ロスジェネはえてしてこだわりすぎる

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かつて「セイコーの良心」と呼ばれたブランドがありました。

それが「メカニカル」。その名の通り、機械式時計を良心的な価格で提供していました。
その中でも特に人気の高かったシリーズ「アルピニスト」が先代のディスコンから2年の時を経て「プロスペックス」ブランドとして復活しました。

以前の記事でチラッと書きましたが、私は先代のSARB017の購入を何度か真剣に考えていました。

アルピニスト メカニカルとは その歴史


アルピニストという名前の時計は1960年代にありましたが、現在の形になったのは1995年のこと。四半世紀の歴史を持つ、セイコーファンにはお馴染みのシリーズです。

登山用のアウトドアウォッチとして登場。
その成り立ちにふさわしく、最大の特徴はインナーベゼルの簡易方位計で、20気圧強化防水も装備しています。
外観上の特徴はコブラ針。そして偶数時はアラビア数字、奇数時はくさび型が交互に並ぶいわゆる飛びアラビア数字で、ゴールドのアプライドインデックス(一部モデルは除く)。

マニアの間では「和製エクスプローラー」なんて呼ばれています。

アウトドアウォッチという出自やコブラ針(むこうはベンツ針ですが)と飛びアラビア数字インデックス(むこうは3・6・9ですが)がロレックス「エクスプローラー」を思わせるというのがその由来です。

SBDY049の「和製アクアノート」SBDC097の「和製ヨットマスター」は私が勝手に言ってるだけですが笑、アルピニストのこれは割とよく言われます。

初代

1995年発売、ケースサイズ36mm、4S15ムーブメント
6時位置に赤字で「Alpinist」ロゴ、裏蓋に三連山マーク、サイクロップスレンズ

SCVF005 ブラック文字盤、三角インデックス(ホワイト夜光)、メタルブレス
SCVF007 ベージュ(アイボリー)文字盤、メタルブレス
SCVF009 グリーン文字盤、レザーベルト

2代目

2006年発売、ケースサイズ39.5mm、6R15ムーブメント
ロゴなし、裏蓋に三連山マーク、サイクロップスレンズなし

SARB013 ベージュ(アイボリー)文字盤、メタルブレス
SARB015 ブラック文字盤、くさび型インデックス(シルバー)、夜光ドーフィン針、メタルブレス
SARB017 グリーン文字盤、レザーベルト

初代と2代目はこの3色展開です。
ブラック以外の2色は大筋で変更ありません。

なぜかブラックだけは毎回頑なにアラビア数字混じりのインデックスにしないのが謎です。
2代目ブラックに至ってはアイデンティティであるコブラ針も捨ててもはやなんだか立ち位置がよくわかりません笑

代表的なモデルはグリーン文字盤。

一番人気だったのかはわかりませんが、2代目ではグリーンの017だけがずっとディスコンにならずに2018年まで作られ続けたので今となってはアルピニストというと真っ先にこのカラーが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

初代のデザイナーによればご自分の愛車ミニローバーの色「アーモンドグリーン」にインスパイアされたという深みのある濃い緑。決して服と合わせやすいわけではないですがかなり珍しい色味で惹かれますね。

「SARB017 メタルバンド」で検索すると017をメタルブレスに交換しているユーザーのブログがいっぱい出てきます。

最新モデルの特徴とバリエーション



そして最新型はこうなりました。

3代目

2020年発売、ケースサイズ39.5mm、6R35ムーブメント
6時位置にプロスペックスロゴ、裏蓋スケルトン、サイクロップスレンズ、Dバックル

SBDC087 ブラック文字盤、三角インデックス(シルバー)、メタルブレス
SBDC089 ホワイト文字盤、シルバーインデックス、レザーベルト
SBDC091 グリーン文字盤、レザーベルト
SBDC093 ベージュ(アイボリー)文字盤、レザーベルト(カーキ)、ネット流通限定
…わかりにくい。カラーバリエーションが3世代で微妙に違っていてややこしい。

ざっくり言うと

087はほぼ初代のブラックと同じ。
089は新たに設定されたホワイト文字盤でインデックスがシルバーという組み合わせ。
グリーン文字盤の091は変更なし。
ベージュ文字盤の093はメタルブレスではなくカーキのレザーベルトになりしかもネット流通限定。

ということです。

初代から2代目でサイズアップとムーブメント弱体化、そこから3代目では質感向上とムーブメント強化という感じです。

やっぱり初代の完成度が最も高いですね。
4S15という上位ムーブメント。そしてこのデザインに対しベストな36mmというサイズ。赤のアルピニストロゴもいいなあ。

3代目はロングパワーリザーブと質感向上が売りでしょうか。

もう当ブログではおなじみ、70時間ロングパワーリザーブの6R35が採用されています。

質感について新旧の直接比較はできませんが、新型を腕に乗せて感じたのは「あれ?こんなに仕上げ良かったっけ?」でした。旧型のグリーンも何度も腕に乗せたのですがそこまでの強い印象はありません(もちろんセイコーですからお値段以上の仕上げではあったのですが)ので向上しているものと思われます。

ベゼルがポリッシュでラグはサテン。これは先代と変わりませんが、恐らくポリッシュの精度が上がっているのではないでしょうか。実際、089の実物は結構高級感ありました。

Dバックルやシースルーバック、サイクロップスレンズ復活など細かな点でも高級化志向がうかがえますね。

まあ実はプレザージュのベーシックラインですらDバックルなのですが笑


不満点はいつも通り


もう毎回同じです。値段。流通形態。

このアルピニストもまた、流通限定=値引きなし、なのです。093に至ってはネット流通限定。

先代はメタルブレスモデルが税抜き55,000円、レザーベルトで同じく50,000円。
しかし3割引きで販売されていたので現在の税率10%で計算しても実勢価格は42,350円と38,500円。ポイント10倍まで考えると実質価格は38,115円と34,650円。

安い…

それが新型はメタルブレスが税抜き77,000円、レザーベルトは75,000円。
割引なしなので実勢価格は84,700円と82,500円。ポイント10倍で実質価格は76,230円と74,500円(ネット限定はポイント5倍までなので093は78,375円)。

メタルがちょうど倍。レザーで210%です。
スモウの時と同じですね。「げっ!倍かよ!」。

前の値段を頭から追い出さないと逡巡してしまいますよね。

バリエーション設定も不満です。先代でメタルブレス換装のニーズが高いことはわかり切っているのにデフォルトではブラックの087のみの設定で、これまでずっとメタルだったアイボリーダイヤルをレザーに変更(しかもネット限定!)というのはいかがなものか。

ちなみにメタルブレス、サードパーティーだと有名なのがタイコノート。こちらは新型への対応が明記されています。(新旧両方併記なので、ケースは同一ということなのでしょう)
価格は一番安いタイプで税込16,500円。
ただグリーンモデルでメタルブレスに換装すると10万ってのもいかがなものかと。


このところのセイコーさんの値付けには本当にユーザー目線が欠けています。

先代からこの変更点だから定価がこれだけ上がる、これはまあわかります。
流通限定モデルなんで値引きしません、これもまあ要するに舶来時計の正規品と同じにしたいってことですよね。わからなくもないです。

ではなぜそれを両方同時にやるのか。

結果実勢価格が倍になることも、今の時代に先代モデルの価格なんて簡単に調べられてそれを見たユーザーがどう感じるかもセイコーにはわかっているはずです。

流通限定モデルにするなら定価の上昇幅を抑えればいいだけなのに。



まとめ


さんざん文句を言いましたが、アルピニストはやっぱりいい時計だと思います。

独創的で歴史のあるデザインでお値段以上の仕上げ。20気圧防水にロングパワーリザーブ。値段に文句を言ってますけど、実は6R35搭載機では最も安いモデルだったりします。

個人的には089が一番気に入りました。ただパッと見もはやドレスウォッチに近い印象ですね。本来のトレッキングウォッチというキャラクターから離れている気も。

本当に今年に入ってからのセイコーは魅力的な時計を連発していて、私の欲しいリストに大量追加されています。だからこそこの価格と販売戦略には苦言を呈したくなっちゃいます。


このところ2020年新作のプロスペックス欲しい欲しい欲しい!という記事をふたつ続けており頭の中の大部分をセイコーダイバーに占められてしまっている状況です笑

ということで最新注目モデルとは異なる意味で「気になる時計」、そうディスコンが心配なモデルを取り上げたいと思います。

ディスコンとは、その影響


ディスコン(廃盤)=製造中止。

セイコーのディスコンが発覚するタイミングは例年3月。バーゼルワールドという世界最大の時計見本市でその年の新作が発表されます。その新作がカタログに載るのと時を同じくしてカタログ落ちするモデル。それがディスコン対象です。

(記事アップ後に知ったのですが、セイコーは2020年バーゼルワールド出展中止を発表し、3月中に何らかの形で新製品発表を行なうとのこと。「バーゼル」ではなくなりましたが以下の内容には特に変更ありません)

それ以降は基本的に追加生産がなくなるため、入手したければ急いで探し回る必要があります。

ディスコン発覚後の値動きは微妙。売り切りのために値下げする小売店もあります。しかし在庫が少なくなるにつれそれまで割引販売していたモデルが定価販売になったり、最後にはプレミアム価格でしか入手できなくなることも。

例えば2018年にディスコンになったセイコーメカニカルSARB017。アルピニストというシリーズのグリーンダイヤルを持った特徴的なデザインのモデルで息の長い人気を誇っていました。私も実は何度か真剣に購入を考えたことがあります。

増税前で54,000円(税込、以下同じ)で家電量販店で3割引き+ポイント10倍で売られていたので実質34,000円で買えたモデルがものの1~2ヶ月で定価近くでしか買えなくなりました。

ちなみにこのアルピニスト、SDBC091として2020年1月に復活しています。価格設定は82,500円で流通限定モデルなので値引きなし。ポイント10倍の実質で74,250円。220%増の4万円アップです。ロングパワーリザーブのキャリバー6R35搭載、仕上げも噂では良くなっているそうですが…やっぱり「買っときゃ良かった」感が残りますよね笑
近年セイコーはプロスペックスのブランド化を急速に進めており、モデルチェンジに伴う価格上昇が相次いでいます。多くが独特の完成されたデザインであるセイコーダイバーにおいてデザインは大幅な変化がなく、にもかかわらず価格はものによっては大幅上昇となるためユーザーの不満は膨らんでいます。まあ元が高いスイス製の時計はさらにえげつないですが。

さらに「流通限定モデル」にして割引不可になったり。そうでないモデルも以前は家電量販店では3割引きでしたがいつの間にか2割引きまでになっており、一定の価格統制が図られているように見えます。

であれば我々ユーザーはとしては賢く行動しなければなりません。
メーカー都合にも転売ヤーにも踊らされることなく、自分が本当に欲しいものを納得のいく価格で入手するために情報武装する必要があります。

そのため、ディスコンが近そうなモデルと、想定されるその変更点や予想価格を記事にしたいと思います。

!!!あくまでも私の個人的な考察ですので、予想が外れても一切の責任は負いません!!!

現在、セイコーダイバーにおいて価格上昇の主な要素は以下の通りです。

・ムーブメント強化
・サファイヤクリスタル化
・仕上げ向上
・流通限定化

これ以外に「ただの型番変更」にしか思えないこともあります。初代スモウSBDC001から2代目のSBDC031に変わった時なんかほぼそんな感じ(文字盤の印字が変わったぐらい)でした。「仕上げ向上」もまあハッキリわかるレベルでなければあまりピンと来ないですよね。

これらの要素とメーカーの戦略により、モデルチェンジすれば必ず価格は上昇します。ユーザーは自分がその差額分の価値を見出せるか、よく検討しなければなりません。

今の価格で納得いくなら買ってしまうのも手ですし、ディスコン発覚の時点ですぐに動けるように価格をウォッチしつつ自分のボーダーラインを決めておくのも良いですね。

ディスコンが近いかどうかの判断は価格変動、発売後の経過期間、変更余地をメインに行いました。

個人的に以下の4モデルがディスコン怪しいんじゃないかと思っています。

続く記事では各モデル別に想定されるその変更点や予想価格をまとめ、極私的買い時ジャッジも行ないます。

関連記事:
セイコー プロスペックス SBDC051 ディスコンしそうなモデルたち①
セイコー プロスペックス SBDY009 ディスコンしそうなモデルたち②
セイコー プロスペックス SBDY015 ディスコンしそうなモデルたち③
セイコー プロスペックス SBDC029 ディスコンしそうなモデルたち④


!!!2020年12月29日追記!!!
最終的なディスコンの結果を解答編として記事にまとめました!

詳しくはこちら>>>
答え合わせ!セイコー プロスペックス ディスコンしそうなモデルたち【2020年版】

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