ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2022年版」の第2弾は5~10万円のゾーンです。
対象は2022年に発売されたものですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので「記事作成時点の」定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

アンダー5万円部門


さて。

わざわざ上で「記事作成時点の」価格帯と記載している通り、
ベストバイの候補をリストアップしている時点から値上がりして価格帯のゾーンを超えてしまったモデルが多かったんですよ。

この「5~10万円部門」も本来はシチズンのフジツボダイバーのつもりでしたが今年の7月に値上げして10万を超えてしまいました。

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ということでベストバイはこちらに。



Style60’s オープン/セイコー

Ref. SARY213
自動巻き。5気圧防水。SSケース+合皮ベルト。ケース径40.8mm

プレザージュの1シリーズ「Style60’s」。

公式サイトの説明は以下の通り。

 1964年に発売された「クラウン クロノグラフ」の意匠を取り入れ、ボックス型ガラスや立体的なインデックス、シャープな形状の針をアレンジして採用。柔らかな印象で1960年代当時のヴィンテージ感を醸成しています。(セイコー 公式サイトより引用)

要するに2020年の限定モデルのレギュラー化ですね。

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ちなみにこの限定モデルからの主な変更点(デザイン以外)はムーブメントが6R系から4R系にダウングレードし、サイズも縦横がちょっとだけ小さくなっています。

Style60’sにはシンプル3針とかカレンダー針つきとかGMTとかいろいろバリエーションがあるのですが、今回ベストバイに選出したのは「オープンハート」。

個人的にはオープンって「若い」デザインだと思うので実はあまり好きではありません笑

ただこのモデルのポイントは3時位置の「SEIKO」ロゴ
同シリーズ内でもオープンだけの意匠です。

まあ実際には9時位置のオープンと11時位置の24時間インダイヤルに押しやられての配置なのでしょうけど、これががレトロな感じを醸していて実に良い。

2000年代の「キネティック クロノグラフ」系やそれこそ1970年代の「タイムソナー」(こちらは9時位置)を思い出させますね。

カラーリングもいいですよね。
ブルーのダイヤルとベゼルにヴィンテージベージュの夜光。キャメルのフェイクレザーNATOベルト。

そんなワイルド風味と組み合わされるのがクラウンクロノグラフ由来のどちらかといえばドレス系の顔立ち。なんとも絶妙なバランスです。

 

サイズは厚さ12.8mm、横40.8mm、縦47.0mm。

まあいつもの不満ですけど、ちとデカい。
このデザインなら38mmが良いと思います。

スペックはパワーリザーブ41時間のエントリームーブメント4R39。11時位置の24時間表示、オープンハート、ノンデイト。ドーム型ハードレックスガラス風防、裏蓋スケルトンで5気圧防水です。

定価:66,000円(税込、以下同じ)
実勢価格:48,000円~(楽天市場調べ、以下同じ)

基本は2割引きの52,800円で、一部のお店がそれより若干安い値段をつけています(52,800円でポイント10倍だと実質48,000円なのでそれに合わせているのでしょう)。
最後にまとめます。

オープンハートでドレス系のフェイスにスポーティなベゼル、ヴィンテージ夜光にレザーNATO、とどめに3時位置のSEIKOロゴ。

要素てんこ盛り、でも破綻してないオンリーワンの一本ですね。
逆に言うと汎用性はあまりなく、カジュアルでの使用に限定されそうですが。

まあクラウンクロノグラフのフェイスがお好きであれば上でも書いたようにバリエーション豊富なので選び放題です。

特にGMTモデルのSARY229は格好いいですね。
あとは5気圧防水なのが残念かな。
そのちょっぴりワイルドなテイストゆえに、なんというかある意味「雑に取り回したい」モデルなので。


2023年ももはや終わりそうですが、臆面もなく今年もこの企画をやります。

「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2022年版」
過去分は以下のリンクからご覧ください。

2021年版


2020年版


2019年版


対象は2022年に発売されたモデルですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

それでは価格の安い方から順に発表します。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

アンダー5万円部門


出典:TiC TAC公式オンラインストア

シンプルメカ/Movement in Motion

Ref. MIM-SIMECA-BK/BK
自動巻き。10気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径35.0mm

「Movement in Motion」。
全国に展開する腕時計のセレクトショップ「TiC TAC」のオリジナルレーベル。

ごくシンプルな3針モデル。モデル名もリファレンスもそっけなく「シンプルメカ」笑
ですがこちら、なかなか侮れません。

なんといっても、これ「セイコーデザイン(※)」ですよね
※私はこの言葉を「アプライドのバーインデックスと太い時分針を持つ普遍的で飽きのこないデザイン」と解釈しています

すなわち「俺たちのプアマンズGS」こと超絶大ヒットモデルSZSB011/012/013/014(以下「俺プア」)と同じ方向性

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既に書いたようにどシンプルなセイコーデザイン。リューズガードもなし。
時分針が夜光つきなことと、秒針かかとについている蛇足な飾り笑が「元祖プアマンズGS」こと名機SARB033を思わせますね。

ややラグが華奢ですがこれは俺プアもそうですね。
各時インデックスの内側に夜光がプリントされているのが余計かな。

あとデイト表示が白背景の黒印字なのですが、これも逆が好み。
ただブラックダイヤル以外のモデルがありそちらと共通なのでやむを得ないのでしょう。

特筆すべきなのはそのコンパクトなサイズ感
厚さ 14.0mm、横 35.0mm、縦 43.0mm。
横幅35mmは現行ではほとんど見かけない貴重なサイズです。縦径も短い。

そしてもうひとつ、とにかく安い
これで24,200円(税込)。素晴らしいですね。

実際に現物を腕に乗せてみましたが、案外安っぽくない。
もちろん高級感はありませんが、悪くないです。少なくとも値段以上には見えるかと

ムーブメントはセイコー製NH35=4R35ですので俺プアやダイバースキューバのSBDY系、プレザージュのSARY系といったセイコーのエントリーモデルと同じ。
パワーリザーブや約41時間。あとは裏スケルトンに10気圧防水です。
バリエーションは以下の5種類。

 グレーダイヤル、メタルブレス
 ネイビーダイヤル、メタルブレス
 ターコイズブルーダイヤル、メタルブレス
 ブラックダイヤル、ブラックレザーベルト
 ホワイトダイヤル、ブラウンレザーベルト

一応ベストバイは汎用性を重視しブラック×ブラックにしましたが、メタルブレスも同価格なのでコスパ重視ならグレー×メタルも良いかと。

定価:24,200円
実勢価格:24,200円

俺プアは横幅39.9mmと約5mm大きいのでストレートな比較対象とはなりませんが、シンプルな機械式時計を求めていて「小さい時計」が好みの方にはぴったりでしょう。

ちなみにこの記事を書いている時点で俺プアはどうやら生産縮小して値引きもなくなっており、ディスコンの臭いがプンプンします。そんな中で代替案のひとつとなりうるモデルだと思います。

…と言いたいところなのですが。

こちらのモデルも現在、ネットでは直営のECサイトからしか購入できないようです。
(楽天市場やYahoo!ショッピング等の総合ECサイトでは見つけられませんでした)

そしてターコイズダイヤルは品切れですので、これまたディスコンしそうな雰囲気がありますね。
店頭で腕に乗せてみてピンときたら決断した方がいいかもしれません。




「これで38mmだったら買うのに!」と思ってたら出た


「あー、この時計のここが惜しい!」ってこと、ありませんか?

私はしょっちゅうです。

そして思うのです。「ここをこう変更したやつが出たら買うのに!」と。
まあ実際に出た時に買うかどうかはさておき笑

「惜しい」ポイントでありがちなのはデザインの細部やカラーバリエーションでしょう。

しかし多くの細腕さんにとって最大の壁となるのが「サイズ」。
デザインに一目惚れしてワクワクしながら店頭に行き腕に乗せるも、「収まっていない」状態を見てガッカリする。

個人的にハミルトン「カーキ フィールド マーフ オート」はまさにそれでした。

2014年に公開された映画『インターステラー』の劇中で重要な役割を果たす小道具として作成された時計です。

当初はあくまでも映画内の小道具であり発売はされなかったのですが、公開から5年後となる2019年にリリースされ大ヒット。

マットなブラックダイヤルに全アラビアインデックスとコブラ針。すべてがヴィンテージベージュの夜光。

めちゃめちゃ好み

ただ、デカかった。
横が42mm、縦はなんと52mmだそうです。(公式には縦径のデータがないので他サイトに記載の数値を参考にしました)
52mmって、プロスペックスでいえば「スモウ」に近いぐらいの長さです。

もちろん「これで38mmだったら買うのに!」と思いました。

そして2022年末、なんと本当にその38mm版「マーフ」が出たのです!

正直、大傑作


正直、大傑作だと思います
(ちなみに映画『インターステラー』は観ていませんので純粋に時計に対する評価です)

まずはその優れたデザイン。

上で書いた通り、マットなブラックダイヤルに全アラビアインデックスとコブラ針。すべてがヴィンテージベージュの夜光。

クラシカルでミリタリー。
でも復刻モデルではありません。

そのためヴィンテージウォッチやその復刻モデルにある「垢抜けなさ」「野暮ったさ」が皆無です。(もちろんヴィンテージにおいてそれは「味」であり魅力でもあるのですが)

このマーフはフォントやダイヤル内の配置に隙のなさ、スマートさを感じさせます

そして微かなカーブを描いたドーム型サファイヤクリスタル風防、ノンデイトであること、時分秒全ての針がビシッとインデックスに届いていることなど、腕時計マニアが気にしそうなポイントをきっちり抑えていることもその印象を強めています。



さらに特筆すべきはその縦径の短さ
なんと44.7mmとのことですから42mmモデルの単純なダウンサイジングではなくラグをより短く切ってきたのです。
細腕さんにとってこれがどれほど嬉しいことか。もちろん標準的な腕の太さの方にとっても装着感は大幅に向上しました。

ベゼルはポリッシュでケースはビッシビシのサテン仕上げ
一見それほどエッジは立っていないように見えますが実際に触ってみるとなかなか。逆に言うとこれ以上エッジが立っていればそれはもはや(スウォッチグループでひとつ上のグレードの)ロンジン笑

白いステッチの入ったブラックレザーベルトはハミルトン的なゴワゴワのもの。
ちなみにベルト幅は20mmなのでレザーやNATOなら無限の選択肢があります。

ムーブメントはH-10。
信頼のETA2824ベース。驚異のパワーリザーブ80時間。フリースプラング方式(一言でいえば精度を向上させる仕組み)採用。
そしてこのモデルはニヴァクロンゼンマイ。これはスウォッチ・グループ傘下の二ヴァロックスが開発した新しい合金で、高耐磁性能が特徴ですからこちらも精度向上に寄与しています。

スウォッチグループだからこの価格帯で実現できた、としか言いようがないハイスペックムーブメントですね。

それ以外のスペックは大型で操作しやすいリューズ、裏スケルトン、10気圧防水といったところです。

ちなみに42mmモデルとのデザイン上の差異はほとんどありません。

上で書いたラグの長さ以外は、中央がこんもりしたベルトがフラットなタイプになったこと、そして秒針に刻まれたモールス信号がなくなったことぐらいです。

個人的にはどちらも38mm版の方が好みですね。

価格とまとめ




価格は124,300円(税込、以下同じ)。
まだ出たばかりですので正規店でしか取り扱っておらず、すべて定価販売。ただポイント10倍の店舗もありましたのでそちらで購入すれば実質113,000円です。

ちなみに42mmは定価132,000円ですが並行店では100,790円(ポイントは1倍)からありました。

ただしハミルトン公式で2023年2月1日より価格改定を行う旨が発表されていますので、このマーフも値上げ対象となる可能性があります。

!!!2023年2月3日追記!!!
マーフも価格が改定され、38mmが130,900円(+6,600円)で42mmは141,900円(+9,900円)となりました。

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最後にまとめます。

タイトル通り、ひとつの最適解でしょう。

シンプルで極めて優れたデザインとコンパクトなサイズがもたらす汎用性
ミリタリー系ではありますがどこかスマートさも兼ね備えているのでスーツにも合わせられます。
パワーリザーブ80時間、サファイヤクリスタル風防、10気圧防水という高い実用性

初めての機械式時計としても優秀ですが、ロングパワーリザーブでノンデイトなのでセカンドウォッチとしても最高
(念のため補足しますと、パワーリザーブが丸3日以上あるので平日つけて土日外しても次の月曜はまだ動いている。逆に平日は別の時計で土日だけする場合には日付合わせが必要ないためです)

ディテールにも配慮が行き届いているので初心者からマニアまでお勧めできます。

ウィークポイントはレビューでちらほら見かける夜光の弱さぐらいですね。

コブラ針のフィールドウォッチということで、競合するのはアルピニストセカンドや超絶人気モデルSZSB006(セイコーとTicTacのコラボモデル)あたりでしょうか。
ただその両者とは価格帯も違えばデザインの方向性も違うように思います
そして価格が上な分、仕上げとムーブメントのクオリティはマーフにアドバンテージがありますね。

あと注文をつけるならメタルブレスモデルもほしいかな。

そもそも映画がこのブラックレザーベルトですしこれが一番格好いいだろうとも思います。
ただメタルに換装すれば全細腕さん待望の「エクスプローラーの代替品」を狙える時計じゃないかと。

標準のカーキフィールド38mmにメタルブレスモデルがありますが、あちらは縦径が47mmなのでフラッシュフィット部がピタッとは合わない(「足」がちょっと出る)でしょう。

ぜひこのマーフ38mm専用のブレスを!

エクスプローラーの代替品についてはどこかで記事にしたいと考えています。

以前に「フジツボダイバー」ことシチズンNB-6021の記事を書きましたが、同時期=2022年夏にはセイコーとオリエントもダイバーズの新作を発売していました。

いずれも60年代から70年代の国産ダイバーズ黎明期の復刻、奇しくも揃って41mm径

そうくると並べて比較したくなるのが人情ってもんです。

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各社モデルの特徴


セイコー:「セカンド前期型現代デザイン」

Ref. SBDC171/SBDC173

セイコーさんの、公式サイト上に特集ページもなく製品情報ページにも特に何の補足もない新作。どうも「キングタートル」がディスコンっぽい(これも別途記事にする予定)ので一瞬「タートルまで6Rムーブメントにして大幅値上げか!?」と思ったんですが、違いますね。

これ、セカンドダイバー「前期型」の現代デザインです。
(有名な植村ダイバーはセカンドダイバー中後期型)

恐らく初出は1968年。
オリジナルとの違いは各時のインデックスが細いこと。オリジナルはほぼ正方形。そしてデイト表示の位置。オリジナルは3時でこちらは4時半ですね。これはダイバーズの規格に合わせるため(各時位置の夜光が必須となったとのこと)やむなし。

話がややこしくなりますが「オリジナルの」前期型と中後期型の違いも書いておくと、ケースサイズがそれぞれ約41mmと44mm。後者はベゼルからかなり張り出したケース形状であり、さらに4時位置に特徴的なリューズガードを備えています。

スマートな前者と武骨でボテッとした後者。

この差異は現代デザイン同士でも表現されており、今回の「前期現代」は「植村現代」のSBDC109と比べスマート。ホワイトダイヤルの171など、もはやモダンでスタイリッシュと表現してもいいぐらいに感じます。
さらにジュビリーブレスを採用。現行セイコーダイバーではこちらだけです。


出典:セイコー公式サイト

サイズは厚さ12.3mm、横41.0mm、縦46.9mm。
その他スペックはプロスペックスのSBDC系共通のもの。パワーリザーブ70時間の6R35ムーブメント、200m防水、サファイヤクリスタル風防。

バリエーションは2種類。
ホワイトダイヤルの171。ブラックダイヤルにゴールドの針、インデックス、印字の173。

…また標準モデル=ゴールドを使わない普通のブラックダイヤルがない。アメリカでは出すのに(ラバーベルトですが)。相変わらず何考えてるんですかね?

シチズン:「復刻フジツボダイバー」

Ref. NB6021-17E/NB6021-68L

オリジナルはチャレンジダイバーの1977年モデル。

すごくざっくり言うとベンツ針を備えたクラシカルダイバーズ、そして安いのにチタン製に耐磁2種。


出典:シチズン公式サイト

サイズは厚さ12.3 ㎜、横41.0 ㎜、縦はデータなし(約49mmらしい)。

こちらのモデルについては既に記事にしていますので詳細はそちらをご覧ください。

関連記事:


オリエント:「ダイバー1964 2nd エディション」

Ref. RK-AU0601B/RK-AU0602E

オリジナルが1964年初出の「カレンダーオートオリエント」。
知らないです笑…超マニアック

今回「2ndエディション」と謳っているのは2021年に「1stエディション」があったため。
そちらのオリジンは同じく1964年発売ながら似て非なる「オリンピアカレンダーダイバー」。ややこしいですね。1stエディションは世界500本限定で、現在は完売しています。


出典:オリエント公式サイト

針とインデックスのデザインはほぼオリジナル通り。
それなのにオリエントスターこだわりの12時位置パワーリザーブインジケーター。どう考えても蛇足ですね。
でもこれがないとただの地味なサブパクり時計に見えるかも。

12時位置の逆三角形と各時のドットインデックス、一見ベンツっぽい時針(円の中の線がないので通称「タコ針」だそうです)。全体に「小ぶり」なのが逆に味になっています。
細かいところでいえばミニッツサークル(分目盛りの外周円)もクラシカルな意匠ですね。
ジュビリーブレスでシリコンベルト付属。


サイズは厚さ14.5mm、横41.0mm、縦49.6mm。この中では一番厚く、重厚感がありますね。

バリエーションはブラックの0601Bとグリーングラデーションの0602E。後者は公式オンラインストア限定となっています。

それでは、戦ってもらいましょう!


「デザイン」「再現性」「質感」「コスパ」の各項目について、例によって独断と偏見で順位をつけてみました。

デザイン:セイコー>シチズン>オリエント

セイコーが最も縦径が短くコンパクト。特にホワイトダイヤルはどことなくDOXAあたりを思わせるスタイリッシュさ。
シチズンは「ザ・普通」ですがベンツ針なのが嬉しいところ。
オリエントはせっかくほとんど完全再現のデザインなのに、メーカーこだわりのパワーリザーブインジケーターが邪魔をしている。まあこれがなければ古臭くて垢抜けないデザインでしょうけれど、好事家はそれが良いのでは?

再現性:シチズン>オリエント>セイコー

パッと見かなりオリジナルに近いシチズン。
オリエントは上に書いた通り。惜しい。
セイコーは現代デザインなので完全再現は敢えてやらないという縛りがあり、さらに植村ダイバー現代デザインとの差別化も図らねばならないので再現性は低め。


出典:オリエント公式サイト

質感:オリエント>セイコー>シチズン

ダイバーズらしい重厚感のあるオリエント。ジュビリーブレスも良い。
同じくジュビリーブレスでいかにもSBDC系らしいサテンの質感が出ているセイコー。
シチズンはチタンなので仕上げが甘い印象。まあこれは軽さや価格とのトレードオフなのですが。

コスパ:シチズン>セイコー=オリエント

これはぶっちぎりでシチズン。
実勢価格はセイコー132,000円(税込、以下同じ)オリエント123,200円に対し、シチズンは96,800円。黒文字盤はウレタンベルトなのでさらに安く67,760円!
しかもチタン製で耐磁2種。パワーリザーブが短いとか風防が無反射コーティングされていない(らしい)という減点材料はありますが、この価格設定では文句は言えないかと。

実用性、コスパのシチズン
スマートで他の自社ダイバーとの差別化を図ったセイコー
クラシカルな意匠を重厚感のある仕上げで纏めてきたオリエント

まあ最後はお好みとご自分の既存コレクションに合わせてお選びくださいというありふれた結論になってしまうのですが笑

個人的にはSBDC171のスマートなホワイトダイヤルが好きですね。



フジツボダイバーとは


フジツボダイバー。シチズンのダイバーズウオッチ「チャレンジダイバー」の愛称です。

公式サイトによれば、1983年にオーストラリアのロングリーフビーチでフジツボに覆われながらも動き続けている個体が発見されたことがその由来。

このエピソードの元となった1977年発売のモデルを復刻したのが今作。
ちなみにチャレンジダイバー自体がスタートしたのは1960年代末ごろという説もあります。

オリジナルをほぼ踏襲したデザインとクラス最強のスペック


最初に結論言っちゃいますと、これ素晴らしいですね

ベンツ針なので脊髄反射的にロレックス「サブマリーナ」のパクりとか言う人もいるでしょうけど、オリジナルのデザインを踏襲しているだけなんですよね。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。
もちろんオリジナルデザインはサブマリーナの影響下にあったでしょう。でもちゃんと独自性もあった(後述するインデックス)。
そして今作は「サブに似てる」というそしりを受けないためだけに改変するという愚をおかさず、ストレートにデザイン復刻を行なった

そういうことだと思います。

インデックスは国産アンティークダイバーにありがちな無骨な四角いやつ。
セイコーのファーストダイバー(そしてその現代デザイン)にも似ていますね、って書いちゃうと話がややこしくなりますが笑
とにかく12時位置の細長い逆三角形と各時のドットインデックスが特徴的なサブとは明らかに違います。

リューズガードのないシンプルなケース、スッと伸びたラグ。
ベゼルのフォントも、区切りラインがテーパーしているのもオリジナルと同じイメージですね。
 
ほんの若干、モディファイが入っている箇所もあります。

オリジナルはたぶん12時と6時のインデックスが同じサイズですが、このモデルでは6時の方が小さいですね。自分はこっちの方が好きです。

そしてリューズが小さい。これは大きいままの方がアンティーク感が出てマニア受けは絶対に良かったのに残念ですね。

あとは6時位置のPROMASTERマーク(上向き矢印みたいなやつ)。
セイコーの悪名高いPROSPEXマーク(「X」)と同じで絶対にユーザーは嫌がるのに、なんでメーカーはこだわるんでしょうね。よくわからないです。

サイズは厚さ 12.3 ㎜、横 41.0 ㎜。縦はデータなし。

スペックは200m防水にサファイアガラス風防。そして耐磁2種、平均日差-10~+20秒というミドルハイクラスのムーブメント。しかも軽いチタン製。

間違いなくこの価格帯(詳細は後述しますが、実勢価格)では最強クラスの実用性
パワーリザーブだけが42時間とやや物足りない数字になっています。

バリエーションは2種類。

NB6021-17E

ダイヤル、ベゼル共にブラック。ウレタンベルト。



NB6021-68L

ダイヤル、ベゼル共にブルー。メタルブレス。



価格とまとめ


 

ブラックが定価96,800円(税込、以下同じ)。実勢価格は3割引きで67,760円。ポイント10倍還元で実質価格は61,600円(!!)
ブルーは定価121,000円(税込、以下同じ)。実勢価格は3割引きで84,700円。ポイント10倍還元で実質価格は77,000円。

ブラックは実質6万ちょい。まさにコスパ最強

シリーズエイトで同じムーブメントを積んでいる「831」が定価販売で実勢価格132,000円なので、メタルブレス同士で比較しても5万近く安い。しかもあちらはSSでこっちはチタン。
正直、ダイバーズを1本も持っていない人だったらとりあえず買っちゃえばいいぐらいのバーゲンプライスだと思います。あって困らないでしょ、これ笑

あとさらに言っちゃうと「ベンツ針のダイバーズが欲しいけどオマージュウォッチは嫌だ」という人にも最適です。

サブが欲しいけど高すぎて買えない。
でもモロパクりの時計はさすがに恥ずかしくて嫌だという人が一定数いると思うんですよ。

いわゆる「スーパーコピー」とか「ブランドロゴ以外全部一緒じゃん」みたいな時計とは違い、こちらのモデルは1970年代の国産ダイバーズのかなり忠実な復刻。そして上に書いたようにちゃんとサブとはデザイン上の差異もありますからね。

「出自のしっかりした」国産ダイバーズでベンツ針というのは、ある意味願ったりかなったりなのではないでしょうか。

敢えて不満を言うならば質感ですかね。

チタン自体の特性(加工が困難、くすんだ色合い)によるものですけれど、エッジが立っていなくて仕上げが甘いという印象。軽量なのと相まって「安っぽい」と感じる人もいるかもしれません。
でもこの値段とスペックでそこ文句言うのは違うかな笑

あとは細かい点で気になることがいくつか。

ブルーの実物を見たのですが、ちょっとキラキラしすぎていると感じました。

ダイヤルがサンレイ仕上げなわけではないので、ベゼル(アルミらしい)が理由かな?
あとは風防が無反射コーティングされていないようなのでそれも原因のひとつかと。
店内の明るい照明の下ではあるのですが、ちょっと気になりました。

あとはブラックにメタルブレスという設定がないことも個人的には残念。
オリジナルがラバーなのでそれを踏襲するのは良いのですが、メタルブレスのモデルも別に準備してくれれば嬉しかったですね。


とはいえ、王道ダイバーズデザインかつアーカイブからの復刻。
実用性は抜群、しかもチタン。

繰り返しになりますが、バーゲンプライスです。

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