ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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2020年1月に復活した機械式アルピニスト。

シリーズ名としては1960年代からありますが、そのスタイルが確立したのは1995年発売のSVCF005/007/009。それ以降はサイズやムーブメントは変わったもののデザインエッセンスは四半世紀の間ほぼ不変。

最大の特徴はインナーベゼルの簡易方位計。そして偶数時はアラビア数字、奇数時はくさび型が交互に並ぶいわゆる飛びアラビア数字のインデックスにコブラ針です。

マニアの間での異名は「和製エクスプローラー」。

アウトドアウォッチという出自やコブラ針(むこうはベンツ針ですが)と飛びアラビア数字インデックス(むこうは3・6・9ですが)がロレックス「エクスプローラー(以下「エク1」)」を思わせるというのがその由来です。

リンク先記事にその歴史や特徴を詳しく書いていますのでよろしければご一読ください。

 

そのアルピニストに、25年目にして初めてデザインバリエーションが登場しました。
一言でいえばシンプル版アルピニスト。マニアとしては「あれ、これ本気でエク1に寄せてきたんじゃ?」と思わざるを得ません笑

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標準モデルからの変更点

1月に出たSBDC087/089/091/093(便宜上、以下「標準モデル」)との変更点は以下の通りです。

まず一番目につくのが簡易方位計ならびにそれを操作する4時位置のリューズがなくなったこと。アルピニストのアイデンティティである簡易方位計を手放すという思い切った変更です。

そしてさらに思い切ったのが今回発表された3モデルすべてが岩肌のようなざらつきを表現したグラデーションダイヤルというラインナップ。以前に紹介したオリエントスターアウトドアのRK-AU0206Bに似ていますね。

 
さらに細かく見ていくと、インデックスがアプライドから退色ベージュのプリントに。外周もドット夜光以外退色ベージュ。外周の細かい秒目盛りもなくなりました。

デイト表示は黒地に白文字(標準モデルと逆)でサイクロップスレンズもなし。
3時位置のリューズガードもなくなっていますね。

とにかく全体にシンプルになりました。

その分、厚さ 12.9 ㎜、横 38 ㎜、縦 46 ㎜とサイズがコンパクトになっています(ちなみに標準モデルは厚さ 13.2 ㎜、横 39.5 ㎜、縦 46.4 ㎜)。現行機械式プロスペックスでは最小となる38mm径が嬉しいですね。

それ以外の基本スペックは標準モデルとほぼ同じ。
おなじみ70時間パワーリザーブの6R35ムーブメントに20気圧防水、風防はサファイヤクリスタルで裏蓋スケルトン。そしてレザーベルトモデルはDバックル標準装備となっています。例によって全モデル流通限定=値引きなしです。

SBDC115

標準モデルでは一番人気(と思われる)グリーン、そのグラデーションダイヤル。あちらと同様に針とSEIKOマークはゴールド。こちらはメタルブレスを装備。

SBDC117

ブルーグラデーションダイヤルに同色のレザーベルト。針とSEIKOマークはシルバー。

SBDC119

ブラックグラデーションダイヤルに同色のレザーベルト。針とSEIKOマークはシルバー。

凄くいい、だからこそ気になる


下のまとめで改めて書きますが、いい時計だと思います。

ただ…個人的には色々惜しい。

まず、インデックスがプリントなこと。

コスト削減なんですかねぇ。ここは頑張りどころだったと思うんですが。標準モデルと同じアプライドインデックス使えばいいのに。使いまわしで済むんだし。

まあ無理やり好意的に解釈すればヴィンテージのエク1もプリントインデックスですからそれに寄せたと言えなくもない笑

ただ、この時計ではインデックスと外周がヴィンテージテイストのベージュ。
そして夜光は針と外周上のドットで、それは白なんですよね。

ん~、なんかちぐはぐに感じます。
夜光が退色してベージュになる方が自然じゃないでしょうか。

さらに言えばブラックとブルー文字盤は針とSEIKOマークがシルバーなのも気になります。ここはグリーンと同じようにゴールドにしてベージュのプリントと色調を合わせるべきなのでは。

そして誰もが思うことでしょうが、なぜプレーンなダイヤルがない?デフォあっての変わり文字盤でしょうが。

オリエントスターアウトドアは格好いいしこれも実物はかなり良さそうです。ただ、まず普通のやつをくれまいか。

あとはリューズガードも残してほしかったですね。

 

今後のバリエーションとして期待したいのは以下のふたつ。

まずはエクスプローラーっぽくすることに全振りしたバージョン。

普通のブラック文字盤に現行セイコー5と同じ「フチありアプライド」インデックスでエク1っぽく。当然インデックスのフチと針とSEIKOマークはすべてシルバー。であればリューズガードもなしのままで。メタルブレス。
インデックスと外周のプリントと夜光はどちらも白で。これをどちらも退色ベージュにした限定モデルとか出したらめちゃめちゃ売れそう笑

続いてアルピニストの色を強く残すならこんな感じでしょうか。

ブラック文字盤で標準モデルと同じアプライドインデックス(フチだけでなく全面)。インデックスと針とSEIKOマークはすべてシルバーでこちらはリューズガードあり。メタルブレス。
外周のプリントと夜光はどちらも白で、細かい秒目盛りも復活。

どちらも見てみたいけど、特に前者の「全力エク1」は本気でやってくれないかなあ。

セイコーさん、アイディア料は現物支給でオーケーですよ笑


価格とまとめ


定価は標準モデルから5,500円(税込、以下同じ)安い設定になり実勢でメタルブレスが79,200円、レザーベルトが77,000円。実質はポイント10倍でそれぞれ71,280円と69,300円。

上ではぶつくさ文句を言っていますが「アルピニスト」の名を冠した時計であること、そして「和製エクスプローラー」というかねてからの愛称に一歩近づいたデザイン変更であることを考えるとどうしても色々言いたくなるってだけです。

その辺の思惑を抜きにすると悪くない…どころか優秀なフィールドウォッチだと思います。

70時間パワーリザーブの6R35ムーブメント搭載機では最安値。
そして細腕さん待望の38mm径。

この2点だけでも高く評価したいですし、加えて20気圧防水ですから使い勝手としては抜群にいい。(その意味では文字盤のクセだけがちょっと気になりますが)

標準モデルも仕上げが良かったので、恐らくこちらも価格以上の仕上げなのでしょう。時計単体としては魅力十分です。

ましてこの加工文字盤に魅力を感じる人であれば強くお勧めできます。

以前に紹介したオリエントスターアウトドアや、そこでも取り上げたハミルトン「カーキフィールド」あたりとともに、アンダー10万円のフィールドウォッチとして非常に有力な選択肢だと思います。





実店舗に置かれず、公式サイト上に情報もないセイコーの「ネット限定」モデル。
メーカーが作らないならば、と今回手作業でカタログを作成してみました。

そのあたりの経緯を書いたインデックス記事はこちらです。

 

SBDY~のモデル(タートル、サムライ、モンスター、ベビーツナ)はこちらです。

 

当記事にはモデル名SBDC~のものをまとめました。

なお情報は全て記事作成時点、楽天市場で調べたものであることをお含みおきください。
また価格は全て税込です。
(調査日:2020年10月8日)

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ファーストダイバー現代デザイン(旧型)


1965年発売の国産初のダイバーズウォッチ、通称「ファーストダイバー」のデザインを現代風にアレンジしたもの。2020年にフルモデルチェンジした現行モデルが現在絶賛大ヒット中。

このファースト旧型について詳しく書いた記事はこちら。

 

ファースト現行についての記事はこちらです。旧型との比較もこちらをご参照ください。



 

ちなみにファースト現行のネット限定モデルは現在のところリリースされていません。

共通スペック:
自動巻きキャリバー6R15、パワーリザーブ50時間。200m潜水用防水。SSケース+サファイヤクリスタルガラス。サイズ厚さ 13.8 ㎜、横 42.6 ㎜、縦 49.8 ㎜。

SBDC077

グリーングラデーションダイヤル+メタルブレス。実勢88,000円、実質83,600円。

SBDC085

ブルーグラデーションダイヤル+メタルブレス、オールブラック。実勢88,000円、実質83,600円。

1968ダイバー現代デザイン


1968年に初の300m空気潜水用防水を実現した通称「1968ダイバー」。そのデザインを現代風にアレンジしたものです。

なし

こちらのシリーズのネット限定モデルはありません。
1968ダイバーはオリジナルのデザインをほぼ踏襲したレギュラーモデル「MM300」が別にあるので、現代デザインは人気がいまひとつなのかもしれません。

調査日時点でレギュラーモデルのSBDC061に一部店舗ではなんとアンダー8万円の値段をつけていましたのでディスコンが近いのかもしれません。だとすればSBDC051の時と同じで「パワーリザーブもデザインも現行に不満がないのであれば今が買い」ですね。

スモウ(旧型)


「スモウ」というユニークな愛称で知られるシリーズ。由来はマッシブなケース形状がそっぷ型の力士を思わせるとか12時位置のインデックスが大銀杏っぽいからなど諸説あります。

下の現行スモウとの実機比較記事はこちら。

 

共通スペック:
自動巻きキャリバー6R15、パワーリザーブ50時間。200m潜水用防水。SSケース+ハードレックスガラス。サイズ厚さ 13.3 ㎜、横 45 ㎜、縦 52.6 ㎜。

SBDC069

ブルーダイヤル+メタルブレス。実勢52,800円、実質50,160円。在庫僅少。
上のリンク先記事で書いたSBDC057と同様に、旧型スモウを新品で購入するのはほぼラストチャンスでしょう。


スモウ(現行)


旧型からムーブメントも外装も正統進化した実に正しいモデルチェンジ。(その分値段も上がってしまいましたが)

スモウの特徴と旧型との詳細な変更点、そしてSBDC097の魅力を熱く語った記事はこちらです。

 

共通スペック:
自動巻きキャリバー6R35、パワーリザーブ70時間。200m潜水用防水。SSケース+サファイヤクリスタルガラス。サイズ厚さ 12.9 ㎜、横 45 ㎜、縦 52.6 ㎜。

SBDC097

グレーダイヤル+メタルブレス。実勢93,500円、実質88,825円。

SBDC099

ブルーグラデーションダイヤル+メタルブレス。実勢93,500円、実質88,825円。



これまでネット限定モデルは値引きなしが通例でしたが、ファースト現代デザイン旧型のSBDC077と085は2割引きになっています。
(SBDY系はほぼすべてのネット限定モデルが2割引きでした)

セイコーがなりふり構わなくなってきたのか…あるいはディスコンして売り切りなのかもしれません。ネット限定の買い時がさらに難しくなったということですね。



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