいですよね。

これまでもたびたびこのようなコメントが出てきました。

2020年12月の4期ライブで筒井あやめはライブの感想を聞かれ「何とも言えない暖かい空気感が4期生は初めからあって今回も私自身その空気に支えられた」と語りました。

2021年3月の9thバスラ1期ライブで「いい人の周りにはいい人が集まる」と言った星野みなみ。

そう考えるとこの日も随所に乃木坂の「暖かさ」を感じさせる場面がありました。

1期生コーナーでの『泣いたっていいじゃないか?』。
松村沙友理のラストライブで高山一実センター曲を選ぶという、その優しさ。

前の記事で「舞台メンはみんな超絶」と書いたように、自身の舞台公演期間中なのにそれでもライブに参加するメンバーたち。

この日の前後も久保史緒里以外にも生田絵梨花、伊藤理々杏、中村麗乃、清宮レイ、筒井あやめが舞台の公演期間中でした。それでもみんな2DAYSのうちどちらかに出てくるその気持ちというか心意気。
無理はしてほしくないけど、本人たちが「先輩の最後のライブに出たい」と思ってくれているならそれはやっぱり我々の好きな乃木坂だよなあ。

同じく前の記事でも書いた『でこぴん』。

まっつんが自身の卒コンという晴れ舞台であのエピソードを語るのも、『でこぴん』の歌唱メンバーに葉月を入れて披露するのもいい。

凄く失礼な表現なのは重々承知していますが、決して人気メンバーというわけではない葉月をここで大々的にフィーチャーして特別な曲『でこぴん』をやるという乃木坂の暖かさ。

ああ、乃木坂っていいなあ。
そうしみじみ言いたくなりますね。



「ホントかっこいいよね。わかる」


そしてまっつん最後の出演となった『乃木坂工事中』での大縄跳び46回チャレンジ。

堀ちゃんの時の「2期生ハウス」と同様に自分にとってのアフター配信というかカーテンコールという感じでした。

もう全編が名シーン。

飛ぶ前に「ちょっと1回みんなで気合い入れよう」と言って輪になる1期生。
「できる!」「うちらはできる!」からの円陣。
それをキラキラした尊敬と憧れの目で見つめている梅澤美波と久保史緒里。

かくいう私も正直、ここ最近の1期生を観ている時の感情はずっと「楽しいのに涙が出そう」です。

最初のトライが38回で失敗に終わり、ガチで落胆する1期生たち。
高山一実は「もう多分無理だと思います」秋元真夏は「たぶんあともう1回(が限界)」。

再度トライ。
「がんばってください!」と叫ぶ清宮レイ。

そして悲願達成の瞬間。
悲鳴のような歓声を上げながら笑顔でバンザイする後輩たち。

泣き崩れる松村沙友理。

 1期生で10年間ずっとやってきて
 なんでも頑張ったらうちらに達成できないことはないんだな

その言葉に真夏さんも生ちゃんも樋口日奈も、そして「泣いちゃうんだ、それで」と憎まれ口をたたいていた齋藤飛鳥までもがもらい泣き。その飛鳥ちゃんの頭を優しくなでる星野みなみ。

成功した後に設楽さんが「久保ももう泣く寸前でしたね」って言ってましたけどそれ日村さんですよね。そもそも久保ちゃんはがっつり泣いてましたし。

そんな彼女の「先輩方あまりにもかっこ良すぎて」に日村さんが「ホントかっこいいよね。わかる」と相槌を打っていたのもなんかグッときました。

最後の生ちゃんの高音「難しいですよ!なあ!?」も良かった。

これもまた愛情にあふれた暖かくて優しい時間。

本当に素晴らしいフィナーレでした。


かずみん「みんなと一緒ならなんでも出来る!」


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前の記事では個人的に印象に残ったシーンを列挙しましたが、この記事ではタイトルにもあるふたりのメンバーについて主に取り上げます。

松村沙友理の帰る場所


この日のハイライトのひとつだった、生田絵梨花プロデュースによる松村沙友理の『釣り堀』。

 いつも頑張っているから、さゆりんごを乃木坂46を、たまにはサボってみよう
 いつでもこの場所はあるから、自分の好きなようにいていいよ

私はこの生ちゃんのコメントの時点でもう心がかき乱されました。

いや、それそのままあんたにも言いたいわ!
っていうか1期生みんなそうだよな!真夏さんもかずみんも、飛鳥ちゃんも。

乃木坂内では後輩にちゃんとした姿を見せて、外出たら大きくなった乃木坂の看板背負って。大変だよな。すごいな。

このところ3期生たちが一気に「看板背負ってる感」出してきてくれて頼もしいし、どこか「少しでも先輩を楽にしてあげたい」っていう感じがするのが痺れるよな。

…みたいなことをゴチャゴチャ考えているうちに曲が始まりました笑

ステージの上、最新シングル『僕は僕を好きになる』の衣装で踊るメンバーたちの姿を遠い客席から眺めるまっつん。
生ちゃんの意図は「たまにはちょっと休んで」なんでしょう。でも私には正直「もう乃木坂じゃなくなった彼女が外から乃木坂を観ている」姿にしか見えませんでした。

…と書いていたらたった今(2021/4/15)松村沙友理さんの卒業が発表されました。
だとすれば当日には語れなかった生ちゃんの本当の意図はこうだったのかもしれません。

 ずっと、さゆりんごを乃木坂46を頑張ってきてくれたから、もう自分のために生きていいんだよ
 卒業してもずっとここに乃木坂はあるから、辛くなったらいつでも連絡してね

ふいに立ち上がり、ステージに背を向け歩き出すまっつん。客席からロビーへ、そして会場外へと。

ラスト、ベンチに横たわり居眠りする彼女にそっとブランケットがかけられ、母親のような表情をしたメンバーたちがまっつんの身体を優しくさする。

いや泣いちゃうよ。こんなの観せられたら。

などとこちらは感傷的になっているというのに、有無を言わさず始まるのが和田まあや主演のインド映画『ガールズルール』。このとてつもない落差。

ナンセンスでごった煮で、最終的にはさっき俺を泣かせたはずのまっつんが「1日に100枚ナンを食べる女」を演じていました。

なんちゅーカオス。ジーニアスとしか言いようがない。

そして「まあやのモノマネが好きなんですよね」という煽りVのコメントが全く本編と関係ない。マシュマロぐらい関係ない。

どう考えても唯一無二の存在ですよね…寂しいな、ホントに。




齋藤飛鳥が末っ子に戻れる場所


いきなりですが、可愛かったですよねこの日の齋藤飛鳥。
いやもちろんいつも可愛いですし、秋元真夏プロデュースの「あしゅりん」に引っ張られたわけでもありません(むしろ個人的にはああいうの苦手です笑)。

凄くシンプルに言えば、とても自然に笑っていました。
たぶん、久しぶりにのびのびと「末っ子としての自分」を満喫していたからだと思うんです。

以前に私は2019年真夏の全国ツアーのライブレポで飛鳥への依存度の高さを危惧し「飛鳥ちゃんを壊すな」と書きました。



そう言いたくもなるぐらい、西野七瀬卒業後のライブでは常に彼女が中心で多くの負担を背負っていました。(白石麻衣や生田絵梨花が欠場しがちということもあります)

そして3期4期から見れば、加入時点で既に憧れのスーパーエースだったであろう飛鳥。
ずっと背中を見せてきたプレッシャーは我々ファンの想像も及ばないほど大きかったのではないでしょうか。

でもこの日は1期生ライブ。

スーパーエースの鎧を脱いで、あの頃のあしゅりん…っていうと怒られそうなので「最年少の飛鳥ちゃん」でいられる場所。

気心の知れた同期であり「何をやっても乃木坂」な歴史に裏打ちされた底力のあるメンバーたちに囲まれて、きっとここ数年のライブの中で最もリラックスしていたのではないでしょうか。

最初の『マネキン』からしてそうです。全体ライブだとこの曲も飛鳥センターが多いですが、この日の彼女は後ろの方で和田まあやとじゃれていました。個人的には1期生の中でこういう「その他大勢感」を出している時の飛鳥が大好物笑

『でこぴん』もこれがもし全体ライブであれば白石麻衣ポジションもやっぱり飛鳥だったんじゃないでしょうか。(樋口日奈が悪いという意味ではなく。前の記事で書いた通りむしろ嬉しい)

そして8人それぞれが入れ替わりながらセンターを務め、敢えて言わずともサラッと「全員センター」をやってのけます。

気づけばラストまでほとんど飛鳥がセンターに立つことはなく、そしてそれがごく自然なことに感じられました。

やっぱり同期って特別なんだな、と思います。

まあやが46時間TVで「飛鳥昔は明るかったじゃん!」と発言していましたが、そんな昔の飛鳥が垣間見られた気がしました。

アンコール、やり切った笑顔で互いの顔を見やる8人の姿はもう歴戦の勇者そのものでした。

もう大勢いなくなって、今ここにいる仲間の残り時間もほんの少しで。

だからこそ愛情を思い切り溢れさせよう。
この時間を無邪気に、全力で楽しもう。

8人全員がそう感じているような、そんな空気感。

一体、どれだけのものを越えてここにたどり着いたんだろう。
そう思うと、最高に楽しいのにこちらの胸も締めつけられます。


以前に4期生ライブのレポで書いた、ファンの側が「乃木坂のこういうところが好き」とか「バックヤードでも実際にそうだったらいいな」と願う部分。

それが本当だと思わせてくれるシーンがこの日もありました。

お姉さん組と年少チームの曲を交換したところと、アンコールでの後輩曲3連打。
いわゆる自分の「持ち曲」ではない楽曲を本当に楽しそうにパフォーマンスするメンバーたち。

過去何度もメイキング映像で流された、自分がステージに上がっていない時も袖やモニターで観ながら一緒に踊っている姿が思い出されます。

みんな、グループがそしてメンバーのことが大好きでしょうがない。

年少チームはお姉さんたちに憧れ、お姉さんは年少メンバーを愛で。
同じ構図が今では先輩と後輩の間にも存在しているという奇跡のような幸福。

乃木坂独特の「多幸感」。

その源をこの日の1期生ライブで改めて感じることができました。

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前日の2期生ライブの余韻も色濃く残る中行なわれた1期生ライブ。

正直、始まる前は少し怖さのようなものを感じていました。

わずか8人。たった8人。

いや、人数でいえば前日の2期生だって同じです。

でも我々は33人で始まった乃木坂46を見てしまっている。

相次ぐ卒業生を成長著しい3期4期で埋めてきたのがここ数年の乃木坂でした。
1期至上主義のファンの中には大きくメンバーが入れ替わってしまったグループを認めない人もいることでしょう。私自身は現在の乃木坂も本当に素晴らしいと思っていて、だからこそ推しである井上小百合が卒業してもグループを応援し続けています。

ただ、この日は1期生だけ。

白石麻衣も西野七瀬も生駒里奈も桜井玲香も若月佑美も衛藤美彩も深川麻衣も温泉トリオも、そして橋本奈々未もいない1期生。

それは果たして「乃木坂」なのか。

何年も応援してきた1期生たちを「こんなの乃木坂じゃない」と感じてしまうのではないか。そんな漠然とした不安を抱えながらTVの前に座っていました。

セットリストはこちらです。

Overture
01. 制服のマネキン(センター:生田絵梨花・星野みなみ)
02. 会いたかったかもしれない(センター:生田絵梨花)
03. 指望遠鏡(センター:星野みなみ)
04. 君の名は希望(センター:齋藤飛鳥)

他己プロデュースコーナー(演者/プロデュース)
05. 13日の金曜日(生田絵梨花/星野みなみ)
06. Out of the blue(秋元真夏/齋藤飛鳥)
07. 僕のこと、知ってる?(高山一実/松村沙友理)
08. 命は美しい(樋口日奈/星野みなみ)
09. ロマンスのスタート(齋藤飛鳥/秋元真夏)
10. 欲望のリインカーネーション(星野みなみ/和田まあや)
11. 釣り堀(松村沙友理/生田絵梨花)
12. ガールズルール(和田まあや/松村沙友理)

13. でこぴん(センター:樋口日奈)
14. ここじゃないどこか(センター:高山一実)

15. インフルエンサー(センター:高山一実・樋口日奈)
16. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた(センター:和田まあや)
17. Against
18. 裸足でSummer
19. ごめんね、スムージー(センター:星野みなみ・松村沙友理)
20. 心の薬

21. ぐるぐるカーテン(センター:生田絵梨花・星野みなみ)

EN1. 思い出ファースト(センター:秋元真夏)
EN2. ボーダー(センター:松村沙友理)
EN3. I see…(センター:星野みなみ)

EN4. 左胸の勇気(センター:生田絵梨花・齋藤飛鳥)

観終わった時の気持ちをどう言葉にすればいいんでしょう。

色んな記憶と感情が揺さぶられたけど、一言でいうならば幸せな時間でした。




「奇跡のような者たちが集まった」


例によって印象に残ったシーンを挙げていきます。

本日のビジュアル仕上がってんなあメンバーは、齋藤飛鳥と悩むところですが星野みなみ

結成当初から見てきた古参からすると、目くるめく名シーンの連続でした。

まず最初の『マネキン』からして色々思うところがありますよね。
2017年東京ドームのオープニング曲。そして生駒里奈の「死ぬまで私の代名詞と言わせてください」。

全体ライブだと飛鳥センターでやることが多いこの曲ですが、そこは1期ライブ。
オリジナルフロント生生星のうち2枚が現役ですから素直に生田絵梨花星野みなみがセンターに立ちます。
しかもいつ以来なのかちょっと思い出せないぐらい久々の「胡坐振り付け」。

どうしてもコスプレ感が強くなってしまうこの曲の衣装をなんとなく(「難なく」ではない)着こなしてみせる齋藤飛鳥と星野みなみはさすがとしか言いようがない笑

MCを挟んでメンバープロデュース企画、真夏の全国ツアーでやった「ジコチュープロデュース」の他己版ですね。

トップバッターは生田絵梨花センターで、乃木坂史上屈指の可愛い衣装を誇る『13日の金曜日』。こんなにAフレのボーカルが安定したこの曲を聴くのは初めてだ笑
この衣装を着る星野みなみ松村沙友理というのも新鮮。

そして「日本でいちばん優しい女性」こと高山一実は『僕のこと、知ってる?』をピアノ弾き語りで披露。というフェイク。エンディングだけ本当に弾いたのですが、めちゃめちゃ手が震えていたのがなんとも微笑ましかったですね。

そしてこの日のハイライトのひとつでしょう、生田絵梨花プロデュースによる松村沙友理の『釣り堀』でファンをしんみりさせてからの和田まあや『ガールズルール』というとてつもない落差。(ここは後の記事で別途書きます)

MCでこのコーナーを振り返った時の生田絵梨花秋元真夏に対するコメント「いい感じに腹が立った」がなんか横澤夏子や吉住あたりの女芸人に対する誉め言葉っぽい。

そして大人っぽいパフォーマンスを誉められた星野みなみが「じゃあこれからは乃木坂のセクシー担当で!」と意気込むも、色めき立った周囲の「いいんですかあ!?」に一瞬で腰が引けて「嫌ですやっぱ」も面白かったですね。

続いてお姉さん組と年少組が曲を入れ替えるという企画。

『でこぴん』のセンター、すなわち白石麻衣ポジションが樋口日奈なのが良かった。

そして『ここじゃないどこか』では可愛い声を出そうとして全然出せていない高山一実
メンバーが幕を持つ演出はシンプルに1stバスラの再現だったんですね。
一瞬『走れ!Bicycle』を全握で初披露した時に、選抜メンバーがスタンバイするのをアンダーメンバーが持った幕で隠すという屈辱の記憶のオマージュ…というかそれを乗り越えて今があるというメッセージかと思ってしまいましたがそれは穿った見方が過ぎますね。

『ごめんね、スムージー』。
一度もオリジナルメンバーで披露することが叶わなかったこの曲をセレクトしたのは「温泉トリオへのメッセージだ!」と思いたいところですが、単に「この曲、可愛くて好き~」ぐらいのゆるい理由でしょうね笑

そして生田絵梨花ピアノ伴奏での『心の薬』!これにはちょっと「うおっ」と声が出ました。

古参オタにとってはとてもとても特別な曲です。
最初のプリンシパル。彼女たちが初めて見た地獄。今となっては笑い話かもしれないけれど、当時は本当にボロボロになった記憶。

そして『ぐるぐるカーテン』で本編は幕を閉じます。

アンコール1曲目。
そこから怒涛の後輩曲3連打。

エンディング目前のメンバーたちの感想がまた、なんとも胸に沁みるものでした。

「いい人の周りにはいい人が集まる」そう言った星野みなみ

違いますよね。
いい人には、周りまでいい人にしてしまう力があるんです。
北野優二(『いいひと。』の)がそうであったように。

松村沙友理の「本当に素敵なライブになったんじゃないかな」という言葉にはメンバーの素直な満足感が表れていたように思います。

最後の最後に歌われたのがデビューシングル、ではなくそのアンダー曲というのがまた最高じゃないですか。

そういえばこれ、最初のプリンシパルのエンディング曲でもありましたね。


終わってみれば私が開演前に感じていた不安など、まったくの杞憂でした。

たった8人でも、乃木坂を象徴するメンバーが卒業しても。
地味めなセトリでもセンターに誰が立っても後輩の曲をやっても。

もう、何をやっても乃木坂。猫語でさえ笑

やっぱり1期生は「余裕」とか「懐の深さ」とか「地力」とかそういうものが違います。

なぜなら彼女たちがThe Originalだから。



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!!!注意!!!
これはあくまでも「想像上のライブレポ」です。
実際に行なわれたものではございませんのであらかじめご了承ください。

アンダラユニット曲セレクション


ステージにひとり残ったかりんが観客に問いかける。
「まだまだ、歌い足りない!もっと歌っても、いいですか~!?」

ウォォォォーーーッ!!という肯定の返事が消えるよりも早く、流れ始めたのは『逃げ水』。
どよめきに包まれた客席が、一瞬後に爆発する。

まずステージに現れたのは樋口日奈。
そしてその背後から卒業した能條愛未が登場し、かりんと抱き合う。
2018年アンダラ北海道シリーズでこの曲を歌った3人だ。

次の曲への期待が高まる中、静かなイントロから始まったのは『隙間』。

ふたりに代わって登場したのは斎藤ちはる。2017年アンダラ九州シリーズの再現だ。
ここで一部のファンが気づく。これがかりんのアンダラユニット曲セレクションだということを。

「なんと女子アナ様が来てくれました~」曲が終わり話し始めるかりん。
「会社にお願いしたら奇跡的にOKが出まして…」と照れるちはるに
「おお、社会人みたいだ」まぜっかえすかりん。
「いや社会人だから!」と突っ込み、へへへっと笑うちはる。

たった1年前までは当たり前にそこにあったのに、今ではとても貴重なもののように感じられるやり取り。

さらにゲストの登場は続く。優しいピアノのフレーズと共に現れたのは、伊藤純奈と久保史緒里。
2018年末のアンダラ東京シリーズで絶賛された『私のために 誰かのために』だ。

3人が織りなすハーモニー。そして最後のサビでシャウトする久保。
武蔵野の森総合スポーツプラザで多くの観客に鳥肌を立てさせた圧巻のパフォーマンスが再現される。

その余韻に浸る客席に向かい、かりんが話しかける。
「最後に、ずっと憧れていたあの人と一緒に歌わせてください」

その言葉に続いてステージに登場したのは高山一実だった。
ギターを持った松村沙友理と向井葉月も続く。

高山と白石麻衣のユニット「ホワイトハイ」の楽曲『渋谷ブルース』だ。
高山と顔を見合わせながら、笑顔で歌うかりん。

だが、サビに入ったところでそれは起きた。
ふたりのハーモニーに、もうひとつの声が重なる。

白石麻衣の降臨。

思わぬ「ご本人登場」にポカンと口を開けたまま固まるかりん。
満面の笑みで歌い続ける白石と高山。

「これは本当に聞いてなかった…」曲が終わり、苦笑しながら話すかりん。
「いや~来ちゃいました~!」と、どこまでも楽しそうな白石。

こうしてライブの本編は終了した。


世界一の乃木坂ヲタク


そして。
緑と紫。
場内は彼女のサイリウムカラーに染め上げられた。

「か~り~ん!」「か~り~ん!!」皆が彼女の名を呼ぶアンコール。

照明が灯り、ステージにひとり立ったかりんは、ファンへの感謝の手紙を読み、最後にこう結んだ。

「乃木坂にまつわるすべてが大好きです!夢のような6年間でした!本当に本当に、ありがとうございました!」

万雷の拍手。

この日登場した全メンバーとともに歌う最後の曲は、もちろん『乃木坂の詩』。
琴子も含め、全員が笑顔で高らかに旅立ちの詩を歌った。


メンバーが退場し客電がついても、ファンは再登場を信じて彼女の名前を叫び続ける。

そしてふたたび、あの陽気なイントロが爆音で流れ出す。
『白米様』だ。

「Wアンコールありがとうございます!これで本当に最後の最後です!」
またもこの日出演したメンバーが全員登場し、センターステージに向かって走る。

サビ。間違いなく世界で最も多人数で叫ぶ「はくまい」。

そして間奏を挟んだ最後のサビでは軍団員が縦に並び、軍団長の後ろから3人が顔をのぞかせる。彼女自身かつて「実はあの体勢凄くキツくて後ろから見ると間抜けなんです」と語ったその振り付け。
その背後では「白麻衣様」になりきった白石をメンバーたちが拝んでいる。なんというカオス。

こうして最高にバカバカしくて最高にキュートで、最高に最高な曲が終わった。
祭りのあとを思わせる余韻の中、メインステージで全員が1列に並ぶ。

1期も2期も3期も。選抜もアンダーも。現役メンバーも卒業生も。
全部ひっくるめひとつの「乃木坂46」。そう感じさせる光景だった。

伊藤かりんは決してその輪の中心にいたわけではないけれど、
その輪の一部は彼女がつないだ。

最後に彼女はこう叫んでステージから去っていった。
「私伊藤かりんは、乃木坂1の乃木坂ヲタクから世界一の乃木坂ヲタクになります!」

とびっきりの笑顔だった。


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