ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2022年版」の第3弾は10~30万円のゾーンです。昨年はここを10万円刻みでふたつに分けていたのですが、今回は20~30万円ゾーンが「該当なし」だったのでひとつにまとめました。
対象は2022年に発売されたものですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので「記事作成時点の」定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

10~30万円部門



カーキ フィールド マーフ 38mm /ハミルトン

Ref. H70405730
自動巻き。10気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径38mm

2014年に公開された映画『インターステラー』の劇中で重要な役割を果たす小道具として作成された時計を公開から5年後となる2019年にリリースし大ヒット。

そちらは42mm径だったので細腕さんにはちと厳しかったのですが、待望の38mm径リリース。

一見クラシカルで無骨でありながら、実はモダンで隙のないデザイン。
高い実用性でファーストウォッチでもセカンドウォッチとしても実に優秀

こちらの時計については以前に記事にしていますのでその魅力の詳細はこちらをご覧ください。(当ブログでアクセスランキング上位常連の人気記事です)

関連記事:
 

定価:136,400円(税込、以下同じ)
実勢価格:117,800円~(楽天市場調べ、以下同じ)

定価は2度値上げしてしまいましたが、発売からちょうど1年が経過し並行品も市場に出てきました。最安値は約15%引きですね。
さて、ベストバイはこちらなのですが既に記事にしている時計ですので「次点」も発表します。

10~30万円部門・次点


 

シチズンコレクション メカニカル 銀箔漆文字板/シチズン

Ref. NB1060-04A
自動巻き。10気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径38.2mm

「シチズンコレクション」。
まあ悪く言えば要するに「アテッサ」とか「プロマスター」のようなシリーズ名がつかない「その他」。

ですがこの時計、凄くいいです。

端正なデザインのドレスウォッチ

細身のアプライドインデックスにドーフィン針、もちろん夜光なし。
まあ遠慮なしに言ってしまえばグランドセイコー的なデザイン。

そして最大の特徴は「銀箔漆文字盤」。
たぶんスペック上はシルバーなんでしょうが、遠目の印象では白。そして近くで見ると「和」を感じさせる表情があるダイヤルです。
一見地味なのでスーツにも違和感なく着けられるけれど、実は個性があるというのが良い。

ベゼルはポリッシュ。ラグは表面と側面はサテン、斜めの面がポリッシュ。
この仕上げの質感も価格を考えれば実に優秀。

サイズは厚さ12.0mm、横38.2mm、縦はデータなし(ある販売店さんの記載によれば46.5mm)。

その他スペックはドーム型サファイヤガラス風防で裏蓋スケルトン。肉厚なコードバンのレザーベルトとDバックル。約42時間パワーリザーブのキャリバー9011そして10気圧防水。

「惜しい」ところがない、ちゃんとしたドレスウォッチに仕上がっています。

そして特筆すべきはその価格。

定価:137,500円(税込、以下同じ)
実勢価格:93,580円~(楽天市場調べ、以下同じ)

これ、3割引きで実勢がアンダー10万円なんですよ。
さらにショップによってはポイント10倍とかあるので実質9万円を割るところまでいきます。
(ちなみにヨドバシ公式だと93,040円の10%還元で実質83,736円!安い…)

バリエーションは青文字盤。

個人的には正直青の方が格好いいと思います笑
ただちょっと人とファッションを選ぶかな。職種によってはスーツでもいけるけど「地味に着けられる」時計ではないですね。

 

ということでベストバイは白文字盤にしました。

ちなみにベルトがコードバンではなく白文字盤と並べるとペラッとしていますが、その分値段も若干安くなっています。

定価:126,500円
実勢価格:84,480円~

最後にまとめます。

美しい文字盤にコードバンベルトと適切なサイズ感で「残念なところがひとつもない」行き届いたドレスウォッチ
10気圧防水にサファイアガラス、Dバックルと実用性も十分です。

そして「頑張った」価格設定

「漆」ということではプレザージュ初期のヒットモデルであるSARX029が思い出されますね(あちらは黒漆でしたが)。ちなみにこれ、全然在庫がないのですがディスコンしたんですかね?
「和」という意味では近年「日本の美しい四季を文字盤で表現する」ことに傾倒しているグランドセイコーと通じる部分もあります。

シチズンさんが声高に言うことはないでしょうが実は「プレザージュキラー」、価格差まで込みで考えると「GSキラー」を狙ったモデルなのかもしれません。

セイコーさんは「どこかが惜しい」時計(私にとって)を出してくることが多いのですが、シチズンさんは機械式においてはチャレンジャーという意識があるのか、ちゃんとラインナップで真ん中に来るべきモデルを用意しているのも好印象。

同じムーブメントのNB1050なんて実質4万円台でサファイヤクリスタル風防ですから、「プアマンズGSキラー」ですね笑
フジツボダイバーの記事で私は「ダイバーズ持ってないなら、買っちゃえば?」というタイトルをつけましたが、この時計はさしずめ「ドレスウォッチ持ってないなら、買っちゃえば?」という感じです。


以前に「フジツボダイバー」ことシチズンNB-6021の記事を書きましたが、同時期=2022年夏にはセイコーとオリエントもダイバーズの新作を発売していました。

いずれも60年代から70年代の国産ダイバーズ黎明期の復刻、奇しくも揃って41mm径

そうくると並べて比較したくなるのが人情ってもんです。

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各社モデルの特徴


セイコー:「セカンド前期型現代デザイン」

Ref. SBDC171/SBDC173

セイコーさんの、公式サイト上に特集ページもなく製品情報ページにも特に何の補足もない新作。どうも「キングタートル」がディスコンっぽい(これも別途記事にする予定)ので一瞬「タートルまで6Rムーブメントにして大幅値上げか!?」と思ったんですが、違いますね。

これ、セカンドダイバー「前期型」の現代デザインです。
(有名な植村ダイバーはセカンドダイバー中後期型)

恐らく初出は1968年。
オリジナルとの違いは各時のインデックスが細いこと。オリジナルはほぼ正方形。そしてデイト表示の位置。オリジナルは3時でこちらは4時半ですね。これはダイバーズの規格に合わせるため(各時位置の夜光が必須となったとのこと)やむなし。

話がややこしくなりますが「オリジナルの」前期型と中後期型の違いも書いておくと、ケースサイズがそれぞれ約41mmと44mm。後者はベゼルからかなり張り出したケース形状であり、さらに4時位置に特徴的なリューズガードを備えています。

スマートな前者と武骨でボテッとした後者。

この差異は現代デザイン同士でも表現されており、今回の「前期現代」は「植村現代」のSBDC109と比べスマート。ホワイトダイヤルの171など、もはやモダンでスタイリッシュと表現してもいいぐらいに感じます。
さらにジュビリーブレスを採用。現行セイコーダイバーではこちらだけです。


出典:セイコー公式サイト

サイズは厚さ12.3mm、横41.0mm、縦46.9mm。
その他スペックはプロスペックスのSBDC系共通のもの。パワーリザーブ70時間の6R35ムーブメント、200m防水、サファイヤクリスタル風防。

バリエーションは2種類。
ホワイトダイヤルの171。ブラックダイヤルにゴールドの針、インデックス、印字の173。

…また標準モデル=ゴールドを使わない普通のブラックダイヤルがない。アメリカでは出すのに(ラバーベルトですが)。相変わらず何考えてるんですかね?

シチズン:「復刻フジツボダイバー」

Ref. NB6021-17E/NB6021-68L

オリジナルはチャレンジダイバーの1977年モデル。

すごくざっくり言うとベンツ針を備えたクラシカルダイバーズ、そして安いのにチタン製に耐磁2種。


出典:シチズン公式サイト

サイズは厚さ12.3 ㎜、横41.0 ㎜、縦はデータなし(約49mmらしい)。

こちらのモデルについては既に記事にしていますので詳細はそちらをご覧ください。

関連記事:


オリエント:「ダイバー1964 2nd エディション」

Ref. RK-AU0601B/RK-AU0602E

オリジナルが1964年初出の「カレンダーオートオリエント」。
知らないです笑…超マニアック

今回「2ndエディション」と謳っているのは2021年に「1stエディション」があったため。
そちらのオリジンは同じく1964年発売ながら似て非なる「オリンピアカレンダーダイバー」。ややこしいですね。1stエディションは世界500本限定で、現在は完売しています。


出典:オリエント公式サイト

針とインデックスのデザインはほぼオリジナル通り。
それなのにオリエントスターこだわりの12時位置パワーリザーブインジケーター。どう考えても蛇足ですね。
でもこれがないとただの地味なサブパクり時計に見えるかも。

12時位置の逆三角形と各時のドットインデックス、一見ベンツっぽい時針(円の中の線がないので通称「タコ針」だそうです)。全体に「小ぶり」なのが逆に味になっています。
細かいところでいえばミニッツサークル(分目盛りの外周円)もクラシカルな意匠ですね。
ジュビリーブレスでシリコンベルト付属。


サイズは厚さ14.5mm、横41.0mm、縦49.6mm。この中では一番厚く、重厚感がありますね。

バリエーションはブラックの0601Bとグリーングラデーションの0602E。後者は公式オンラインストア限定となっています。

それでは、戦ってもらいましょう!


「デザイン」「再現性」「質感」「コスパ」の各項目について、例によって独断と偏見で順位をつけてみました。

デザイン:セイコー>シチズン>オリエント

セイコーが最も縦径が短くコンパクト。特にホワイトダイヤルはどことなくDOXAあたりを思わせるスタイリッシュさ。
シチズンは「ザ・普通」ですがベンツ針なのが嬉しいところ。
オリエントはせっかくほとんど完全再現のデザインなのに、メーカーこだわりのパワーリザーブインジケーターが邪魔をしている。まあこれがなければ古臭くて垢抜けないデザインでしょうけれど、好事家はそれが良いのでは?

再現性:シチズン>オリエント>セイコー

パッと見かなりオリジナルに近いシチズン。
オリエントは上に書いた通り。惜しい。
セイコーは現代デザインなので完全再現は敢えてやらないという縛りがあり、さらに植村ダイバー現代デザインとの差別化も図らねばならないので再現性は低め。


出典:オリエント公式サイト

質感:オリエント>セイコー>シチズン

ダイバーズらしい重厚感のあるオリエント。ジュビリーブレスも良い。
同じくジュビリーブレスでいかにもSBDC系らしいサテンの質感が出ているセイコー。
シチズンはチタンなので仕上げが甘い印象。まあこれは軽さや価格とのトレードオフなのですが。

コスパ:シチズン>セイコー=オリエント

これはぶっちぎりでシチズン。
実勢価格はセイコー132,000円(税込、以下同じ)オリエント123,200円に対し、シチズンは96,800円。黒文字盤はウレタンベルトなのでさらに安く67,760円!
しかもチタン製で耐磁2種。パワーリザーブが短いとか風防が無反射コーティングされていない(らしい)という減点材料はありますが、この価格設定では文句は言えないかと。

実用性、コスパのシチズン
スマートで他の自社ダイバーとの差別化を図ったセイコー
クラシカルな意匠を重厚感のある仕上げで纏めてきたオリエント

まあ最後はお好みとご自分の既存コレクションに合わせてお選びくださいというありふれた結論になってしまうのですが笑

個人的にはSBDC171のスマートなホワイトダイヤルが好きですね。



フジツボダイバーとは


フジツボダイバー。シチズンのダイバーズウオッチ「チャレンジダイバー」の愛称です。

公式サイトによれば、1983年にオーストラリアのロングリーフビーチでフジツボに覆われながらも動き続けている個体が発見されたことがその由来。

このエピソードの元となった1977年発売のモデルを復刻したのが今作。
ちなみにチャレンジダイバー自体がスタートしたのは1960年代末ごろという説もあります。

オリジナルをほぼ踏襲したデザインとクラス最強のスペック


最初に結論言っちゃいますと、これ素晴らしいですね

ベンツ針なので脊髄反射的にロレックス「サブマリーナ」のパクりとか言う人もいるでしょうけど、オリジナルのデザインを踏襲しているだけなんですよね。

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もちろんオリジナルデザインはサブマリーナの影響下にあったでしょう。でもちゃんと独自性もあった(後述するインデックス)。
そして今作は「サブに似てる」というそしりを受けないためだけに改変するという愚をおかさず、ストレートにデザイン復刻を行なった

そういうことだと思います。

インデックスは国産アンティークダイバーにありがちな無骨な四角いやつ。
セイコーのファーストダイバー(そしてその現代デザイン)にも似ていますね、って書いちゃうと話がややこしくなりますが笑
とにかく12時位置の細長い逆三角形と各時のドットインデックスが特徴的なサブとは明らかに違います。

リューズガードのないシンプルなケース、スッと伸びたラグ。
ベゼルのフォントも、区切りラインがテーパーしているのもオリジナルと同じイメージですね。
 
ほんの若干、モディファイが入っている箇所もあります。

オリジナルはたぶん12時と6時のインデックスが同じサイズですが、このモデルでは6時の方が小さいですね。自分はこっちの方が好きです。

そしてリューズが小さい。これは大きいままの方がアンティーク感が出てマニア受けは絶対に良かったのに残念ですね。

あとは6時位置のPROMASTERマーク(上向き矢印みたいなやつ)。
セイコーの悪名高いPROSPEXマーク(「X」)と同じで絶対にユーザーは嫌がるのに、なんでメーカーはこだわるんでしょうね。よくわからないです。

サイズは厚さ 12.3 ㎜、横 41.0 ㎜。縦はデータなし。

スペックは200m防水にサファイアガラス風防。そして耐磁2種、平均日差-10~+20秒というミドルハイクラスのムーブメント。しかも軽いチタン製。

間違いなくこの価格帯(詳細は後述しますが、実勢価格)では最強クラスの実用性
パワーリザーブだけが42時間とやや物足りない数字になっています。

バリエーションは2種類。

NB6021-17E

ダイヤル、ベゼル共にブラック。ウレタンベルト。



NB6021-68L

ダイヤル、ベゼル共にブルー。メタルブレス。



価格とまとめ


 

ブラックが定価96,800円(税込、以下同じ)。実勢価格は3割引きで67,760円。ポイント10倍還元で実質価格は61,600円(!!)
ブルーは定価121,000円(税込、以下同じ)。実勢価格は3割引きで84,700円。ポイント10倍還元で実質価格は77,000円。

ブラックは実質6万ちょい。まさにコスパ最強

シリーズエイトで同じムーブメントを積んでいる「831」が定価販売で実勢価格132,000円なので、メタルブレス同士で比較しても5万近く安い。しかもあちらはSSでこっちはチタン。
正直、ダイバーズを1本も持っていない人だったらとりあえず買っちゃえばいいぐらいのバーゲンプライスだと思います。あって困らないでしょ、これ笑

あとさらに言っちゃうと「ベンツ針のダイバーズが欲しいけどオマージュウォッチは嫌だ」という人にも最適です。

サブが欲しいけど高すぎて買えない。
でもモロパクりの時計はさすがに恥ずかしくて嫌だという人が一定数いると思うんですよ。

いわゆる「スーパーコピー」とか「ブランドロゴ以外全部一緒じゃん」みたいな時計とは違い、こちらのモデルは1970年代の国産ダイバーズのかなり忠実な復刻。そして上に書いたようにちゃんとサブとはデザイン上の差異もありますからね。

「出自のしっかりした」国産ダイバーズでベンツ針というのは、ある意味願ったりかなったりなのではないでしょうか。

敢えて不満を言うならば質感ですかね。

チタン自体の特性(加工が困難、くすんだ色合い)によるものですけれど、エッジが立っていなくて仕上げが甘いという印象。軽量なのと相まって「安っぽい」と感じる人もいるかもしれません。
でもこの値段とスペックでそこ文句言うのは違うかな笑

あとは細かい点で気になることがいくつか。

ブルーの実物を見たのですが、ちょっとキラキラしすぎていると感じました。

ダイヤルがサンレイ仕上げなわけではないので、ベゼル(アルミらしい)が理由かな?
あとは風防が無反射コーティングされていないようなのでそれも原因のひとつかと。
店内の明るい照明の下ではあるのですが、ちょっと気になりました。

あとはブラックにメタルブレスという設定がないことも個人的には残念。
オリジナルがラバーなのでそれを踏襲するのは良いのですが、メタルブレスのモデルも別に準備してくれれば嬉しかったですね。


とはいえ、王道ダイバーズデザインかつアーカイブからの復刻。
実用性は抜群、しかもチタン。

繰り返しになりますが、バーゲンプライスです。

「独断と偏見で選ぶ!価格帯別腕時計ベストバイ2021年版」の第4弾は20~30万円のゾーンです。昨年までは10~30万円でひとくくりだったのですが、毎年このゾーンに取り上げたい時計が多いので今年から分けてみました。
対象は2021年に発売されたモデルですが、本数限定のモデルは対象外としています。

価格帯は実勢価格だとブレるので定価で区分しました。
記載の価格はいずれも記事作成時点のもので新品税込です。
また併記している実勢価格は各店舗の表示価格=ポイント還元等を含まない金額となります。

当サイトはアフィリエイトプログラムで雀の涙未満の微々たる収益を得てはおりますが、本文の内容は100%私の個人的な意見であり忖度は一切ございません。

20~30万円部門


シリーズエイト 870/シチズン

Ref. NA1004-87E
自動巻き。10気圧防水。SSケース+SSブレス。ケース径40.8mm

8年ぶりの復活となった、シチズン・シリーズエイト。

直線で構成され無骨ながら質感の高いケース、ラグ、ブレスに円を強調したベゼルとドレス系の顔を合わせるという実に絶妙なデザイン

まさに和製「本当に手が届くラグスポ」に仕上がっています。
そして直接の比較対象であろうモーリス・ラクロア「アイコン」が外装に全振りしているのと比べるとこちらは高精度ムーブメント+強化耐磁という高い実用性も備えており、ミドルハイ機(「ザ・シチズン」に次ぐ)として恥じるところのないスペックを備えているのが好感

こちらの時計については以前に記事にしていますのでその魅力の詳細はこちらをご覧ください。


定価:220,000円(税込、以下同じ)
実勢価格:210,000円~(楽天市場調べ、以下同じ)

基本、定価です。実勢価格がアンダー20万だったらなあ、とは思いますね。

シルバーとブルーのバリエーションも出ています。
さて、ベストバイはこちらなのですが既に記事にしている時計ですので「次点」も発表します。

20~30万円部門・次点


ドルチェヴィータ/ロンジン

Ref. L5.757.4.73.9
自動巻き。3気圧防水。SSケース+レザーベルト。ケース径27.7mm

スイスの名門、ロンジン。

かつて(10年ほど前)はオメガと共にスウォッチグループ内でのミッドレンジを担う存在でした。

しかしあれよあれよという間に価格が上がり高級時計の域に達してしまったオメガ(仕上げも非常に向上しましたが…)とは異なり、ロンジンは機械式で20万円台からクロノグラフ等でも40万円台に収まる価格帯を保っています。

腕時計価格の全体的な高騰により、当時はミッドレンジだったこの価格帯をもはやリーズナブルと感じてしまうのが悲しい。

ここまで書いてきて気づいたんですが今回のベストバイ、ものの見事にスウォッチグループのメーカーが並んでいます。

ティソハミルトン、そしてロンジン。
グループ内のメーカーをレンジ分けしていることが知られていますが、その棲み分けがきちんとされているというのを図らずも私が実証してしまいました笑

ちなみにグループ内での各レンジの呼称はスウォッチが「ベーシック」、ティソとハミルトンは「ミドル」、ロンジンは「ハイ」そしてオメガが「プレステージ・ラグジュアリ」です。

話を戻すと、ロンジンのイメージはクラシカルな正統派。
悪く言えば地味なんですが、渋くて通好みともいえますね。
近年では名門ならではの莫大なアーカイブからの復刻も積極的に行なっています。

個人的には費用対効果が高いブランドのひとつだと思います。
(知名度はそれほど高くないので「ステータス」という効果を求めるならば下がりますが)

今回取り上げるのは「ドルチェヴィータ」。

レクタンギュラー(長方形)の時計です。

個人的にはレクタンといえば「エレガント」
落ち着いた大人の時計というイメージ。なんとなく「文化系」という気もしますね。「女性が好む」というイメージもありますがきっとこれはただの偏見でしょう。

ジャガー・ルクルト「レベルソ」やカルティエ「タンク」、そしてジラールペルゴ「ヴィンテージ1945」など、歴史ある名門からそれぞれのメーカーを代表するような名作が出されています。
とはいえどれも名作だけあってそれなりのお値段。(機械式のレベルソで定価70万円台~)

その点こちらのドルチェヴィータは20万円台前半。

こういうクラシカルなデザインを安っぽくなく作るのって難しい…かどうかは知りませんが笑、まあそれを実現しているメーカーって少ないんですよ。そういう意味でロンジンは非常に貴重な存在だと思います。

 

デザインも好きですね。

多くの直線で区切られたいわゆるアールデコ調のダイヤル。クラシカルなフォントのアラビアインデックスにブルースチール針。中ほどにリングをかませたリューズ(呼び方はあるのでしょうか?)もエレガント。

サイズは厚さ10.1 ㎜、横27.7 ㎜、縦43.8 ㎜。
スペックは自動巻きでパワーリザーブ約45時間。サファイヤクリスタル風防で3気圧防水となっています。

定価:229,900円
実勢価格:229,900円

このダイヤルデザインではベルト違いで3種類のバリエーションがあります。
ブラックレザー、ブルーレザー、そしてメタルブレス。個人的にはブルーレザーが一番好きですが、使い勝手という意味では限定されますね。なぜかメタルブレスでも同価格なのでコスパ重視ならそれもありです。

ダイヤル違いではローマンインデックスのモデルもあります。

 

まあレベルソとかタンクを何のためらいもなく買える金銭感覚をお持ちの方はあちらを買えばいいんですよ。

でもこの価格帯に抑えて、クラシカルな時計をきちっと作り上げているロンジンは素晴らしいと思います。



シリーズエイトとは


かつてシチズンが展開していた「シリーズエイト」。

あるサイトによれば「全てのパーツを美しく仕上げる為の8ピースの構造のケース。シリーズ8という名前もその構造に由来」とのことです。

その複雑なケース形状が最大の特徴。

私が時計沼にはまったのが2013年頃でしたのでまだ現行でした。

凄く攻めたデザインで好きだったんですけど、とにかくデカい。
正確な数値は見つかりませんでしたが幅45mmオーバーとかだったと記憶しています。

厚さもなかなか(ケースをレイヤードしているためでしょうか?)で全体として「コロンとした印象なのにソリッドな質感」という独特な個性がありました。

位置づけとしては最高級機「ザ・シチズン」とはベクトルの違うスポーティなミドルハイ機というところ。セイコーでいえば「グランドセイコー」に対する「ブライツ・アナンタ」のようなものです。余談ですがアナンタもいろいろ面白いモデルがあって好きでした。

その攻めすぎたデザインが原因でしょうか。スタートが2008年で2013年にディスコンですから、先代はわずか5年という短命に終わりました。

現在探してみても圧倒的に中古のタマが少ない。
たぶん売れなかったんだろうな…と思わせます笑

しかし2021年、8年ぶりの復活。
しかも当時と同じエコ・ドライブではなく今回は機械式。

こりゃ気になると某家電量販店で実物を見てきました。

武骨+ドレス系×質感



第1弾としてリリースされたのは「870」「830」「831」の3種類、計8モデル。
私のお目当ては最も廉価な831だったのですが…正直、圧倒的に870がいい。

ということで当記事では主に870を取り上げます。

870を一言で表現するならば、高い実用性を備えた和製「本当に手が届くラグスポ」。

パテック・フィリップ「ノーチラス」やオーデマ・ピゲ「ロイヤルオーク」が既に神格化笑された昨今、「本当に手が届くラグスポ」として登場し絶大な支持を集めたモーリス・ラクロアの「アイコン」。

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その大ヒットに触発されたか様々なメーカーが以前よりも堂々と「ラグスポ調」のモデルを発売するようになりました。個人的には正直「タガが外れた」ような印象を受けますが笑

このシリーズエイトも八角形を意識させるケース、それと一体化したラグというラグスポの特徴を備えています。

ベゼル、ケースからブレスまでほぼ全面サテン(斜面のみポリッシュ)で仕上げられた無骨さ。直線的なケースに丸いベゼルの対比。しかも2体構造のツートンベゼルのため、より「円」が強調されています。

個人的に非常に良いと感じたのが文字盤。
公式サイトでトップに掲載されている=メーカー一押しであろうブラックダイヤルモデル。

これが指を乗せたら沈んでいきそうな「ぬめっ」とした艶のある黒なんです。
瞬間的に思いました「GSっぽい」と。

ラグスポ調でありがちなのがロイヤルオークのイメージを踏襲するパターンの刻まれたダイヤルと細めの針。
しかしシチズンはそちらに走らずに、艶のあるダイヤルに太い針とインデックスというドレス系のデザインを合わせてきました。とても好感が持てますね。



直線で構成され無骨ながら質感の高いケース、ラグ、ブレス。
そこに円を強調したベゼルとドレス系の顔。

実に絶妙なデザインだと思います。
ちなみに事前に写真を見ていた時は正直ブラックモデルのツートンベゼルを「やっちまったな…」と思っていましたが、現物を見ると意外と気にならないというかむしろ悪くない。色味が黒ではなくグレーであり、かつ強めのサテンが当たっているのであまりコントラストが強くないですね。

ブレスの装着感も良好でした。

サイズは厚さ 10.9 ㎜、横 40.8 ㎜。縦はデータなし。
横幅40mmオーバーですがベゼルが太いため大きく見えません。ラグもかなり短く切られているのでむしろ締まったサイズ感と感じます。

スペックはパワーリザーブ50時間、日差−5~+10秒という高精度のキャリバー0950。さらに耐磁2種(強化耐磁)に10気圧防水。

この時計の最大のストロングポイントが外装なのは疑いの余地がありませんが、実用性の面でもかなり優秀です。

バリエーションは3種類。

NA1004-87E

ブラック文字盤、シルバーとグレーのツートンベゼル。



NA1000-88A

オールシルバー。



NA1005-17L

ブルー文字盤、シルバーとブルーのミックスベゼル、ブルーのウレタンベルト。


価格とまとめ


定価220,000円(税込、以下同じ)。値引きなし。ポイント10倍還元で実質価格は198,000円。
ウレタンベルトのモデルは定価209,000円で実勢同じの実質188,100円となっています。

結論としては、いい時計だと思います。

いや正直、すごく気に入りました笑
タイトルにも書いた通り、アイコン同様に「本当に手が届くラグスポ」であり、かつ顔とダイヤルの質感はグランドセイコーを思わせるドレッシーさ。

こういう言い方はシチズンさんが嫌がるでしょうけど、まさに「アイコンとGSのハイブリッド」

アイコンの対抗馬になりうる存在です。
若いデザインのあちらに対し、こちらはスポーティでありながら落ち着きも感じさせます。もちろんオンオフ問わず使えるでしょう。

アイコンの実勢価格がこなれてきたのでシリーズエイトももう一声安ければなとは思いますが、実用性ではこちらが優位にあります。

敢えて不満を書くならば、シリーズエイト8年ぶりに復活!の割にはほとんど先代との共通点が見られないことですね。せっかく名前を引き継ぐならもう少しデザインコードも残せばよかったのに…とはちょっと思います。

個人的に1本選ぶならやはりブラックダイヤルのNA1004-87E。
いや本当に艶感のあるダイヤルが良いので、気になった方はぜひ一度現物を手に取っていただきたいです。

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最後に同時に発表された他のラインナップも紹介します。

「830」はリューズガードありのオクタゴンケースで、ベゼルもそのケースより内側に収まっているため八角形を強調したデザイン。
そして白蝶貝の上に格子柄のプレートを重ねるという攻めまくったダイヤル。

サイズは厚さ 11.7 ㎜、横 40.0 ㎜。
スペックは870と同じです。

定価190,000円。値引きなし。ポイント10倍還元で実質価格は178,200円。
グレーPVD加工モデルは定価209,000円で実勢同じの実質188,100円となっています。

サイズは厚さ 10.1 ㎜、横 40.0 ㎜。
パワーリザーブ42時間、日差−10~+20秒のキャリバー9051にダウングレードしている分、安くなっています。耐磁と防水性能は同じなのが嬉しいところ。

定価132,000円。値引きなし。ポイント10倍還元で実質価格は118,000円です。

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